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【ギリシャ中部】ピリオ、ヴォロスで新緑とグルメを楽しむ
先月は、出張でギリシャ中部のピリオ山と港町ヴォロスへ行く機会がありました。日帰りの弾丸旅行でしたが、久々に訪れた山村でリフレッシュ。新緑でまぶしい風景を楽しんできましたよ。
日本からの旅行者はあまり行かないかもしれないエリアですが、今回の記事ではピリオのおすすめポイントと周辺エリアのおいしいものをいくつかご紹介します。
目次
新緑のピリオ
テッサリア地方マグニシア県の県都ヴォロスはギリシャ中部最大の港町。そしてヴォロスの港があるパガシティコス湾の東を囲むように延びるのがピリオ半島です。
ピリオに点在する美しい村々の中では、ヴォロスの街から近いポルタリアやマクリニッツァが観光地としては一番栄えていてお店やホテルも多いです。
今回の出張の目的地であったザゴラは、半島の東側に位置しエーゲ海を見下ろす村。前述の村と比べ「何もない」感じですが、美しい自然の中でゆったりとした時が流れます。
<斜面に見えるのがザゴラの集落>
<シエスタ時間で閉まっていましたが、ザゴラのお土産を売るお店>
ピリオの村の広場には大きなプラタナスの木々が植えられていて、今の時期は涼しげな緑の日よけを作っています。
ピリオの特産品と土産物店
<ザゴラ近くのりんご畑>
ピリオは水資源が豊かで、あちこちで湧き水が流れているのを目にします。緑深い山ではいろんな果物が栽培されていて、特にリンゴが有名。現代では「ザゴリン(スターキング系の品種で、ザゴラという村にちなんだ名前です)」というリンゴの生産が重要な産業になっているようです。また、フィリキという楕円形の小さなリンゴはシロップ煮にされることが多く、土産物店で瓶詰めを買うことができます。
今回はザゴラ村からヴォロスへ向かう途中で何かお土産を買おうと思っていたのですが、リンゴ酢や蜂蜜などを作っている農園の販売所があったので寄ってみました。
無添加のりんご酢。中サイズの瓶3€を購入。
他には蜂蜜、オリーブオイル、さまざまな果物のジャムやシロップ煮など。蜂蜜は量り売りもありました。
ピクルスもいろいろ。写っていませんが、ピリオ山で採れるチチラヴラという新芽、わらび、海のそばで採れるクリタモ(シーフェンネル)やケイパーなどがありました。私は独特の香りがあるチチラヴラがとても好きなのでこれも一瓶購入。ここで売っていたものは柔らかすぎでちょっと崩れていましたが、味はよかったです。
ヴォロスのチプラディコ
ピリオ山を下りる頃には日が暮れてきて、アテネへ戻る前の夕食はヴォロスで食べることに。
ピリオでも食べたいものはいっぱいあるのですが、厳選しないといけないのが弾丸旅行の辛いところ。前に来た時に食べそびれたものをリベンジしたかったので、ヴォロスのネア・イオニア地区へ向かいました。イオニアとは現トルコのエーゲ海地方にかつてあった地方の名前ですが、住民交換でそこから引き揚げてきた人々が多く住むエリアです。
私たちの目的は、チプラディコというヴォロス独特の居酒屋。チプロ(ブドウの蒸留酒。ヴォロスではアニス風味のものがポピュラー)と小皿料理を出すお店のことです。チプロを頼むとそれにあわせておつまみが出され、杯を重ねるにつれおつまみも塩漬けやマリネといったシンプルなものから、焼き物や揚げ物と変化をつけて出されます。
チプラディコはシーフードの料理が充実しているので、ヴォロス方面へ来る時の楽しみです。チプラディコは海辺にもいっぱいあってそちらは景色も楽しめるのですが、ネア・イオニアのチプラディコはディープなお店が多いことからローカルに人気。
ちなみにこのエリアにあるチプラディコは早い時間に閉まってしまうところも多く、目的の店には残念ながら間に合わず。同行の家族がシーフードをあまり食べられないためどちらにせよチプラディコの醍醐味からは外れますが、それ以外のメニューも多く取り揃える店を紹介してもらいメニューからも注文してみました。
ミニボトルのチプロ2本についてきた小皿料理は、スモークにしんとアンチョビマリネ、マリネ野菜の盛り合わせとポテトサラダ、揚げ魚、大きなイカ足の炭火焼き。これだけでも結構お腹がいっぱいになりそうな内容です。
追加の注文は、私が食べたかったイソギンチャクのフライ。想像していた3~4倍の量が出てきたのでちょっと苦戦しました(笑)
家族が追加で頼んだのは、揚げチーズ(サガナキ)、チーズパイ、ローカルソーセージ。
最後にデザートとしてルクマデス(ギリシャ風ドーナツ)も出てきたので、お腹パンパン。これだけ食べてもお勘定は一人当たり10€程度とリーズナブルです。
ピリオはオールシーズン楽しめるリゾート
美しい山村はギリシャ本土の他の場所でも多く見られますが、ピリオは半島ということから海と山の両方を楽しむことができるのが利点でしょう。
そのような条件を兼ね揃えたリゾートでは、ピリオはアテネから比較的アクセスしやすいのでおすすめ。長距離バスまたは鉄道でのアテネからヴォロスまでの所要時間は4~5時間程度です。
夏は6月から9月のはじめ頃までが、ビーチで泳ぐのにちょうどいい時期。また、ピリオ山の村々は避暑地としても人気です。
ピリオにはスキー場もあり、その年の積雪状況によりますが12月から3月ぐらいの間利用することができます。石造りの建物が美しいピリオの村は、暖炉を備えているところが多く、雰囲気も抜群。モノクロに近い冬の景色を眺めながら散策し、体が冷えたらカフェで温かい飲み物を一杯......というような過ごし方はウィンターリゾートの醍醐味ですね。
春と秋はハイキングやトレッキングにいい季節。ピリオにはよいコースがいっぱいありますので、山歩きが好きな方はぜひ。春は野の花や新緑、秋は紅葉・黄葉が綺麗ですよ。
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アナグノストゥ直子
- アテネ在住。主婦業の傍ら、ライター、リサーチャー、コーディネーターとしても活動する。ブログ「ギリシャのごはん」にてギリシャ料理レシピやおいしい話題を発信中。