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【カタール】中東生活ならでは!? ラマダン期間の過ごし方

中東のカタールはイスラム教文化の国です。毎年春になるとラマダンという断食月があり、それは国全体を通して行われる大事な宗教行事です。
この記事ではラマダンではどんなことが行われるのか、普段との違いは?について、カタール在住者だからこそ分かる・見える・感じるリアルなラマダンを紹介していきます!
目次
ラマダンとは?
はじめに「ラマダンとは?」と思われる方もいらっしゃると思うので軽く説明しましょう。ラマダンはイスラム教徒ならではの宗教行事で3月に行われます。
この行事は1ヶ月間に亘って行われ、この期間中は、普段通りに生活していても日の出から日没までいっさいの食事や飲み物を摂らずに断食を行うといういわば特殊な1月です。
お水を一滴も飲むことを許されていません。その理由はイスラム教徒の神であるアッラーに感謝し、貧しい人々の気持ちを理解するためと言われています。通常1日に5回お祈りすると言われているイスラム教ですが、ラマダン期間中は夜間にコーランと言われる(イスラム教の聖典であり神の意思を示す重要な書物)ものを読んだり、神に礼拝する時間として定められています。
夕方17時ごろになると礼拝の時間を知らせるモスクから流れる音によって、その時刻からイスラム教徒の方々は飲食を開始します。ラマダンの最終日には「イード・アル=フィトル」(通称:イード)というお祝いがあり、家族や友人と食事を共にし、感謝の気持ちを分かち合いその年のラマダン期間を終了とします。
この期間、「ラマダン・カリーム(Ramadan Kareem)」というラマダン月を迎える際に使われる挨拶を多く目にします。このフレーズは、「ラマダンが祝福に満ちたものでありますように」という意味を込めて使われているお祈りの言葉です。
ラマダン中にムスリム(イスラム教を信仰する人)の間でよく使われる挨拶で、食事の前後にお互いに良い願いを込めて言い交わされるため、レストランなどでよく目にします。
空港などでも大きくこちらの文字が表記されており、どこか日常と異なる雰囲気や様子が伺えます。
ラマダン中だからこその日常の変化
カタールは中東の中でもイスラム教徒の宗教的色が強いため、このラマダン期間には昼間はレストランやカフェが閉まっていることが多いです。街に住む人の外出もあまり見かけません。
日没後になると、店がオープンし、とても賑わいます。特別メニューが提供されることもあり、イフタールという名目で多くのホテルでビュッフェが行われます。
このイフタールではアラビア料理に加えてインド料理やイタリアン、そしてお寿司などインターナショナルなお料理が並びみんなで食事を楽しみます。
このイフタールは貧しい人々への支援のための豪華な食事とされています。この期間は国全体で断食をしているため、仕事や学校のスケジュールが調整されることがあります。例えば、昼食の時間が短縮されたり、早めに終わることもあるようです。
ラマダンは一種のお祭りなので街が装飾されることが多いです。色鮮やかなランタン、ライト、カタールの国旗が街の至るところに飾られ、特に夜は雰囲気に包まれます。多くの人々が集まって祈りを捧げるため、夜のモスク(お祈りをする所)はとても賑やかになります。
ラマダン中は、街のリズムが昼と夜で大きく異なり、特別な宗教的な雰囲気が広がります。この期間の最後には街では特別なイベントやフェスティバルが開催され、ラマダンを締めくくります。
また、このラマダン期間に欧米のブラックフライデーの様な大きなセールがあちこちのショッピングセンターで行われ、大きな買い物をする人も多いのだとか。
洋服や食料はもちろん、私たちの生活に欠かせないiPhoneなどの商品も安くなってお得に購入することができます。街にはラマダンセールといった垂れ幕もかかっていたり、宗教的な月でありながら、娯楽色を加えて親しみやすくする工夫もしています。
ラマダン中の食事について
日中は食事や飲み物を摂ることができませんが、日没後のイフタール(Iftar)、スフール(Suhoor)という2つの食事があり、日没後に食事を摂ります。
イフタールというのは日没後に断食を終えて食事を摂ることです。アザーンというモスクからのスピーカーで聞こえる音によって決まり、ムスリムはその時に食事を摂ります。
その後の食事はスフールと呼ばれるもので日の出前に摂る朝食のことです。ムスリムはラマダンの断食を始める前に、エネルギーを補給するために軽めの食事を摂ります。
スフールは断食を始める前の大切な食事で、なるべく早く済ませることが一般的です。アラビックの方々は甘いものを好む方が多く、クナファというチーズケーキのような物やバクラヴァという甘いスイーツを沢山食べるそうです。
ただ誤解を招きやすいのがこの期間に断食を行うのは神のためであり、ダイエットではないので食事が始まると普段よりも多く食べる傾向があると言われており、らこの期間は太りやすいと言われているのだそうです。
日本から実際にイスラム文化の国に住んで思うこと
私は日本で生まれ、日本で育ちました。カタールに移住して初めてラマダンを体験した時はとても驚きました。ドバイはカタールよりもインターナショナルなので日中でも開いているお店もありますがカタールは全てクローズ。街を歩いても日中はシーンと静まり返っています。
このラマダン期間が終わると暑い夏が始まる季節の節目とも言われており、カタールでは一年に一度の大事な行事です。実際にラマダンをしている友人によると幼少期にいきなりラマダンを始めるのは難しいため、13~14歳から少しずつラマダンに慣らしていくと聞きました。
一定の年代になると自然にお祈りや神様について理解できるようになるため、体を調節しつつラマダンに適応しようとするのだとか。しかし13歳~14歳は育ち盛りで初めてラマダンを始めた時はとてもしんどかったそうです。ですので一気に飲食を断つのではなく、少しずつ食べ物を我慢してみたり、できることから始めていくのだとか。
飲食を日中断たなければならないと考えるととても過酷なように感じますが、体には大きな変化があると言われています。日本でも16時間の間、断食を行って体の中身を空っぽにするというオートファジーダイエットが良いと考え方もありますね。
日中断食を行うことでしんどいように聞こえますが、体内に固形物が何もないことから体や足がとても軽く体内が浄化されている効果があるようです。そのおかげか肌の調子も良くなったりする効果があると言われています。
まとめ
ラマダン期間のカタールでの暮らしを想像していただけたでしょうか?このラマダン期間には自己反省など精神を統一させる時間などの意味も含まれており、自己の成長も踏まえたとても大切な時間です。
今回のラマダンの話をきっかけにイスラム教文化への理解が深めることができたとしたら嬉しいです。
<ラマダン・カリーム(Ramadan Kareem)>
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さつき
- 旅行好き24歳さつきです。中東の魅力や珍しい国の魅力を皆様にお届けできたらなと思います!