ニューヨークに新たなジャズクラブが続々開店。2026年にオープンした注目の3店を紹介

ニューヨークを代表するジャズクラブといえば、ブルーノート、ビレッジ・バンガード、バードランドなど、長い歴史を持つ名店や、ディジーズ、スモークなどがまず思い浮かびます。

そんなニューヨークのジャズシーンで、2026年に入ってから新しいクラブが相次いでオープンしました。マンハッタンのミッドタウンから金融街まで、これまでジャズクラブが集まっていたエリアとは少し異なる場所にも新たな店が誕生しているのが特徴です。

今回は、ジャズファンならぜひチェックしておきたい3店を紹介します。

目次

1. ジャズカルチュラル(Jazzcultural)

2. ワン・フライト・アップ(One Flight Up)

3. ザ・ポケット・ジャズクラブ(The Pocket Jazz Club)

まとめ:これからのニューヨークジャズシーンに注目

1. ジャズカルチュラル(Jazzcultural)

ジャズクラブのジャズカルチュラルの演奏している様子

1-1. 伝説のピアニストへ敬意を込めた新たなジャズスポット

ヘルズキッチンの「レストラン・ロウ」にあるJazzculturalは、ジャズピアニストのスパイク・ウィルナーさんが2026年3月にオープンしたジャズクラブ&カフェです。ウィルナーさんは、グリニッジビレッジの人気クラブ、SmallsとMezzrowのオーナーでもあります。

店名のJazzculturalは、今は亡き名ピアニストのバリー・ハリスさんが1980年代から90年代にかけて運営していた「Jazz Cultural Theater」にちなんだもの。ウィルナーさんはハリスさんの弟子でもあり、店内にはハリスさんに敬意を表した展示もあります。

場所は、かつてビッグバンドの演奏やスイングダンスで知られ、私もよく行ったSwing 46があったところです。SmallsやMezzrowと比べると店内はかなり広く、ライブを行うメインルームに加えて、カフェ&バーエリアを備えています。

1-2. 昼から楽しめるジャムセッションと営業システム

Jazzculturalの魅力は、夜のライブだけではないところ。カフェ&バーは正午から営業し、午後2時から6時までは「Afternoon Jam」を開催しています。コーヒーや軽食、ドリンクを楽しみながら、昼間からジャズの生演奏を聴くことができます。ジャムセッションなので、ミュージシャンが参加することも可能です。

正午から午後5時までは、ミュージックチャージはありません。午後6時以降は、カフェ&バー席が25ドル、メインルームが40ドルで、いずれも1ドリンクのオーダーが必要です。メインのライブは午後7時と9時の2セットが基本で、午後10時または10時30分からレイトショーも行われます。昼間のジャムセッションから夜のライブまで、時間帯によって異なる楽しみ方ができるのはとても魅力です。

1-3. 多彩で幅広い出演ラインアップ

SmallsやMezzrowでは、若手から中堅クラスのミュージシャンが出演することが多く、Jazzculturalも平日の夜は同様の傾向がある一方、週末にはワールドクラスの大物プレーヤーが出演することもあり、幅広いラインアップを楽しめます。

Jazzcultural

  • 所在地:349 W 46 St (8 & 9 Ave), New York, NY
  • 営業時間:12:00~翌1:00
  • 公式サイト:Jazzcultural

2. ワン・フライト・アップ(One Flight Up)

ジャズクラブのワン・フライト・アップのジャズピアノステージ、

2-1. 音楽家と弁護士の情熱から生まれたジャズクラブ

金融街の一角にオープンしたOne Flight Upは、ドラマーのジョー・ストラッサーさんと、長年の友人である弁護士のマーク・クインさんが共同で立ち上げたジャズクラブです。オープンは、今年6月。

店名は、ジャズ・サックス奏者デクスター・ゴードンのアルバム「One Flight Up」へのオマージュ。その名の通り、108 Greenwich St.のビルの2階に店を構えています。

ストラッサーさんとクインさんは、1990年代にグリニッジビレッジのジャズクラブで出会って以来、長年にわたって交流を続けてきました。いつかジャズクラブを一緒に作りたいという思いから生まれた店で、オープニングナイトにはJazzculturalのオーナーでもあるスパイク・ウィルナーさんが出演しました。

2-2. 公演システムと料金

通常のライブは午後7時と8時30分の2セットです。ミュージックチャージはメインルームが30ドル、バーエリアが20ドルで、1ドリンクのオーダーが必要です。ジャムセッションやピアノソロ、「Live Jazz With KEYED UP!」の夜など、ミュージックチャージが無料の日もあります。

2-3. 名物の深夜ジャムセッションとドリンクスペシャル

そして、One Flight Upのもう一つの大きな特徴が、深夜のジャムセッションです。火曜はボーカル・ジャム、木曜、金曜、土曜は一般的なジャムセッションを開催しています。いずれもメインアクト終了後の午後10時から閉店まで行われ、ミュージックチャージは不要ですが、1ドリンクのオーダーが必要。予約は不要です。

ジャムセッションの時間帯には、ビール&ショットの「Baby Jazz Cat Late Night」というドリンクスペシャルも用意されています。値段は8ドルで、提供時間は午後10時から午前1時までです。

ライブをじっくり聴く夜だけでなく、深夜のジャムセッションまで楽しめるところに、ミュージシャンが中心となって作ったクラブらしさがあります。

One Flight Up

  • 所在地:108 Greenwich St., New York, NY
  • 営業時間:16:00~24:00(金曜~翌1:00、土曜18:00~翌1:00)
  • 定休日:日・月曜
  • 公式サイト:One Flight Up

3. ザ・ポケット・ジャズクラブ(The Pocket Jazz Club)

ザ・ポケット・ジャズクラブの入口、外観

3-1. Jazz Standardの流れを汲む注目のニューオープン

タイムズスクエアからほど近い46丁目に6月にオープンしたThe Pocket Jazz Clubは、ミッドタウンのホテル「The Muse New York」の地下にあります。

共同オーナーは、かつて27丁目にあったJazz Standardで働いていたマーティン・ポーターさんとグラント・ガードナーさんです。2人はJazz Standardで知り合い、同店が2020年に閉店した後、新たなジャズクラブを作る構想を温めました。約6年を経て、その構想を形にしたのがThe Pocketです。

他にも、Jazz Standardやブルーノートなどニューヨークのジャズクラブや、ジャズ・アット・リンカーンセンターで経験を積んだスタッフが運営に携わっています。そのためThe Pocketは、単に新しくできたクラブというだけでなく、閉店したJazz Standardの流れを受け継ぐ店としても注目されています。

ポーターさん自身も、The PocketをJazz Standardの「精神的な後継」と位置づけています。

3-2. 豪華な出演者と伝統のレギュラー公演

出演者は中堅からベテランまで幅広く、大物ミュージシャンが登場する特別公演も時折開催されます。また、Jazz Standardで毎週月曜に演奏していたMingus Big Bandは月曜に、以前Birdlandで毎週日曜に出演していたArturo O'Farrill & The Afro Latin Jazz Orchestraは火曜にレギュラー出演。

かつての人気クラブで続いていた伝統を、新しい場所で引き継いでいます。

ミュージックフィーは、座席によってVIP、Table、Railの3種類に分かれ、出演者によっても料金が異なります。基本的にセットは午後7時と9時の2回ですが、出演者や公演によって異なる場合もあります。

3-3. 本格的な食事と観光に最適なロケーション

The Pocketは、3店の中で唯一、本格的な食事をしながらライブを楽しめるスタイルのジャズクラブです。

共同オーナーのポーターさんとガードナーさんは、ミシュラン星を獲得したレストランも手がけるUnion Square Hospitality Groupが運営していたJazz Standardで経験を積んでいるため、料理にも力を入れています。

音楽だけでなく、食事も楽しみましょう。タイムズスクエアの一角ともいえる場所にあるため、観光と組み合わせやすいのも魅力です。

The Pocket Jazz Club

  • 所在地:130 W 46 St, New York
  • 電話:616-653-9916
  • 営業時間:18:00~23:30
  • 公式サイト:The Pocket Jazz Club

まとめ:これからのニューヨーク・ジャズシーンに注目

グリニッジビレッジのジャズクラブ文化をミッドタウンに持ち込んだJazzcultural、金融街というユニークな場所で新たな挑戦を始めたOne Flight Up、そしてJazz Standardの流れを受け継ぐThe Pocket。

それぞれ異なる背景と個性を持つ3店です。この中から、歴史に残るような名店が生まれるのでしょうか。また、これからどんな新しい店が加わっていくのか。新世代のジャズクラブの動向に注目したいですね。

いずれの店もオープンして間もないため、セット時間、料金、営業時間などは変更される可能性があります。訪れる際は、事前に各クラブの公式サイトで最新情報を確認してください。

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ナツコ・H

世界で活躍するジャズ奏者の夫のマネージメント、CD収録曲の作曲を手がける。NYの日系新聞でニュース記事執筆中。法律翻訳家。93年よりNY在住。

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