

全国に104件ある「日本遺産」。少し難しそうに感じるかもしれませんが、実はあなたの旅をもっと楽しくしてくれる物語が詰まっています。
この連載では、そのストーリーを紐解きながら、思わず訪れたくなる旅をご提案します。
今回旅するのは、島根県にある津和野町。
風情ある町並みの中に、風景や文化などが大切に受け継がれ、今も息づいています。
今回は、480余年の歴史をもつ「鷺舞神事」を訪ね、今に伝わるその姿をご紹介します。
あわせて、津和野の旅の途中に立ち寄りたい日本遺産を感じるスポットなど、日本遺産ソムリエでもあり、島根県ふるさと親善大使でもある筆者のおすすめをお届けします。
目次
町への愛情を感じる津和野の日本遺産「津和野今昔~百景図を歩く~」
山陰の小京都「津和野」とは?
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<秋には黄金色の銀杏が美しい「殿町通り」>
島根県西部に位置する津和野町。「萩・津和野」として隣接する山口県の萩市と併せて覚えている人も多いかもしれません。
江戸時代の面影を残す町並みや今も受け継がれる伝統文化など、歩くほどに歴史を感じられる町です。
東京からは羽田空港から萩・石見空港まで約90分。空港から乗り合いタクシーで津和野まで約1時間でアクセスできます。また、萩・石見空港から益田駅を経由して、列車で津和野駅へ向かうこともできます。
車窓からの景色も美しいので、列車旅が好きな人にもおすすめ。
津和野駅からは歩いて観光できるのもうれしいポイントです。
心地よい空気が流れる津和野をゆったりと堪能しましょう。
町への愛情を感じる津和野の日本遺産「津和野今昔~百景図を歩く~」
津和野の日本遺産のタイトルは「津和野今昔~百景図を歩く~」。
明治時代に作成された「津和野百景図」には幕末の津和野の町並みやお祭りの様子、そしてそこに暮らす人々の姿が100枚の絵にいきいきと描かれています。
当時の様子が手に取るように分かる百景図。これだけでも素晴らしいのですが、津和野の日本遺産の魅力は、百景図の中だけにとどまりません。今の町並みにも、その面影が息づいています。
津和野を歩けば、百景図に描かれた江戸時代末期の風景とほぼ変わらない景色を多く見ることができるのです。
今回はその中でも約500年の歴史を持つ「鷺舞神事」を見てきました。
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<町中に建てられた「鷺舞神事」のモニュメント>
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<お堀を泳ぐ大きな鯉>
約500年の歴史と重なる鷺舞神事
日差しが眩しい夏の盛りに行われる鷺舞神事。
毎年、祇園祭の7月20日と27日に町内の決められた場所で舞われます。
室町時代に京都の八坂神社から山口を経て津和野に伝わった鷺舞。
長い歴史の中で、もっとも伝統的なかたちが受け継がれているのが津和野の鷺舞神事です。
赤い袴や鷺の頭を模した被り物など、特徴的な鷺の姿をした2人の舞方が、太鼓や笛を奏でる囃方や唄方と共に行列を作り、津和野の町を進む様子は、熱気と共に厳かさを感じさせます。
舞方が両手を広げると一層目を引くのが、檜の板で作られた真っ白な羽。
羽を動かすたびに聞こえる軽妙な音は、神事という気高さを伝える響きです。
約500年前から続く鷺舞が、今も同じ津和野の町で舞われている。その姿を目の前にすると、脈々と受け継がれる歴史や伝統が今につながっていることを実感しました。
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<神事を取り仕切る「頭屋」の前に飾られる「笠鉾」>
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<厳かな雰囲気が漂います>
日本遺産をもっと身近に感じる立ち寄りスポット5選
日本遺産の構成文化財から、旅の途中に立ち寄れるカフェまで。津和野の歴史や文化を感じられる5つのスポットをご紹介します。
津和野日本遺産センター
まず外せないのは「津和野日本遺産センター」。
津和野散策のはじめに立ち寄りやすい場所に位置しているので、旅の最初に訪れて津和野の町について知るのがおすすめです。
館内には百景図の解説がずらりと並び、描かれた風景の多様さを知ることができます。
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<館内では百景図の解説がずらりと並びます>
今回は館内のコンシェルジュの方に百景図の解説をしていただきました。
事前申し込みは必要なく、その場でお願いすれば案内をしてくれるという気軽さがうれしいです。
日本遺産の「御周印帳」もここで押してもらうことができます。
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<日本遺産の「御周印帳」>
解説を聞いた後には百景図を見る目ががらりと変わりました。
元々は「幕末の様子を詳しく描いた絵たち」という印象。
でも、描いた人の人物像や当時の藩主との関係などを聞くと、単なる「記録」としての絵ではなく、津和野への愛情を描いた「かけがえのない日常の記憶」だということを実感しました。
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<手ぬぐいや写真集などグッズが豊富>
津和野町日本遺産センター
- 所在地(住所):島根県鹿足郡津和野町後田ロ253
- 電話:0856-72-1901
- 営業時間:9:00~17:00
- 休館日:月曜(月曜が休日のときは翌日)
- 入館料:無料
香味園上領茶舗
町には「まちなかコンシェルジュのお店」がいくつかあり、日本遺産のことはもちろん、津和野の町についても気軽に尋ねることができます。そんなお店の一つが、藩政時代に創業した「香味園上領茶舗」。津和野で古くから親しまれている「ざら茶」をはじめ、ざら茶をベースにしたハーブティーやスイーツなどを楽しめるカフェです。
私自身、数年前に初めて津和野を訪れて以来、津和野に滞在する際には欠かさず立ち寄り、お茶のお土産もここで購入しています。香ばしさとほんのりとした甘さが特徴のノンカフェインのざら茶をいただきながら、店の方に津和野のことを尋ねてみるのもおすすめです。
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<香りを楽しみながら選べます>
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<季節に合わせたブレンドティーとざら茶バスクチーズケーキ>
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<大きな窓から町の様子を眺めてゆったり過ごせます>
香味園上領茶舗
- 所在地(住所):島根県鹿足郡津和野町後田ロ263
- 電話:0856-72-0266
- 営業時間:10:00~17:00
- 定休日:月・火曜
- 入館料:無料
津和野城跡観光リフト
津和野百景図の中で描かれている津和野の美しい町並み。そんな景色を一望できるのが津和野城跡です。日本遺産の構成文化財の一つで、百景図のなかにも多く登場しています。
津和野城跡までは徒歩で行くこともできますが、急な坂道などハードな道が続きます。「津和野城跡観光リフト」に乗って途中まで進むこともできます。
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<下りでは百景図にも登場する町のシンボル「青野山」が目の前に>
リフトを降りてからは片道約20分。途中には城を守るための工夫が施された道や精緻に積み上げられた石垣などがあり、発見の連続です。
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<美しい石垣も見どころ>
登った先に待っているのは、なだらかで優しい丸みを帯びた青野山、そしてこの地域ならではの表情を生み出すオレンジ色の「石州瓦」が連なる町並み。
日本遺産センターで百景図について知った後に眺めると、目の前の景色がまた違って見えます。かつて描かれた風景と今の津和野が重なり、ここで大切に守られてきた時間に思いを馳せました。
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<町と自然の風景を一度に感じられる>
津和野城跡 観光リフト
- 所在地(住所):島根県鹿足郡津和野町後田
- 営業時間:9:00~16:30(下り便最終運行:16:20)
- 料金:往復700円、片道400円
太皷谷稲成神社
全国でも珍しい「稲成」の文字をもつ神社。「願い事が成就する」ということで、島根県内はもちろん、全国からも多くの人がお参りに訪れます。
山肌に沿って連なる真っ赤な千本鳥居やお供え物のお揚げなど、見どころの多い神社です。
なかでも目を引いたのが、白狐をかたどった可愛らしい絵馬。願い事を書いた後、目や頬に思い思いの色をのせて奉納できます。
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<可愛らしい狐の絵馬>
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<鮮やかな朱塗りの社殿>
太皷谷稲成神社
- 所在地(住所):島根県鹿足郡津和野町後田409
美松食堂
太皷谷稲成神社に参拝した後には「稲成寿司」はいかがでしょうか。
太皷谷稲成神社の麓にある「美松食堂」では、ちょっと変わった稲成寿司をいただくことができます。
ふっくらと炊き上げた酢飯をやさしく包むのは黒いお揚げ。
砂糖をじっくり煮詰めることで、コク深く、つややかになった稲成寿司。
旅の疲れを癒してくれる味わいでした。
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<三角形の稲成寿司>
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<蕎麦やうどんもいただける>
美松食堂
- 所在地(住所):島根県鹿足郡津和野町後田ロ59-13
- 電話:0856-720-077
- 営業時間:11:00~15:00
- 定休日:水曜
まとめ
町の人々が大切に守ってきた景色や文化が、今も息づく津和野。
百景図に描かれた風景と今の町を重ねながら歩いていると、歴史は特別な出来事だけでつくられるものではなく、そこに暮らす人々の日々の積み重ねによって紡がれていくものなのだと感じます。
津和野の町をゆったりと歩きながら、歴史の1ページと重なる時間を過ごしに行ってみてはいかがでしょうか。
【取材・執筆協力】津和野町日本遺産活用推進協議会
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水木 彩也子
- 俳優/トラベルリポーター 旅番組リポーターやラジオパーソナリティーの経験を活かし、実際に訪れて感じた空気感や体験を大切に心を動かす旅の魅力をお届けします。日本遺産のPV出演をきっかけに関心を持ち、日本各地の日本遺産を旅しています。日本遺産ソムリエ。イベント登壇やPodcast「旅と日々とラジオと」でも旅や日本遺産について発信中。
































