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"さいはての楽園" 礼文島に行くなら"秋"がおすすめ!・・・9月が穴場!
<トップ画像:礼文島スコトン岬>
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
日本最北端の離島「礼文島」は、春から秋には約300種もの高山植物が咲き乱れ「花の浮島」と呼ばれています。
礼文島に魅せられた人たちにその魅力を尋ねると「ここでしか見られない風景、味わえない感動がある」と言います。
まるでニュージーランドやアイルランドのような自然豊かな風景に出会えると言うのです。
礼文で高山植物が見られるピークシーズンは6~8月です。
この時期には島民約2,200人ほどの小さな島に旅行客がどっと押しよせるために、ホテル、旅館、フェリー、食堂はとても混雑します。
逆に言えば、花のシーズンを避けると旅行者は多くなく、島では静かでゆったり快適な旅を楽しむことができます。
今回私は、9月9~13日に礼文に行ってきました。
"秋の礼文"にはどんな魅力があったのか、旅する前に準備しておくべきポイントなどを実体験からご案内します。
目次
- ズバリ!秋の礼文の魅力はなに?
- 秋の礼文を歩いて出会えた風景とは?
- 秋の礼文で味わえるグルメ
- 礼文の宿泊施設
- 稚内~礼文間はフェリーで移動
- 礼文を旅する時、知っておいた方が良いポイント
- 雨の礼文の楽しみ方
- 秋の礼文の魅力まとめ
ズバリ!秋の礼文の魅力はなに?
礼文をひとことで言い表すとしたら、私は "さいはての楽園"と呼びたいです。
中でも、秋の礼文の魅力(価値)として感じたことは次の2点です。
- 気候が良く、ハイキングには絶好の季節
- ピークシーズンに比べ、観光客が多くなく、ゆったりたっぷり礼文を楽しめる
気候が良く、ハイキングには絶好の季節
私が訪れた時期の気温は、朝晩は17度くらいで窓を開けるとひんやりしていました。日中でも23度くらいです。
風が涼しく爽やかで、空は広く高く透きとおっていて、秋らしい雲がぽっかり浮かぶ、そんな絶好のハイキング日和の毎日でした。
すすきが青空をそよぎ、とても秋らしい風景があちこちに見られます。
観光客が多くなく、ゆったりたっぷり礼文を楽しめる
ピークシーズンに比べて観光客が多くなく、ホテルも民宿も食堂もフェリーも混みあう場所はほぼありませんでした。
地元の人たちからも優しい温かさを感じることができました。
快適な旅をするために、こういう点は大きいと思います。
秋の礼文を歩いて出会えた風景とは?
それでは私が実際に歩いて出会った礼文の風景をご案内しましょう。
今回ガイドさんとして島を案内してくれたのは礼文島観光協会の橋本さんです。
橋本さんは地域おこし協力隊として礼文に来られました。
礼文の魅力にハマった人であり、これまでなんと60回も礼文に訪れたそうで、今回いよいよ地域起こし協力隊として礼文に赴任されました。
礼文には7つのハイキングコースがありますが、この記事では代表的な「岬めぐりコース」と「桃岩展望台コース」をご紹介しましょう。
(礼文島観光協会サイトより)
岬めぐりコース
礼文島の最北端スコトン岬からゴロタ岬、澄海(スカイ)岬を巡る全長約12.4kmのコースです。
このコースは、海食崖がつくりだす礼文島西海岸の眺望を楽しむことができます。
島の北部はなんといってもさいはて感が増します。
岬の沖に見えるのはトド島(無人島)です。
厳密には日本最北端は稚内の宗谷岬です。そのためスコトン岬は最北限と呼ばれています。
まるで天空までまっすぐ続いているかのような道。人工物は何も見えません。
この岬からは360度の眺望を楽しめます。歩いてしかこの岬に到達することはできません。
この日は天気も良く、遠く利尻富士も望めました。
<ゴロタ岬から望む利尻富士>
澄海岬は島内でも屈指の絶景ポイントです(礼文は絶景ポイントだらけですが笑)
岬の名前は公募で決まりました。
桃岩展望台コース
礼文のハイキングコースの中で一番のおすすめは、島の南部にある桃岩展望台コースです。
フェリーの発着する香深港から桃岩展望台、元地灯台を経て知床へと続く全長約6.4kmのコースです。断崖と青い海が続く礼文島西海岸や海に浮かぶ利尻山を背景に眺めながら歩きます。
手軽で歩けるコースですが、まるで外国のような絶景に出会えます。
ダイナミックな風景が次から次へ現れてきます。
こんな風景は他ではなかなか見られないのではないでしょうか。
映画「北のカナリアたち」のロケセットの小学校が観光ポイントとして残されていてカフェもあり、海の向こうには利尻富士が見えます。(この日は雲がかかって全景は見えませんでした。。。)
利尻島までが一番近い場所です。
ハイキングをする時、礼文ならではの嬉しいこと
礼文には次のような特徴があります。
- 熊がいない
- エゾ鹿がいない
- 蛇がいない
- キタキツネがいない
つまり、ハイキングしている時にいきなり危険な動物に遭遇するという心配もないのです。
これは安心ですね。
特に熊に遭遇する心配がないというのはありがたいことです。(個人的には蛇に出会わないというのも嬉しい)
秋の礼文で味わえるグルメたち
礼文と言えば、花とハイキング以外にも見逃せないのがグルメです。
たっぷりと味わってきましたのでドドーンとご紹介しましょう!
訪れた時は正にホッケが旬でした。(民宿さざ波にて)
最近は東京の居酒屋でもホッケを食べられますが、礼文のホッケはそれとは似て非なるものでした。
ホッケの皮と身の間の脂が美味しいのです。
泊まった民宿(食堂)さざ波の女将さんの焼きかげんがこれまた絶妙で、皮はパリパリ、身はほっくりじゅわ~。
ホッケの皮は厚めなので私はこれまで食べずに残していましたが、これはしっぽと頭以外すべて食べられました。
地元の人たちは頭もバリバリ食べてしまうのだとか。
また、礼文の名物料理に「ホッケのちゃんちゃん焼き」があります。
鮭のちゃんちゃん焼きは北海道ではポピュラーですが、ホッケのちゃんちゃん焼きは初めて食べました。
脂がのってジューシーなホッケにやや甘めの味噌がよく合います。お酒もごはんも進んで困ります笑。
そして他ではなかなか食べられないホッケメニューがこちら!
なんと!ホッケが刺身で食べられる???
今回同行した札幌在住の方も「ホッケの刺身は食べたことがない」と言っていました。
それだけ礼文のホッケは新鮮だということですね。
<ホッケの蒲焼重/フェリーターミナル2階の武ちゃん寿しにて>
見てください、この肉厚のホッケ。がっつり食べ応えありました!
味付けは蒲焼き特有の甘辛のタレなのですが、そもそもホッケが美味しすぎる!脱帽です。
そしてそして~。。。
でっ、出た~!
礼文のうには利尻昆布を食べて育つのだそうです。
濃厚な旨み。痛風なんて怖くない!あ~なんという贅沢・・・
さあどんどん参りましょう!
これも珍しい逸品。にしんも足が早いため、刺身ではなかなか食べられません。
私はこれまで身欠きにしんしか食べたことがありませんでしたが、にしんは身が締まり、かつ脂がのってコクのある美味しい魚なのだと改めて知りました。
真だらの白子(精巣)をすり身にしてバターで焼いた珍味です。
こちらも生まれて初めて食べましたが、絶品でした。
ふわふわもちもちの食感と塩加減が絶妙で、お酒のつまみとして無敵です。
さて、礼文といえば魚というイメージでしょうが、どっこいそれだけではありません。
礼文の西海岸に位置する元地(もとち)エリアの海沿いに建つ「Dining cafe UMI」。
このお店には若者が好きそうなおしゃれなメニューがありました。
元地は静かなエリアで、メノウ海岸沿いにこのお店は建っています。
ホッケと鶏肉のミンチを混ぜてフライにしたものをバンズではさんで食べます。さっぱりとした味ですが、コクと旨みが感じられます。
これまで食べたことのない味でした。
さすがスープカレーの本場北海道。濃厚でスパイシーなカレーです。こちらも旨みが凝縮していて深い味。もちろん残さずにすべて飲み干しました。
和風でさっぱりしたオムライスにウニバターの濃厚ソースを混ぜながら食べます。この店オリジナルの味でしょう。
さて、今回私が泊まった民宿さざ波は1階で食堂を経営されており、そこでの2大人気メニューがこちらです。
岩のりがこれでもか!というほどたっぷり入っています。出汁が効いた磯の香り豊かな塩ラーメン。
麺がやわらかめなのが家庭的でこれまたいい感じなのです。
礼文ではタコもよく獲れます。
このタコカレーの味付けはいわゆるお母ちゃんが作るカレーで、懐かしくて優しい甘口。
タコがゴロゴロ入っていて食感がよく、その辺にある肉のカレーよりも美味しかったです。
岩のりラーメンもタコカレーも奇をてらった味ではなく、昔から変わらぬ家庭の味です。
さざ波ファンが増えるのもわかります。
礼文の宿泊施設
今回お世話になったのが民宿さざ波です。
礼文の中心地 香深(かふか)港から徒歩5分の好立地に建っています。
1階の食堂兼居酒屋は、地元の人たちも毎夜集う大人気のお店です。
もともとは多くの観光客がごったがえすシーズンは宿不足で、添乗員さんやバスドライバーさんが泊まる施設が少なかったため、そういう人たちのための宿としてスタートしたそうです。
それが「食事が美味しい!」と口コミで評判になり、だんだん一般のお客さんも泊めるようになったのだとか。
実際に泊まった部屋から見えた礼文の朝の風景です。右側に利尻富士も見えます。朝の静けさの中、私はただ見とれていました。
民宿ですので機能的にはホテルには及びませんが、広めのお部屋でゆったりくつろぐことができました。エアコンはついていません。お風呂、トイレも共同です。民宿ですからそれでよいのです。
部屋の鍵がホッケ笑。
その他、礼文には比較的収容人数の多いホテルもあります。
香深港から歩いて10分程度の場所に建つホテル。
今回はこちらに泊まりませんでしたが、お部屋の写真を撮らせていただきました。モダンでおしゃれな内装です。
次回礼文に訪れる時に泊まってみたいホテルです。
稚内~礼文島間はフェリーで移動
礼文島へのアクセスは、北海道最北の稚内からフェリーで約2時間です。距離的には約60km離れています。
船内は2等船室(椅子席、広間)、一等船室(椅子席、和室)、特別室があります。
船内は清潔に保たれていて快適な空間でした。
船内には自動販売機だけあります。食べ物などは乗船前に買っておくことをおすすめします。
1等船室の切符を持っている人しか入ることができません。落ちついていて高級感があり、椅子も広くて座り心地が良かったです。
2等船室も十分機能的で、指定席と自由席があります。この時期はかなり空いているので自由席でも座る席に困ることはありませんでした。
ここでもただぼーっと利尻富士を眺め続けました。しあわせな時間でした。
>>稚内ー礼文をつなぐハートランドフェリー公式サイトはこちら
礼文を旅する時、知っておいた方が良いポイント
実際に礼文に訪れてみて、旅人が知っておいた方が良いと思ったポイントを列記します。
- クレジットカードが使えない施設がありました(例:民宿さざ波など)
- 予約の時に確認し、ある程度現金に余裕を持って準備しておきましょう
- 多くのハイキングコースは出発地と帰着地が違います。レンタカーでは不便ですので、島内を走る公共バスを使う方が便利です
- バス便はそれほど多くありませんので、事前に時間、コースタイムを確認しておきましょう
- 食事施設が多くはありません。宿泊は素泊まりよりも食事付きにしておいた方が安心です
- 島にはコンビニは1軒だけ。しかも中心地からやや離れている(香深港から徒歩約30分)ため不便です。香深地区には個人商店がいくつかありますが、不定休だったり夜早く閉まることもありますので、確認しておきましょう
- 島ですから風は強いです。防風、防寒は意識して準備しておきましょう(あご紐のしっかりついた帽子、ウインドブレーカーなど)
雨の礼文の楽しみ方
「雨の時に、礼文は何をして過ごしたら良いの?」
この準備もしておくと安心ですね。
雨の時に訪れたいスポットの一例です。
- 礼文島温泉 うすゆきの湯
- 礼文郷土資料館
- 袋間(コワーキングスペース、移住定住相談)
- Book愛ランドれぶん
礼文島温泉 うすゆきの湯
うすゆきの湯は雨天に限らず、晴れの時も心強い味方です。
特にハイキング後にひと汗流せるのはありがたいですね。源泉かけ流しです。
私も滞在中、3回も入りました。
※許可を取って撮影しています
礼文町郷土資料館
歴史、遺跡、民芸品など充実していてかなり見ごたえがあります。
こちらも雨に限らず、礼文に訪れたら必見の施設です。
礼文町郷土資料館を詳しく紹介した記事はこちら ↓
>>【歴史好き必見】礼文町郷土資料館で礼文島の歴史を辿ろう!
袋間(コワーキングスペース、移住定住相談)
移住定住相談にのってくれるスペースです。
コワーキングスペース(フリースペース)が無料で使えるので、旅行者でも空き時間に使うと便利ですよ。
Book愛ランドれぶん
島唯一の本屋&図書館がBook愛ランド礼文です。
礼文の歴史を紹介した本もあります。滞在中、覗いてみてください。
秋の礼文の魅力まとめ
礼文は本当に素敵なところでした。
日本列島の北の果てにこんな楽園があったなんて思いもしませんでした。
礼文ファンが「礼文にはここでしか見られない風景がある」というのがよくわかりました。
そして秋!断然、秋!
礼文を歩くなら "秋" がおすすめです。
これは声を大にして言いたい。
高山植物は6~8月に比べると少ないですが、9月でもチラホラ出会うことができました。
礼文に魅せられたリピーターも多く、若い頃に礼文を訪れて定年を迎え、改めて礼文を訪れるシニア世代の人たちも多いそうです。
私も民宿さざ波でそういう人たちに出会いました。
それだけ礼文は旅人のこころを捉えて離さない、礼文ならではの魅力があるということなのでしょう。
礼文のあちこちから美しい利尻山(利尻富士)の姿を見ることができます。
利尻の人が冗談交じりにこういうそうです。
「利尻富士の拝観料を払え」と(笑)。
2024年、利尻礼文サロベツ国立公園指定50周年を迎えました。
あなたもぜひ一度、いえ一度と言わず何度でも礼文をお訪ねください。
きっと虜になることでしょう。
※情報は記事公開当時(2024年9月)のものです
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。