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【山形県鶴岡市】日本の原風景が今なお残っている"豊かな土地"のおすすめ観光
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
山形県は庄内地方(日本海側)の鶴岡市に行ってきました。鶴岡と聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか?
鶴岡はいいところでした~。とってもいいところ。またぜひ訪れたい!そんな魅力的な鶴岡の一部をご紹介したいと思います。
【目次】
- 鶴岡という町の印象をひとことで言うと・・・
- 鶴岡の観光:昭和レトロな山王町商店街
- 鶴岡の観光:鶴岡公園(鶴ヶ岡城址)
- 鶴岡の観光:致道館(庄内藩校)
- 鶴岡の観光:致道博物館
- 鶴岡の観光:大寶館(たいほうかん)
- おまけ(鶴岡のグルメ)
- 愛すべき鶴岡という町
鶴岡という町の印象をひとことで言うと・・・
初めて訪れたのにどこか懐かしい気持ちになれる町です。たぶん日本の原風景がまだ残っている所だからではないかと思います。
こちらがJR鶴岡駅です。駅名の字体がいいですね。品があり、凜としています。鶴岡の人たちの、1本筋が通って芯が強い人柄が表れているように思います。駅舎がハイカラでおしゃれですね。
庄内空港と鶴岡市(約30分)の道路からの田園風景です。見渡す限り田んぼ。庄内平野は日本有数の米どころです。鶴岡は今でも専業農家が多い"農業の町"なんだそうですよ。
遠くにうっすら浮かび上がっている美しい山は山形県と秋田県の境にある"鳥海山"です。
川の流れがゆるやかで護岸もやりすぎることなく、昔の日本の川という感じです。鶴岡には藤沢周平さんの小説に出てくるような昔の日本の川が今なお残っているように思います。
今度は鶴岡市の中心地を歩いてみました。
どうですか、しっとりと落ち着いた風情のある町でしょう。
鮮やかに映える紅の橋から川面を覗くと・・・
川藻がゆらゆらと涼やかに泳いでいました。どことなく京都や金沢にも似ているように思いました。風流ですねえ~。
鶴岡の観光:昭和レトロな「山王町商店街」
鶴岡駅と市役所の間に位置する山王町の商店街。時間が止まったままのような、昭和の匂い漂う懐かしい通りです。やはりどことなく垢ぬけていますよね。
山王町から少し道を外れてみたらこんな食堂に出くわしました。
これぞ「ザ・昭和!」な食堂です。私なんか胸がキュンとしてしまいますね。
看護学校の学舎もこんな姿なんです。
鶴岡は単なる地方都市というよりも、おしゃれでハイカラな品の良さを感じる町です。江戸時代の北前船による人と物の交流の影響を受けているのでしょうか。
続いては、城下町の面影を今なお残している風情あるエリアに参りましょう。
鶴岡の観光:鶴岡公園(鶴ヶ岡城址)
庄内藩十四万石の城下町として知られる鶴岡の城は鎌倉時代に築かれた「大宝寺城」が始まりです。その後1603年に「鶴ヶ岡城」という名になりました。1622年に徳川四天王のひとりである酒井家が入封し庄内地方を治め始めてからは安定した統治のもと城下町として発展してきました。酒井家は譜代大名の転封が相次いだ時代にも一度も移封がなかった数少ない大名のひとつです。1840年の三方領地替では百姓らの転封阻止運動によって幕命が撤回されるなど、藩主と民の絆の強さを物語っています。(「旅手帳 かおるつるおか」より抜粋引用)
鶴ヶ岡城址は今は鶴岡公園となっていて市民の憩いの場だそうです。天守閣はありませんが、美しい濠や石垣、宝物殿、神社などを見ることができます。
鶴岡公園内には鶴岡が生んだ時代小説家の大家、藤沢周平さんの記念館があります。私は藤沢周平さんの本を全巻読破するほど大好きで今回の鶴岡訪問でも特に楽しみにしていました。記念館の中は藤沢周平全作品や書斎(復元)、中学教師時代の教え子との交流など周平さんの人柄や軌跡がわかるとても興味深い記念館でしたが、写真撮影禁止でしたのでお見せすることが出来ません(残念!)。個人的に超お薦めの記念館です。訪問した時は「又蔵の火の世界」の特設展をやっていました。
鶴岡の町のあちこちに藤沢作品ゆかりの地の看板が見られます。周平さんが鶴岡に溶けこんでいました。
【鶴岡市立藤沢周平記念館】
時間:9:00~16:30
休み:水曜日(休日の場合には翌平日)年末年始
料金:大人320円、高校・大学生200円、中学生以下無料
ゆったりと落ち着いた城下町の雰囲気が漂っています。
鶴岡公園内は芝生でよく整備され、カップルやファミリーが散策やランチで楽しめそうです。
鶴岡公園から鶴岡市役所(レンガ色の建物)を望むことが出来ます。
【鶴岡公園】
- 入園自由
鶴岡の観光:致道館(庄内藩校)
東北で現存する唯一の藩校。藩士の士風の乱れを正し、優れた人材を育てようという目的で1805年に創設された。致道館によって培われた教育の伝統は、人づくりの環境、教育を重んずる風土となって明治以後も受け継がれ、多くの人材を生み出しています。歴史的にも文化的にも価値が高く、国指定史跡となっています(「旅手帳 かおるつるおか」より抜粋引用)
致道館の学風 / 朱子学ではなく徂徠学
江戸時代、多くの藩が朱子学を藩学とする中で庄内藩は荻生徂徠(おぎゅうそらい)の提唱する徂徠学を教えました。致道館の教育が生徒の天性に応じて長所を伸ばすことに努め、知識の詰め込みを廃し自学自習を重視したのはこの徂徠学に基づいたものであったそうです。鶴岡の人たちの穏やかでガツガツしていない、品の良さはこういう部分も影響しているのかなと思いました。
鶴岡市では孔子の「論語」本を市内の小・中学生に配布しており、素読体験を通して庄内藩の学びの精神が継承されています。(「旅手帳 かおるつるおか」より引用)
威風堂々と建つ建物から致道館の「人材育成」という意識の高さが伺えます。
【致道館】
- 時間:9:00~16:30
- 休み:水曜日(祝日の場合は翌平日)
- 料金:無料
- 見学目安時間:約30分
鶴岡の観光:致道博物館
鶴岡公園の西隣に位置する致道博物館は鶴ヶ岡城の三の丸にあたり、藩の御用屋敷や藩主の隠居所となっていた場所。その後、明治時代には酒井氏の邸宅となった。1950年に酒井氏より鶴岡市に土地建物等が寄付され博物館となった。調査収集された考古、歴史、民俗、美術資料や移築復元された重要文化財「旧西田川郡役所」「旧渋谷家住宅」名勝「酒井家庭園」を公開し、今では庄内地方の歴史と文化に触れることができる博物館となっている。(入り口案内板より抜粋引用)
致道博物館の敷地は8つの建物、庭園からなっており、私はこのエリアの中で一番見ごたえのある観光施設だと感じました。
赤門
旧鶴岡警察署庁舎
外部・窓廻りなどにイタリアのルネサンス様式を模しているが、屋根の大棟、破風妻飾りなど在来様式をも巧みに取り入れ、明治初期の擬洋風建築として独特の形態を持っている。(建物前案内板より抜粋引用)
警察での取り調べの部屋が再現されています。江戸時代の「お裁き」に雰囲気が似ていますね。
旧警察署庁舎の2階のベランダから見渡せる致道博物館の敷地内の風景です。
御隠殿
現在の建物は藩主の隠居所として1863年に江戸屋敷から移築されたものです。
奥の座敷からは酒井氏庭園を眺めることができ、とても風雅な気持ちになれます。大名屋敷の往時の様子が偲ばれますね。
旧渋谷家住宅(重要文化財)
全国でも有数の豪雪地帯である湯殿山麓の村落にあった住宅で、天井を高くして高窓を設けるなど雪国らしい造りになっています。昔は旅人を泊める宿としても使われていたようです。
民具の蔵
藩主の武具や調度品が収納されていましたが、博物館になってからは庄内地方の民俗資料(商業、海運、瓦人形、竹塗り、黒柿細工など鶴岡の伝統的手織)が収納展示されています。
北前船(複製)
商家の大福帳やそろばん。時代劇に出てきそうですね。
旧西田川郡役所
明治の廃藩置県により山形県が誕生し、郡制が施行され鶴岡は西田川郡となり郡役所が置かれました。初期ルネサンス様式を模倣して建てられており、現在内部には考古学、歴史(戊辰戦争)明治文化資料などが展示されています。
【致道博物館】
- 時間:9:00~16:30(12月~2月は16:00迄)
- 休み:無休(12月~2月は水曜休み)
- 料金:大人800円、高校・大学生400円、小・中学生300円
- 見学時間目安:約50分
鶴岡の観光:大寶館(たいほうかん)
大正天皇の即位を記念して1915年(大正4年)に完成。物産陳列場、図書館等として使用されました。建物はオランダバロック風の窓とルネサンス風のドームを乗せた様式で、赤い尖塔屋根と白亜の殿堂として大正建築の優美さが表れています。現在は鶴岡市指定文化財に指定され、郷土ゆかりの人物の業績を紹介する資料展示施設として使用されています。
階段がとても急斜で高さも高く、大げさに言えば梯子を昇るようでちょっと怖い感じでした。当時の人たちの体格はそれほど大きくなかったと思いますので、階段の昇降には技術がいったのではないでしょうか。。。
【大寶館】
- 時間:9:00~16:30
- 休み:水曜(祝日の場合は翌平日)
- 料金:無料
- 見学時間(目安):約20分
おまけ:鶴岡のグルメ
今回は鶴岡市中心地の観光ポイントをいくつかご紹介してきました。
ところで鶴岡は日本で"唯一"の「ユネスコ食文化創造都市」に認定されていることをご存じでしょうか?日本で鶴岡市ただ一か所だけなんですって。
ユネスコ食文化創造都市とは
ユネスコ創造都市ネットワークとは、特色ある文化の多様性を保持するとともに地域固有の文化産業の可能性を最大限発揮させることを目指し、ユネスコが2004年に創設した制度でデザイン/映画/文学/音楽など7つの分野があり、その中の食文化分野で鶴岡市が認定されました。鶴岡市が認められた理由として3つの特徴があります。ひとつめは「だだちゃ豆」や「温海カブ」などその土地にしか存在しない「在来作物」と呼ばれる品種が約60種類も継承されている点。ふたつめは1年を通じて山、里、海の旬の味を活かした多様な郷土料理や食文化を楽しめる点、そして3つめは歴史ある「祭り」と「食」と山岳信仰の聖地・出羽三山の文化や黒川能などの伝統芸能、地域のお祭や行事など長い時間をかけて鶴岡の風土の中で育まれてきた物語が今もお膳の中に息づいている点です。
単なるグルメシティというようなチャラチャラした話ではなく、鶴岡が未来へつないでいくべき食物と文化が息づいている土地だということなんですね。
鶴岡に訪問したのは7月下旬でちょうど「だだちゃ豆」の旬の時期でした。こちらが鶴岡市役所の方からいただいた鶴岡が誇る「だだちゃ豆」です。
う、うまい。。。その辺の居酒屋で出てくる冷凍枝豆とは似て非なる甘さ、大豆の味の濃さ。差し出す手が止まりませんでした。続いては鶴岡の夏の食べ物の代表選手「麦きり」です。
うどんより細い、冷麦みたいな感じですが、冷麦よりも食感がつるつるで、麺に透明感があり、コシもしっかりあります。暑い山形で食欲のない時でもペロッといける逸品です。
次は夜のお酒のおとも系をご紹介しましょう。鶴岡駅前の庄内魚河岸酒場「潮騒」さんで食べた「焼き枝豆」です。
茹で枝豆と違って香ばしく、こちらも豆の味が濃い。昆布塩をぱらりとかけて、、、う~これも手が止まりません。しかもこれで380円です。枝豆は火を通し過ぎては台無しだということがよくわかりました。続いては海の幸から「鯵の刺身」。
鯵は基本は夏の魚で旬ですが、ぷりっぷりっで口の中で"こきゅこきゅ"言うんです、鯵が。魚が新鮮な証拠です。これでなんと680円。こういう秀逸な肴があるのですから日本酒も旨いわけですね。鶴岡にはたくさんの酒蔵がありますが、地元の方にお薦めの晩酌酒を伺ったところ「栄光富士」と「亀の井」をお薦めいただき飲んでみました。う~ん淡麗でやや甘口。私の好みの味です。う~鶴岡に移住したい~。(あの、決して呑んでばかりいたわけではありませんので(汗))
また鶴岡には「弁慶飯」という食べ物があります。それがこちらです。
ん?なんだっこれは!(ケンミンショー的口調で)弁慶飯とはおにぎりに味噌を塗り、青菜漬けの葉で包んで炭火で焼いたシンプルな料理です。弁慶飯の由来は諸説あるようです。昔、義経や弁慶が庄内地方に流れて来た時、土地の人が握り飯に味噌を塗って焼いたものを差し出したからとか、青菜でおにぎりを巻いた姿が袈裟で顔を隠した弁慶に似ていたからなどなど。どちらにしても庄内ならではの郷土料理ですね。お酒の〆めにもぴったりです。
たびこふれの中にもユネスコ食文化創造都市にふさわしい鶴岡の地元野菜を活かしたレストランの記事があります。こちらもどうぞお読みください。
>>>「ヤギになって帰ってのぉ」ベジタイムレストラン「土遊農」に行ってきた!
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愛すべき鶴岡という町
鶴岡には全国に轟く有名な観光地があるわけでもありません(もちろん見どころはありますが)。お店(レストランとかショッピングとか)も他の町に比べたら少ないように思います。いつも観光客で賑わっている派手さもない。それでも私は鶴岡という町に魅かれました。城下町、歴史、ハイカラな建物、風景、肥沃な土地、美味しい食べ物、お酒、そういった面も確かに魅力的なのですが、私なりに感じたのは「人」が良いからではないかということです。総じて鶴岡の人たちは、温厚で柔らかく攻撃的でない(根はけっこう頑固らしいですが(笑))初対面の時は社交的とはいえないかもしれませんがその不器用さがまた信用できるのです。心地良いのです。
戊申戦争の時、庄内藩は最後の最後まで政府軍に抵抗しました。最終的には降伏しましたが、その時西郷隆盛は庄内藩に対しては異例の寛大な措置をとったそうです。 そこには鶴岡(庄内)の人たちの実直さ、勤勉さといった人柄に西郷さんが魅かれたという面もあったのではないかと思います(あくまで私見ですが)
私の好きな藤沢周平さんの小説に庄内弁がよく出てくるんですが、それがとっても耳に優しく温かいんです。(特に「んだの」という言葉が好きです。)
鶴岡の町に触れると「日本にこういう場所がまだ残っていたんだ」そんな気になるのではないかと思います。
ただこの町も日本の他の町と同様に高齢化、農業就業人口の減少という問題にあえいでいるそうです。
あなたも鶴岡に訪れてみませんか。きっとなにか見えてくるものがあると思いますヨ。
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。