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【2021年版】今年こそは行ってみたい!全線開業50周年を迎える立山黒部アルペンルート攻略ガイド
3,000m級の北アルプスの山々が連なり、雄大な景色が見られる立山黒部アルペンルート。2021年に全線開業50周年を迎えました。しかし行ったことがある人はなかなか少ないのではないでしょうか。というのもこのルートを観光しながら横断するには、ほとんどの人が前泊、あるいは後泊が必要になるのと、あとは交通費が安くはないからです。筆者もそんな理由でなかなか腰が重かったのですが、行って見れば「最高!」でした。今回は2020年10月の紅葉シーズン時の取材をもとに、この立山黒部アルペンルートをご紹介したいと思います。
目次
立山黒部アルペンルートとは?
<大観峰のテラスから黒部湖と山々を見渡す/画像提供:立山黒部貫光株式会社>
立山黒部アルペンルートは、本州のほぼ中央に位置する立山連峰、後立山連峰を縦断する総延長37.2kmの山岳ルートです。最大高低差の1,975mを、全部で6つの乗り物を乗り継いで移動します。四季折々の絶景が楽しめるだけでなく、途中でハイキングや登山、宿泊が楽しめるほか、高低差があるので1日の間に異なる季節を体感することもできます。観光のハイライトとなるのは、絶景を見ながらハイキングが楽しめるルート最高地点の「室堂」、ダムのえん堤の高さが日本一という「黒部ダム」、高山植物が咲く湿原の「弥陀ヶ原」。この3つを中心に観光プランを組み立てていくのが一般的です。
アルペンルートの開通期間は、2021年は4月15日から11月30日までを予定しています。ベストシーズンや季節ごとの見どころについては後述しますが、混み合うのは「雪の大谷」が見られる4月の開通直後からGW、7月下旬から8月の夏休みシーズン、そして9月中旬から10月下旬までの紅葉シーズンです。訪問客は、例年は年間100万人前後で、うち3割が外国人旅行者でしたが、コロナ禍の2020年は外国人客が減ったのと、営業休止期間もあったため約23万人と発表されました。
立山黒部アルペンルートは、長野県の扇沢駅から富山県の立山駅までですが、どちら側を出発点にするかで、旅の日程やコースも変わるでしょう。アルペンルート上にはホテルや山小屋もあり宿泊もできますが割高で、たいていの人は1日で通り抜けます。
出発地は長野と富山では、少しだけ長野の方が多いようです。長野側からの場合、扇沢行きのバスが出る長野大町で前泊するとスムーズです。もしくは始発で松本を出るぐらいのつもりで(松本から信濃大町までは約1時間)。
信濃大町からは、大町温泉郷を経由する路線バスで扇沢駅までは約40分。信濃大町駅前には手ごろな宿泊施設もあります。富山側からアプローチする場合は、電鉄富山駅から立山駅までは約1時間とスムーズなので、富山駅周辺に宿泊するのが一般的でしょう。
>>立山黒部アルペンルート公式サイト
>>アルピコ交通サイト(信濃大町〜扇沢 路線図・時刻表)
ベストシーズンはいつ?旅の季節のプランニング
<シーズン幕開けとなる「雪の大谷」を観に行くなら4〜5月に/画像提供:立山黒部貫光株式会社>
四季折々の顔を見せる立山黒部アルペンルートなのでいつ行ってもいいですし、また違う季節にリピートして行くのもいいですが、頭に入れておかなければならないのが、高地にあるため総じて気温が低いということです。例えば最高所である室堂では、4月下旬の雪の大谷の頃の平均気温は5度(東京は9~15度)、7~8月の夏は14~19度(東京は25~33度)、10月の紅葉シーズンは3~10度(東京は16~23度)と、同時期の東京に比べると10度ほど気温が低くなります。なので十分な防寒対策が必要です。
4月~5月
高い雪の壁の間を歩くことができる「雪の大谷」が観光のハイライト。体感的には春というよりまだ冬です。ルートの多くは雪で覆われているので、サングラスは必携。標高が低い美女平では新緑が美しく、森林浴ウォーキングが楽しめます。
6月~7月中旬
日向では歩き出すと暑くなるので、着脱できる服装を。6月下旬から黒部ダムが観光放水を始めます。黒部湖遊覧船ガルムも運航。弥陀ヶ原では6月下旬から高山植物が咲き出します。
7月下旬~8月
観光客で混み合うシーズン。歩いている間は暑いですが、止まるとさわやかな気候です。7月下旬には室堂でも花が咲き出します。
<紅葉の山が美しい大観峰エリア。ロープウェイでは窓側に立ちましょう>
9月~10月中旬
紅葉シーズンですが、曇りや雨の日は一気に気温が下がるので、着脱できるセーターなどを。室堂平は9月中旬~10月上旬、大観峰や黒部平は9月下旬~10月中旬が紅葉の見頃です。黒部ダムの観光放水は10月中旬で終了します。
10月下旬~11月
最低気温がマイナスになることもある寒さ。美女平は10月下旬~11月上旬が紅葉の見頃です。室堂では雪道になることもあるので、防水の靴とカイロや手袋を。
山天気は変わりやすいので、レインウェアは必携。晴れると日に焼けるので、日焼け止めや帽子もあるといいでしょう。
観光の見どころとそれにかかる時間は?
あらかじめ観光にかかる時間を知っていれば予定が立てやすいですよね。どこが見たいかにもよりますが、初めての立山黒部アルペンルートなら、たいていの人が時間をかけて観光するのは黒部ダム、室堂、弥陀ヶ原の3か所です。ここでは簡単にそれぞれの見どころと、観光の目安時間を紹介していきましょう。
黒部ダム/難工事の数に完成したダム
<行くなら観光放水が行われている時期がおすすめ>
えん堤の高さが186mという日本一のアーチ式ダムで、一般家庭25万戸分の電力を供給しています。6月下旬から10月中旬まで観光放水が行われており、水煙を上げながら落下する水が迫力満点。せき止められている黒部湖を黒部湖遊覧船ガルベが運行しています。レストハウスのレストランでは、名物の黒部ダムカレーを食べましょう。観光所要時間は40分~1時間半。
室堂/アルペンルートの最高所
<みくりが池までは手軽なハイキングコースで行ける>
室堂ターミナルから、みくりが池をぐるりと回るハイキングコースは、おおむね平坦なので初心者でもOK。一周約1.7km、所要約1時間です。時間があれば、その先のエンマ台展望台から血の池を経由して、らいちょう温泉まで行ってみましょう(ここまでターミナルから徒歩30分)。天気がいいと気持ちのいいハイキングです。道は舗装されていますが、多少の高低差があります。私のオススメはらいちょう温泉での日帰り湯で、宿泊も可能です。観光所要時間は2〜3時間。
>>立山室堂ライブカメラ
>>らいちょう温泉雷鳥荘サイト(2021年の営業は4/25~11/24の予定)
弥陀ヶ原
<弥陀ヶ原湿原には「ガキの田」と呼ばれる水たまりが点在している>
標高1,930mの高地にあるラムサール条約にも登録された湿原で、初夏になると一面に高山植物が咲きます。また、秋の紅葉でも有名です。木道が整備されて歩きやすく、2.2kmのハイキングコースは一周約1時間。内回りコースなら30分ほどで回れます。観光所要時間は1時間半~2時間。
どんな乗り物に乗るの?運賃とかかる時間
<ロープウェイからの黒部平の眺望/画像提供:立山黒部貫光株式会社>
アルペンルートの魅力の一つに、6つの乗り物を乗り継いでの通り抜けがあります。運賃が高いのが気になる人もいるでしょうが、実際にそれを払っても通行する価値があるルートです。
運賃は乗り物ごとに異なりますが、通常は通し券を買います。GW、夏休み、連休、紅葉の週末などは大変込み合い、すぐに乗り物に乗れないこともあります。ただし繁忙時には臨時便が随時出ます。WEBきっぷや、JRと組み合わせた「アルペンきっぷ」など、前売りきっぷもあるので、以下のサイトでチェックしてみましょう。
当日券は、扇沢駅や立山駅で販売しており、クレジットカードも使えました。2020年10月の時点では、Go Toトラベル地域共通クーポンも使えました(紙クーポンのみ)。
扇沢~立山駅の通り抜けきっぷは、おとな8,430円、こども4,230円で、往復きっぷもあります。
それでは各乗り物を、扇沢から立山方面の順で簡単にチェックしてみましょう。
扇沢駅~黒部ダム/関電トンネル電気バス
- 距離:6.1km
- 所要時間:16分
- 運行間隔:30分
- リチウムバッテリーで走る排気ガスを出さないクリーンバス。2019年より運行
<傾斜角度が最大31度という黒部ケーブルカー>
黒部湖~黒部平/黒部ケーブルカー
- 距離0.8km
- 所要時間:5分
- 運行間隔:20分
- 標高差約400m。国内唯一の全線地下式のケーブルカー
黒部平~大観峰/立山ロープウェイ
- 距離:1.7km
- 所要時間:7分
- 運行間隔:20分
- 標高差488mを途中の支柱が一本もないワンスパン方式で結ぶ。ワンスパン方式では日本最長のロープウェイだ。眺めが良く、乗り物のハイライト
大観峰~室堂/立山トンネルトロリーバス
- 距離:3.7km
- 所要時間:10分
- 運行間隔:30分
- 日本で唯一のトロリーバス。トロリーバスは日本の法律では電車の一種になっている
室堂~美女平/立山高原バス
- 距離:23km
- 所要時間:50分
- 運行間隔:30分
- 標高差約1,500mを走る。車内アナウンスで車窓の説明あり。弥陀ヶ原で途中下車をすれば、湿原ハイキングもできる
美女平~立山駅/立山ケーブルカー
- 距離:1.3km
- 所要時間:7分
- 運行間隔:20分
- 平均勾配24度で、かつてダム建設用資材を運んでいたケーブルカー
途中にはどんな施設があるの?
トイレは駅やバスの乗降所にあるほか、室堂平のハイキングコース中にもあります。食事ができるレストランは、室堂ターミナルでは「レストラン立山」、黒部ダムレストハウスのレストラン、黒部平の「レストラン黒部平」。また売店でスナックなども販売しています。レストランは高めなので、あらかじめお弁当を買っておき、ハイキング中の休憩に広げてもいいですね。
通り抜けの場合、気になるのはハイキング中の荷物をどうするか。乗り物の駅にはコインロッカーがあるので、その点は安心でした。私は室堂ターミナルと弥陀ヶ原バス待合所で、コインロッカーを利用しました。
携帯電話は、ルート上の駅周辺はどこでも使用できました。
<室堂のエンマ台付近。ハイキングコースには適度に上り下りがある>
まとめ
今回は、観光プランを立てるための目安となる基本情報を主に紹介しました。
観光と途中で食事もして通り抜けるには、最低でも6時間はかかると言われています。私は室堂で日帰り温泉にも入ったので、9時間かかりました。ただ、10月はすでに日が短く、立山駅に着いた時は薄暗くなっていました。また山の天気は変わりやすく、晴れ間が広まったかと思うと、その1時間後には雨がポツポツと降ったりも。なので、レインウェアは必携です。それでは!
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前原利行
- 東京出身で、現在は神奈川在住。今までに訪問した国はアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど90か国以上。現在は海外旅行や映画、音楽、アートに関する、ライター及び編集者として活動中です。一番多く訪れているのはインドで、仕事も含めて20回以上。プライベートではロックミュージックや映画、そして世界史好きなので、欧米旅行も多く、映画のロケ地や音楽フェス、ロックの聖地、世界史の場所など、テーマを持った旅をしています。