肉好きにはたまらない! ブラジル式BBQシュラスコを気軽に味わえる キッチンカーと西浅草のレストラン&バー

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50歳を過ぎて、若いころより量は減りましたが、疲れがたまってくると無性に肉をお腹いっぱいに食べたくなります。肉の摂取によって活力を取り戻そうと体が欲する本能的な欲求なのかもしれません。今回は手ごろな値段でブラジル式BBQ料理「シュラスコ」のとびきりおいしい肉ランチを供するキッチンカーと、西浅草のシュハスカリアを紹介します。

目次

銀座でおいしい肉料理ランチを供するキッチンカー

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西浅草のシュハスカリア「キボン」が運営するキッチンカー。2台の車両が都内各所(週5日)のほか、サッカースタジアムなどに出動。キッチンカーのスケジュールはInstagram 「quebom_kitchencar」で検索し、確認を。月曜日は東銀座(新橋演舞場前)に出動することが多い

私の仕事場は築地にあります。そのため、知人には「おいしい店を教えて」とよく尋ねられます。確かに寿司店をはじめ、イタリアンやフレンチ、和食など隣の銀座エリアを含めてミシュランガイドにも選ばれる有名店は数多いし、お金を奮発すれば、それなりにおいしい料理を味わえます。しかし、外食に使える金額が限られる会社員にとって、この界隈で満足度の高いランチを手軽に楽しむには選択肢が限られているように思います。自身の経済状況と食事情から私はできるだけ家から弁当を持参する毎日を過ごしてきました。そんな私の仕事場近くにキッチンカーが出動していると教えてくれたのは、このブログの取材で知り合った旅する絵描き・安樂瑛子さん(記事「心と体に効くチベット料理と文化」を参照)。雑談していたとき、彼女がキッチンカーの厨房で肉を焼いていることを偶然耳にしたのでした。しかも月曜はたいてい私の仕事場から歩いて10分ほどの新橋演舞場の前に居るというから驚きました。それほど至近にキッチンカーが来ていることは初耳で、自分のリサーチ不足を痛感しつつ、興味を覚えて早速、翌週月曜日の昼に向かったのでした。

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ご飯の上に豚バラ肉がてんこ盛りの「豚バラ弁当」700円。刻んだトマトとタマネギの酸味と、自家製ソース「ピメンタ」(左上にある赤いもの)の辛味が肉のおいしさを引き立てて食が進む。この辛いソースは注文時に希望すれば添えてくれる

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「牛ハラミ弁当」950円。ぷるんぷるんとした肉の弾力と柔らかさに魅了される。炊き込みご飯のガーリックライスも感動的においしい。日本人の好みを熟知したシュラスコ弁当だ

昼から肉をたくさん食べるのって久しぶりだなぁと感慨に浸りながら東銀座の公園でシュラスコ弁当をいただきました。夏日の晴天。蛍光灯の下で黙々と箸を運ぶのと違って開放感がまるで違います。しかも目の前にあるのはご飯が覆い隠されるほど肉がドーンと盛られた弁当ですから高揚感も格別。テイクアウトながら、とても華やかな気分にもなります。安樂さんが額に汗して焼いてくれた肉はじつにおいしかったです。こんなに気軽にシュハスコを昼から堪能できるなんて、東京というか日本では稀有な食体験ではないでしょうか。ブラジル式に調理された肉に加えて、刻んだ野菜、自家製ソース、ニンニクとタマネギとともに炒めた炊き込みご飯すべてが調和し、肉の旨味を引き立てている印象。肉というフォワード・プレイヤーを、個人技に優れたほかのメンバーが連携して盛り立てて、芸術的なシュートを決める。サッカーのブラジル代表チームの試合運びを想像させるような弁当。私は心のうちで決めました「月曜日は肉の日に定めよう」と。休日明けでもっともテンションが下降する週の始まりに、ガツンと活力をもらう。そう想像すると心躍り、これからは私の日常に大きなアクセントがもたらされるようで、嬉しい気持ちになりました。

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「キボン」で働く安樂さん。スタッフが着るオリジナルTシャツの絵は彼女が描いたもので、1年ごとにデザインを変更している。こんな創造と遊びの心に満ちた魅力的なユニフォーム、なかなか無いのでは?

粋な浅草らしい店

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「キボン」の店内。ブラジルカラーの緑と黄色を基調にしたインテリアは木材を多用し、温かな印象。一方、行き交う多国籍スタッフは陽気なキャラクター。シックと活気、そのコントラストが心地いい。特大スクリーンを備えることからサッカー観戦目的の人も多いと思いきや、サッカーファンは1割ほどで、ほとんどのお客さんが食事目当てとか。毎週火曜と第1・第2・第4金曜はサンバ、ボサノバ、MPB(ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック)などの演奏が行われ、お客さんはプロミュージシャンとのセッションも可能

シュハスコ弁当に感銘を受けたら、おのずと経営元である西浅草のシュハスカリア「キボン」は、どのような店で、テイクアウトとは異なるどんな料理を供しているのか知りたくなります。取材を申し込み、訪ねました。席に着いて目に入ってきたのがサッカーの神様ペレがプレーする写真。ブラジル料理のレストランらしい演出と安直にとらえたのですが、店の方からお話を聞いて驚きました。この「キボン」を経営するATHLETA(アスレタ)はサッカーのユニフォーム・メーカーで現在、Jリーグの東京ヴェルディなどのユニフォームを供給。もともとはブラジルにあったメーカーで、ペレが代表に選ばれたブラジル代表チーム(セレソン)のユニフォームも手がけていたというのです。それほど深く伝説のセレソンに関ったブランドの歴史がありながら、インテリアにおいてのサッカー色はさりげないのです。「粋」を大事にする浅草によく溶け込んだ店だなと好ましく感じました。

シュラスコとは?

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専用グリラーで肉を回しながら焼く。粒の大きな岩塩をまぶしていくのが基本。キッチンカーではこの機器ではなく、鉄板でグリルしている

シュラスコは鉄串に肉を通して回しながら焼いていく料理。片面だけでなく、まんべんなく熱が入るようにしたり、牛肉6部位、ラム肉、ソーセージと豚バラの豚肉、鶏肉と14種ある肉それぞれに合わせた味づけなど、シンプルな調理法ながら、肉の特性を熟知していないと上手に焼けないそうです。そのため、「キボン」の厨房でも、焼け具合を常に注視する専任スタッフがグリルに張り付いて、ベストなタイミングを見計らって、テーブルに運び、焼けたところをカットしていきます。安樂さんいわく、グリラーを任されるには経験が求められ、職人芸に近い仕事とのこと。肉は好みがあるものの、人気があるのは牛のお尻の部分「ピッカーニャ(イチボ)」という稀少部位。グリルで回し焼くと、赤身の部分全体に脂が溶けてコーティングされ、肉全体に旨みがよく馴染んでいき、とてもおいしいとか。「キボン」ではこれらの肉を月に1トン以上仕入れて、店とキッチンカー両方で用いています。相当な量ですが、回転が速いため、常に新しい肉を食材にできているそうです。

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肉が焼けると、シュハスケイロと呼ばれるウエイターがテーブルまで運び、希望すれば切り分けてくれる

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シュハスケイロがシュラスコをテーブルまで運ぶかどうか判断するサイン。緑が上だと「持ってきてほしい」という意味で、至福のシュラスコ・タイムがスタート。焼けた順に各種の肉が運ばれてくる。赤を上にしたら「お腹いっぱい」の意味となり、肉のサーブは終了

ふだん使いできるシュハスカリア

東京にはシュラスコを供するレストランがいくつかありますが、インテリアも値段も高級志向の店が一般的なようです。私の職場が会社の創立記念日など特別なハレの日に数回利用した店も料金、雰囲気ともゴージャスで、「個人としては気軽には来られないな」と感じてしまいました。しかし、本来、シュラスコはもっと身近な料理。本場ブラジルと同じく、会社や上司のご馳走ではなく、親しい仲間と味わいたいと願う人は少なくないはずです。じっさい、「キボン」の席は取材当日のディナータイムもすべて埋まっていましたが、お客さんは互いに気兼ねなくいろいろな肉やお酒に心酔する人たちばかりでした。リピーターが多いのも特徴だそうです。日常的に通いたくなる人気の理由は独自のシステムとメニュー内容にありそうです。シュラスコのほか、多種類のサラダやブラジル料理がバイキングで用意され、昼はバイキング、シュラスコとも量り売り。ダイエット中の人は野菜メイン、ご飯抜きの選択ができます。夜はバイキングとシュラスコが食べ放題の「ディナーバイキング」を利用可能です(男性3,780円、女性3,240円)。ほかにも夜はアルコールやソフトドリンクの飲み放題プランを選ぶこともできます。もりもり食べられて、たくさん飲めて、財布に優しい。都内では珍しいカジュアルなシュハスカリアであると同時に、観光地ゆえにレストランの金額が高めな浅草においては希少な一軒ではないでしょうか。おいしい肉とお酒と雰囲気を楽しく満喫したい人はぜひ「キボン」の扉を開いてみてください。

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バイキングコーナー。夜はたくさんの野菜を食べ放題なのが女性のお客さんにも好評

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ブラジルで親しまれる料理もふんだんに用意。左よりブラジルを代表する豆料理「フェイジョアーダ」、シュラスコの肉を使ったブラジルの混ぜご飯「アホース カヘテイロ」、肉の入った「ストロガノフ」、肉の弁当にも入るガーリックライス「アホース」

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イチ押しの稀少部位「ピッカーニャ」。脂身を活かした調理がおいしさの秘密

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肉が運ばれてくるたびに興奮してしまう。人の本能だろうか

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肉で満腹になるころ、絶妙なタイミングで焼いたパイナップルをサーブ。ほどよい酸味が口のなかをさっぱりとさせてくれる

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ブラジルのカクテル「カイピリーニャ」がシュハスコによく合う。サトウキビの蒸留酒がベースで飲みやすくて、快楽的に酔える

Churrascaria Que bom ! キボン

住所:東京都台東区西浅草2-15-13 日光社ビル地下1
電話: 03-5826-1538 

営業時間:ランチ/11:30~15:00(14:30L.O.)
     デイナ―/17:00~23:00 (シュハスコ 22:00L.O. バイキングクローズ22:30)

※貸しきりの場合もあるので、事前に確認、予約がベター

定休日:年始
平均予算:3,000~4,500円
座席数:55席(イベント時 最大80席) 
HP : www.que-bom.com

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ヤスヒロ・ワールド

東京佃島生まれ育ちの江戸っ子。旅行ガイドの編集者。
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