【アメリカ】伝説のジャズクラブ「キーストンコーナー」がボルチモアで復活。ジャズファンなら絶対訪れたい！

ウエストコーストの歴史的ジャズクラブがイーストコーストに
著名ジャズプロデューサーとジャズ好きミシュランシェフとの出会い
高級化が進むボルチモアはこれからが楽しみな町
ニューヨークやワシントンDCを経由して行こう

ウエストコーストの歴史的ジャズクラブがイーストコーストに

1972年にサンフランシスコのノースビーチにオープンし、1983年に閉店するまでの11年間、マイルス・デイビスやアート・ブレイキー＆メッセンジャーズ、ビル・エバンス、スタン・ゲッツなど、ジャズ界の歴史に残るそうそうたるメンバーが連日連夜出演し、数々のライブの名盤が録音された伝説のジャズクラブ「キーストンコーナー（Keystone Korner）」が、メリーランド州のボルチモアに場所を変えて36年ぶりに復活しました。

＜by courtesy of Todd Barkan＞

著名ジャズプロデューサーとジャズファンのミシュランシェフとの出会い

サンフランシスコのオリジナルのお店の元オーナーで、日本でも数々のジャズアルバムの制作に携わった世界で最も有名なジャズプロデューサーの1人、トッド・バルカン（Todd Barkan）さんは、2018年にNCAジャズマスターズを受賞しましたが、その際のワシントンDCのレストラン「マーセルズ」でのディナーの席で、同店のオーナーシェフで大のジャズファンのロバート・ウィードマイヤーさんと話したのが、新しいキーストンコーナー誕生のきっかけとなりました。

ジャズクラブをオープンしようという話になった2人は当初、ワシントンDCで店舗を探していましたが中々見つからず、ヒューストンやアトランタまで範囲を広げたものの納得のいく物件には出会えませんでした。結局ウィードマイヤーさんがムール貝のレストランをオープンしたが失敗し、閉店して空き店舗となっていたボルチモアのこの物件に決定。高級コンドミニアムの1階です。

今年4月30日のオープニングには、大御所ロン・カーターのトリオが出演しました。平日の夜は、地元のミュージシャンや新人～中堅のミュージシャンが出演し、ミュージックフィーも無料から10～20ドルとリーズナブルですが、週末はブルーノートクラスのライブハウスやコンサート、ジャズフェスに出演するワールドクラスのミュージシャンが出演します。

伝説のジャズクラブで大物ミュージシャンの生演奏を聞けるなんて、ジャズファンにとっては夢のようですね。こちらは、オープニングライブの宣伝に使われたポスター。

＜by courtesy of Todd Barkan＞

とっても広い店内にはステージに近いテーブル席やバーカウンター、またステージから大分離れたテーブル席もありますが各所にモニターが設置されているので、ステージの様子を見ることができます。ミシュラン星獲得店などワシントンDCでいくつもの人気レストランを経営するウィードマイヤーさんのお店ですから、当然料理にも定評があります。

トッドさんは毎晩店に出て演奏前のアナウンスをし、演奏中は店内のどこかに座って演奏を聞いています。何度も日本を訪れ大変日本ひいきな方なので、見かけたら「くまさん」と声をかけてあげて下さい。彼は時々熊のバッチをつけ、自分のことを「くまさん」と呼んでいるお茶目な方です。

＜by courtesy of Todd Barkan＞

高級化が進むボルチモアはこれからが楽しみな町

ボルチモアではこれまでにも、ジャズクラブが何軒かオープンしましたが、いずれも失敗に終わっています。しかしキーストンコーナーは、なんといってもジャズの歴史に残る伝説のお店。それも、単に名前を借りているだけや引き継いだだけというのではなくオリジナルのオーナーがいて、ミシュランシェフとのコラボといった点が、これまでのお店とは異なっています。

また、これまでは治安が悪いというイメージが付きまとっていたボルチモアも、ここのところ高級化が進み特にキーストンコーナーのまわりには、高級コンドや高級ホテル、有名レストランやお洒落なバーが次々と建設されているので、対象となる客層も変わってきています。ビジネスが軌道に乗り、うまく存続できれば、ニューヨークやニューオリンズと並んで、ジャズファンが死ぬまでに一度は訪れてみたいと願うジャズの聖地になるかもしれません。

キーストンコーナーがあるハーバーイーストのすぐ西には、ボルチモアの観光の中心であるインナーハーバーがあって、水族館やモールなど見どころもいっぱい。昼も夜も、徒歩圏内で楽しめます。