たびこふれ

「フランスで最も美しい村」で最短の川のほとりを海まで散策

記事投稿日:2020/04/10最終更新日:2020/04/10

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その名も麗しいヴル・レ・ローズは、フランスで最も短いヴル川(全長1,149m)を有する北フランスの美しい村です。村外れにある川の水源地は広大なクレソン地帯で、清流は村を通りぬけて、浜辺から英仏海峡へ合流します。

近年「フランスで最も美しい村」に認定されたことでも注目を集める魅惑的な村の、小さな川の誕生から海へ辿り着くまでをレポートします。

目次

「フランスで最も美しい村」のニューフェイス

ヴル・レ・ローズ村(以下、ヴル村)は、2017年10月に「フランスで最も美しい村(Les Plus Beaux Villages de France)」に仲間入りしました。このラベルは、文化財保護に努力している人口2,000人未満の美しい村に授与され、フランスでは「世界遺産」と匹敵するほど人気があります。

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かくいう私も「最も美しい村」の大ファンで、旅行時には必ず、近くに認定村があるかチェックして、訪れるのを楽しみにしています。そんな私が自信をもってご紹介したいのが、新顔のヴル村なのです。

川のはじまりはクレソン地帯

ヴル・レ・ローズは、薔薇の花が咲く清流の村です。フランスで一番短いヴル川の水源地は村の外れにあり、その周辺一帯が広大なクレソン地帯となっています。こーんなに沢山のクレソン、見たことない!その風景は圧巻です。

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村のクレソン栽培の歴史は古く、14世紀頃から。

澄んだ水の中でしか生息できないデリケートな植物クレソンには、カルシウム、カリウム、鉄分、ビタミンA・Cなど心身のバランスを保つために必要な栄養素が多く含まれていて、冬場の貴重な栄養源です。

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収穫期の9月から3月の毎週日曜には、スタンドで採れたてのクレソンやスープが販売されています。

清流のほとり

ヴル川の流れる方向に石畳を進むと、一際美しい茅葺き屋根の家屋に出会います。

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水が溜まるこの付近は昔、動物たちに水を飲ませた場所でした。透き通った水中を覗きこむと、水藻の間を小魚たちが行ったり来たり。いつまでも眺めていていたい気持ちを制して、小さな石橋を渡って先に進みます。

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ほどなく村の入口に到着。花に飾られた橋の手すりには「ラ・ヴル~フランスで一番短い川」と手作り感たっぷりの木板が付けられています。右側の川沿いは緑の多い遊歩道、左側の車道は村の大通りで、飲食店、商店、教会や観光局のある中心地へと続きます。

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川岸を歩いてゆくと、水車が現れました。その昔ヴル川には、製粉などに使われる水車が11台も稼働していたそうです。現在保存されているのは3台のみで、そこだけ時が止まっているかのようです。

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見え隠れする川の流れを追って遊歩道を進んでゆくと、そこは村の中心地の裏通り。川岸には、喫茶店や地元の芸術家のアトリエなどもあります。やがて清流は、民家の間を流れてゆきます。

川沿いのお家のデコレーションがかわいい!

川と海とが出会う浜辺

そして、ヴル川の最終地点、海辺に到着しました。

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英仏海峡に面したこの地域は、切り立った白壁が連なる石膏(せっこう)海岸です。ヴル村の浜辺は遠浅で、満潮時は小石海岸ですが、引き潮時には小石の先に遠くまで、美しい白砂が広がります。

フランスで最も短い川が大海に融合していく姿は、なんだか健気で感動的でした!

では、世界で一番ささやかな(笑)川と海とがひとつになる様子をご覧下さい。

水は命の源なんだなぁ、ということを再確認させてくれたヴル川の散策。帰り道は、海から伸びる大通りを通って、村をぶらぶら見学しながら帰途につきます。

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ヴル村を愛したセレブたち

この小さな村ゆかりの、著名人のエピソードをご紹介します。

ヴル村の存在がパリの社交界に知られるようになったのは、アナイス・オベールという国立劇団の女優の逃避行がきっかけでした。

1826年、失恋に苦しむ彼女は海へと馬車を走らせ、偶然たどり着いたこの村に、すっかり魅了されてしまったのです。村の宣伝大使的な役割を果たした彼女の名は、小さくて可愛らしい村の映画館にもなっています。

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パリのセレブ達が村に別荘を所有するようになると、作家ポール・ムーリスの海を臨む家を訪ねて、フランス文壇の巨匠、ヴィクトル・ユーゴーも幾度となくこの村に足を運んだということです。

海岸には、彼ゆかりの洞窟があります。現在、邸宅跡地には「ル・ヴィクトル・ユーゴー」という名のカフェ・レストランが建っています。

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19世紀後半の村は、ロシア人画家たちの聖地でもありました。野外制作が始まった時代、フランスで絵画を学んでいたヴァシーリー・ポレーノフなど、後に名を残すロシア人画家たちが次々と村を訪れ、村の風景をキャンバスに残しています。

フランス印象派の画家たちが、エトルタやオンフルールに集まっていた同時期に、さほど離れていないヴル村で、ロシア人画家たちが筆を走らせていたとは、興味深いですね。

さいごに

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清流の村、ヴル・レ・ローズの散策、いかがでしたか?クレソン地帯から海まで約30分、歩いて行けば行くほど、心が清められてゆくような至福の時間でした。

公共交通機関でのアクセスは、サン・ラザール駅からルーアン経由でディエップ駅下車。そこから、ヴル村行きのバスが出ています。観光バスも増えていくことでしょう。予算に余裕があるなら、かの女優のように、海へとタクシーを走らせるのも良いかもしれませんね!

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この記事を書いた人
原田さゆり
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記事投稿日:2020/04/10最終更新日:2020/04/10

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