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【アイルランドの伝統行事】3年ぶりに開催されたセントパトリックスデーのパレード!
アイルランド人が一年で一番楽しみにしている行事といえば、「セントパトリックスデー」です。セントパトリックスデーにはアイルランド各地や世界のあちこちで大々的にパレードが開催されます。緑のものを身に着けていないと相手をつねっても良いという暗黙のルールがあることでも有名ですね。この記事では、3年ぶりに開催されたセントパトリックスデーのパレードを現地からご紹介します!
目次
- セントパトリックスデーの起源
- セントパトリックスデーに緑のものを身につける理由は?
- セントパトリックスデーのパレードは何時から始まるの?
- パレードの見どころは着ぐるみと子供たち!?
- アイルランドならでは!動物たちもパレードに参加
- ト〇ンプ元大統領もパレードに参加!?
- お祭りの最後を締めくくる花火大会は運営側の大盤振る舞い
- まとめ
セントパトリックスデーの起源
セントパトリックスデーの起源は、アイルランドにカトリックを広めた聖人パトリックの命日だと言われています。毎年3月17日には、各地でパレードや音楽ライブ、パフォーマンスなどが開催されます。パブといわれる居酒屋には多くの人が詰めかけ、酔っ払いで賑わいます。
セントパトリックスデーに緑のものを身につける理由は?
私が生まれてはじめてセントパトリックスデーのパレードを体験したのは、ニューヨークのマンハッタンに住んでいた頃でした。
友人から、「セントパトリックスデーに緑色のものを身に着けていないと絡まれるから気をつけて」と教えられました。緑色の服を持っておらず、緑色のアイシャドウをした記憶があります。
その頃はよく意味が分かっておらず、ただ言われるがままに緑色のメイクをしたのですが、実はこの言い伝えはアイルランド民謡レプリカン(Leprechaun)に由来するそうです。いたずら好きで有名なレプリカンですが、人の頬をつねることもあるそう。しかし、緑のものを身に着けているとレプリカンに見つからずに済むことから、セントパトリックスデーにも緑のものを身に着けるようになったそうです。
アイルランドは、キリスト教の文化とアイルランドにもとから存在した文化が混在するユニークな国ですが、ここにもそれは表れていますね。実際に今まで絡まれたり頬をつまんだりされたことはないのですが、今回も緑色のブローチを黒のコートの上につけて出かけました。
セントパトリックスデーのパレードは何時から始まるの?
日中に行われることの多いアイルランドのイベントですが、セントパトリックスデーのパレードだけは、地域によってバラつきがあります。午前中に済ませるところもあれば、お昼から夕方にかけて行われるところもあります。
私がアイルランドに移住した当初住んでいたロスコモン州のボイル(Boyle)では、午後3時から行われましたし、次に住んだコーク県のヨールという街では、お昼過ぎ~3時ごろまで行われました。
今住んでいるメイヨー県のノック空港周辺の村では、夕方の5時からはじまります。
夕方の4時半ごろから、どこからともなく人が集まり出しました。辺りは周辺のパブの煙突や出店から漂う食べ物の美味しい匂いが充満しています。
子供たちは、今かいまかと期待と興奮を隠せない様子でパレードが始まるのを待ち構えています。そんな子供達の姿を見れただけでも、3年ぶりに開催できて良かったな、と心から思いました。子供のときの楽しいお祭りの記憶は、大人になってからもずっと心に残りますからね。
パレードの見どころは着ぐるみと子供たち!?
セントパトリックスデーのパレードの見どころといえば、一番人気があるのがキャラクターの着ぐるみです。ディズニーランドのないアイルランドの子供たちにとって、動くディズニーのキャラクターに出会える機会はとても貴重です。小さい子たちはみんな目を輝かせながら、キャンディーをくばるミッキーマウスを食い入るように見つめていました。
ニューヨークのセントパトリックスデー・パレードでは、あまり子供たちを見かけませんでしたが、アイルランドのパレードでは、子供たちが主役といっても過言ではありません。多くの学校がパレードに参加し、可愛い子供たちが元気に行進する姿を見られます。
中には、楽器を演奏したり、みんなで歌を歌いながら行進する子供たちも。一生懸命がんばる姿がとても愛らしいです。
アイルランドならでは!動物たちもパレードに参加
アイルランドの田舎の家庭では、ロバやヤギ、羊、馬、アルパカなどがペットとして飼われています。日本では少し考えられませんが、大きな動物を飼えるだけの広い庭を持っている家庭はこの国には多いのです。
アイルランドのお庭の広さの平均は、実はヨーロッパで一番広いという統計が最近出されました。田舎の地価はまだまだ低く広い土地が手に入りやすいということもあります。また、150年以上前に起きた大飢饉により、多くの人々がアメリカなどに移住したことで廃墟となった村がいまでも点在しています。そんな土地の有効活用に大きく貢献しているのが、家畜やペットたちです。
家畜やペットたちは、牧草地の草を食べてくれるので、耕作放棄地になるのを防いでくれます。今回のパレードでは、ロバと羊たちが参加しました。羊は人や荷物を運ぶには向いていないので、後ろにつながれている子供たちは、自力でおもちゃの車をペダルを漕いでいました。
最初は、家畜用として飼い始めた羊たちがだんだん可愛くなってしまって、終いには全部ペットにして、自分たちは外に働きにでているという農家さんの話もたまに聞きます。大変そうですが、なんだか微笑ましい話ですね。
ト〇ンプ元大統領もパレードに参加!?
アイルランドの人々にとってセントパトリックスデーのパレードは、自分たちが普段感じている社会問題などを表現する場であるという側面もあります。
もともとは宗教的なお祭りの日だったのですが、近頃は年金問題に触れたり、経済問題に触れる人たちも見かけるようになりました。こちらのト〇ンプ元大統領そっくりさんは、人々にキャンディーをばらまいています。それにしても良く似ていますね。
日本ではあまり見かけない光景かもしれませんが、アイルランドでは日常会話で政治や社会のあり方を皮肉をこめて批判したりするのは日常茶飯事です。ジョークのようにさらっと言って笑いとばすことで、あまり深い意味をもたせないのは、長い植民地の歴史のなかで培われてきた風習と言えるのかもしれません。
お祭りの最後を締めくくる花火大会は運営側の大盤振る舞い
コロナで村全体の収益が減った中での今回のパレードの開催は、楽ではなかったことが凄く分かるのです。それでも、パレードが終わった頃には小さな花火大会が開催され、1尺玉が20分間も花火を打ち上げ続けました。
最後の方には、なんと2尺玉も数発打ち上げられました。これはもう、運営側の大判振る舞いとしか言いようがないですね。景気が悪い時期だからこそ、大判振る舞いしてみんなを元気づけようとする気持ちが伝わってきました。こういう心意気が村の経済を活気づけ、次の世代に繋がっていければ良いなと感じました。
小さな村で20分間花火を上げ続けることは、とても大変なことなのです。現実的な話をすると夢がないですが、1尺玉1発で5~10万円というのは有名な話ですからね。
こういったお祭りの運営の資金は村人全員から集めているわけではなくて、お店の店主やビジネスオーナー、教会、農家さんなどからの寄付によって成り立っています。一部は政府の援助もありますが、それほど多くはありません。
最近では、村で買い物をすると高くつくので、近隣の大手スーパーなどで買い物をする人が増えています。私も以前はそうだったのですが、最近では再就職をして経済的にほんの少し余裕が出てきたので、村のお店で買い物をするようになりました。そうすることで、少しでも住んでいる村に貢献できれば嬉しいと感じるようになりました。外国人でまだまだアウトサイダーの筆者ですが、「住めば都」とはこのことでしょうか?
まとめ
今回は、アイルランドで3年ぶりに開催されたセントパトリックスデーのパレードを現地からご紹介しました。まだまだ経済が回復せずインフレが加速するなかでの開催だったので、パレード自体は3年前より元気がなかったように感じましたが、最後の花火大会には心を動かされました。来年も無事に開催できることを願います。
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Maroon
- アイルランド在住のトラベル・ライター兼YouTuber。アイルランドから「アイルランドの田舎暮らし」の面白さを発信しています。現地では、ネイリストやネイル講師としても活動しています。