たびこふれ

北フランスで野生アザラシと遭遇!

記事投稿日:2022/04/04最終更新日:2022/04/04

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アザラシ

北フランスで、野生アザラシに出会える場所があるのをご存知ですか?

本当にそんな場所があるの?と、半信半疑で向かった先は、オー・ド・フランス地方のソンム湾(La baie de somme)。自然保護区であるこの地域は、珍しい野生植物や野鳥類、そして運が良ければアザラシの群れに出会える野生が息づく場所。そしてのどかな海岸は、第二次世界大戦の歴史が刻まれた場所でもありました。

戦争に敏感なこの時期だからこそお伝えしたい、自然豊かなソンム湾沿岸での野生アザラシを探す旅とその海岸の歴史をレポートします。

目次

ソンム湾の港町ル・ウルデル

北フランスのオー・ド・フランス地方、英仏海峡に面したソンム湾。西側の海は、ノルマンディー地方のアルバットル海岸へと隣接し、北側の海は、ベルギーとの国境へと続いています。多くの野生の動植物が生息するソンム湾は、フランスが誇る自然保護観光ブランド「グラン・シット・ド・フランス(Grand site de France)」にも登録されている、いわゆる政府お墨付きの大自然が残る素晴らしい場所です。

今回の目的地は、アザラシ達がよく出現するというル・ウルデル(Le Hourdel)という湾内の港町。辿り着いた海辺の駐車場には、小さな灯台と漁師達の航海の安全を祈る十字架が海に臨んで建っていました。港町には、おなじみの風景です。

ル・ウルデル

ここから海を目指して海岸を歩き、アザラシ探しの冒険が始まります!

アザラシとの遭遇

駐車場から見下ろす小さな船着場へと導く水路は、引き潮時で砂地が広がっています。近年の気候変化で湾の砂地化が迅速に進み、水平線はどんどん遠くなっているそうです。

小石海岸

海岸は小石海岸から始まり、水路を右手に湾方向に進んでゆくと、やがて白砂が広がる広大な浜辺となり、大きくなった水路は湾の一部となります。

この日は、2月半ばとは思えないような晴天の小春日和。アザラシに遭遇するのは、午後が狙い目だということですが、彼らはいつも浜辺にいるわけではないので、本当に遭遇できるのでしょうか?

足早に20分ほど、靴を濡らしながら水辺を進んでいくと、人混みの先に黒い影が!

アザラシ

いました!どどーんと寝そべるアザラシ軍団!!

黒いのも、白っぽいのも、ゆったりとくつろいでいます。思った以上に数がいて、近づくと、その表情も読み取れそう!やはり水族館とは違った感激がこみ上げてきました。

カメラを構える人間達を無視して、アザラシ達は次々に水の中に移動していきます。波間に見え隠れするアザラシ達の、可愛い頭を追いかけて、人々も海方向へとゾロゾロ移動してゆきました。

アザラシ

程なく、第二ポイントに到着。先ほど見たアザラシ達も合流しているようで、こちらはさらに大群です。そこでハッと気がついたのは、この地点にいる人々は、アザラシからかなりの距離をとっているということです。望遠鏡を持参して観察している人、三脚にカメラを設置して望遠レンズを覗き込んでいる人。大人達がそうしているので、子供達や犬までもが騒ぐことなく、距離をとって、じっとアザラシを見つめているのでした。

観光客

フランスがエコロジーに敏感なのは知っていましたが、この態度には本当に驚き、尊敬の念が湧いてきました。自然や野生動物を保護したいと願うなら、まず、自分のエゴは抑えて自然のルールに従わなければ!どれ位の距離をとっていたかは、このビデオをご覧下さい。最初にフォーカスされているのがアザラシ群です。

※動画が白飛びしてしまう方は、こちらのYouTube動画をご覧ください。

アザラシ達はゆっくり浜辺でくつろぎ、日暮れが近づいた頃、名残惜しげな人間達を浜辺に残して、またゾロゾロと海の中に戻って行きました。

エコロジー精神を学ぼう

帰り道では、自然保護区の生息動植物について書かれている看板を見つけました。

看板

それによると、ソンム湾はフランス最大のアザラシ群が生息する場所。ここには、ゼニガタアザラシ(Le phoque veau-marin, 平均1m60cm, 110kg)とハイイロアザラシ(Le phoque gris, 平均2m50cm, 240kg)の二種の保護種が生息しています。野生アザラシを観察する際には、自然保護のルールを守って、300m以上の距離を取るようにと書かれていました。

思えば季節がら、先ほどの人々は散歩に出た地元民が多かったからかもしれません。観光シーズンが到来しても、野生動物の平和が守られることを望むばかりです。

戦争の歴史が刻まれた海岸

この海岸には、もう1つ特記したいことがあります。それは、イギリス海峡沿岸の多くの浜辺や港町に共通する第二次世界大戦の爪痕です。

戦争跡

この巨大なコンクリートの塊は、第二次世界大戦時の1943年、ヒトラー政権が、対岸からの敵軍上陸を観察、攻撃するために作った装甲舎(9.5m x 9m x 4.9mの大砲用)です。当時フランスはドイツ軍の占領下にあり、ウルデルの町はドイツ軍の基地になっていて、周辺の海岸には、多数の装甲舎、無数の地雷が配備されていました。

1944年8月ノルマンディー上陸作戦において、ドイツ軍は連合軍に敗北して町から撤退。その際には、灯台や軍事施設、宿泊施設、更にはウルデルの町を破壊して去ったとのことです。

悲しい負の遺産ですが、救いになるのは、現在のフランスとドイツが共に欧州連合のリーダーとして、非常に親密な立場にいることです。思えば、1993年欧州連合設立時の謳い文句は「ヨーロッパの地に二度と戦争を起こさない」でした。なのに、現在ウクライナは戦火にあります。平和が訪れることを願ってやみません。

さいごに

野生アザラシと遭遇するソンム湾の旅、いかがでしたか?

私にとっては、豊かな自然に魅了され、可愛いアザラシに癒され、エコロジー精神を学び、平和について考えた、忘れがたい特別な旅となりました。

アザラシ画

もっとアザラシ君達を見たい!という皆さんのために、ウルデルの町の小さなバス停に描かれた可愛いアザラシ画をプレゼント。癒されてくださいね!

では、また次の旅路でお会いできることを楽しみにしています。

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原田さゆり
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