

京都の魅力は、美しい寺社や四季折々の風景だけではありません。
京都には、長い年月をかけて育まれた豊かな地下水脈が広がり、人々の暮らしや文化を支えてきました。茶の湯や京料理、日本酒、和菓子、豆腐など、京都の食文化の多くは、この良質な水によって育まれたもの。古くから「名水」と呼ばれる場所が点在し、それぞれに歴史や物語が受け継がれています。
今回は、京都の名水を3か所ご紹介します。
1つめは、京都三名水で唯一現存する、梨木神社境内にある「染井の水」。そして、NHK BSの人気ドラマシリーズ「京都人の密かな愉しみ」にも登場し、地域の人々に大切に守られてきた「銅駝水(どうだすい)」。最後は、かつて丹波や若狭と京都を結んだ鯖街道のひとつ、鷹峯街道沿いにある「杉坂の船水」です。
名水をめぐることで見えてくる、もうひとつの京都の魅力を訪ねてみましょう。
目次
- 京都三名水で唯一現存する「染井(そめい)の水」」
- NHK BSドラマ「京都人の密かな愉しみ」のロケ地にも登場!「銅駝水(どうだすい)」
- 鯖街道沿いにある秘境の名水「杉坂の船水」
- まとめ:京都の名水をめぐって歴史と文化を感じよう
京都三名水で唯一現存する「染井(そめい)の水」」
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<萩の名所でもある梨木神社>
まずご紹介する名水は、京都市上京区の梨木神社境内にある「染井(そめい)の水」です。梨木神社は、明治維新の功労者である三條実萬公、実美公の父子をお祀りしています。9月頃には境内に萩の花が咲くことから、萩の名所としても知られています。
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<秋には萩の名所として賑わう>
梨木神社の境内は、平安時代には藤原良房の邸宅「染殿第(そめどのてい)」があった場所と伝えられています。「染井」という名前の由来には、この「染殿第」にちなんだという説や、宮中の染所で使われていたことに由来するという説など、いくつかの説があります。はるか平安の時代から、この地では良質な水が利用されていたのでしょう。千年以上の時を超えて今も湧き続ける「染井の水」には、京都の長い歴史が静かに刻まれています。
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<京都三名水で唯一現存する「染井の水」>
かつて、梨木神社の「染井の水」、そして「佐女牛井(さめがい)」、「縣井(あがたい)の水」が京都三名水と呼ばれていました。残念ながら、ほかの2つはすでに現存せず、「染井の水」は現在も湧き続けている貴重な井戸水です。
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<染井の水の口当たりは、まろやか。>
「染井の水」はさらっとして、まろやかな口当たり。こちらの水を毎日汲みに来られる方も多いそうです。梨木神社の授与所では、御神水用のペットボトル(500ml)も用意されているので、手ぶらで訪れても御神水をお土産に持ち帰れますよ。
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2022年には、境内に染井の水を使用したカフェもオープン。水汲みと合わせて、カフェでちょっとひと休みするのもおすすめです。
梨木神社「染井の水」
- 所在地(住所):京都市上京区染殿町680 梨木神社境内
- 営業時間:井戸の蛇口開栓時間は、6:00~18:30頃まで
NHK BSドラマ「京都人の密かな愉しみ」のロケ地にも登場!「銅駝水(どうだすい)」
2015年からNHK BSにてシリーズが始まった人気ドラマ「京都人の密かな愉しみ」。2026年には新シリーズも放映され、人気が再燃!ドラマのロケ地を巡る"聖地巡礼旅"も話題となっています。
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<ドラマのロケ地としても登場する銅駝水(どうだすい)。>
ドラマにもたびたび登場したのが「銅駝水(どうだすい)」。直近のドラマでも、渡辺謙さん演じる大学教授がこの水を汲みに行くシーンが描かれました。ドラマファンの方が、聖地巡礼として訪れることも多いそうです。
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<阪神淡路大震災の被災地支援をきっかけに設置された防災用地下水。>
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<地下水管理費協力金の箱もあります。利用の際はぜひご協力を。>
ちなみに、この銅駝水は昔からある井戸ではなく、鴨川のすぐそばにある銅駝地区の方々によって整備された「防災用地下水」です。1995年の阪神・淡路大震災で被災地支援のため現地を訪れた銅駝自治連合会のメンバーが、災害時の水の大切さを痛感し、銅駝会館内に井戸を設置することになりました。
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<銅駝水は24時間汲むことができます。>
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<すぐ近くには鴨川の飛び石。ここもドラマのロケ地になりました。>
銅駝地区の皆さんによって大切に管理・整備され、今では近くのコーヒー店や飲食店の方も水を汲みに来るほど、地域で愛される水となっています。京都市内中心部にあるので、マイボトルを持参して、銅駝水を汲んでみてはいかがでしょうか?
銅駝会館「銅駝水」
- 所在地(住所):京都市中京区鉾田町542
- 営業時間:24時間利用可能
鯖街道沿いにある秘境の名水「杉坂の船水」
最後は、京都の山道沿いにある名水をご紹介します。
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<金閣寺からさらに北へ。鷹峯街道へと向かいます>
京都市北区にある金閣寺から少し北へ進み、かつて丹波や若狭と京都を結ぶ鯖街道のひとつとして知られる、鷹峯街道の京見峠(きょうみとうげ)へと向かいます。
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<細い山道を進みます>
この辺りからは、車の離合がしにくい細い一本道を進んでいくと、水汲み場が見えてきます。
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<名水「杉坂の船水」が見えてきました>
こちらの水は「京見峠の湧水」「杉坂の船水」と呼ばれています。大きな看板があるわけではないので、初めて行く方は見逃さないように気をつけてください。目印は、京都市内方面から向かった場合、「山の家はせがわ」という洋食店。「山の家はせがわ」を越えると、すぐに「杉坂の船水」が見えてきます。
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<24時間お水は汲めますが、天候によって水量が異なります>
鉄道も路線バスも通っていない鷹峯街道の先にあるので、まさに「秘境の名水」。県外ナンバーの車を見かけるほど人気があります。
以前、ある料理屋のご主人も毎日この名水を汲みに行き、出汁を取る際に利用されていると伺いました。プロの料理人にも愛されている名水です。
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<湧き水なので煮沸し、コーヒーやお茶を入れるのに使用します>
私自身も何度か水を汲みに来ていますが、いつもと同じ茶葉やコーヒーでも、まろやかな味わいに仕上がります。なお、こちらの湧き水には水質検査情報の掲示はありません。飲用する場合は自己判断の上、煮沸するなど、十分に注意して利用することをおすすめします。
杉坂の船水
- 所在地(住所):京都市北区鷹峯船水
- 営業時間:24時間利用可能
まとめ:京都の名水をめぐって歴史と文化を感じよう
京都の名水は、ただ「おいしい水」というだけではなく、その土地の歴史や文化、人々の営みを今に伝える貴重な存在です。
宮中の文化と結びついた水、町の暮らしを支えた水、街道を旅する人々の喉を潤した水。それぞれが異なる物語を持ちながら、京都というまちを育んできました。名所やグルメを巡る旅も魅力的ですが、「名水」をテーマに京都を歩いてみると、普段とは違った景色が見えてくるかもしれません。水の音に耳を澄ませ、その土地に流れる時間や歴史に思いを馳せる。そんな少し贅沢な京都旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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まーち
- 京都生まれ。京都に生まれ育ち、東京での会社員生活を経て京都へUターン。現在は京都観光、地域の情報発信などをテーマにコーディネーター、ライターとして季節のおすすめスポットやグルメ、伝統工芸、アートなど京都の街の魅力を発信中。好きなものは、珈琲、焼き菓子、お蕎麦、日本酒。































