食や空間を通じて、異国を旅している気分に浸れる。
そんな一軒を紹介していきたいと思います。

今回はモロッコの素朴で温かい家庭料理をいただきました。

モロッコの雑貨も扱うショップも兼ねた「DALIA食堂」

洒落た空間でおいしいモロッコを供する「DALIA食堂」は日本橋大伝馬町2丁目にあります。
あたりは江戸時代には各種問屋、薬屋、商店が軒を連ねた地域。
江戸時代創業の商店が現存していたり、秋には日本橋名物のべったら漬けの屋台が並ぶ、恵比寿様の神社がある、そんな一角に店は立地しています。


モロッコの絨毯が敷かれた席。なごめます

店には、販売するモロッコなどの工芸品、雑貨が飾られ、それらが味わい深い家具、風情あるカトラリーや食器、淡い緑に塗られた壁、暖色のスポット照明などとあいまって、空間をとても温かく、くつろいだ雰囲気にしています。




耐熱のティーグラスやタジン鍋など、店で使うカトラリーも販売

料理をつくる店長の佐々木志帆さんは、モロッコの家庭料理を学ぶためマラケシュでホームステイした経歴がある方。
かつて日本でフレンチレストランに勤めていた彼女は、素朴でいて、フランス料理にも多くの影響を与えているモロッコ料理に惹かれたそうです。
滞在先が女性ばかりの家族構成で、一日中誰かが料理をつくっている状況に恵まれ、さまざまな家庭料理のレシピを修得できたようです。




モロッコビールとよく合う「ブリック」。チュニジアやモロッコの料理。ジャガイモ、チーズ、半熟卵などを包み揚げたもの

取材では、お酒が進む揚げもの、モロカン・サラダ、タジン鍋を用いた煮こみ料理をいただきました。
どれも野菜たっぷりで、身体にやさしい味。ちょっと蒸す夜でしたが、レモンやオリーブ、プルーンのほどよい酸味、甘味が食欲を促してくれます。
さっぱり、けれど滋味深い。そんなおいしさに感銘を受けました。




トマトやキュウリ、オリーブなどを刻んだモロカン・サラダ

日本人の嗜好に合わせて、アレンジしているのか、佐々木さんに伺うと、「とくにしていません」という返事。
日本の食材を用いてはいるけれど、レシピはあくまで現地に忠実。
モロッコでもレストランや北部の料理は香辛料をたくさん使っているけれど、マラケシュなど南方の町、しかも家庭料理はクセがなく、日本人の口にも合うのだそうです。
ちなみにマラケシュはトマトを使う料理が多く、店に食べにきたモロッコ人が「これは自分の国で食べるものと同じ味。南方の料理だね」と言うので、何かしらマラケシュの料理には特徴があるのかもしれませんと、佐々木さんは話します。





レモンと鶏のタジン。さわやかな味わいに魅せられました





ビーフとプルーンとアーモンドのタジン。モロッコではパンの「ホブス」と一緒にメインディッシュを食べます。現地の「ホブス」は大きく、ちぎって口に運びますが、佐々木さんが店の厨房で焼く「ホブス」はかわいいサイズ





彩りに華がある野菜のタジン




しっかりと甘いミントティー。ポットもグラスもモロッコのもの

とてもリラックスしながら空間の雰囲気と、モロッコの家庭料理を満喫。現地を旅しているような気分で、心地よく過ごすことができました。この日は席を予約して伺いましたが、昼も夜も人気の店ですので、予約をおすすめします。あらかじめ、食べたいものが決まっていたら、じっくり煮こむ料理もあるので、予約の際に頼んでおくと当日はスムーズとのことです。東京にいながら異国情緒を愉しめる、そんな素敵な一軒にまた出合えました。


【DALIA食堂】
中央区日本橋大伝馬町2-9
電話03-3663-3021（昼・夜とも予約がベスト）　
営業日・時間／火・水曜12:00～20:00（L.O.19:00）、木・金・土曜15:00～22:00（L.O.21:00）
定休日／月曜・祝日（臨時休業あり。事前に電話で確認を）