ノルウェー人の一大イベント、17.Mai!ナショナルデー!

ナショナルデー 花

愛国心のとっても強いノルウェー人が毎年楽しみにしている日、それが5月17日!ナショナルデーと呼ばれるこの日はノルウェーの憲法記念日です。異国民である私ですら何回経験しても毎回ワクワクするそのわけは?!

今回は国中で盛大にお祝いされるこのナショナルデーの様子をお伝えします!

目次

17.Mai(サッテネマイ)について

前置きでも少し触れましたがノルウェー人が1年の中でクリスマスの次ぐらいに楽しみにしている行事がこのナショナルデーです。1814年5月17日に憲法が制定されて以来、毎年国民みんなでお祝いするノルウェー人にとってはすごく特別な日なのです。5月に入ると個々の家でも街中でも、とにかくあちこちがノルウェー国旗色である赤、白、青でデコレーションされます。

17.Mai 国旗
<家庭でのダイニングテーブルのお飾り>

日本では建国記念日に日の丸を飾る家庭はなかなか見かけないですよね(笑)こちらでは食料品を扱うスーパーですらもこの時期になると手持ちサイズのミニ国旗や、服や髪の毛につけるノルウェー国旗色のお飾りが売り出されているのでしょっちゅう目に留まります。まず祝日の存在を忘れることはありません!

それぞれの街で行われるパレード

ナショナルデー当日に行われるイベントとして欠かせないのはパレードです。地域ごとでパレードが行われる場所やスタート時間は多少異なりますが、大体朝食を食べてみんなが外に出てくる時間帯を目処に午前10時頃に始まるところが多いです。パレードは各地域の幼稚園、小学校や中学校のいわゆる吹奏楽部を先頭にそれぞれがノルウェー国旗を振りながら決められたルートを行進します。

17.Mai パレード

パレードの最終尾を飾るのはルスと呼ばれる高校卒業生のグループです。ノルウェーではこの高校生グループが4月下旬より1ヶ月間卒業する前に派手にパーティする文化があります。専攻分野ごとに色分けされた(基本的に赤が文系、青が理系、黒が専門職系)オーバオールやつなぎを着てまたそれとセットのルス帽子をかぶっています。

彼らは1ヶ月間様々なタスク(簡単なものから日本では考えられないようなものまで)があり、それをクリアした人は勲章を帽子につける習慣です。このルスについては数年前のYahooニュース記事のリンクを貼っておきます。

>>ノルウェーの高校生ルス、日本では考えられない大騒ぎ100のルール(鐙麻樹) - Y!ニュース

そのルスの最終日がこのナショナルデーなのです。最後にパレードに参加してパーティーを終えた後、学期末試験に挑みます(笑)子供達にとってはパレードでルスのお兄さんお姉さんから名刺をもらって集める子もたくさんいるほど憧れの存在です。

地域によって異なりますが、例えば首都のオスロではアーケシュフスという城跡周辺からスタートしオスロのメイン通りであるカールヨハンゲートを通り、王様家族がバルコニーから手を振る王宮前を通り、市庁舎前辺りまでというルートが多いようです。パレードに参加する家族や知り合いがいる家庭は普段なかなか見る機会のない晴れ姿を楽しみに、早めに場所取りをする人も多くいます。

17.Mai パレード
<オスロのパレードの様子。奥に見えるのが王宮です/NRK.noのニュース記事より

個人的には、幼稚園児がカラフルな民族衣装に身を包んで、一生懸命大きい旗を振りながら歩く姿がとっても愛らしく癒されます。

17.Mai パレード

残念ながら昨年も今年もコロナの影響でほとんどの都市でパレードは中止なので写真は全て数年前のものです。

見るのが楽しいノルウェー民族衣装Bunad

この日は基本的に全員「正装」が常識です。ノルウェー人の多くは民族衣装であるBunad(ブナ)を着ます。このBunadはそれぞれの家族の出身地域によって色やデザインが異なり、オスロなど大きい街では本当に数えきれないほどの種類の衣装を楽しむことができます。服だけではなく、髪飾り、イヤリング、胸元のアクセサリー、鞄に靴など全てがBunad専用のものでまさに頭の上から足の先までみんな素敵です!

17.Mai Bunad仕様

17.Mai Bunad仕様
<上がブラウスの袖を留めるシルバー、下が首元につけるシルバー>

恥ずかしいですが一例として私のBunadを紹介します。私の夫家族が出身のGudbrandsdalenという地域のものです。私が着ているのは、夫の曾祖母から譲り受けたもので、現在もう新しく生産されていない昔のデザインです。今は同じ渓谷出身でも違う新しいデザインのBunadを着ている人の方が断然多いです。

17.Mai Bunad

この私が着ているものと同じデザインでも上下の色が異なるBunadも何種類か見かけたことがあります。珍しい柄ですが、人と被ることもほとんどなく私はとても気に入っております!(笑)

17.Mai Bunad

腰元に付けているのが専用の鞄です。鞄と言ってもほぼ飾りのようなものなので平たく、中にはあまり物を入れられません。私はいつもリップ1本とクレジットカードのみ入れて使用しています

17.Mai Bunad 靴

そしてBunadの靴はこんな感じです。黒の革靴で真ん中にシルバーのバックルがついています。これは女性用ですが男性用もデザインは同じような感じです。少しヒールがありますが実際はかなり歩きやすく長時間使用していてもわりと大丈夫です。

子供用もサイズが小さいだけで地域ごとに異なるデザインです。買うとかなり高いですが、1人サイズアウトしても親戚など家族内で順番に着回すことができるのと、使用頻度が少ないので何十年も大事に使うことができます。1歳過ぎぐらいになると準備する家庭が多いようです。

17.Mai Bunad 靴
<姪が着ているのもGudbrandsdalenの子供用サイズです>

5月17日は街行く人のBunadのデザインを眺めるのが私の楽しみの一つです!ちなみにある程度の正装であればBunadを着る必要は無く、女性はドレス、男性はスーツの人も多くいます。多国籍の人であれば自国の民族衣装を身にまとっている人も見かけます。私自身何度か着物を着ようかと思ったこともあります。(結局毎年その日食べるご馳走のことを考えると着物はやめてBunadにしようとなりますが...笑)

お祝いの日、何を食べるの?

さてナショナルデーの楽しみの大部分を占めるのは食べ物!!

まずは、朝食からシャンパンでスタートです!いつもより豪華なブッフェスタイルの朝食を家族や友人たちとゆっくり楽しみます。数種類のパンをメインにその上にのせるpålegg(おかず)も豊富に取り揃えます。お肉類は様々な燻製のハムやサラミ、ローストビーフ、お魚類はスモークサーモンや小エビなどが定番です。その他にも卵料理やポテトサラダ、新鮮な野菜にフルーツも必須です。友人や大家族で集まる場合はそれぞれが持ち寄りで揃える場合が多いです。見栄えも大事でフルーツは苺やブルーベリーなどノルウェーカラーを意識したものをチョイスしたり、シャンパンや飲んでいるお酒に合う軽めのサラダやシーフードも並んだりします。

いつもよりゆっくり朝食を食べ終えた頃には、街へ繰り出しパレードを観たり散策したりそれぞれにナショナルデーを満喫!そしてランチは軽めにノルウェー流ホットドックというのもよく聞きます。ちなみにこの日は、子供達がアイスを好きなだけ食べていいルールも!よって街中のカフェやコンビニではアイスが大爆発的に売れる1日です。
 
そのまま夕方頃になれば、今度はビールを片手にだらだらお庭や公園でバーベキューをするパターンも・・・もしくはまた別の夕食パーティへ移行する場合も(笑)

17.Mai 夕食
<去年はコロナで街へ出られなかったのでお家での夕食>

大人はこの辺りから酔っ払いも増えてきますが、友人や家族と夜遅くまで美味しいものとお酒を楽しむのがこのナショナルデーの醍醐味でもあります!常に満腹なイメージですが、食後のデザートも欠かせません。デザートもノルウェー色でデコレーションしたものをよくいただきます。ケーキだったりマフィンだったりゼリーだったりなんでもありですが、飾りによく使用されるのはやっぱり苺、ブルーベリー、ラズベリー!

17.Mai パブロバ
<パブロバというメレンゲのケーキをノルウェー国旗柄にしました!>

ノルウェーのナショナルデー、大人は美味しいお酒とご馳走を堪能することができ、(次の日二日酔いで出勤してもOK!笑)子供達も大好きなソーセージとアイスを好きなだけ食べることができる最高の1日です。

(私の家族の)1日の過ごし方例!

最後に3年前の私の家族が過ごしたナショナルデーの様子をちらっとご紹介します。毎年どこでお祝いするか考えるのですが(去年はコロナで自宅にて、一昨年は友達夫婦に呼ばれて首都のオスロで過ごしました)、その年は夫の家族と一緒にØyerという地域で過ごしました。

17.Mai Øyer

家族だけの集まりだったので、朝は起きてパジャマのままゆっくり贅沢な朝食を楽しみ、その後Bunadに着替え出かける支度をしました。パレードが行われる街の中心地までは車で10分程度です。地域の中学校のブラスバンドクラブのマーチングからパレードはスタートし、甥が幼稚園に通っていたので彼の幼稚園がパレードで通るのを待ちつつもそのままどんどん長くなるパレードの列の最後尾に便乗して歩きました。

17.Mai パレード
<一般人が参加していきどんどん長くなるパレードの列>

パレードの最終地点は地域の小学校の体育館的なホールでした。そこでみんな集まり小学生や幼稚園生が何曲かステージで歌を披露したり、市長が話をするのを聞いたりしました。ホールの外には簡易屋台でホットドックやアイスが売られていて購入することもできました。適当な時間にそろそろ戻ろうか...となり、またずらずらみんな来た道を戻ります。誰1人として急いでいないこと、そして小さい街なので途中知り合いに出会してお喋りが弾んだり、みんなのBunad姿を眺めながらゆっくり歩くのでいつもの何倍も時間がかかった記憶です(笑)

17.Mai Bunad
<仲良く歩く義母と義父の後ろ姿>

遅めのランチ兼軽食は義姉の家でバーベキュー。この日NRKという国営放送ではライブで首都オスロでのパレードの様子、王宮前や国王家族が手を振る姿を放送しているので後々それを観ながらカフェタイムに突入。

さすがにお腹いっぱいになり、夕食らしきものはスキップして、夜は子供たちが就寝してから大人たちだけでお酒とタパス料理を楽しみました!

おわりに

ノルウェーのナショナルデー、日本ではあまり馴染みはなくピンとこないかもしれませんが少しでも様子が伝わっていれば嬉しいです。

5月中旬のこの時期は雪も溶け春から夏に移行する過ごしやすい気候でもあります。もし機会があれば長めのゴールデンウィーク休暇をとって5月17日のノルウェーを体験してみても面白いかもしれません!

17.Mai スイーツ

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Wedum莉子

神戸市出身、現在はノルウェー内陸部の小さな田舎町に在住しています。幼少期に3年間インドネシアで暮らしたこと、学生時代に様々な国へ旅行したことを通して異なる文化、人々の暮らしの違いを自分の目でみることの面白さを日々体感しています。旅行をすること、美味しいものを作り食べること、綺麗な景色の写真を撮ることが好きです。

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