世界最高品質の麻布~フレンチリネンはここで生まれる

亜麻の花

フランス北西部のノルマンディー地方は、ヨーロッパ最大の麻の生地です。田舎の我が家はその中心地域にあり、毎年初夏には、大地が一面に麻の花で青く染まります。無数の小さな青紫の花が、波のように風にそよぐ風景は、幻想的で清涼感たっぷり。私がフランスで見つけた一番好きな風景のひとつです。春先に蒔かれた亜麻の種が、初秋に収穫されるまでの物語を、写真と共にお届けします。

目次

ヨーロッパリネンのふるさと

麻といえば、日本の夏には欠かせない素材。麻の服の爽やかな着心地が、お好きな方も多いと思いますが、そのふるさとをご存知ですか?

麻には種類があり、よく耳にする「リネン」とは、亜麻(あま、フラックス)というアサ科の品種から得られる植物繊維で出来た糸で織られた麻布です。中でもヨーロッパリネンは、世界最高品質だといわれています。

亜麻の栽培地

ヨーロッパきっての亜麻の栽培地であるノルマンディー地方。壮大な麻畑があちこちに広がる栽培地域の給水塔には、シンボルの亜麻の花が絵が描かれていました。

ヨーロッパ広しといえど、亜麻が栽培出来る地域は限られています。良質の亜麻を育てるためには、地質が肥沃で、気候に激しい温度差がなく、日照りと降雨が頻繁に繰り返され、穏やかな風が吹く土地であることが大切な条件。ヨーロッパリネンのふるさとは主に、これらの条件が全て適う、ノルマンディー地方を出発点に北フランス、ベルギーを経てオランダに至るまでの、海沿いのベルト地帯です。

種蒔きから開花まで

亜麻栽培には、豊富な知識と経験が必要です。

亜麻

亜麻の播種は、毎年3月半ばから4月半ばの間に行われます。亜麻は成長の早い植物で、約100日間で1メートルまで成長します。

亜麻

亜麻の畑は、ひときわ明るい綺麗な緑色をしているので、遠くからでもよく分かります。麻って生まれた時から、麻布のイメージそのもの!目にも爽やかなのです。

亜麻の栽培地

開花期

6月半ばになると、亜麻の花が開き、地域の一番美しい季節が始まります。

亜麻の花

青紫色の可憐な小さな花は、午前10時頃に開花し、日が高くなる13時頃には萎んでしまいます。ひとつの花の命は、たった半日のみの儚さです。幸いなことに、同じ畑で次々と開花してゆくので、開花期2-3週間ほどは、幻想的な風景を見ることが出来ます。

亜麻の花

栽培地域の住民にとって、亜麻の花が咲く初夏の午前中は至福の時です。大地が青紫にそよぐ風景を一目見ようと遠くから訪れる人も多く、麻栽培は、ノルマンディー地方の観光にも大きく貢献しています。

開花後から収穫まで

花が散った後には、まん丸い麻の実が形成され、やがて畑は金色に染まってゆきます。

亜麻

7月の半ばには、亜麻は引き抜かれ、畑に放置されます。麻繊維は根本から始まっているので、繊維を最長に残すため、刈り取らず引き抜いて、畑で発酵させるのです。引き抜かれた亜麻は、そのまま1-2カ月畑に放置されます。

亜麻 畑に放置

繊維のみを採取するため、不必要なゴム質を分離させるこの期間を「精錬」といいます。精錬期間は、麻繊維の品質に大きく影響します。麻栽培業者は、天候と麻畑の状況を見ながら、知識と技術を駆使して亜麻の状態をコントロールします。

感想した亜麻

こうして繊維となった亜麻は、初秋の晴天の時期を選んで、大きなロール状に巻かれて収穫され、畑を去るのです。

その後は精製され、紡績工場で麻糸となり、織りあげられてリネンが出来上がります。1ヘクタール(サッカー場位)の畑で収穫された亜麻の繊維で、約20,000kmの麻糸が作られ、約2,200枚の麻シャツが製造出来るそうです。

麻はエコロジーな植物

麻の歴史は古く、紀元前から衣服などに使用されてきました。

近年、麻は「環境に優しい自然素材」として再注目されています。亜麻畑は大量の二酸化炭素を吸収し、リネンはコットンのように大量の水を使わず製造され、亜麻は繊維以外も捨てる部分なく利用可能な、とてもエコな植物だからです。

リネン

涼しく、軽く、丈夫なリネン製品は、吸水や発散性にも優れていて、洗うほどに素敵な風合いが生まれます。衣類はもちろん、シーツやふきんなどの家庭用品、カーテンやクッションカバーなどの自然派デコレーションにも大活躍です。ヨーロッパのブルジョア家庭では、糸くずが付着することなくグラスが拭けるリネンのふきんを重宝してきた伝統があるそうです。

さいごに

かつて、私の元に日本の家族から、ユニクロの麻シャツが贈られて来ました。

ユニクロ 麻シャツ

何気なく見た添付タグに「フレンチリネンと総評される主にフランス北西部またはベルギー産の高品質なリネンを100%使用」と書かれているのを発見して、とても感動したことを覚えています。商品は「縫製 : 中国」と表記されていたので、この土地で育った麻が、はるか遠く中国でシャツとなり、海を渡って日本で販売され、更に空輸されて生まれ故郷に戻ってきたわけです。

おかえりなさい。ずいぶん長い旅路だったね。

亜麻の花

あなたのリネン製品も、きっと美しい景色に育まれ、それぞれの旅路を経て、あなたの元に辿り着いたのでしょう。麻は丈夫で長持ち、どうぞ、末永く可愛がってあげて下さいね!


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原田さゆり

旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。

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