【第3話】イタリア中世の家のまどろっこしい改装プロジェクト

まだまだ継続中の中世の家改装プロジェクト。次から次へと発生する仰天事件に振り回され、ため息が出るばかり。念願のマイホーム完成の日は一体いつに?

目次

キッチンの取り付け作業

キッチンの配送・取り付けの当日、邪魔になるといけないので、それ以外の作業はお休みです。ジェノバから遠路運んできてもらった荷物ですが、搬入の大変なことといったら!

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トラックから下ろした重いキッチン家電や資材を背負い、道路から村の中心部までの長い階段を上らなければなりません。さらに、その重荷を背負ったまま、玄関からキッチンのある3階まで上るという重労働...。

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ご年配の2人組が重い箱と格闘しながら運搬する様子に申し訳ない気持ちになりましたが、予定通り、夕方には無事に組み立て・取り付けが完了。だんだんと家らしくなってきました!

現場に出入り禁止の訳は...

改装作業が再開し、毎朝現場偵察に通っていたのですが、パートナーから突然、「今週は現場に行かないで」とのお達しがありました。あまりにピリピリしているので、工務店と揉め事でもあったのかと思い、現場に足を運ぶのを渋々休むことに。

その翌週、一転してスッキリした様子のパートナーと共に現場へ向かったのですが、なんと、前の週に大事件が勃発し、現場が大混乱だったとか。電気配線のテストと称してキッチン家電を試していたところ、食器洗い器が動かない!それもそのはず、食洗器用の電気プラグの配線忘れが発覚。職人、電気工、キッチン取り付けの作業員も、その時点まで全く気付かなかったという...。その足りない配線を施すためにキッチンを取り外し、壁を壊さなければならず、それを知れば私が卒倒するだろうと、真っ青になっていたらしいのです。

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ちなみに玄関のインターコムも外壁に既に取付け済みでしたが、家の中からドア開閉をするための配線も忘れていたらしく、これもついでに追加した、と嬉しそうなパートナーに思わず絶句。後付けしたために飛び出たままの配線はこのままで、ということらしいです。

ついに救世主現る

3階のキッチン以外の作業ですが、リビング・ダイニングルームの床のタイル張りが終了。タイルを張った部分には、壁の下部に高さ8センチメートル程のバッティスコーパという腰板のようなタイルを付けるのですが、これがどういうわけかリビングルームの暖炉の枠の中にまで張ってあり仰天しました。

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小さなバスルーム自体が感心するほどの正三角形になっていたことにも吃驚しましたが、出来上がった壁を動かすわけにいかないため、目をつぶるしかありません。

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長いこと現場に来ないアントニオの件で工務店に再三の連絡をしたところ、数年前に喧嘩別れをして以来、一人独立して職人仕事をしているというダニエレが送り込まれてきました。工務店主ドメニコ、職人アントニオの末の弟だという彼は、リビング・ダイニングルームと廊下の壁を平面処理する作業を押し付けられて来たんだとか。

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寡黙だけれど感じの良いダニエレに今までのいきさつを話したところ、「そんなことだろうと思ってた」と肩をすくめ、壁の作業だけでなく、キッチンの白い線を丁寧に塗りなおし、暖炉の枠の中に張られたバッティスコーパを取り除き、除去した部分の壁も綺麗に直してくれた上に、傍らでゴミ集めや掃除をする私の手伝いまでしてくれました。まさに、捨てる神あれば拾う神あり!です。

浴室のタイル、4ミリの差に泣かされる

タイルのほとんどは近くの町のタイル屋さんで注文しましたが、2階の浴室にピッタリくるものが見つからず、サンレモにあるイタリアの有名タイルメーカーの品を取り扱うお店に行ってみました。予算を上回るとはいえ、あまりにも素敵なタイルが見つかり、購入決定。カタログの写真を見ては、出来上がった浴室を想像してうっとりしてしまいます。

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現場の作業がいよいよ2階に移動しました。サンレモからタイルが届いたというのに、例のごとく、浴室の床にセメントを敷いたところで作業が停滞したままです。タイルの配置図を作成し、説明する準備は万端だというのに誰も現れない現場...。ダニエレに来て欲しいと何度か懇願しましたが、手が空き次第誰かを行かせるから、とのつれない返事。めげずに様子見に立ち寄っていたある朝、浴室に誇らしげに佇むアントニオの姿が。そして、目に入ってきたのは、床と壁に既に張り終わったタイル....。前日の昼前から作業を開始したらしいのですが、またもや床に身を放り投げて泣き出したくなりました。

「どうしてタイルの間隔がこんなに狭いの?間隔は5ミリが決まりって言ってなかった?3階は全部5ミリだったでしょう?」

「ああ、浴室だけは違うんだ。ピッタリくっつけないと」

「はぁ?どうして始める前に連絡してくれなかったの?タイルの間隔は5ミリでセメントは濃いグレーにして欲しかったのに!」

私の一言に再びうんざり顔が復活のアントニオです。とはいえ、タイルとタイルの間には1ミリほどのわずかな隙間しかありません。そして、白いセメントが入っているのかいないのか、という状態です(隙間が狭すぎて入るはずがないのは一目瞭然)。

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このタイルは5ミリの間隔をあけて濃いグレーのセメントを入れることによって美しさが引き出されるはずなのに!それを説明する間もなく(箱に書いてありましたが)、気の向いたときにやって来て勝手に作業を進めてしまうとは想定外。おまけに、シャワースペースの壁のモザイクはところどころ陥没しているではありませんか。

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愕然とする出来栄えに、パートナーが工務店主に連絡し、タイルとタイルの間にセメントが入ってない部分があること、モザイクが陥没していることを伝え、それらを直すように頼みました。タイルの間隔とセメントの色は、もう直しようがなく諦めるしかありません。翌朝、18歳の見習い職人マルコがタイル間にセメントを入れ直しにやってきました。モップのようなもので緩いセメント液をタイルの上にならしているものの、間隔が狭すぎてセメントが入らない上に、タイルの表面にセメント液が蓄積して汚れていくばかり。せっかくのタイルが...!

不完全とはいえ浴室のタイル張りが完了したところで、配管工が洗面台、シャワー、トイレ、バスタブ、すべての水栓金具を取り付けていきます。洗面台が一体となった家具、シャワースペースのドア、トイレットペーパーのホルダーやタオルハンガーの取り付けも配管工の仕事だというのは新たな発見でした。

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翌日、現場に行ってみると、シャワーのドアの枠の一部とタイルが破損していたのですが、当の本人に「将来、シャワーのドアを取り換える時にはこの壊れたタイルの取り換え(工賃)は無料でやるからね」とあっさり言われ(それも笑顔で)、もう開いた口が塞がりません。

ゲームみたいなガス漏れ探し

キッチンと浴室のガス配管のテストをするということで、配管工と職人が準備を始めていましたが、危険なので私は立ち会わない方がいい、とパートナーに促され(言われなくても危なさそう...)、私は帰宅することにしました。後から来た連絡によると、キッチンのガス元栓を開いて直ぐにガス漏れが感知されたとか。全てが冗談みたいで、もう笑うしかありません!漏れている箇所が分からないため、壁を少しずつ壊してガスの配管が破損した部分を見つけるとのこと。ってことは、またキッチン一式取り外し!?が、幸いなことに、ガス漏れは調理台と上方のキャビネットの間で見つかったらしく、タイルと壁の一部を壊すのみで済みました。キッチンを取り外さなくて済んで、どれだけホッとしたことか!

あ~、まだ改装全体の半分も終わっていないというのに、この調子では先が思いやられるばかりです。

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サルシ なおみ

イタリア・リグーリア州の小さな村で田舎暮らしを満喫中。自家製のワイン・オイル作りにいそしむ傍ら、築700年の自宅の改装にも精を出す日々を送っています。

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