【ドイツ】ラーメン激戦区のフランクフルトに、新たに喜多方ラーメン店が誕生!

フランクフルトの喜多方ラーメン

海外の旅行先で土地の名物に舌鼓を打っていても、ふと日本食、とりわけラーメンが食べたくなることはありませんか?そんな願望を満たしてくれるのが、日本人が営むラーメン店が多いフランクフルトの街。

各店が日々しのぎを削りあっている同地に、日本三大ラーメンの一つ、喜多方ラーメンが新登場!日本国内に67店鋪、海外に8店舗を持つ「喜多方ラーメン坂内(KITAKATA RAMEN BAN NAI)」が、2025年2月17日にグランドオープンしました。

ヨーロッパ1号店となるフランクフルト店の魅力を、社長の金原明宏さん、ディレクターで店長を務める上り濱龍次さんに伺いました。

喜多方ラーメン坂内 外観

喜多方ラーメン坂内 ラーメン

ドイツラーメン激戦区

※それぞれのお店の公式サイト、SNSにリンクします。

目次

並いる喜多方ラーメン店の中でも三本の指に入る坂内食堂

人口約5万人に対して100軒以上ものラーメン店がひしめく喜多方市。その中において、喜多方ラーメン御三家と呼ばれているのが「坂内食堂」です。

この味を広く世に知らしめたいという思いから、飲食チェーン「麺食」が設立され、坂内食堂の精神を受け継ぐ「喜多方ラーメン坂内」が誕生。日本国内にはもちろん、アメリカに8店舗を構え、9店舗目のフランクフルト店が欧州初進出となりました。

上り濱さん(以下、上り濱)「うちの会社の創業者で現会長の中原明が、坂内食堂へ修行に行ったのが始まりです。そこで認められて、のれん分けというような形で、店名の"坂内"をいただくことができたのです」

喜多方ラーメン坂内 日本店
<1958年の創業以来、喜多方の地で愛され続けている坂内食堂>

喜多方ラーメンは麺が命

上り濱「日本の三大ラーメンである博多ラーメンはとんこつ、札幌ラーメンは味噌というようにスープが定義となっていますが、喜多方ラーメンの定義は麺。平打ちで、加水率40%以上という多くの水分を含ませじっくり寝かせて作る麺は、平打ち熟成多加水麺と言われています。

水分量が多い麺は繊細なので、保管の仕方から、麺の切り方、茹でたあとの湯切りなど、最後まで扱いに気が抜けません。しかしその分、茹で上がりの麺はツヤがあって、もっちりした食感が楽しめます」

喜多方ラーメン坂内 ちぢれ麺
<太麺で不ぞろいのちぢれが特徴的で、しっかりした歯ごたえがあります>

ヨーロッパ初進出となるフランクフルト店

エリアを選んだ理由

フランクフルトの中でもラーメン店が集中するエリアに出店した同店。今までドイツにはなかった喜多方ラーメンというジャンルで差別化は図られていますが、なぜこのエリアを選んだのでしょう?

金原さん(以下、金原)「フランクフルトはヨーロッパを中心に、世界各地から金融マンたちが集まる街。舌の肥えたグローバルな方々が多いところで、我々、創業37年の"坂内"のラーメンがどれくらい評価されるか勝負したいという思いがありました」

麺へのこだわり

喜多方ラーメンの要となる麺は、日本と同様、喜多方きっての老舗製麺所「蘇我製麺」の麺を使われているそうですが、冷凍コンテナで運んでいらっしゃるんですね。

金原「そうですね。麺は、切った断面に空気が触れると乾燥して風味が落ちていくので、麺体(シート状にした麺)で取り寄せています。毎日その日に使う分だけを、麺切り機で切って、手揉みして提供しています。

麺は、切りたて、揉みたて、茹でたてが一番。お店の一角で麺を切り、そこで手揉みをするのですが、パフォーマンスとしてだけではなく、麺の美味しさを視覚でも伝えたかったんです。

ゆくゆくは、土曜日の午前中などに、お子様が自分で麺を切って揉んで、それを食べるというイベントができたらいいなと思っています」

手揉みで作られる触感のちぢれ麺

手揉みのお話が出ましたが、喜多方ラーメン特有のちぢれは手で揉むことによって作られるのでしょうか。

上り濱「はい。機械ではなく、人の手で揉むことによって不ぞろいで独特のちぢれができるので、噛んだときに様々な食感が楽しめるのが特徴です」

金原「揉みすぎると水分を吸いすぎて食感が悪くなってしまうし、揉みが甘いとモチモチ感が弱くなってしまう。バランスの良い麺は、まず噛んだときプリッとしていて、噛んでいくと芯があって、最後噛み切るときにプツンと切れるんです。

このような理想的な麺になるよう、スタッフは、蘇我製麺の社長直々に手揉みの講習を受けています」

喜多方ラーメン坂内 麵づくり

喜多方ラーメン坂内 麺をほぐすところ

喜多方ラーメン坂内 麵づくり

あっさりとしつつも深みのあるスープなど、日本の"坂内"の味を再現!

手揉み麺に合わせるスープは日本と同じもの?

上り濱「日本は、醤油、味噌、塩があるのに対して、こちらでは、醤油、味噌の2種類。日本と同じメニュー名のものもありますが、だしの取り方、作り方の多くが異なります。日本とは環境、食材が違う中で、日本の"坂内"の味を再現するべく、苦心しながらベストな味に仕上げました」

金原「チャーシューやスープ用の豚を解体業者から直接仕入れて、早朝から丁寧にスープを炊いてるなんて、なかなかドイツにはないと思います」

味噌ラーメンをいただいたのですが、香ばしい味噌の味わいの中に、まろやかさや少しピリッとした辛味もあって、深みを感じました。

上り濱「日本やその他の国の味噌を数種類ブレンドしています。味噌の組み合わせ、配合、調理工程、材料を入れる順番、熱の通し方など、細かな部分まで試行錯誤して完成させました。日本とは少し違う味ながら、自信を持って提供できる味に仕上がったと自負しています」

喜多方ラーメン坂内 ラーメン

野菜だしスープと豆腐

ベジタリアンやビーガンの需要が一定数あるドイツにおいて、すべてのラーメンが、「豚骨スープとチャーシュー」から「野菜だしスープと豆腐」に変更ができるのも大きな魅力ですね。

金原「"坂内"の看板商品である喜多方ラーメンの醤油味を、欧州のお客様にも召し上がっていただきたいという想いで開発したドイツオリジナルの商品です。野菜だしスープは、昆布をメインに野菜をふんだんに使って炊いています。豆腐は揚げ出し豆腐っぽくしているので、そのままでも美味しいですよ」

喜多方ラーメン坂内 豆腐がのったラーメン

じっくり煮込んだチャーシュー

ラーメンの上に乗っているチャーシューもとろとろ柔らかですね!

上り濱「数時間かけてじっくりお肉を煮ていくのですが、昆布を入れて旨味成分がしっかり感じられるようにしています。ドリップ(肉汁)が出ないよう管理を徹底しているのも美味しさの秘密です」

金原「そんなチャーシューを存分に味わえるネギチャーシューラーメンが店のイチオシ。白髪ネギは、長ネギの代替えとしてポロネギを使用し、さらにオリジナルのドレッシングを絡めていて、これが程よく脂ののったチャーシューに合うんです」

喜多方ラーメン坂内 チャーシュー

喜多方ラーメン坂内 チャーシュー麺

好スタートを切ったフランクフルト店、これからの展開は?

スタイリッシュな店内
<木目調で統一されたスタイリッシュな店内。郷土玩具の赤べこなどが可愛らしいアクセントに>

今後のドイツでの展開

すでにお昼も夜も行列ができるほどの人気ぶりですが、今後の展望などがあれば教えてください。

金原「今年中にフランクフルトにもう1店舗、その次にスペインのマドリードにオープンする計画を立てています。今営業しているフランクフルト店は、スープ作りや材料切りなどほぼ1から手作りしており、価格帯が少し高めですが、ここで"坂内"の美味しさを知っていただいて、それ以降のお店については、もう少し親しみやすい価格帯で幅広いお客様に足を運んでもらえるようにしたいです。

ただ、どの店舗においても、"出来たてであること、手作りであること"などの基本理念は一緒。これからも、食を通じて気持ちのぬくもりを伝えていきたいですね」

フランクフルト出店に向けて2年の歳月を費やしたという金原さんと上り濱さん。まだ店舗が決まっておらず、試作するスペースがなかったり、だしの取り方が日本と同じ要領ではできなかったり(水質の違いなどで)、といった様々な困難を乗り越え、オープンにこぎつけました。

確かな味に加え、さりげなく和を取り入れたセンスある空間は居心地が良く、開店からまだ2ヶ月ほどであるにも関わらず、すでに常連さんがついています。本場の喜多方ラーメンを、ぜひ異国の地で味わってみてください。

日々最高の一杯をお客様に提供できるようチェック
<日々最高の一杯をお客様に提供できるようチェックを欠かさない金原さん(左)と上り濱さん(右)>

喜多方ラーメン坂内(KITAKATA RAMEN BAN NAI

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大越理恵

ドイツ生まれの日本人夫にくっついてドイツへ移住!したものの、何年住んでもドイツ語初級なフリーライター。おさんぽ旅が得意。街の匂いや雰囲気、ちょっと傾いた建物、へんてこな模様、かわいいマンホールのフタなどなど。果てしない寄り道をしながら見つけた、ドイツの風景や日常、あれこれをお届けします。

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