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【トルコ】2025年の断食は2月28日から!ラマザンやバイラム期間に旅する注意事項

イスラム教の文化は、日本人には馴染が薄いと思います。イスラム教徒が99%を占めるトルコでの生活も13年目になり、それなりにイスラム文化を理解してきたつもりですが、日本人の私にはまだまだ理解できない部分も多いです。
断食月、それに続くお祭りや、犠牲祭など、普段とはちょっと異なる様子が見られます。この期間は、お店もお休みになったり、混雑したり、普段とは状況も変わります。
今回は、「イスラム教徒にとって大切なの断食月とその後のお祭り」の話です。しっかり学んで、トルコの旅を楽しんでください!
目次
2月28日から始まるラマザン/断食とは?
<2025年の断食月は、2月28日のうお座新月の夜から始まります/出典元:Canva>
ラマザン/断食
「新月を見たならば、斎戒(断食)を始めよ。そして新月を見たならば、斎戒を終えよ。」コーランの一節です。
イスラム圏の大切な行事は太陰暦によって決まることが多いのも、日本人には馴染の薄いところですね。この間、約1か月間断食に入るわけですが、他のイスラム諸国に比べて戒律ゆるめのトルコでも、しっかり断食する人々は多いです。
断食とは、その名の通り食事をしません。とは言っても1か月何も口にしないわけではなく、日の出から日の入りまで、なにも食べないということです。1日の内、この時間帯は食事はとらず、さらに水を飲むこともしない、敬虔なイスラム教徒も多いです。
今年の2月の日の出と日の入り時間は、日の出:AM6:13、日の入り:PM5:32 です。2025年のラマザンは春先なので、まだ良い方ですが、夏至近くで日の出から日の入り時間までが長い時期や、真夏に断食が当たる年は、皆辛そうです・・・真夏に水分を口にしないと体には堪えると思います。
実際、友人は真夏が断食の年、開始から1週間で体調を崩し、病院行きになりました。でも、戻ってから、また断食を再開しましたけどね。そして、この断食期間のトルコの人々は、全てがスローです。
ラマザン期間の注意点
食事も水分も取らないならば、頭も回転しないだろうし、仕方のないことですが、断食期間は、様々なことで遅れが出るし、間違いも多いことは覚えておきましょう。お店などは、断食期間中は営業の開始時間が遅くなりますから、要注意です。
博物館などの観光施設は大丈夫、通常営業しています。断食の期間中、異教徒である私が注意していることは、「断食している人の前で飲食はしない」です。水分も取らない人々の前で、飲食などできませんよね〜。チャイやコーヒーなどをすすめられても、お断りしています。そして断食期間中、日の入りを迎えたら「Iftar/イフタル」が行われます。
イフタル
イフタルとは断食を終えた後(日の入り後)の食事のことです。そして、夜明け前にも食事をします。各家庭でも、大量のお料理を用意したり、または町ごとにイフタルの食事が振舞われたりすることもあります。※カッパドキアのギョレメの中心・モスクで毎年イフタルの食事が振る舞われますよ。
このイフタルに、異教徒の私達が参加するのも、もちろんOKです。ご家庭にお呼ばれしたり、公園など見知らぬご家族のイフタルに遭遇し、「食べてゆきなさい!」などお誘いを受けたりすることもあります。施しをすることは、イスラム教で美徳とされます。
せっかくのお誘いです、遠慮なく参加させていただいて、異文化交流で参加するのも楽しいものですよ。
余談ですが...断食期間には、この期間だけ販売されるラマザン用の巨大パンやピデ(トルコ風ピザ)があります。これが、期間限定ということもあり、普段は食べられない特別感もあり、毎年楽しみです。お試しあれ!
断食を終えたら、シェケル・バイラム/砂糖祭り(2025年3月29日より)
<出典元:Canva>
1か月に渡るラマザン・断食後にはお祭りがあります。イスラム圏で一般的な呼び名は、「イード・アル=フィトル/Eid al-Fitr」、トルコでは「シェケル・バイラム/Şeker Bayramı」日本語に訳すならば、「砂糖祭り」です。その名の通り、断食で疲れた胃に優しい「砂糖=甘いもの」を食べたり振る舞ったりするお祭りです。
シェケル・バイラム/Şeker Bayramı
トルコ以外のイスラム圏では、甘いものだけでなく、地域の伝統的な料理の他、デーツ(ナツメヤシ)を中心とした食事が振る舞われることもあります。この期間は、我が家でもキャンディやチョコレートなど、甘いものを用意してお客様にお出ししていますよ。簡単に大皿に盛り付け、コロンヤ(トルコ語でオーデコロン)とともに、来客にお出しします。
「砂糖祭り」は、国をあげての連休になるため、公共機関はお休みですが、一般的なお店やホテルは通常営業しています。2025年の「砂糖祭り」は3月29日から4月1日との情報がありますが、要注意!公共機関や一般的な企業のお休みは直前で公表になり、年によって連休の長さが変わります。短い年で4~5日程度、長い年では10日間程度にもなります。旅の前にご確認ください。
シェケル・バイラムの連休
シェケル・バイラムの連休は、トルコの人々にとっても嬉しいお休みです。旅行に、家族に会いに、移動する時期です。つまり、どこも大混雑します。トルコの人々は、どこへでも車で出かけます。トルコ各地からカッパドキアへ車で来られるのはもちろん、遠くはヨーロッパから、近場では、近所のパン屋へも車で行く人々です。
そのためカッパドキアは、大型連休となると車だらけの大渋滞になり、通常15分程度で行けるギョレメ~アヴァノス間が1時間もかかったこともありました。
ホテルやフライトなどの移動手段もお値段が上がりますし、できればバイラム期間は、トルコの旅は避けた方が良いと思います。どうしても避けられない場合は、ホテルやフライト、長距離バスは早めに予約しましょう。
この時期はカッパドキアのギョレメに100軒以上あるホテルが、全て満室になります。到着してからのホテル探しは無謀だと思いますよ。最悪、野宿もありえます。気球予約に関しては、事前予約は少し割高になり、最安値は前日に出ます。またキャンセルの翌日は、繰越のお客様も多く、お値段は上がります。
この状況から、通常は前日の料金を確認してからのご予約をおすすめしていますが、バイラム期間は気球の座席確保を最優先として、割高だとしても事前予約が良いと思います。混雑はしていますが、博物館などの観光箇所は、通常の開園時間で料金も変わりません。
私が一番苦手な日・・・クルバン・バイラム/犠牲祭(2025年6月5日より)
<翌日のクルバン・バイラムで裁かれるだろう牛が繋がれていました>
砂糖祭りから70日後に行われるのが「クルバンバイラム/犠牲祭」です。他のイスラム圏では、「イード・アル=アドハー/Eid al-Adha」とも呼ばれます。クルバン・バイラム=犠牲祭とは、文字通りアラー・神への捧げ物をする日です。生きている動物を捌いて神に捧げます。
クルバン・バイラム/犠牲祭
この日は、私がトルコで生活していて一番苦手な日です。何年経っても慣れることはできません。この日の午前中は、異教徒の私にとっては悪夢です・・・。血なまぐさい匂いと、羊や牛の咆哮(ほうこう)が聞こえる日ですからね〜。
田舎のカッパドキアでは、今も自宅の庭で牛や羊を捌きます。家族の中で、通常男性が捌く担当になります。担当の方は、その日最初のエザーン(礼拝に集まるよう呼びかける声)でモスクに行き、お祈りをし身を清めます。そして自宅に戻り、動物を捌くわけです。
何度か、この儀式参加へのお招きをいただきましたが、丁重にお断りしました。ですので儀式に参加したことはありませんが、この日は朝から、動物たちの咆哮が聞こえるし、捌いている時の音や匂いも強烈で、何年経っても慣れることができません。私はクルバン・バイラム初日の午前中は、家から出ないと決めています。
捧げ物
捧げ物をするクルバン・バイラムとはいえ、毎年どのご家庭でも捧げ物をするわけではなく、ご家庭の収入や借金の状況に応じて、その年の捧げ物をするか決めているようです。
たとえば、結婚式などのお祝いごとがあった年のクルバン・バイラムは盛大に、大きめの牛を捌き、親族やご近所に振る舞いますが、一方借金がかさんでしまった年は、捧げ物は無しとか。このクルバン・バイラムも大型連休になります。状況はシェケル・バイラムと同様ですから、どこでも大混雑しますので、この期間の旅の準備には注意が必要です。
まとめ
<町が提供するイフタルの食事風景/出典元:Canva>
断食やその後の祝日は、イスラム教徒にとって大切な日であり、日本人にとっての年末年始のような特別感があります。逆にクリスマスや年末年始のトルコって、普通の日と変わらないところも面白いですけどね。
これらの期間にトルコやイスラム圏を旅をするなら、混雑はあれど普段とはちょっと異なる経験ができるかもしれませんよ。
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CAPPADOCIA TRIP
- 世界を渡り、辿り着いたトルコ・カッパドキアで12年を超えました。現在は二足のわらじ。伝統技で作るオヤレースのデザイナー「AYTURK」そして「CAPPADOCIA TRIP」として旅のお手伝いをしています。カッパドキアは田舎ですけど、自然は素晴らしい!人生で一度は見ておくべき場所ですよ。