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ディアンドル以外にも魅力いっぱい!ドイツの民族衣装を解説します

記事投稿日:2020/09/13最終更新日:2020/09/13

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白いフリルのブラウスに、エプロンドレス。この可愛らしい衣装は「ディアンドル」と呼ばれる、ドイツ・バイエルン地方の女性用民族衣装です。名前こそまだ広くは知られていないものの、日本でもオクトーバーフェストで見かけるようになってきたことから、人気となってきました。 しかし、ドイツにはディアンドル以外にもさまざまな民族衣装があり、今でも受け継がれています。この記事では、日本でまだあまり知られていない、ドイツの民族衣装と伝統を解説し、より深くドイツについて知っていただければと思います。

目次

<1. ドイツの可愛い民族衣装「ディアンドル」>

<2. ドイツ・バイエルンの男性民族衣装「レーダーホーゼン」>

<3. ドイツの少数民族ソルブ人の衣装とは>

<4. 赤ずきんちゃんの故郷 ドイツ・シュヴァルム地方の民族衣装>

<5. ドイツ・バイエルン州民族衣装の帽子飾り>

<6. ドイツ各地の民族衣装を披露するフェスティバルや博物館>

1. ドイツの可愛い民族衣装「ディアンドル」

ドイツ-民族衣装-01-ディアンドル
<この可愛らしい衣装はディアンドルと言います。※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

皆さんは、写真の女性のような衣装を目にしたことがありますか?まるで、かの名作「アルプスの少女ハイジ」出てきそうな、この可愛らしい民族衣装は「ディアンドル(Dirndl)」と呼びます。 ディアンドルはミュンヘンが位置する南ドイツ・バイエルン州だけでなく、隣国オーストリアのチロル州やリヒテンシュタイン公国でも一般的に着られていました。

1.1 ディアンドルはオクトーバーフェストで日本でも有名に

ディアンドルの構成は、白いパフスリーブのブラウスに、紐で絞める胴衣とロングスカート、その上にエプロンを巻いたスタイル。 日本でも人気のオクトーバーフェストで見かけるようになってきたことから、ディアンドルという名前は知らないものの、ドイツの民族衣装である(実際には前述の通り、ドイツ以外でも着られています)という認知度は広まってきたと言えるかもしれません。

1.2 ディアンドルはドイツ語圏の「お嬢さん」たちが着ていた衣装

「ディアンドル(Dirndl)」とは、ドイツ南部およびオーストリアドイツ語で「少女」「お嬢さん」を意味する言葉で、これがそのまま衣装の呼び名になりました。

ディアンドルはもともと労働者(領主の使用人)用の服で、現在のように華やかで可愛らしい色柄ではなく、領主が領民の職業や身分が見てすぐ判別できるような簡素な作りで、着用ルールもありました。たとえば、エプロンのリボンの結ぶ位置も決まっており、未婚者は左側、既婚者は右側、背中側は未亡人を意味します。そのため、自由に衣装をアレンジすることなどは禁止されていました。

しかし、19世紀終わりごろからはお隣のオーストリアに住む上流階級の女性たちが、動きやすく快適なバカンス用の服として着るようになりました。それ以来、民族衣装としてのアイデンティティを確立するため、地域ごとで色、形、柄などの特色が現れてきています。

1.3 ドイツの民族衣装の中でもディアンドルは特に人気?

ディアンドルは、今でこそドイツ国内外のオクトーバーフェストでウェイトレスなどに着られるようになり知名度が高くなっていますが、一時期は人気が低迷したことも。

第二次世界大戦中、当時のナチス政権がドイツ人女性のイメージとしてディアンドルを宣伝に用いており、終戦後はそのイメージが強く残ったことから、ディアンドルの人気も低迷しました。また、この頃に袖がパフスリーブになったり、スカートの丈が短くなったりと近代化されていき、現在のディアンドルに近しいデザインになっていったそう。

しかし、郊外ではお祝いの日などに着られ続け、1990年代にファッション業界で素朴な民族衣装として再度ディアンドルが注目され、今ではオクトーバーフェストではウェイトレスの衣装として定番化。ドイツの結婚式では「ウェディング・ディアンドル」も登場しています。

現在は日本でも、その可愛いらしさからコスプレやパーティー用コスチュームとして、インターネット通販などで簡単に購入できるようになりました。

2. ドイツ・バイエルンの男性民族衣装「レーダーホーゼン」

ドイツ-民族衣装-02-レーダーホーゼン
<レーダーホーゼンも、名前は知らなくても見たことがあるのではないでしょうか。※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

続いてご紹介するドイツの民族衣装は、男性用の「レーダーホーゼン(ドイツ語:Lederhose、英語:Lederhosen)」。こちらもディアンドルと同様に、ドイツ南部・バイエルン州~オーストリアのチロル州で着られています。

2.1 レーダーホーゼンは革でできたズボン

レーダーホーゼンは鹿の革で作られた半ズボン。半ズボンとサスペンダーが一体化したレーダーホーゼンに、帽子、シャツ、ソックス、シューズを一式として着用します。

現在のレーダーホーゼンは、1着を作るのに1頭~2頭の鹿の皮を用い、質の良いものだと10年以上長持ちするほどの丈夫さ。近年では合皮素材の安価なレーダーホーゼンもあるそうですが、本革に比べると長持ちしないということは言うまでもありません。また、レーダーホーゼンに施されている刺繍も大変魅力的です。

2.2 レーダーホーゼンは労働者の服だった?

レーダーホーゼンはもともと労働者の服であったという説があります。確かに、皮革は頑丈な素材であるため農作業などの際、労働者が着るには適切と言えるでしょう。ただし、これらに用いられた革は家畜のヤギや羊から取られ、鹿の革を用いたものは鹿を狩る特権を持つ貴族が身に着けていたようです。

刺繍についても、労働者の服として着られているものは特に刺繍が無く、貴族が身に着けているレーダーホーゼンはその刺繍の数によって、階級を表していたとされています。 現在のような丈の短い鹿革のレーダーホーゼンが定着したのは以外と新しく、1800年代以降。当時のバイエルン州発祥の君主、ヴィッテルスバッハ家がレーダーホーゼンを民族衣装として愛し、市民にも着ることを奨励したそうです。

このほか、レーダーホーゼンはウール地のパンツに取って変わられるなど人気が低迷していましたが、1880年代に伝統的な衣装を愛するクラブが発足したことにより、特別な行事で着用されるようになっていきました。そのため、現在では労働用の服ではなく、伝統的な当時の生活に思いをはせて着るお祭り用の衣装となっています。

また現代では、伝統や地域のアイデンティティを象徴する服としてレーダーホーゼンを見直す流れもあり、オシャレなファッションアイテムとしてアレンジされ、再評価されている動きもあります。

3. ドイツの少数民族ソルブ人の衣装とは

ドイツ-民族衣装-03-ソルブ人の衣装-イースターライダー
<ソルブ人のお祭りに登場するイースター・ライダー。※写真はイメージです。Photo by Pixabay

ドイツの民族衣装はディアンドルが非常に有名ではあるものの、地域ごとにさまざまな民族衣装や服飾文化が伝えられています。ドイツではお祭りや博物館で実際に民族衣装を目にすることができる機会もあるので、この項目でご紹介していきたいと思います。

3.1 ソルブ人の民族衣装

ドイツ-民族衣装-04-ソルブ人のイースターエッグ
<ソルブ人の伝統工芸である、ろうけつ染めのイースターエッグ。※写真はイメージです。リンク

皆さんは、ソルブ人をご存知でしょうか。ソルブ人(Sorben)とは、ドイツ東部のザクセン州やブランデンブルク州に定住する少数民族スラブ民族。現在でもドイツ国内に6万人が暮らしていると言われ、ソルブ人が多く居住するバウツェン(Bautzen)やシュプレーヴァルト(Spreewald)等の街中では、ドイツ語とソルブ語の両方が見られます。

ソルブ人には独自の言語と文化があり、地域ごとに異なる4種類の伝統的な民族衣装が存在すると言われています。先ほどの項目で載せた写真は、馬に乗りバウツェンからキリストの復活を隣町や村に告げるために出発する、「イースター・ライダー」としてソルブ人の男性がイースターで身に着ける衣装です。

一方、ソルブ人の女性はイースターの時期に、Lapa(ラパ)という大きな頭巾にKusula(クースラ)というスカートとレースのエプロン、肩にはシルクスカーフを巻いた衣装を身に着けます。鮮やかな色合いの刺繍が特徴で、未婚女性は赤いスカート、既婚女性は緑色のスカート、青、緑、紫は宗教的な行事の際にのみ着用します。

カトリックソルブ人にとってイースターは大きなイベントで、この時期には伝統工芸である、ソルブ人のイースターエッグ(Sorbische Ostereier)も有名。バウツェンにあるソルブ博物館では、ソルブ地方の様々な民族衣装や、名産品であるカラフルなろうけつ染めが施されたイースターエッグの展示を見学することができます。

ソルブ博物館の基本情報

  • 名前:ソルブ博物館(Sorbisches Museum Bautzen)
  • 住所:Ortenburg 3, D-02625 Bautzen
  • 開館時間:[火-日]10:00 - 18:00(12月26日および1月1日 13:00~18:00)
  • 休業日:月曜日(祝日を除く)、12月24日、25日、31日
    ※開館時間、入場時の諸注意については公式サイトの案内をご確認ください

  • HP:公式HP
  • 諸注意:入館時の諸注意(pdf)
  • Googleマップ:

4. 赤ずきんちゃんの故郷 ドイツ・シュヴァルム地方の民族衣装

ドイツ-民族衣装-05-赤ずきん
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

グリム童話版「赤ずきんちゃん」の故郷(※)として知られる、ヘッセン州の町アルスフェルト (Alsfeld) 。同じくヘッセン州にあるカッセルはグリム兄弟が最も長く暮らした町としても有名で、これらの町はメルヘン街道としてグリム童話ゆかりの場所として結ばれています。

なぜ、アルスフェルトが赤ずきんちゃんの故郷と呼ばれているかというと、この町を含むシュヴァルム地方で独身女性が着る、コップのような小さな帽子に白いエプロン姿の民族衣装がまるで赤ずきんちゃんのように見えるため。この小さな帽子の色は、未婚者・子供は赤、既婚者は緑、未亡人や喪に服す際は黒、と色が決められています。

また、シュヴァルム地方は伝統的な「シュヴァルム刺繍」が知られており、日本でもシュヴァルム刺繍の書籍が販売されるなど、刺繍ファンの中では知る人ぞ知る伝統文化。シュヴァルム地方では18世紀から19世紀頃、若い女性が嫁ぐ前の教養として刺繍を学び、嫁ぎ先で衣服や寝具などの布製品に刺繍を施していたとされています。

※編集部註:赤ずきんのお話そのものは、グリム童話以前からドイツだけでなくフランスなど各地で語られている民話です

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5. ドイツ・バイエルン州民族衣装の帽子飾り

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<帽子に付いている飾りが、ガムスバートです。※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

ふわっと扇状に広がる毛が印象的なこの男性用帽子の飾り、ガムスバート(Gamsbart)。これはディアンドルやレーダーホーゼンと同じく、ドイツ・バイエルン州や北オーストリアの伝統的な民族衣装です。ふわふわとした毛は、シャモアと呼ばれるカモシカの毛が使われています。

シャモアと聞いてもなかなかピンと来ない人が多いと思いますが、下の写真のように大きな角が特徴の森林に生息するウシ科の一種です。体長1メートルほどで、このシャモアの首から背中にかけての毛がガムスバートに使われています。

ドイツ-民族衣装-07-シャモア-カモシカ
<シャモア(カモシカの一種)。※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

現在では、ガムスバートを製作する職人は約200人ほどしかいないと言われています。ガムスバートは野生のシャモアの毛を扱うため、職人は毛を洗って乾燥させ、1本1本を束ねて選別します。約150本の毛が1つの小さな束に束ねられ、トリミング。その束をいくつも集約し、ようやく完成!

またガムスバートは、毛の質や大きさによってその人の尊厳を表していると言われています。平均的なガムスバートは150本の毛の束が30~40束使用され、最も大きいものでは450束ほど使用されるため、その値段は1,500ユーロ(約18万円)以上とも。作業時間は50時間~60時間にも及ぶため、職人になるには長時間作業に耐えうる忍耐力が必要とされます。

ディアンドルやレーダーホーゼン同様、バイエルン州の民族衣装のため、バイエルン州都であるミュンヘンのオクトーバーフェストで、多くの男性が身に着けているところを見ることができます。

6. ドイツ各地の民族衣装を披露するフェスティバルや博物館

ドイツ-民族衣装-08
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

現代では、なかなか本物の民族衣装を目にする機会は多くありません。ぜひフェスティバルや博物館に足を運んで、実際に民族衣装を見てみませんか?

6.1 ドイツの民族衣装を披露しあうフェスティバルについて

赤ずきんちゃんの故郷としてアルスフェルトをご紹介しましたが、同じくシュヴァルム地方のシュヴァルムシュタットという地域も、赤ずきんちゃんの故郷とされています。

シュヴァルムシュタット(Swalmstadt)はトレイザ(Treysa)とツィーゲンハイン(Ziegenhain)を中心とした12の村の総称で、ツィーゲンハインでは年に一度、聖霊降臨祭の約2週間後にザラートキルメス(Salatkirmes)と呼ばれる大きなお祭りが開催され、ここで人々は民族衣装を身に着けて参加しています。

お祭りでは、子供からお年寄りまで赤ずきんちゃんの民族衣装を披露するだけでなく、馬車や鼓笛隊など村人の人達が行進したり、踊ったりととても賑やか。実際のザラートキルメスのパレードの様子はこちらからご覧いただけます。

引用ツィーゲンハイン州テレビ局の公式Youtubeチャンネルより:

※2020年のザラートキルメスは開催中止になっています。2021年以降の情報は公式サイトをご確認ください
>>>参考:Salatkirmes公式サイト(外部サイトへ遷移します)

6.2 ドイツの民族衣装が見られる博物館

ドイツ-民族衣装-09-Photo by ACK15 on Unsplash
<写真はイメージです。Photo by ACK15 on Unsplash

北には温泉町で知られるバーデンバーデン、東にはドイツを代表する工業都市、シュトゥットガルトに囲まれる南ドイツ・南西部にあるシュヴァルツヴァルト(Schwarzwald)。

日本語で「黒い森」を意味するシュヴァルツヴァルトは、なんだか暗いイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、川や湖、滝や木々に恵まれた自然豊かで中世の雰囲気が残る美しい街です。シュヴァルツヴァルトにある小さな町、ハスラッハ(Haslach)には、この地域に伝わる伝統的な民族衣装の博物館があります。

小さな地域ごとにそれぞれの民族衣装があり、その数なんと100種類以上のコレクション。黒い森地方は16世紀頃にスペイン・ハプスブルク家の影響を受けたため、民族衣装にはスペインらしいデザインが感じられる部分も。「ボレン帽子」と呼ばれる赤い大きなポンポンが付いた特徴的な帽子や、たくさんのガラス玉が連なった重そうな帽子など、女性の被り物も多く展示されています。

引用:シュヴァルツヴァルト観光YouTubeチャンネルより

黒い森民族衣装博物館の基本情報

  • 名前:黒い森民族衣装博物館(Schwarzwälder Trachtenmuseum)
  • 住所:Klosterstraße 1, 77716 Haslach im Kinzigtal
  • 開館時間
    【4月1日~10月15日】火~日曜10:00~12:30、13:30~17:00
    【10月16日~3月31日】火~日曜10:00~12:30、13:30~16:00

  • 休業日:月曜 (冬季期間:祝日休業および1月は予約のみ)
  • HP:公式HP
    ※バーデンバーデンを含むバーデン=ヴュルテンベルク州の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止対策については、下記も併せてご確認ください

  • バーデン=ヴュルテンベルク州HP:バーデン=ヴュルテンベルク州公式サイト
  • Googleマップ:

最初にご紹介したディアンドルは、日本でもレストランやオクトーバーフェストで見かけるようになり馴染みやすくなってきましたが、このほかにもドイツには地域ごとに受け継がれてきた伝統文化、服飾文化があります。皆さんも博物館などに足を運んで、より一歩深くドイツ文化について学んでみませんか?

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記事投稿日:2020/09/13最終更新日:2020/09/13

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