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【第2話】イタリア中世の家のまどろっこしい改装プロジェクト

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記事投稿日:2018/10/26
最終更新日:2018/10/26

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イタリア在住3年目にして、中世の家を取得・改装するという、とんでもない計画に足を突っ込んでしまいました。人生最大の決断をしたものの、何事も予定通りに進まず、次から次へと発生する仰天事件に振り回され、精神的・肉体的にもストレスMAX!果たして念願のマイホーム完成の日は来るのか!?

>【第1話】イタリア中世の家のまどろっこしい改装プロジェクトはこちら

目次

遂に改装許可をゲット!... が、既に2月

多忙を極め、我が家の設計図に取り掛かる時間がとれない義弟に控えめの(且つ度重なる)催促を入れながら修正案の交換を重ね、双方が合意する図面がやっとのことで完成しました。役場に許可申請の書類を即日提出、コネのお陰か許可はとんとん拍子に下りました。その時点で既に2月!とはいえ、夏には入居という希望的観測は捨てきれません。その当時住んでいた賃貸アパートの大家さんに退去通知(4ヶ月前迄)をするタイミングも全く読めずです。

floorplan.jpg

さて、肝心な家の間取りは、1階が玄関とカンティーナ、2階に主寝室、子供部屋、仕事部屋、浴室、物置、3階はキッチン、居間、ダイニングと小さなバスルーム、4階がテラスです。玄関側から見ると4階建ての建物に見えますが、急傾斜に建っているため反対の広場側から見ると2階建て、つまり広場側の入り口は3階のダイニングルームに通じ、玄関のある1階と寝室のある2階は地下、という不思議な構造になっています。改装許可が下りて安心した反面、今年中の入居は諦めざるを得ないのかも、という半ば諦めの気持ちで職人に設計図を見せに行きました。「まぁ、工期は6ヶ月もあれば十分だね」「えっ?」。予想外の言葉に、椅子から転げ落ちそうになるほど驚きました。

待望の改装工事開始

万が一、工事が予定より長引く場合、生活に必要最小限のキッチン、ダイニングとバスルームさえ出来ていれば工事の継続中に関わらず入居出来なくもないだろう(強引すぎ?)という思い付きで、キッチンのある3階から仕事に取り掛かってもらうことにしました。先ずは床と壁のタイルを除去する作業から開始です。初日の朝にやって来た職人アントニオとパスクワーレが、それぞれ手にした大きなハンマーを壁と床と壁に容赦なく打ち付けていきます。

removing_tiles.jpg

家中全てのタイルを取り払い、残骸を除去した時点で、工務店の主ドメニコ、友人に紹介してもらった電気工のアレッサンドロと現場で落ち会うことになりました。

ここで早くも問題が発生!全ての階にある部屋のタイルや古いドアを除去すると、かなりの残骸が発生します。村自体が山の斜面に築かれ、村の内部には細い石畳の路地がほうぼうに伸びては交差するという迷路のような場所柄、家まで車でアクセスすることは出来ません。残骸を処理するとなると、路地上を手押しの一輪車で少量ずつ運び、それを村の周囲をはしる、そう広くはない道路に待機させる小型トラックに下ろし、遠方の処理場まで運ぶ、という気が遠くなる作業を繰り返さなければいけません。加えて、高額になるらしいその費用は見積もりに含まれていない、という仰天発言をさらっと言ってのける職人!とにかく、ここでその作業に時間を割かれるのは困ります。残骸は一時的に1階のカンティーナに収容しておき、その後の処理は後で考えよう、とイタリア的柔軟性が身に付いてきたわが身に感心するばかりです。

cantina.jpg

壁と床がむきだしの状態になったところで、次の工程へ。工務店主、電気工、私とパートナーの4人で、各階にある全ての部屋と廊下を移動しながら照明とスイッチの設置場所を決めていきます。私が照明の位置を指定すると、ドメニコとアレッサンドロが配線経路を相談しながらスプレーで壁に印をつけていくのですが、どう見ても子供の落書きにしか見えないスプレーの線。それも、ひき直しで何本もの線が交差する箇所もあり、内心不安になりながらもその単調な作業を続けていくのですが、驚いたのが「家具の配置場所と寸法」です。見た目の美しさを優先するため、コンセントの差し込みが家具の後ろにキッチリ隠れるように設置するらしいのですが、必要な家具は大体分かっていても現物決定まで至っておらず、突然、寸法と言われても困ります。というか、何故先に言ってくれなかったのか...。頭を抱える私たちを尻目に、「標準的寸法と配置で大体これくらい」、というアバウトさで印を付けていく2人組。ということは、家具は定位置から動かせないという事???頻繁に部屋の模様替えをするのが好きな私にとって、家具の配置が不変、という事実は大きな衝撃です。

wiring.jpg

その後、線を引いた場所に電気配線を通す溝を掘り、配線を施した後にセメントで穴埋めし、壁をまっすぐに直していくとのこと。その前に、電気配線作業と同様、水回りの配管も進めなければなりません。

遂に事件発生!

翌日、現場で同様の作業をするはずの配管工が待てど暮らせど現れません。全くの音信不通で、珍しく時間通りに現れた職人たちを待たせる間、不安感は増すばかりです。もしや、配管工失踪事件か!?結局、何が起きたのか分からぬまま、その日の工程はキャンセルせざるを得なくなりました。数日後、やっと連絡がついたものの、なんと、本人が交通事故に遭い入院中とか!当分職場復帰が出来ないので、今回の契約は白紙に戻したい、と一方的に通告されてしまいました。事故の件は気の毒とはいえ、想定外のハプニングに頭の中が真っ白です。切羽詰まっていた私たちは、下手に出まくり、職人の知人の配管工に来てもらうことになりました。

pavimenti.jpg

別の現場で仕事中だったその配管工2人組がやって来たのがそれから10日後のことでした。やっと工事が再開し、その週のうちに無事水道の配管作業も終了。壁と床にセメントが敷かれ、やっと3階のタイルの取り付けが始まりました。

キッチンが来るのに!夏休みの宿題状態?

工事が軌道に乗ってきたところで、カタログを見て気に入ったキッチン設備を確認するため、パートナーと2人ジェノバへ足を延ばしました。お店に展示された現物が想像通りだったので、その場で注文決定。さて、問題は納期です。床と壁のタイル張りと壁の色塗りにどの位の時間がかかるのか全く予想がつかないため、キッチン配送・取り付けの納期を出来るだけ延ばしてもらう方向(約1ヶ月半)でお願いしました。職人たちにはキッチンの配送が1ヶ月先だとハッパをかけてみましたが、それから2週間が経過しても全く焦る様子のない彼ら、もとい、いつの間にか作業に来るのはアントニオ1人だけになっていました(工務店が何軒もの現場を掛け持ちしていて忙しいとかで)。

焦りまくる私たちは、足しげく現場に通うようになりましたが、作業が進んだ形跡の無いガランとした家に誰もいない事が多々あり、かと思えば、アントニオは来ていても、現場に入り込んでギャラリーよろしく見物する興味深々な村人たちと雑談中だったり、と全く仕事が進む様子が無いのです。おまけに、「キッチンが先」と言っているのに何故かダイニングの床張りが継続中だったり...。

そうこうしているうちにキッチン注文から3週間が経過。そして、納期のことなどすっかり忘れてしまっているかのようなアントニオ。1ヶ月半先まで延ばしてもらえると思っていた配送日でしたが、お店から連絡があり、これ以上倉庫に保管出来ないとのこと。3週間後の月曜日に配送・取り付けが本決定です。凄まじい形相でせきたてる私たちを前に、やっとエンジンがかかったかという調子の職人。

配送日の数日前(!)に床と壁のタイルの取り付けが完了し、あとは壁塗りを残すのみ。フランスの田舎の台所をイメージしていたので、ペンキ屋さんで調合してもらった薄いカーキ系のペイントを刷毛で多方向に塗り付けていくヴェラトゥーラという技法で塗るようにお願いし、念のため全体的な部屋のイメージも印刷して職人に渡しておきました。出来上がりを想像するだけでワクワクがとまりません!

親切が仇?壁塗りで一触即発

アントニオから、壁塗りがあと一面で終わるという待望の連絡があり、すぐに現場に駆けつけました。ペンキの色とヴェラトゥーラ技法の塗り方は期待通りで、嬉しさが爆発...の寸前で、目に入ってきた白い線?塗り忘れ?硬直したままの私に、鼻高々のアントニオが言いました。

「綺麗だろう?ここが一番のポイントだよ」

「え、なんで???」

「この方が絶対美しいからさ」

white_border_1.JPG

壁の端々が白抜きになっているではありませんか。リグーリア州の家では良く見かけるパターンで、コントラスト?引き締め効果?があるのかもしれませんが、私が渡したイメージのプリントのスタイルは、ぼやけた素朴感。即時に口に出たのは、

「これって塗りつぶせる?」

不機嫌かつ不可解そうな顔で、それは無理だと言うアントニオ。全面単色で頼んだので、白は塗りつぶして欲しいと主張する私。どちらも全く譲る気配はありません。

white_border_2.JPG

彼なりに良かれと思ってやってくれたのでしょうが、彼の主張を押し付けられても困ります。たかが白い線でも私にとっては重大問題、おまけに直せないだなんて!翌日キッチンが届くというのにこんな事態になろうとは予想もしませんでした。鼓動が速くなり、頭に血が上って爆発寸前のところをパートナーになだめられながら、ひきずられるように現場を後にしたのでした。

(続く)

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サルシ なおみ
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最終更新日:2018/10/26

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