ベートーヴェンイヤーに、ベートーヴェンの死に関する4つの場所を訪れる

今年はウィーンで活躍した音楽家、ベートーヴェンの生誕250周年で、さまざまなコンサートや催しが開かれています。

ベートーヴェンイヤーを記念し、以前「ベートーヴェンが暮らした家『ハイリゲンシュタットの遺書の家』を訪ねて」と「ベートーヴェンの足跡を訪ね、ウィーン郊外の温泉保養地バーデンへ」の二つの博物館をご紹介しましたが、今回はベートーヴェンの死に関する4つのスポットを訪れてみます。

目次

ベートーヴェン最期の家

60回以上引っ越したと言われるベートーヴェンですが、56歳で亡くなったときは、ウィーン旧市街からほど近い家の3階に住んでいました。この家の前には、大きな史跡パネルが掲げられ、ベートーヴェン最期の家として訪れる人も多いですが、実際は当時の家は取り壊され、今あるのはその後に建てられた建物です。

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<ベートーヴェン最期の家があった場所>

ベートーヴェンの住んでいた建物があった当時、彼の部屋には死後も崇拝者が訪れ、何度か事件が起こりました。

ハンガリー人の詩人でベートーヴェン崇拝者だったニコラウス・レーナウは、ベートーヴェンの死のたった3年後に同じ部屋に入居しましたし、若き哲学者オットー・ヴァイニンガーは、1903年、入居したその晩に、後追い拳銃自殺事件を起こしました。その翌年に、この建物は建て替えられます。

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<ベートーヴェン最期の家の史跡パネル>

現在は、ベートーヴェン最期の部屋の床板と扉が、デスマスクと共にハイリゲンシュタットのベートーヴェン博物館に展示されています。

ベートーヴェンのお葬式があった教会

上記の最期の家からほど近いところにある、三位一体教会(アルザー教会)で、ベートーヴェンのお葬式が営まれました。

死の3日後の1827年3月29日、最期の家からミサの行われた教会へと、葬列が組まれます。ウィーン旧市街の人口の約半分、ウィーン全体の約1割に当たる、2万人が参列したと言われています。

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<ベートーヴェンのお葬式が行われた教会。市電の電線と自動車以外、ほぼ当時のままの風景>

ベートーヴェンの葬式は、ベートーヴェンと同じくウィーンで活躍した作曲家のハイドンやモーツァルトとは異なり、まるで貴族のような扱いでした。36人が松明を担ぎ、その中にはベートーヴェンを崇拝していたフランツ・シューベルトも含まれていました。その様子を記録した絵には、まるで国葬のような葬列と、道からあふれ出るほどの参列者が描かれていて、ベートーヴェンが当時どれほどの名声を築いていたかがうかがい知れます。

ベートーヴェンの最初のお墓

ベートーヴェンのお墓は現在はウィーン中央墓地にありますが、当時は別の墓地に埋葬され、後ほど今の場所に移動されています。ここではまず、当時のお墓を訪れてみます。

教会での葬式ミサの後、棺は郊外ヴェーリング墓地(現在のシューベルト公園)へと運ばれます。その葬列には、相当の移動距離であるにもかかわらず、200台もの馬車が同行したと言われています。

この墓地の埋葬の儀式では、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」の作詞家の甥である、劇作家フランツ・グリルパルツァーによる弔辞が朗読されました。

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<ベートーヴェン最初のお墓>

当時のベートーヴェンのお墓は、現在も公園の一部として訪ねることができます。また、翌年亡くなったシューベルトは、ベートーヴェンのすぐ近くに埋葬されることを希望し、二つ隣のお墓に埋葬されました。

20200301_BeethovenDeath_5.jpg<左がベートーヴェン、右がシューベルトの墓石>

この公園の一角には、今でも当時のビーダーマイヤー様式の墓地が残されています。ベートーヴェンゆかりの地巡りのついでに、独特の雰囲気の墓地もぜひのぞいてみてください。

中央墓地

1888年に、ヴェーリング墓地の移転に伴い、ベートーヴェンの遺体は一度掘り起こされ調査された後、現在のお墓のあるウィーン中央墓地の名誉墓地に移されました。

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<中央墓地のベートーヴェンのお墓>

メトロノームを最初に愛用した作曲家ということで、ベートーヴェンの現在のお墓は、メトロノーム型になっています。元のお墓の形と比較すると、サイズは大きくなっていますが、デザインは非常によく似ていますね。

シューベルトのお墓も一緒に中央墓地に移動され、ベートーヴェンの隣に埋葬されています。この二人の間手前にあるのが、モーツァルトの記念碑です。モーツァルトのお墓については、「モーツァルトが眠るザンクト・マルクス墓地」の記事をどうぞ。

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<左から、ベートーヴェン、モーツァルト、シューベルトのお墓>

まとめ

ベートーヴェンの死に関する4つのゆかりの地、いかがだったでしょうか?最期の家と教会は徒歩圏内にありますが、ヴェーリンガー墓地と中央墓地はどちらもウィーンの中心から離れていますので、全4か所を訪れる場合は、市電を活用して効率よく回るのがオススメです。

当時から崇拝者が多く、死にまつわるエピソードの多いベートーヴェン。聖地巡礼をすることで、その死と、当時の人気の謎に少し近づけるかもしれませんね。

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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