連載特集全8回

「旅するギタリスト」村治 佳織さんの音楽とめぐる情熱のスペイン

Campo de Criptana El Toboso /spain

白き風車が見下ろす大地、冒険の物語が今も息づくカンポ・デ・クリプターナ

Muraji Kaori

村治 佳織

profile

世界的クラシックギタリスト。15歳でCDデビュー。2026年4月より静岡音楽館AOI第3代芸術監督。国内外で演奏活動を行うほか、TV・ラジオなど各メディアでも活躍中。

白い風車が丘に並ぶカンポ・デ・クリプターナの街並み

#大好きな街

村治 佳織

曲の表現に深みを与えてくれた 小さな町での忘れられない体験。

マドリッドで暮らした当時、村治さんは、観光ツアーでは訪れる機会の少ない地にも足を運んだそう。そのひとつがスペイン中部の小さな町、カンポ・デ・クリプターナ。ここは17世紀に書かれた長編小説『ドン・キホーテ』の主人公が、巨人と間違えて突進したシーンでも描かれる風車で有名です。
「当時演奏していた『粉屋の踊り』という曲の最後で徐々に早くなるテンポは、風車が回る勢いが増していく様子を表現したと言われています。抜けるような青空の下で乾いた大地を踏みしめて、ジリジリするような強烈な日差しを肌で感じる目の前には真っ白な風車。この地に身を置いていると、自然と『粉屋の踊り』のメロディーを思い出しました」
さらに、村治さんは近くのエル・トボソ村も訪れたのだとか。この村は『ドン・キホーテ』の主人公が思いを寄せるドゥルシネア姫の故郷とされています。

「牛飼いが牛を連れて行き交い、道端で村人たちがのんびりとおしゃべりを楽しむ...。車でほんの2時間ほどの距離にあるマドリッドとはまるで別世界で、この村だけ時間がゆっくりと流れているような光景でした。欲張らず、昔ながらの穏やかな暮らしを大切にしたいという村人たちの思いが村の空気に溶け込んでいるようで、これもまたスペインの多彩な魅力のひとつなのだと感じました」
ギターの故郷・スペインでのこうした一つひとつの経験が糧となり、音楽家・村治佳織が奏でる一音一音を支えているのです。

「ドン・キホーテ」ゆかりのトボソ村を訪れた村治佳織さん
▲「ドン・キホーテ」ゆかりのトボソ村で作品の世界観に浸りながら。
青空と白い風車を背にした村治佳織さん
▲青空と白い風車、スペインらしい風景とともに。

この都市にまつわる曲はこちら!

「粉屋の踊り」

スペインの作曲家、マヌエル・デ・ファリャの曲。カンポ・デ・クリプ
ターナを訪れた後は、この曲の演奏もいっそう熱が入るようになりました。お聞きになって、この町にも興味をもっていただけたらうれしいです。

CDジャケット

村治 佳織

演奏するたびに
この町を
思い出します

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