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長崎の離島を結ぶ航空会社・オリエンタルエアブリッジを紹介します
<トップ画像/写真提供:オリエンタルエアブリッジ>
こんにちは!たびこふれライターの中尾です。
今回、紹介するのは長崎県に本社を置く航空会社・オリエンタルエアブリッジ(略してORC)です。ORCは長崎空港をベースに長崎の離島を中心に小さな機材で航空路を結んでいます。僕自身、ORCに乗るのは初めてでしたが、機内はとてもアットホームな雰囲気でとても好印象でした。長崎の離島に行く時は、ぜひORCの空路を体験していただきたいと思い、ここで紹介したいと思います。
目次
- オリエンタルエアブリッジ
- オリエンタルエアブリッジが保有する機材
- 福岡⇒対馬線
- 対馬空港
- 対馬⇒長崎線
- 長崎空港
- 長崎⇔五島福江線
- 五島福江空港
- 長崎⇔壱岐線
- 壱岐空港
- オリエンタルエアブリッジの機内備品
- 新型機が長崎に到着
- オリエンタルエアブリッジ 基本情報のリンク集
オリエンタルエアブリッジ
ORCは長崎空港(長崎県大村市)に本社を置き、長崎空港と福岡空港をベースに路線を展開している地域航空会社です。
会社設立は1961年と古く、長崎県などが出資して長崎航空として運航を開始。1967年に旅客便の運航を休止しますが、1980年に長崎県の離島路線の運航を再開。2001年に長崎航空からオリエンタルエアブリッジへ会社名を変更。2023年1月現在の営業路線は7路線。自社の保有機材は39席のボンバルディア式DHC-8-201型機(以下、D82型機という)を2機保有しています。自社機以外では、ANAから共通事業機として74席のボンバルディア式DHC-8-402型機(以下、D84型機という)を使用しています。
オリエンタルエアブリッジは英語でOriental Air Bridgeと表記し、3レターコードはORCです。社名のオリエンタルは「東洋の」、エアブリッジは「空の架け橋」という意味です。
カラーコンセプトは、機体上部からスカイブルー(空の青)、エメラルドグリーン(島の緑)、マリンブルー(海の青)を表しています。
オリエンタルエアブリッジが保有する機材
現在、離島路線に運航しているORCの自社機は、ボンバルディアD82型機を2機保有していますが、機体の導入から20年以上が経過しているため、新たにATR42-600型機(48席)を発注。公式サイトによると2022年12月21日に長崎空港に到着しています。2023年度には新機材が路線デビューする予定ですのでとても楽しみです。
逆に現在使用しているボンバルディアD82型機は近い将来退役が決まっています。この機材は現在日本ではORCしか保有していませんので、今のうちに乗っておきたい機材でもあります。
ORCには離島路線だけでなく、ANAとのコードシェア便として福岡〜宮崎線、福岡〜小松線においては、ANA保有のD84型機を共通事業機として使用しています。機体はそのままANAのカラーが施されていますが、ORCのパイロットと客室乗務員によって運航されていますので、とてもレアケースな運航でもあります。
D82型機
カナダ・ボンバルディア社の航空機です。
全長22.25m、全幅25.89m、全高7.49m、座席数は39席の小型プロペラ機です。
主翼は高翼機です。
エンジンは主翼下に取り付けられていて、4枚のプロペラを装備しています。
搭乗はターミナルからボーディングブリッジ(搭乗橋)を使わず、地上を歩いて専用のタラップを使って機内へと入ります。
この機材の機内は縦10列、横4席、39人乗りです。通常CAは1名乗務です。
<写真提供:オリエンタルエアブリッジ>
とても興味深いのは、左側最前方の1列目と2列目が2席ずつ向かい合うボックスシートになっているところです。
<写真提供:オリエンタルエアブリッジ>
この手の座席配置はとても珍しく、日本で飛んでいる航空機ではATR42がこのような座席配置になっています。
ATR42の詳細は、「【航空機】え?座席が後ろ向き?ATR42搭乗レポート」をご覧ください。
そして、最後部は通常横4席並ぶのが一般的ですが、この機材は一番後ろの10列目のみ横5席になっています。
<写真提供:オリエンタルエアブリッジ>
最後列の横5席座席です。真ん中に座席があるのはとても珍しいです。
D84型機
カナダ・ボンバルディア社の航空機です。
全長32.8m、全幅28.4m、全高8.3m、座席数は74席のプロペラ機です。
同じ200型機に比べると、とても長い機体という印象です。外観はANAの塗装のまま使用しています。
真横から見るとその機体の長さがよく分かります。
D82型機同様、エンジンは主翼下に取り付けられていますが、D84型機は6枚のプロペラを装備しています。
この機材も、基本は地上を歩いて専用のタラップを使い、機内へと入ります。
19列ありますので、機内に入ると長いなと感じます。74人乗りです。通常CAは2名乗務です。
ORCが運航する時は、前方の壁にORCのロゴが貼り付けられています。
福岡⇒対馬線
- 便名:ORC-81便
- 機材:D84型機
- 飛行時間:38分
福岡~対馬線はDHC-8-Q402型機で運航しています。事前にORCのスタッフに機窓から広がる景色を伺ったところ、南へ離陸した場合、離陸3分後に右旋回して、右窓から福岡市内を一望。その先には志賀島も見ることができます。離陸5分後に左窓には糸島半島、虹の松原、唐津、離陸10分後に左窓から壱岐を見ることができるそうです。
※離着陸する滑走路の方角や運航状況により、見える時間や位置が異なる場合があります
僕は左側座席に座りました。糸島半島と唐津湾が見えています。
中央のビーチは福岡県糸島市の弊の浜です。
壱岐が見えてきました。
対馬着陸前。思った以上に大きな島だなと思いました。
★対馬空港への着陸シーンを動画でご覧ください!
対馬空港
対馬空港の愛称は「対馬やまねこ空港」。
航路は福岡からANAとORCが、長崎からORCが運航しています。滑走路が1,900mあるので、かつてはジェット機が就航していましたが、今はプロペラ機のみの運航です。ジェット機が就航していた時のなごりなのか、ボーディングブリッジ(搭乗橋)が設置されています。
ターミナルビルは2階建てです。なお、対馬空港には展望デッキがありません。
1階が到着ロビーと出発のチェックインカウンター。
2階は、出発ロビーと手荷物検査前に小さな売店があるだけの簡素な造りになっています。
話はそれますが、対馬やまねこはアムールヤマネコのことで、日本では対馬にしか生息していません。絶滅が危惧される希少動物のため、保護活動をしています。
対馬⇒長崎線
- 便名:ORC-62便
- 機材:D82型機
- 飛行時間:26分
対馬~長崎線もD82型機とD84型機の2機種が就航しています。今回、搭乗したのは200型機です。ナイトフライトとなるこのフライトの機内から見える景色は、両側の窓から漁火が見えます。離陸7~8分後に左窓から壱岐、離陸15分後にハウステンボス(週末は花火が見えることもあるそうです)が見えてきます。
※離着陸する滑走路の方角や運航状況により、見える時間や位置が異なる場合があります
※ナイトフライトだったので残念ながら写真は撮影できませんでした。でもぼんやり浮かんだ島影やポツポツと街灯りがとても綺麗でした
長崎空港
長崎空港は西九州の玄関口、そして長崎・平戸・雲仙などの観光地へのアクセス基地として、東京(羽田・成田)、名古屋(中部)、大阪(伊丹・関西)、神戸、沖縄(那覇)と定期便を結んでいます。
空港の造り自体は単純で、1階はチェックインカウンターと到着ロビー、そして飲食店。
2階は出発ロビー、売店、飲食店。出発ロビーの天井がなんとも異国っぽいですね。
2階売店です。広くありませんが、ひと通りのお土産が揃っています。
3階が送迎デッキです。
意外と知られていませんが、長崎空港は世界初の海上空港として1975年5月に開港しました。なので、空港には橋を渡ってくることになります。
長崎⇔五島福江線
長崎⇒五島福江
- 便名:ORC-75便
- 機材:D84型機
- 飛行時間:19分
長崎~五島福江線もD82型機とD84型機の2機種飛んでいます。今回、搭乗したのはD84型機です。離陸後10分間、五島列島沿いに飛行するため、両窓から五島列島が見えます。離陸10分後、右に佐世保市街地、離陸10~15分後、右窓に平戸の島々、離陸20~25分後、右窓に虹ノ松原と糸島半島、離陸20~25分後、左窓に壱岐が見えます。
※使用する滑走路や気象状況により、見える時間や位置が異なる場合があります
この機材に搭乗する際は、通常地上を歩いて搭乗するのですが...。このフライトではボーディングブリッジを使って端まで行き、最後は専用のステップを使って搭乗しました。
離陸後、右旋回。左窓から遠くに雲仙が遠くに見えました。
さらに左から長崎市街地を眺めることができました。
とても分かりづらいのですが、左窓では手前の横長の島が伊王島・沖之島、その上が高島、その上の小さな島が中の島と軍艦島です。
五島列島へは海路・高速船で行くことも可能です。
五島福江空港は福江島にあります。まもなく着陸です。
★五島福江空港への着陸シーンを動画でご覧ください!
五島福江⇒長崎
- 便名:ORC-78便
- 機材:D82型機
- 飛行時間:20分
五島福江からの復路はD82型機を利用。機窓からの景色は、離陸10分後に左から池島(猫の島と呼ばれる島で炭坑の島としても知られている)、離陸10分後に右窓から野母崎半島と長崎市街地を見ることができます。
※離着陸する滑走路の方角や運航状況により、見える時間や位置が異なる場合があります
※ナイトフライトだったので残念ながら写真は撮影できませんでした
五島福江空港
五島福江空港の愛称は「五島つばき空港」です。福岡と長崎から2路線就航しています。
この空港も到着後、地上を歩いてターミナルへと移動します。
地上を歩くと飛行機を間近に見ることができますし、写真撮影も可能です。飛行機好きな人にはたまりませんね。
※飛行機の撮影は空港係員の邪魔にならないように、そしてサッと撮影しましょう
五島福江空港のターミナルも2階建てです。
到着ロビーには、今人気の連続テレビ小説のことが。福江島はロケ地の一部でもあります。
1階にはチェックインカウンターがあります。
2階には小さな売店とレストランがあります。
長崎⇔壱岐線
長崎⇒壱岐
- 便名:ORC-41便
- 機材:D82型機
- 飛行時間:21分
長崎から壱岐間はD82型機を使用しています。機窓からの景色は、離陸4~5分後に左からハウステンボスと佐世保市街地、そして九十九島、離陸後11~12分後に右窓から虹ノ松原が見えます。着陸前には両窓から壱岐の美しい海を見ることができます。
※離着陸する滑走路の方角や運航状況により、見える時間や位置が異なる場合があります
大村湾北部を飛行中です。
ハウステンボスが見えてきました。
上にアーチがかかった白い橋が新西海橋、その下に架かる橋が西海橋です。
中央上にある港が佐世保港と佐世保市街地、左上が九十九島です。
下に見える橋は鷹島肥前大橋です。鷹島(たかしま)を結んでいます。
壱岐の島影が見えてきたらすぐに着陸です。
★壱岐空港への着陸シーンを動画でご覧ください!
壱岐⇒長崎
- 便名:ORC-44便
- 機材:D82型機
- 飛行時間:21分
復路もD82型機を利用しました。機窓からの景色は、離陸5分後に左窓から虹ノ松原、糸島が見えます。
※離着陸する滑走路の方角や運航状況により、見える時間や位置が異なる場合があります
高度は低いので空気が澄んでいれば地上の景色を綺麗に見ることができます。
大村湾の北部に入ってきました。
正面に長崎空港が見えてきました。
北側から長崎空港の西側を通って一度南側まで出て南側から着陸しました。
夕陽に映えるORCのD82型機です。このD82型機も近い将来退役しますので早めに乗っておきましょう!
壱岐空港
壱岐空港に到着しました。なんともバスターミナルのような建物です。壱岐空港は長崎空港と1日2便しか運航していませんのでとてもローカルな雰囲気です。
外側から見た壱岐空港。
1階のチェックインカウンターです。カウンターを置いただけの簡素な造りです。
壁に貼りだされた本日の運航情報。長崎まで1日2往復です。
もちろん、壱岐空港も搭乗は地上を歩いて機体まで移動します。
オリエンタルエアブリッジの機内備品
機内には持ち帰り可能なルートマップが置かれています。
このような独自のルートマップはとてもありがたいです。
また、D82型機の紹介も記載されています。
また、機内でCAさんが配っているオリジナルの島情報もとても読み応えがあります。
中はすべて手書きでとても温かみがあります。連絡先や空港からの所要時間も記載されていますので便利です。ぜひいただきましょう!
他にも、CAさんが気を利かせたこんな手作りグッズをいただきました。ありがとうございます。
新型機が長崎に到着
前述の通り、現在運航しているORCの自社機(ボンバルディアD82型機)は機体の導入から20年以上が経過しているため、新たにATR42-600型機(48席)を発注。公式サイトによると2022年12月21日に長崎空港に到着しています。ORCから特別に機体の写真をご提供いただきましたので、ご紹介します!
オリエンタルエアブリッジ 基本情報のリンク集
- 社名:株式会社オリエンタルエアブリッジ
- 会社概要:オリエンタルブリッジ概要
- 社名コンセプト:オリエンタルエアブリッジ 社名コンセプト
- 公式サイト:オリエンタルエアブリッジ
★取材協力:オリエンタルエアブリッジ
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中尾勝
- 旅が大好き!国内海外を問わず飛び回っていますが、海外へは2011年に渡航して以来、出国していません。今は原点に戻り国内を旅しながら日本の良さを体感中。