「寝台列車カシオペア」車両誕生の歴史物語

車掌かんちゃんです。毎日、日本各地で多数の列車が走っています。列車の車両にはいろんな思いが込められて誕生しています。今日は「寝台列車カシオペア」のお話です。

目次

始まりは寝台特急北斗星の成功から

1988年3月13日、青函トンネル開業と同時に上野~札幌間で寝台特急「北斗星」が登場しました。豪華な個室、フランス料理のフルコースが味わえる食堂車連結と運転開始から人気列車となりました。

ヨーロッパからやって来た列車「オリエント急行」

1988年10月、フジテレビ開局30周年記念として、本物のオリエント急行が、ヨーロッパ~ロシア~中国~香港を経由して、日本にやってきました。線路の幅が違うので、車両の台車は日本の下松の工場で製造して日本全国を走りました。

JR九州でも、博多駅と箱崎駅で車両の一般公開がありました。見学は予約制で応募多数の場合は抽選でした。当時、福岡大学1年生だった私は、絶対に見たかったので、福岡市在住の親戚に頼み込んで5人の名前を借りて応募したことを覚えています。

日本版オリエント急行の製造

オリエント急行の設計思想を参考にJR東日本は新たな寝台列車の開発、製造に着手しました。1989年、横浜博覧会で、JR桜木町駅前に「夢空間」と呼ばれた3両の車両を展示しました。

①オシ25ダイニングカー

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食堂車です。内装は東急百貨店が担当しました。

②オハフ25ラウンジカー

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バーラウンジに自動演奏付ピアノが設置されました。内装は松屋百貨店が担当しました。車両外装の色はオリエント急行のプルマンカーの塗り分けにしました。

③オロネ25デラックススリーパー

寝台車です。内装は高島屋百貨店が担当しました。


先ほどご紹介した①②③は寝台車両「北斗星」に連結され、「夢空間北斗星」として、上野~札幌間を走りました。ちなみに寝台車は2部屋のみ、当時はプラチナチケットでした。

人気のある車両でしたが、量産されることなく2008年3月に営業運転を終了しました。

少し違った第2の人生を送っています。

上記の3両は20年程の活躍で引退しましたが、今も身近な所で多くのお客様が利用されています。

①と②は2009年9月より埼玉県の「ららぽーと新三郷」に展示されています。

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②は車内を休憩室として、誰でも利用できます。演奏はできませんが、ピアノも設置されています。オリエント急行のラウンジカーを参考にしています。

ららぽーと新三郷
住所:埼玉県三郷市新三郷ららシティ3-1-1
TEL:048-950-1515


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③は2012年2月より東京都江東区のレストラン「アタゴール」で利用されています。このレストランのオーナーシェフは日本人で唯一オリエント急行のシェフをされた方です。オリエント急行の料理やシャンパンを私もとても美味しくいただいてきました。店の雰囲気もとても良かったです。ここでも、日本の寝台列車とオリエント急行がつながりました。

アタゴール
住所:東京都江東区木場3-19-8
アクセス:東京メトロ東西線「木場」駅より徒歩3分
TEL:03-5809-9799
営業時間:ランチ 11:30~13:30(LO)/ ディナー 17:30~21:30(LO)
定休日:火曜日定休
公式サイト:http://www.atagueule.com/index.html

「カシオペア」の開発開始。コードネームは「新北斗星」

「北斗星」は運転開始から、ずっと人気が続いていましたが、車両は製造して20年経過して、かなり傷みも進んでいたので、JR東日本は1995年に「オリエント急行」「夢空間」設計思想を継承して、新型車両の開発に着手しました。

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愛称の「カシオペア」は北の空の星座「カシオペア座」から名付けられました。5つの星がW字型に並ぶことから、車両にも5本のラインが引かれています。

また、寝台車内は熟年者の利用も多いことも考慮して、2段ベッドは避けて設計されました。

1999年7月16日、上野~札幌間で運転を開始し、開始直後から絶大な人気を誇りましたが、新青森~新函館北斗間のに北海道新幹線開業に合わせて、2016年3月20日の札幌発を最後に定期運行は終了しました。

団体専用列車として復活

惜しまれながら運行を終了したカシオペアでしたが、各旅行会社が編成全部を貸切運行する「カシオペア紀行」という名称で復活しました。

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運行は上野~青森間となりましたが、列車の設備、サービスは定期運行の時と変わりません。鉄道写真の撮影の名所では毎回、多くの撮り鉄の皆さまがカメラを構えていて、人気は衰えていません。

シャワー浴びるのも必死です

寝台列車内でシャワーを浴びるのも貴重な体験です。

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まず予約制で320円のシャワーカードを買います。シャワーには「手すりにおつかまりください」と注意書きがありました。自分は揺れる列車内でいつも、足を踏ん張ってシャワーを浴びています。

お湯が出るのは6分間。ストップウォッチがついていて、1分前にブザーがなります。過去に女性添乗員のAさんが時間切れで髪の毛が泡だらけのまま出てしまったそうです。それを聞いた女性添乗員のBさんは、家で完璧に練習して乗車したというエピソードもあります。

食器もグラスも揺れます

豪華な食堂車では食事も楽しみです。夕食と朝食は予約制ですが、夕食後のパブタイムは予約なしで誰でも利用でき、カレーライス、ケーキセット、デザート、カクテルなどがいただけます。

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過ぎ行く夜景を眺めながらのアイスクリーム、美味しかったです。

クルーズトレイン「トランスイート四季島」の登場

JR東日本は北斗星、オリエント急行、夢空間、カシオペアと設計思想を継承して、ノウハウも取り入れて新しい車両を開発してきました。そして、集大成として、2017年5月1日にクルーズトレイン「トランスイート四季島」が運行を開始しました。

自宅のベランダから時々、「トランスイート四季島」をお見送り、お出迎えしています。「いつか乗りたいなぁ」と思いながら。

トランスイート四季島公式サイト:http://www.jreast.co.jp/shiki-shima/

最後に

いかがでしたか?皆さまが毎日乗っている電車の車両も何十年も前から、ノウハウを生かし、いろんなことを継承、改良を重ねて製造されている歴史があるのです。電車に乗るとき、「この車両の製造目的はなんだろう、どんな列車を参考にして設計されたんだろうと」と少しでも関心を持っていただけたら嬉しいです。

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親からの最初の本は時刻表。いろんな列車に乗れて、給料ももらえるからと添乗員になりました。日本の鉄道路線、全て完全乗車の乗り鉄。住んでいる家も電車がよく見える線路沿い。鉄道が人生そのものです。

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