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【イタリア】中世から続くオレンジの投げ合い?!世にも奇妙なイヴレアのオレンジ合戦
<トップ画像:Photo by Pixabay Public Domain>
イタリアに伝わる謎のお祭り「オレンジ合戦」とは?この記事では、白熱のカーニバルをご紹介します。
※写真はイメージです。クリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています
参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
目次
イタリアのカーニバルと言えばヴェネチアが有名ですが......
<1月末から2月初めに開催されるヴェネチアのカーニバル/Photo by Pixabay Public Domain>
新年から春先にかけてのイタリアの楽しみといえば、何といってもカーニバル。カーニバルと言えば真っ先にリオデジャネイロが思い浮かびますが、実はイタリアもカーニバル大国なのです。
クリスマスが終わり新年を迎えて新春セールもひと段落する2月の2週間、イタリア全土はお祭りムードに包まれます。
カーニバルの由来は、キリスト教の習慣から
なぜ、この時期はイタリア各地でカーニバルが行われるのでしょう。イタリア語でcarnevaleとは、「肉の食べ納め」という意味。
かつてキリスト教ではイースター(復活祭)の直前約1ヵ月間は肉や卵を食べることが禁止されていました。そこで、その直前2週間は思い切り飲み食いをしてお祭り騒ぎをしようじゃないか!と始まったのがカーニバルの起源だと言われています。もちろん、それと併せて春の到来を祝う意味もあったでしょう。
現在では実際にイースター前に食事制限をする風習は無くなりましたが、お祭り騒ぎをする習慣は残り、それが様々な形に発展して、各地で独特のカーニバルが行われるようになったのです。
イタリアのカーニバルと言えば、ヴェネツィアで行われる仮面・仮装カーニバルが有名です。実際、カーニバルの基本形が確立されたのは、ヴェネツィアが始まりと言われています。
その由来は、ヴェネツィア市長が貧しい下層民たちを見かねて、この日だけは全員仮面を付けて身分を分からなくし、貧富の隔たり無く騒いで楽しもう、という趣旨だったのだとか。そのため、各地のカーニバルでも仮装をしたり、デコラティブな山車でパレードをしたりというものが多くみられます。
<Photo by Visit Tuscany/flickr>
「ある物」を投げつける、イヴレアのカーニバルとは?
さて、そんなイタリアのカーニバルの中で、世にも奇妙な珍祭がトリノ近郊のイヴレア(Ivrea)という街で行われます。この「イヴレアの歴史的カーニバル」では、2月に1週間ほどかけて、歴史的衣装を身に着けた人々によるパレードなどが行われます。
<Photo by Gio-S.p.o.t.s./flickr>
お祭りを越えて闘いに?白熱のオレンジ合戦!!
しかし、このカーニバルの最大にしてメインのイベントは、パレードではなく、ラスト3日間に行われるオレンジ合戦。文字通りオレンジを投げ合うお祭りなのですが、これがなかなか過酷なのです。オレンジ合戦の起源は中世にまで遡り、当時の独裁君主に対して民衆が蜂起したという史実をモチーフにしています。
したがって、このお祭りはもはや「戦闘」そのもの。オレンジはここでは「武器」なのです。
馬車の上に乗るのは暴君役の市民、そしてその暴君に向かって力の限りオレンジを投げつけるのは民衆役の市民たち。全部で8~9チーム、5つの広場に分かれて陣地を張り、そこに現れた暴君を民衆がやっつけるという構図です。
<Photo by Carmelo Speltino/flickr>
シチリアのオレンジが、イブレアの空を飛び交う光景は......
しかし暴君も黙ってはいません。猛然と反撃に出て、容赦なくオレンジを投げつけてきます。上方から飛んでくるオレンジは想像以上に硬く、ひどいときには流血する人も!
当初は豆が投げられていましたが、いつの間にかオレンジに変わったそう。オレンジは遠くシチリアから運んで来られ、その総量は数百トンにも及ぶのだとか。
<Photo by Farah Serra/flickr>
決死の戦いは3時間ほど続き、終わった後はまさに戦の痕。街中がオレンジの残骸とフレッシュな香りに包まれます。精根尽き果てた参加者たちは互いに健闘を称えあって帰路に。
危険でクレイジーなカーニバルですが、真剣に戦いあった後には不思議と清々しさが漂い、昨年一年分のストレスが一気に消え去っていくようです。
<Photo by Farah Serra/flickr>
旅行者も参戦可能!ただし、くれぐれもケガには気をつけて......
オレンジ合戦には、私たち観光客も参加することができます。しかし、不安な方は会場で売っている赤い帽子を被りましょう。これは「観光客なので攻撃しないで」という意味になります。
けれど、流れ弾を避けられず頭をオレンジが直撃、なんてこともありえるのでご注意を。オレンジ合戦を観に行くときは、汚れても良い服や歩きやすい靴で向かうようにしましょう。
<Photo by Carmelo Speltino/flickr>
何かを思いきり人に投げつけるなんて日本ではなかなかできないこと。一年のストレスや鬱憤をオレンジ合戦でスッキリ発散してみれば、清々しい思いで一年のスタートを切れるかもしれません。
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