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こんな墓なら入りたい? 世界で唯一お墓が観光名所となったルーマニアの『陽気な墓』は、意外と陽気ではなかった?!
ルーマニアの北西部、ウクライナとの国境近くにあるサプンツァという小さな村。ここには世界でも類を見ない『陽気な墓』と呼ばれる不思議なお墓があります。一般的にお墓というと、陰気で暗く、人があまり立ち寄らないようなイメージがありませんか? ところがこの墓地は、毎年3万人もの人が訪れるほどの賑やかな観光地となっています。
青を基調に鮮やかな装飾で彩られたお墓には、そこに眠る人の生前の職業や人柄・趣味などがユーモラスに描かれていて、今までのお墓への概念が覆されるような和やかな雰囲気が漂います。その昔、サプンツァ村のパトラシュという木彫り職人の青年が、愛する人を亡くした悲しみを癒すために楽しい墓をつくることを考案しました。絵を見るだけでその故人の人生が想像でき、何度でも訪れたくなる陽気な墓は、徐々にこの村の風習として広まりました。
こんなお墓なら入りたい! そう思われる方も多いかもしれません。しかし様々なお墓をじっくり見ていると、車に引かれている絵や銃殺されている絵、首を刀で切られている人の絵など、残虐な絵がたくさんあることに気付きます。そう、人によっては死因や不幸な出来事が描かれていて、全く陽気だなんて言えなくなってしまうのです...。これらは故人のありのままの人生を記録し"笑う"ことで哀悼する、この地方独特の文化でもあるそうです。
故人を笑顔で見守るという陽気な墓の風習は現在も続いていて、近くにあるパトラシュ記念館のアトリエでは、今もお弟子さんたちが新しい墓標を掘っている姿が見学できます。自分の人生が1枚の絵になるとしたら? あなたのお墓にはどんな絵が描かれるのでしょうか。
文:南まい
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