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フランスの山はアルプスだけじゃない!ジュラの魅力
<TOP画像:ジュラ北部の湖 ©Kanmuri Yuki>
今日は前回に続き、フランスの東方、スイスと国境を接するジュラ県をご案内します。
海よりは山が好きな筆者も、実はジュラを訪れたのは今回が初めてでした。というのは、フランスで山というとアルプスやピレネーがクローズアップされ、それより低いジュラやヴォージュはどうしても見落とされがちなようです。
けれども逆に言えば、それはつまり、ハイシーズンでも混雑に悩まされにくいということ!実際、ハイシーズンにもかかわらず、渋滞や行列に出くわすことなく爽やかな景色を楽しめました。ジュラで特に感動したのは、水の清さです。湖や川の水源、滝など自然に恵まれ、それほど高低差が大きくない初・中級レベルのハイキングコースも豊富です。
真夏のフランス旅行を計画中の方、もし都会や海の喧騒よりも山の静寂が好きということでしたら、ジュラはいかがでしょうか?
目次
比較的なだらかな北部
<車窓から見えるのどかな風景©Kanmuri Yuki>
ジュラ山脈はアルプス山脈よりも北西にあり、フランスとスイスの国境にそびえる山脈。どちらの国でも複数の県にまたがって山を連ねますが、1,720mの最高峰はジュラ県の南にあるアン県内に位置します。
ジュラ県だけを見ると、ジュラ山脈が通るのは南部で、県の北半分は山岳というより丘陵地帯といった風情をしています。今回筆者が訪れたのはこの北部。そういうわけでこの記事では、北部の見どころのみを扱います。
水遊びもできるハイキングコース
1. エリソン川沿い
ジュラ北部のハイキングコースで一番有名なのは、おそらくエリソンの滝コースと呼ばれる川沿いのハイキングコースでしょう。エリソン川の下流と上流を結ぶ4km未満の行程は高低差も少なく、普通の運動靴で十分楽しめます。
<ハイキングコース沿いのエリソン川 ©Kanmuri Yuki>
途中にいくつかの小さな滝もあり水遊びも楽しめますが、監視員がいるわけではないので、安全には各自が気を付ける必要があります。また、川沿いのルートはところどころ狭くなっていて、人が多い時は少し歩きづらいことも。
混むといっても、日本の観光地の込み具合を考えれば大したことはありませんが、スムーズに歩きたい方には、午後よりも午前中をおすすめします。
【エリソンの滝コース】
- 所在地:フランス 〒39130 ル・フラノワ
- 公式サイト:エリソンの滝コース
2. 28mのビヨード滝
知名度ではエリソン川コースに劣りますが、滝つぼで水遊びができるスポットなら筆者はエリソン川よりもビヨード滝をおすすめします。滝は28mと高く、その下は天然のプール状態で、のんびりと過ごすにはぴったりの場所です。
<遠めに見たビヨード滝 ©Kanmuri Yuki>
豆粒ほどの大きさですが、下の写真にも滝つぼで水遊びに興じる人たちが写っているのがわかるでしょうか?
ただし、駐車場から滝つぼまでは長い階段を下りる必要があり、帰りは当然この階段を上がらなければなりません。階段自体は手すりもあり、しっかりしたつくりですが、小さいお子さんやご年配の方は十分お気を付けください。
また、ビヨード滝近辺には、見晴らしの良いスポットを通るハイキングコースもあります。
【ビヨード滝】
- 所在地:8B Rte des Cascades, 39300 Le Vaudioux, フランス
- 公式サイト:ビヨード滝
引き込まれそうな色の湖たち
清い水の地方であるジュラには、湖も多く、深い青からエメラルドグリーンまでさまざまな色を見せてくれます。だいたいそれぞれの湖にビューポイントがありますが、時間のない方には4つの湖を一望できるビューポイントがおすすめです。
<四湖展望台から見えるイレ湖とマクリュ湖 ©Kanmuri Yuki>
4つの湖の駐車場
所在地:21 Ham. des Rollets, 39150 La Chaux-du-Dombief, フランス
<四湖展望台から見えるプティマクリュ湖とナルレ湖 ©Kanmuri Yuki>
ここから見える湖は左奥からイレ湖、左手前にマクリュ湖、その右がプティ・マクリュ湖、その後方遠くがナルレ湖です。
私たちはこの4つの湖のうちナルレ湖のほとりを散策し、水際まで下りて、数時間、湖面に風が波紋を作るのを眺めました。
<ナルレ湖畔からの眺め©Kanmuri Yuki>
湖は他にも数多くあります。例えば、これらの4つの湖より西方にあるシャラン湖もエメラルドグリーンの美しい湖でした。ぜひお気に入りの湖を見つけてみてください。
美しい村3選
筆者の好みを言えば、訪れた中でナンバーワンの美しい村は、前稿【フランス】科学者ルイ・パスツールの足跡を辿るジュラの旅:知られざる絶景と歴史を巡るで取り上げたレ・プランシュ=プレ=アルボワです。本記事では、それ以外で3カ所選んでみます。
1. ボーム・レ・メッシゥ
<ボーム・レ・メッシゥの町角 ©Kanmuri Yuki>
ジュラ地方にはルキュレと呼ばれる深い谷がいくつか存在します。崖が屏風のように立ちはだかる様子は、陸のフィヨルドのようにも思えます。そういうルキュレのひとつに囲まれた村にボーム・レ・メッシゥがあります。
<修道院跡 ©Kanmuri Yuki>
人口たったの150人あまりという規模にそぐわないほど立派な中世の修道院が残っていて、見学も可能です。周辺には、滝や洞窟などの見どころもあり、フランスの最も美しい村のひとつに指定されています。
【ボーム・レ・メッシゥの修道院】
- 住所:Pl. Guillaume de Poupet, 39210 Baume-les-Messieurs, フランス
- 電話番号:+33384449928
- 開館時間:10:00~12:30 14:00~17:00
- 休館日:無し
- 公式サイト:ボーム・レ・メッシゥの修道院
※ガイド付きツアーは有料。自由見学は無料。
自由見学が可能な時期は、3月30日~9月30日の10:00~18:00
2. シャトー・シャロン
<シャトー・シャロンからの眺め ©Kanmuri Yuki>
葡萄畑に囲まれた高台に位置するシャトー・シャロンは、人口150人足らずの小規模な村です。大きな修道院跡が残っており、町並みも綺麗です。
高台からの見晴らしはなかなかのもので、ワイナリーやレストランも複数見かけました。シャトー・シャロンもまた、フランスの最も美しい村のひとつに指定されています。
3. ノズロワ
<ノズロワ時計塔の門から町中を見る ©Kanmuri Yuki>
中世の城壁に囲まれるノズロワは、シャロン伯ジャン1世が13世紀に築いた町です。城はすでに残っていませんが、15世紀の教会や城門など、歴史的建造物指定を受けたモニュメントも多く、かつて「ジュラの真珠」と呼ばれた美しさは、今も健在です。
<塩の道に今も残るかつての関所跡 ©J.-B.E.>
ノズロワ郊外には、シャロン伯が所有していた塩の生産地であるサランからスイスに続く「塩の道」も通っていて、周囲のハイキングコースにも事欠きません。
世界遺産に登録された旧製塩所
最後に、番外でご紹介しておきたいのがサラン・レ・バンです。フュリウーズ川の谷間に位置するこの町は、紀元前から「白い金」と呼ばれた塩の製造で知られていました。
塩の製造は1960年代に終わりを迎えましたが、その跡は現在博物館となっていて、ユネスコの世界遺産に登録されています。
<谷間にあるサラン・レ・バンの町 ©Kanmuri Yuki>
ジュラは海からは程遠いところにありますから、当然サラン・レ・バンの塩製造所は、海水を使うわけではありません。では岩塩なのかといえば、そうでもありません。
実は、ここでは、塩気の高い地下水から塩を抽出するという手法で古来から塩を製造していました。地下に残るまるで教会のような広いギャラリーは圧巻ですので、ぜひガイド付きツアーに参加してご見学ください。
<塩製造所の地下ギャラリー ©J.-B.E.>
史跡サラン・レ・バンの塩製造所
- 開館時間: 11月~3月 10:00~12:00 14:00~17:30・4月~10月 9:30~18:00・7~8月 9:30~19:00
- 入館料:大人9ユーロ、子供(6~12歳)4.5ユーロ、学生5ユーロ
- 休館日:12月25日、1月1日、1月6~26日
- 公式サイト:サラン・レ・バン塩製造所
【ガイド付きツアーの時間】
- 11月~3月:10:30/14:30/16:00
- 4~6月:10:00/11:00/12:00/14:30/15:30/16:30
- 9~10月:10:00/11:00/12:00/14:30/15:30/16:30
- 7月~8月:10:00/10:30/11:00/11:30/12:00/
- 13:30/14:00/14:30/15:00/15:30/16:00/16:30/17:00/17:30
清い水の里、ジュラ地方、夏のフランスリピート旅行に特におすすめです。
(冠ゆき)
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冠ゆき
- 山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。