実践!私のマイクロツーリズム〜個性豊かな峰を育む、三重・滋賀県境の鈴鹿山地〜

鈴鹿山地

「近場でどれだけ楽しむか?」というマイクロツーリズムの視点をもった時、とても面白いフィールドに思えてくるのが、山ではないでしょうか。

筆者は年間50座は登るほど、大の登山好きなのですが、昨今は地元周辺の山に通い詰める休日を過ごしています。意外にも、とても近い場所に、今まで知らなかった穴場な名山が多くあって、新たな山との出会いに、日々好奇心を刺激されています。

そこで取り上げたいのが、私のホーム山域でもある「鈴鹿山地」。標高は1,000m少しと、決して高い山地ではないのですが、個性的な峰や面白いコースが充実し、いつ訪れても様々な表情があります。今回はメジャーからマイナーまで、私お気に入りの5つの山をご紹介!

目次

【多賀】雄大な琵琶湖へ日が沈む「高室山」

高室山

まず1つ目に紹介したいのが、マイナー峰にはなりますが、滋賀県多賀町に位置する「高室山(たかむろさん、標高818m)。霊仙山、鍋尻山と続くカルスト台地の南側にあたり、鈴鹿北部の一角を形成している山です。

鞍掛峠へと至る国道306号線・佐目自然公園に車を止めて、片道2時間ほどで登頂することができます。

高室山

特筆すべきは、山頂からの壮大なパノラマ。山頂標識の正面には、日本百名山・伊吹山を望み、西側一帯には琵琶湖や比良山地がダイナミックに展開します。

中でもおすすめしたいのが、日没の時間帯。青からオレンジへと色が変わっていく風景ともに、山頂で涼やかな夕暮れを過ごす時間は、何とも言えない風情があります。

高室山

なお「高室山」は紅葉の名山としても、密かに有名。登山道の随所にはもみじが植わっており、色とりどりの輝きに癒されます。

登山客も少ない山であるため、美しい紅葉を独り占めできますよ。例年の見頃は11月上旬から中旬です。

高室山

  • 住所:滋賀県犬上郡多賀町佐目
  • アクセス:彦根ICから佐目自然公園まで車で約20分、佐目自然公園から片道約2時間

【東近江】表情豊かなテーブルマウンテン「御池岳」

御池岳

鈴鹿山地の最高峰として知られる「御池岳(おいけだけ、標高1,247m)」。前述した鞍掛峠から、コグルミ谷→御池岳山頂→鈴北岳までぐるりと一周するコース(標準タイム5〜6時間前後)が人気です。

そんなこの山の特徴は、山頂がテーブルマウンテンと呼ばれる、台地になっているということ。山頂を目指して登った先に、こんなに開かれた場所があるなんて...!と、初めて訪れた方は驚いてしまうはず。

御池岳

そんな御池岳・山頂周辺のうち随一のパノラマスポットが、ボタンブチ。カルスト地形の切れ目からは、琵琶湖を雄大に望み、谷へと吸い込まれるような高度感が味わえます。

ここから眺める新緑の美しさは格別で、初夏の5月〜6月に特におすすめです。

御池岳

そして御池岳から鞍掛峠をつなぐルート上にある鈴北岳も、見逃せません。滋賀県・琵琶湖から三重県・いなべ市街までのぞむ、360度の開放的なパノラマは唯一無二。

標高はそこまで高くないものの、ダイナミックな鈴鹿山地を味わえるコースです。

御池岳

  • 住所:滋賀県東近江市君ケ畑町
  • アクセス:鞍掛峠から鈴北岳を経て山頂まで2時間〜2時間半、鞍掛峠からコグルミ谷を経て山頂まで2時間〜2時間半。両方のコース周回で徒歩約5〜6時間

【いなべ/東近江】四季ごとに色を変える羊「竜ヶ岳」

竜ヶ岳

三重県いなべ市と、滋賀県東近江市の県境に位置する「竜ヶ岳(りゅうがたけ、標高1,099m)」。鈴鹿山地でも特に人気の高い、鈴鹿セブンマウンテンズの一角です。宇賀渓(うがけい)や石榑峠(いしぐれとうげ)から登るコースがあります。

今でも忘れられないのは、冬のとある日に登山した思い出。

竜ヶ岳

季節は初冬でしたが、なんと霧氷(むひょう/空気中の水分が過冷却で木々に付着する現象)を見ることができました。

笹原の稜線に、シロヤシオの木が点在する景観が特徴の竜ヶ岳。そのシロヤシオへ着氷することで、まるで白い羊が放牧されているかのような絶景が作られていたのです。

竜ヶ岳

そして、パノラマが開けている稜線歩きも最高。青空が近く、ドラマチックな風景をたくさん見せてくれます。

まだ石榑峠の冬季閉鎖が行われていない12月初旬。往復3時間ほどで、これほどに美しい山の世界に出会えるんだと、鈴鹿山地のポテンシャルを再確認した登山でした。

竜ヶ岳

  • 住所:三重県いなべ市大安町石榑南
  • アクセス:石榑峠から山頂まで約2時間。宇賀渓から山頂まで2時間半〜3時間 ※石榑峠は冬季閉鎖あり(12月初旬から翌年3月末)

【東近江/甲賀】鈴鹿が誇るダイナミック稜線「雨乞岳」

雨乞岳

稜線歩きが楽しい鈴鹿山地ですが、その中で一番おすすめしたいのが、鈴鹿セブンサミットの一つ「雨乞岳(あまごいだけ、標高1,238m)」です。御在所岳と鎌ヶ岳の間にある武平峠(ぶへいとうげ、標高)に車を止めて、片道2時間ほど登ると、清々しい笹原の稜線に至ります。

その佇まいは、さながら四国の名山・剣山から次郎笈を彷彿とさせる絶景です。

雨乞岳

雨乞岳のピークは、東西とありますが、中でも西雨乞岳から東雨乞岳を見返したパノラマは見逃せません。ゆったりとした稜線が雄大で、山肌を彩る緑が美しいです。

そしてナイフブリッジを呈した鎌ヶ岳は、どこか北アルプス・槍ヶ岳のよう。鈴鹿の奥座敷は、日本屈指の山岳旅情を漂わせる場所です。

雨乞岳

同じく西雨乞岳から杉峠へと下っていく稜線も壮大。がれ場や展望岩などもあり、変化に富んだパノラマコースになっています。

なおこちらへ進むと、武平峠に戻るには、中級以上のロングルートになるため、万全の計画を立ててから挑むようにしてくださいね。

雨乞岳

  • 住所:滋賀県東近江市甲津畑町
  • アクセス:武平峠から約3時間、甲津畑登山口から杉峠を経て約3時間

【東近江】山上に広がる苔庭の神秘「イブネ」

イブネ

最後の紹介したいのは、マニアなハイカーの間で人気の高い「イブネ」。鈴鹿山地の中でも、入り組んだ場所に位置しており、日帰りの標準タイムは7〜8時間と、中級者向けの山です。健脚な方であれば、雨乞岳・イブネをセットでぐるりと周回される方も!

そんなイブネの特徴は、山上の別天地とも称される、苔の庭園。山頂一帯に、苔が繁茂する神秘的な景観が広がります。

イブネ

おすすめは、苔の鑑賞を楽しながら、少しだけ寝転んでみること。モコモコの感触が優しく身体を包み、思わずウトウトしてしまうほど気持ちが良いです!

また、空に浮かぶ雲を眺めたり、稜線に吹く風に清々しさを感じたり。"山ならではの世界"を耽るにはもってこいのスポットでもあります。

イブネ

最後に、イブネとセットで語られることの多い、クラシについてご紹介。こちらは展望こそ全くないのですが、5月〜6月にはシャクナゲが咲き乱れ、苔の山に彩りを添えてくれます。

イブネから往復30分。山頂の向こう側へ降りていく道もありますが、かなり痩せた尾根で上級者向けルートのため、必ず行きに来た道を戻るようにしてください。

イブネ

  • 住所:滋賀県東近江市甲津畑町
  • アクセス:甲津畑登山口から杉峠を経て3時間半、武平峠から雨乞岳を経て4時間〜4時間半

何度訪れても飽きない「鈴鹿山地」は、最高のアウトドアフィールド

鈴鹿山地

いかがでしたでしょうか?今回はマイクロツーリズムの一つとして、鈴鹿山地を取り上げ、おすすめの日帰り登山をまとめてみました。

今回の記事を見ていただければ分かるように、一つの山地でも山の表情は様々。何度訪れても飽きない魅力があります。そして、自分のホーム山域をもてば、休日が冒険へ早変わりです。

鈴鹿山地が近いという方は、ぜひ何度も通って欲しいですし、遠方の方もこの記事を参考に、近場の山の魅力を探す旅に出ていただけたら嬉しいです。

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    土庄雄平

    1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。

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