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青森県と秋田県にまたがる世界遺産「白神山地」の十二湖散策コースをご紹介!
青森県と秋田県にまたがる白神山地。森に広がるブナ林のグリーンシャワーや森が育んだ清々しい湧き水など、マイナスイオンで心もからだもリフレッシュできる、日本が誇る世界遺産です。神秘の青池に代表される場所、青森県側にある「十二湖の森」を散策してみました。
目次
3. 白神山地の魅力をまるごと楽しめる十二湖散策コースをご紹介
7. 白神山地のことをもっと知りたい方は白神山地ビジターセンターへ!
1. 白神山地とは?
青森県と秋田県にまたがる広大な白神山地。なぜ白神山地が世界遺産に登録されたのか、いや、そもそも白神山地って何?というところからまずおさえていきましょう。
白神山地は、青森県南西部から秋田県北西部をまたがる約13万ヘクタールの広大な山岳地帯の総称です。面積は東京23区のほぼ2倍、もしくは沖縄本島がすっぽり収まる大きさと言えばイメージがわくでしょうか。白神山地の約75%が青森県側、残り約25%が秋田県側で、青森県側の方が圧倒的に広いのだそうです。
そのうち、約1万7,000ヘクタールがもっとも原始に近い状態、つまり手付かずのブナ原生林が残っているとして、その希少性と普遍的価値が認められ、1993年(平成5年)に世界自然遺産に登録されました。こうして日本が誇る白神山地が世界へ知れ渡ったのですね。
世界遺産の登録エリアには、指定されたルートに限る登山を許可している青森県側と、原則入山禁止としている秋田県側にまたがる「核心地域」と、ほとんど届出を必要としない「緩衝地域」に分かれています。そのいずれにも当てはまらないエリアには、誰もが気軽に散策できるハイキングコースやトレッキングコースなどが用意されています。
世界最大級のブナの森は動植物の宝庫!ブナ林をはじめ、白神山地に生息する植物の種類は540種を超えるともいわれ、森の恵みを享受するさまざまな動物、昆虫類が生息しています。自然保護が徹底されているからこそ、太古の森に息づく命の営みを観察することができるのですね。
2. 白神山地、十二湖へのアクセス
今回は、白神の森と神秘的な池をまるごと楽しめる「十二湖散策コース」へのアクセス方法をご紹介します。
電車でのアクセスは、JR五能線「十二湖」駅を下車。駅前のバス停「十二湖駅前」から終点「奥十二湖駐車場」で下車すると、15分ほどで十二湖散策コースの拠点となる「森の物産館キョロロ」の前に到着します。
車でのアクセスは、「森の物産館キョロロ」にカーナビを設定しましょう。キョロロには大きな駐車場が併設されています。十二湖駅からは15分ほど。ただし、急カーブが多く、見通しが悪いところもたくさんあるのでくれぐれも安全ドライブで!
なお、弘前方面から県道28号線、通称「白神ライン」を通って十二湖方面に抜けることは可能ですが、冬季は5月下旬まで閉鎖され、しかも名瀑「暗門の滝」から先の白神ラインは未舗装・未整備道路が続き、携帯電話の電波も届かず、何かあったら一大事な危険な道路として有名です。無理をせず、日本海側から迂回するルートをおすすめします。
もちろん、体力に自身がある人は十二湖駅から約5kmの道のりを徒歩でチャレンジするのもアリ! 車やバスではスルーしがちな美しい景色をゆっくり楽しめます。
3. 白神山地の魅力をまるごと楽しめる十二湖散策コースをご紹介
今回は、白神山地の魅力をまるごと楽しめる人気の「十二湖散策コース」を歩いてみました。全行程1時間程度で誰でも気軽に楽しめる初心者コース。順を追って紹介します。
十二湖と言うものの、実際には12ではなく、33の湖沼群で構成されています。その昔、この地を襲った大地震によって生まれたといわれています。
大崩(おおくずれ)山頂からこの地を見下ろすと、ブナの森に覆われているためすべての池が見えず、12しか見えないことから「十二湖」という名がついたのだそうです。
3.1 森の物産館キョロロ
十二湖散策コースは「森の物産館キョロロ」がスタート地点。バスを利用して訪れた場合は、終点がキョロロの前なのでとても便利ですね。
十二湖のある深浦町の名産、「ふかうら雪人参」を使用した食料品や白神山地関連のお土産グッズ、青森県の特産品まで幅広く販売されています。ここでしか買えないお土産をぜひゲットしてください!
一番の売れ筋商品は、キョロロと一部施設でしか買えない「カワセミ3兄弟彩物語」のプリントクッキーだそう。こんなかわいいクッキー、もらったら嬉しいですね!
ふかうら雪人参はフルーツのようなスッキリした甘さが特徴。好評のふかうら人参ジュースは、「人参嫌いでもこれなら飲める!」と太鼓判を押せる飲みやすさです。お菓子類やジャム、ドレッシングなどの加工食品も捨てがたいですね。
もしちょっと腹ごしらえしてからスタートしたいなら、併設の軽食コーナーはいかがでしょう。「白神そば」「どんぐりうどん」などの食事系メニューから、定番のソフトクリームやあんドーナツ、おむすび、たこ焼き、お団子、わらび餅などライトなメニューもありますよ。
森の物産館キョロロの基本情報
- 住所:青森県西津軽郡深浦町大字松神字下浜松14
- 開園時期:4月中旬~11月中旬
- 営業時間:8:00~18:00 ※季節変動あり
- 駐車場:有料(普通車123台、大型車5台)
- 定休日:期間中無休
- 車でのアクセス:十二湖より約15分
- 電車でのアクセス: JR五能線「十二湖駅」下車、弘南バスに乗り換え、「十二湖駅前」より終点「奥十二湖駐車場」下車、所要15分
- HP:森の物産館キョロロ
3.2 鶏頭場(けとば)の池
キョロロから青池に向かう遊歩道左手に広がるのは鶏頭場の池。このふしぎな名前は、池のかたちが鶏の頭に似ているからだそう。
標識に沿って小道を数分歩くと、湖畔に小さな東屋がたたずんでいます。鳥のさえずりや風の音に耳を傾けながら美しい景色を静かに堪能する。実に優雅で贅沢なひとときですね。
3.3 青池
やがて右手に見えてくるのが、十二湖最大の見所「青池」です。どこまでも透き通った群青ブルー、その水底で朽ちずに沈む倒木の姿はまさに神がかった美しさ!
天候や時間帯、ちょっと日が陰っただけでも青のグラデーションが微妙に変化する青池。美しいブルーを写真に収めたければ、晴れた日のお昼前、特に午前11時前後が狙い目! 陽射しが強すぎてもNG、水の青をもっとも際だたせるのがこの時間帯だそう。
国内外から多くの観光客が詰めかけている青池。誰もが口を揃えて「本当にキレイ!来てよかった!」と興奮気味に写真を撮る姿が印象的でした。
3.4 ブナ自然林
青池の横の階段を5分ほど登った先には、美しいブナ自然林の遊歩道が現れます。まばゆいばかりグリーンシャワーに圧倒されてしまいます。
入り口に設置された東屋には、十二湖周辺の気候、地形・地質、名前の由来と成り立ちに関する情報が掲示され、十二湖について学べるようになっています。
遊歩道にはウッドチップが敷き詰められ、ほどよいクッション性がとても歩きやすかったです。夏は涼しく、冬はあたたかいといった効果もあるそうですよ。
十二湖の森では、森林セラピーに力を入れています。森林セラピーとは、医学的根拠のもと、森林浴によって癒やしや健康増進に効果があると実証された心理療法のこと。深浦町では森林セラピストや、森林セラピーガイドの資格を持った十二湖の森ガイドが案内してくれるサービスもあるようです。
グリーンシャワーの下で深呼吸してみると、どんより疲れた心がじわじわ癒やされていく気持ちよさを感じられました!
3.5 沸壺(わきつぼ)の池
ブナ自然林を通り過ぎ、次に見えてくるのが「沸壺の池」。この池は青池に匹敵する透明度を誇るといわれ、生い茂る森のなか、水底の倒木が幻想的に浮かび上がっています。
こちらにもウッドデッキが整備されているので、しばし美しさに見とれるのも良いですね。
3.6 カツラやブナの巨木
沸壺の池周辺にはカツラやブナの巨木が点在しています。ブナは1年に数mmから1cm程度しか成長しないのだそう。これだけの巨木ですから、気の遠くなるような年月を生き抜いてきた証拠です。
3.7 十二湖庵
沸壺の池を過ぎ、階段を降りると車道に出ます。標識に沿って左に進むと本コースのクライマックス、「十二湖庵」が見えてきます。
庵の前には「平成の名水100選」にも選ばれた、沸壺の池の美味しい湧き水が豊かに流れ落ちています。
その湧き水で点てたお抹茶と茶菓子がいただけるということで、ここで一休みするのがオススメです!
お抹茶と茶菓子の料金は利用した人の気持ち次第とのこと。美味しかった、癒やされた!と思ったら、気持ちよく料金箱に収めましょう。
十二湖庵の基本情報
- 住所:青森県西津軽郡深浦町松神字松神山国有林内
- 電話番号:0173-77-3071
- 開園時期:4月中旬~11月上旬
- 営業時間:9:30~16:00 ※季節変動あり
- 定休日:不定休
- 駐車場:なし
3.8 十二湖ビジターセンター
十二湖庵からさらに500mほど下ったところにある、十二湖ビジターセンター。時間と体力が許せばぜひ立ち寄ってみましょう。
館内は狭く無人受付ですが、映像やディスプレイを駆使して十二湖の魅力を伝えています。散策前に学習していけば、より一層楽しめますね!
4. ほかにも魅力的な池がいっぱい
もし時間に余裕があれば、十二湖散策コース以外の池もちょっとのぞいてみましょう。今回訪れた中で、個人的に印象深かった池をご紹介します。
4.1 落口(おちぐち)の池
十二湖庵の目の前に広がる池で、初夏には青々とした新緑、秋には美しい紅葉が見られ、写真撮影に人気の高いスポットです。
池の西端にあるビューポイントも最高! 深い緑に包まれ、無言のまま静かに水底に横たわる倒木。まるで聖域のようです。
4.2 日暮(ひぐらし)の池
「日暮の池」は、王池前の分岐から少し入ったところにある小さな池で、風のない日には水鏡となって、美しい風景を鮮やかに映し出します。紅葉の季節を想像すると、美しさに磨きがかかっていそうですね。
4.3 小夜(さよ)の池
「日暮の池」を過ぎてしばらく進むと、右手に標識が現れます。「小夜の池」はうっそうとおい茂る森のなかに突如現れ、風もなく、ただ鳥のさえずりと太陽の光が静かに降り注ぎ、思わず息を呑む光景でした。
4.4 影坂(かげさか)の池
「影坂の池」は、小夜の池からさらに15分ほど進んだ先にあります。立ち枯れの木々や池に沈む倒木など、どこか張り詰めたような荘厳さが漂う池でした。
ちなみに、小夜の池・影坂の池までの道のりは未舗装の自然道で、多少アップダウンもあるため、スニーカーなどの歩きやすい靴がおすすめです。また、道しるべ代わりのピンクテープがなく、足元の踏み固められた道がたより。できる限り、明るいうちに訪れましょう!
5. 日本キャニオンも見逃せない!
十二湖駅から最初のバス停、「日暮橋前」の森から顔を覗かせているのは「日本キャニオン」。侵食・崩壊によって凝灰岩の白い岩肌がむき出しになったホワイトキャニオンで、個人的な印象としてはミニカッパドキアという感じ。名前の由来はグランドキャニオンだそうです。
八景の池の前から展望台へ続く登山道があり、上から眺めることができます。
また、日暮橋の近くにある遊歩道からキャニオンの足元へアクセスすることができ、下から見上げる白亜の断崖は迫力満点!途中、小さな沢も流れているので足元には十分に気をつけましょうね。
6. 白神山地が育む野生動物
<画像提供:白神山地ビジターセンター ※転載禁止>
太古の自然が息づく白神山地。そこにはブナ林を中心とした野生動物たちの生態系も育まれています。
天然記念物のニホンカモシカや日本最大種のキツツキであるクマゲラ、出会ったら恐ろしいツキノワグマやニホンザルなど多様な野生動物が生息し、鳥類に限っては89種類もの数が確認されています。
<画像提供:白神山地ビジターセンター ※転載禁止>
そのほか爬虫類、両生類、魚類、昆虫に至るまでおびただしい数の「生命のつながり」が8000年以上もこのブナの森を支えているのですね。
7. 白神山地のことをもっと知りたい方は白神山地ビジターセンターへ!
巨大ブナが天井から吊り下がった圧巻の展示ホールでは、白神山地のあらゆる情報が目や耳で楽しんで学習できるよう工夫されています。また映像体験ホールでは迫力の大型スクリーンと最新鋭の映像音響機器で白神山地を学べますよ。
白神山地の基本情報
【白神山地ビジターセンター】
- 住所:〒036-1411 青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田61-1
- 開館時間:8:30~17:00(4月1日~10月31日)/9:00~16:30(11月1日~3月31日)
- 入館料:無料(ただし、映像体験観覧料は大人200円/子ども100円)
- 休館日:第2月曜日(4月~12月 ※8月は第4月曜日)/毎週月曜日と木曜日(1月~3月 ※祝日の場合は翌日)/年末年始(12月29日~1月3日)
- 駐車場:普通車60台(大型車5台)無料
- 車でのアクセス:東北自動車道大鰐弘前インターからアップルロード(県道127号)を進み、県道28号に入って直進、約60分。弘前市内からは県道28号経由で約40分。青森駅からは国道7号経由で約80分
- 電車のアクセス:JR新青森駅からJR奥羽本線でJR弘前駅下車。弘前駅前乗り場からは6番乗り場で乗車、終点「西目屋村役場前」にて下車、約55分
- HP:https://www.shirakami-visitor.jp/
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かわいまゆみ
- 自称ミステリーハンターで絶景ハンター。訪れた国は80カ国以上。世界中の絶景を求めて地球を駆け回っています。