劇的な紅色に染まる葉と花、空。 晩秋・初冬は葛飾区水元公園に行こう!

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<水元公園の松と紅葉するメタセコイア並木。園内で松山さんがいちばん好きな景色。 撮影/松山忠徳>

都内や近郊で穴場の花名所を取材し、膨大な花情報を無償提供している葛飾区金町「花の写真館」館長・松山忠徳さん。今回は松山さんのホームグラウンドである葛飾区水元(みずもと)公園を特集します。これからの時期は紅葉と夕焼けの光景が見どころ。日が暮れるまで、じっくり散策を満喫してください。

目次

東京の水郷

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<小合溜と遊歩道。対岸は埼玉県三郷市>

東京の東北端に位置する街、金町に暮らす松山さんは頻繁に自宅近くの都立水元公園に通われています。季節ごとの多様な草花や園内の景色を写した写真を見せていただくたびに、この魅力的な公園を散策したいと願っていました。そこで水元公園の晩秋から初冬の見どころを特集するにあたり、松山さんに園内を案内してもらったのです。実際に歩いて、まず驚いたのは96.3ヘクタールという敷地面積の広さ。正午から園内に入ったのですが、写真を撮り、休憩しながら端から端まで移動したら日が暮れてしまいました。

次に惹かれた特徴は水の気配が濃密なこと。江戸時代からある、灌漑用水と遊水地を兼ねた「小合溜(こあいだめ)」が北側から東側を囲んでいて、その水辺に遊歩道が整備されています。そのため、ここは水郷景観をもつ都内唯一の公園とされているのです。

さらには、ポプラやハンノキ、メタセコイア、ラクウショウなど背の高い樹木が水辺にたくさん植えられているのも圧巻。それらの樹木が水辺に整然と並ぶさまは北海道やヨーロッパの景観のようです。針葉樹33種3,800本、落葉広葉樹152種8,100本、常緑広葉樹51種7,000本という壮大さ。ここは本当に東京なのだろうかと目を疑いました。

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<水元大橋近くのシンボル像を訪ねるたびに写すのがお約束だという>

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<田舎道のような風情の遊歩道もある。あえて自然の情趣を残し、手を加えすぎていないのが水元公園の魅力>

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<大きな蓮池があり、睡蓮など水生植物の種類も豊富。これはコウホネで、6~9月に黄色い花を咲かせる>

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<夕陽に照らされるポプラ並木を撮影する松山さん>

水元公園の四季

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<水元公園のシンボル像『花吹雪』。『長崎平和記念像』の制作で知られる、名誉都民・北村西望さんが手がけた>

水元公園は四季の花が咲く公園。春は土手の「水元さくら堤」と園内の約1,300本の桜が満開となり、6月は5,000株のアジサイ、花菖蒲、キンシバイ、睡蓮が目を楽しませてくれます。また、夏には「ごんぱち池」に23区内で唯一自生するアサザの黄色い花が咲き、東京都天然記念物の古代種、オニバスの花を「オニバス池」で見ることができます。とりわけ有名なのは「はなしょうぶ園」の約100品種20万本の花菖蒲で、毎年6月初旬から下旬にかけて咲き誇り、「葛飾菖蒲まつり」も催されています。そして、秋はなんといっても、生きた化石とも言われる太古の植物、メタセコイアの紅葉が見ものになります。

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<果てしなく続く「水元さくら堤」の桜並木>

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<都内最大の菖蒲田「はなしょうぶ園」に咲く花菖蒲>

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<22種の水生植物が植えられている「水生植物園」の睡蓮>

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<夕焼けと水元大橋>

見どころ1. メタセコイアの紅葉

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<松と紅葉するメタセコイア並木。和洋ミックスするような、この組み合わせが素晴らしい>

水元公園には晩秋から初冬にかけて紅葉するメタセコイアが1,800本も林立し、都立公園最大の森になっています。まるで太古の風景が現代に蘇ったかのような雰囲気で、見る者を圧倒します。園内の各所に植えられていますが、松並木の両側にメタセコイアが迫る場所では、ほかでは目にできない迫力の光景を満喫できます。レストラン「涼亭」の先に続く道沿いには、太古の植物、ラクウショウとメタセコイアが両側に並んでいます。

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<ラクウショウとメタセコイアの並木。よく似た木なので、案内プレートの説明で木の名前を確認しよう>

見どころ2. 皇帝ダリア

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<皇帝ダリアの花。木は高さ4mにもなる>

11月下旬から12月上旬にかけて、花の直径が20cmにもなる皇帝ダリアが水元公園サービスセンターの裏手に咲きます。心躍らせる華やかさがあり、花が少なくなる冬にはひときわ目立つ存在。ただ、意外と寒さには弱く、咲いている途中でも、寒波に遭うとすべて散ってしまい、その年には咲かなくなってしまいます。大きいけれど、か弱い、パンダのような花。ぜひ咲いているうちに見てください。

見どころ3. モミジバフウの紅葉MOMUI

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<第一駐車場のモミジバフウ。園内のあちこちに植えられているが、紅葉はここがいちばん絵になる>

第一駐車場に植えられたモミジバフウが見事に紅葉します。カエデも美しいですが、葉が大きいぶん、より色鮮やかに感じられます。また、イガイガのリトル爆弾のようなかたちをした実がたくさん落ちていて、部屋に飾ると、おもしろいオブジェになります。

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<モミジバフウの大きな葉と、ユニークなかたちの実>

見どころ4. 冬枯れのポプラ並木

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<高さ20mにも達するポプラ並木>

水元公園はメタセコイアのみならず、約200本のポプラも見ごたえあります。1.2km続くポプラ並木は10月中旬ごろから黄葉が始まり、11月上旬から落葉。緑葉の夏と違って、冬枯れのポプラには哀愁が漂い、独特の風情を醸し出しています。とくに夕焼けの景色は美しく、ヨーロッパの絵画のよう。都会に居ることを忘れさせてくれます。

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<夕焼けのポプラ並木>

見どころ5. 東京スカイツリーが見える場所

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<この位置から東京スカイツリーが見える>

広い水元公園で、たった1ヶ所、5m四方のピンポイントの場所から東京スカイツリーR を見ることができます。そこは松とメタセコイアが並ぶ所から水辺に移動した地点で、このことを知る人はまずいないでしょう。宝探しをする気分で、この場所を見つけてください。

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<日没後のトワイライトタイム。樹木のシルエットの向こうに浮かぶ東京スカイツリーのライトアップ>

見どころ6. 水元かわせみの里

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<奥の建物が展示室。カワセミ以外にもサギなどの水鳥を観察できる>

水元公園には毎日数回カワセミが飛来する「水元かわせみの里」という施設があります。展示室も併設され、冬でも暖かな室内で座ってカワセミを待つことができます。ここは夕焼けの景色も抜群。美しいカワセミに会うことができるか、あなたの運を試してください。

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<夕焼けに染まる「水元かわせみの里」>

都立水元公園 基本情報

  • 所在地:東京都葛飾区水元公園、東金町5・8丁目、埼玉県三郷市
  • 開園日:常時開園(サービスセンター、各施設は年末年始に休業)
  • 入園料:無料(一部有料施設あり)
  • 東京都公園協会HP:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index041.html

撮影・情報提供/「花の写真館」(平成・万葉集の館)松山忠徳さん

取材で撮影した花を「花の写真館」でデータベース化する松山さん。このギャラリーでは松山さんが長年蓄積した、東京と近郊の花情報を提供。精力的な花の名所めぐりのレポートはSNSで配信中。

花の写真館

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ヤスヒロ・ワールド

東京佃島生まれ育ちの江戸っ子。旅行ガイドの編集者。
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