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シチリアを歩くのが楽しくなる!シチリアの豆知識を3つご紹介
例えば、日本に旅行に来た外国人の方が、酒林や招き猫を見て「これは何だ?」と思うように、私たちも海外旅行中に町を歩いていると、オブジェや飾りが目に入っては「これは何だろう」「何の飾りだろう」「何のためだろう」などと疑問に思うことはありませんか。
イタリア最南端のシチリア島は数多くの民族に支配されてきた歴史があるため、新しい文化を取り入れては独自の文化を育んできました。そんなシチリアなので、イタリア本土では見られない、シチリア島内だけでよく見かけるものがあります。一体どんな意味があるのでしょうか。今回はシチリアを歩くのが楽しくなるような、街角でよく見るトップ3をご紹介します。
目次
- 1. シチリアのシンボル「トリナクリア(Trinacria)」
- 2. シチリアのバルコニーといえば「テスタ・ディ・モーロ(Testa di Moro)」
- 3. 幸運を呼ぶ松ぼっくり「ピンニャ(Pigna)」
- さいごに
シチリアのシンボル「トリナクリア(Trinacria)」
おそらくシチリアに来てこれを見かけずに帰ることはないでしょう。シチリアのシンボル、「トリナクリア(Trinacria)」です。シチリア州旗にも描かれているほか、陶器でできたトリナクリアをインテリアとして飾ったり、玄関先に掲げたりもします。
<シチリア州旗/出典:Wikipedia>
トリナクリアは3本の脚と女性の頭から成ります。シチリア島は三角形の形をしていますが、この3本の脚はそれぞれの岬を表していると言われています。
真ん中の女性の頭は、ギリシア神話に登場する、見る者を石に変えてしまう怪物メデューサ。しかしそんなメデューサにまつわる恐ろしい伝説や意味合いは失われ、エトナ火山を持つシチリアの肥沃な大地の象徴として描かれています。シチリアは古代ローマ時代から穀物貯蔵庫としての役割もあったので、メデューサの髪の毛がヘビではなく麦の穂になっているところも面白いですね。
<ミニサイズのトリナクリア>
<こちらはメデューサの髪の毛がヘビのままのデザイン>
シチリアのバルコニーといえば「テスタ・ディ・モーロ(Testa di Moro)」
女性と男性の頭の形をした置き物。女性はシチリア人、男性はアラブ人です。この「テスタ・ディ・モーロ(Testa di Moro)」と呼ばれる置き物には、とある伝説が関わっています。
<デザインは多種多様>
時はシチリアがアラブ人に支配されていた時代、州都パレルモにて、あるアラブ人男性がシチリア人の美しい娘に恋をしてしまいます。娘もその熱い想いに応え、2人は共に過ごすようになります。しかし、なんとこのアラブ人男性には祖国に妻子がいたのでした。裏切られたという怒りと悲しみ、そして未だ消え去らぬ愛のために、娘はこの男性が眠っている間に首を切り落としてしまうのです。
彼とずっと一緒にいられるようにと、娘は自分のバルコニーに男性の頭を置き、バジルを植えます。そのバジルがあまりに立派に育つため、近所で評判を呼び、皆がこぞって同じようなアラブ人男性の頭の形をした鉢を陶器で作らせるようになります。これがテスタ・ディ・モーロの始まりと言われています。
<とってもシチリアっぽいバルコニー>
現在でもシチリアの家のバルコニーに植木鉢として利用されているほか、インテリアとしても人気があります。筆者は、友人の結婚式の引き出物として、テスタ・ディ・モーロの置き物を頂いたこともあります。
幸運を呼ぶ松ぼっくり「ピンニャ(Pigna)」
最後にご紹介するのが、幸運を呼ぶとされる松ぼっくり「ピンニャ(Pigna)」です。陶器を扱うお店に行けば、様々な色・大きさのピンニャが並んでいます。
<お土産屋さんに並ぶピンニャ>
松ぼっくりはたくさんの種をつけるので、生命力・永遠・不死などの象徴とされてきました。シチリアでは昔、家族の繁栄や多産を願って、新婚夫婦の寝室には必ず置かれていたそうです。そんな縁起物の松ぼっくりなので、今でもお祝い事があれば贈り物としてよく利用されています。
贈り物以外でも、家族の幸運を願う意味も込めてインテリアとして使われたり、歓迎のしるしとして玄関先などに置かれたり、仕事場で縁起物のペーパーウェイトとして活躍したりなんてこともあります。
<玄関に置くのは歓迎のしるし>
さいごに
今回ご紹介した3つはシチリア全土でよく見かける、シチリア人にとってとても身近なもの。シチリアにお越しの際はぜひ探して歩いてみてくださいね。
また、たいていのお土産屋さんでも扱われていますので、お気に入りを見つけたら日本に連れて帰ってはいかがでしょうか。シチリアらしいカラフルな色遣いも手伝って、家がとってもシチリアっぽくなりますよ。
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サエコ
- シチリア島に魅せられて移住。目標は地元民に間違えられるようになること。ガイドブックに載っていないような、ローカルな情報をお伝えします。