ニューヨーク音楽散歩 パンクの聖地 CBGB

音楽の街、ニューヨーク。街には常に音楽が溢れており、毎日どこかで様々なジャンルのライブが開催されています。そんなニューヨークには、音楽(ポップ・ミュージック)の歴史上忘れてはならない聖地が数多くあります。お店が潰れていたり、リニューアルしたりで、それらの聖地のほとんどは多少姿を変えているかもしれませんが、建物自体はそのまま残っていることが多いので、当時の様子を垣間見ることができるかもしれません。

今回紹介する場所も、すでに当時のお店自体はクローズしてしまっていますが、建物は当時と同じままの場所です。

伝説のライブハウス CBGBがあった場所

イーストヴィレッジ、ノーホー、ノリータ、ロウアーイーストサイドなど、観光客に人気の各エリアの境界線とも言えるバウリー通り。ハウストン通りとの交差点から北に向かって歩いていくと、右手におしゃれなブティック、「john varvatos」があります。

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以前、この場所には伝説のライブハウスがありました。その名はCBGB。そのロゴは街行く人が着ているTシャツで見たことがある人も多いと思います。もともとカントリー、ブルーグラス、ブルーズのライブハウスとして1973年にオープンしたCBGB(店名もそれらのジャンルの頭文字から名付けられている)ですが、なかなかうまくいかなかったようで、他のジャンルのバンドをブッキングしはじめました。それが功を奏して、当時まだアンダーグラウンドかつ最先端の音楽だったパンク、ニューウェーブのアーティストが出演しはじめたのをきっかけに、ニューヨークの最もホットなライブハウスと変貌したのです。

数々のバンドを輩出した登竜門

当時、イーストヴィレッジ周辺にはデビュー前のバンドが出演できるライブハウスが少なかったようで、CBGBは若手バンドにとってとても貴重な場所。ラモーンズ、テレビジョン、パティー・スミス、トーキング・ヘッズ...70~80年代に活躍したこれらのミュージシャンはデビュー前の主な活動場所がCBGBでした。CBGBに出演すればデビューができると言われていたほど。まさに登竜門の名にふさわしいライブハウスだったのです。

80年代には毎週日曜日に開催されていたハードコア・パンクのギグ、ハードコア・マティネが盛り上がり、ニューヨーク・ハードコアのシーンの中心地となります。

日本のバンドではブルーハーツやミッシェル・ガン・エレファントがCBGBの舞台に立っています。その後も有名無名問わず多くのバンドが演奏してきましたが、家賃の問題で2006年に閉店。最後のライブを務めたのはパティ・スミスでした。

ブロンディの壁画

現在はおしゃれなブティックが入居し、当時の面影を感じることはできませんが、バウリーを渡った向かいの角にCBGBを偲んだ壁画が描かれています。

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ここに描かれているのはCBGB出身のバンド、ブロンディのデボラ・ハリー。彼女は、その美貌、存在感から、当時のニューヨークを代表するミューズともいえるアーティストでした。ブロンディは当初はパンクバンドでしたが、当時のニューヨークの最先端のカルチャーを柔軟に取り入れ、ディスコやスカ/レゲエ、さらに80年にはいち早くラップをフィーチャーした曲をリリースしています。

この壁画をデザインしたのは日本でもおなじみのObeyのシェパード・フェアリー。2017年にObeyとブロンディがコラボレーションしたプロジェクトの一環として描かれました。シェパード・フェアリーは2000年頃からアンドレ・ザ・ジャイアントモチーフにしたポスターを街角に貼っていく活動で話題になりましたが、一般層にも知られるようになったのは2008年のアメリカ大統領選でオバマ候補(当時)のHOPEと書かれたポスターがオフィシャルイメージとして採用されてからでしょう。

ジョーイ・ラモーン通り

CBGB跡地のすぐ北にあるバウリーと東2丁目の交差点には2001年に亡くなったラモーンズのジョーイ・ラモーンを偲んで、「Joey Ramone Place」と書かれた標識が建っています。ニューヨーク市から公式に「ジョーイ・ラモーン通り」と名付けられたのです。手癖の悪いファンのせいでしょうか、この標識は何度も盗まれており、ニューヨークで最も盗まれた標識とも言われています。

ラモーンズといえば、彼らの3枚目のアルバム『Rocket to Russia』のジャケットはCBGBの裏口で撮影されたものです。東1丁目から建物の裏口に通じる袋小路の道(EXTRA PL)があるので、同じ場所で同じような写真を撮ってみてはいかがでしょうか。

CBGBがクローズして10年以上。姿は変われど、このエリアにはパンクのスピリットが残っています。ロック好きの方は、散策やショッピングの合間に、少し寄り道をして、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。あなたが立っているその場所に、かつてCBGBに出演したロックスターが立っていたかもしれません。

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