茶畑が素敵なスポットはどこにある? お茶を楽しむ旅へ

茶畑が素敵なスポットはどこにある? お茶を楽しむ旅へ

いつも私たちに潤いと癒しをくれる美味しいお茶。そんなお茶を栽培する茶畑は、お茶の魅力にあらためて気づける、旅行で訪れるのにもぴったりなスポットです。

この記事では、茶畑の楽しみ方から茶葉の種類、そして日本各地の素敵な茶畑まで、思わず茶畑に行きたくなる、とっておきの情報を紹介。絶景の茶畑を前に味わい深いお茶を飲めば、幸せを感じずにはいられないはず。

お茶を楽しむ旅へさっそく出発しましょう!

目次

<1. 茶畑とは>

<2. 観光における茶畑の楽しみ方>

<3. 茶葉の種類について知っておこう>

<4. 茶畑が素敵なスポット>

1. 茶畑とは

「夏も近づく八十八夜」と唱歌「茶摘」で歌われているように、日本の各地にある茶畑は、代々受け継がれてきた原風景。約1200年前、お茶が中国から日本へ伝わると、富裕層から武士階級、やがては一般庶民にも親しまれるようになり、お茶の栽培も各地に広がっていきました。

農林水産省の調査によると、荒茶(生の茶葉に一次加工を行ったもの)の2022年の国内生産量は、約6万9900tです。最も生産量が多い都道府県は、全体の約41%を占める静岡県、次いで約38%を占める鹿児島県と続きます。では、静岡県や鹿児島県に茶畑が多いのはどうしてなのでしょうか?

お茶の生育は、気象や土壌の影響を強く受けるため、栽培に最適な自然条件があります。年間を通して一定の雨が降ること、日当たりが良いこと、水はけと風通しが良いこと、霜を防ぐ霧がよく出ること......。そのため、山間部の傾斜地などがお茶の栽培にぴったりで、こうした条件に合う静岡県や鹿児島県に茶畑が広がっているのです。

なかでも静岡県は、日本一のお茶の産地として有名。秋から冬にかけて、畝(うね)の間にススキやササなどの草を敷くことでお茶の味や香りを良くする「静岡の茶草場(ちゃぐさば)農法」は、世界農業遺産にも認定されています。

茶畑が最盛期を迎えるのは、一番茶を摘む4月中旬~5月上旬頃。「茶摘」の歌詞にもあるように、立春から数えて88日が経つ頃で、芽が柔らかい一番茶は新茶とも呼ばれ、香りや栄養分がいっぱい詰まっています。さらに夏にかけて、二番茶、三番茶と摘み取りが行われ、私たちのもとへと美味しいお茶が届けられるのです。

2. 観光における茶畑の楽しみ方

日本の各地に広がる茶畑は、最近では観光スポットとしても注目を集めています。茶畑によっても違いますが、ここでは茶畑の主な楽しみ方を3つ紹介します。

お茶をいただける

美しい茶畑を前に、そこで採れたお茶をゆったりと味わう......。それはまさに、茶畑を訪れることで体験できる、最高の贅沢です。茶畑の中に設置されたティーテラスを貸し切って、友達や恋人、あるいは1人で、お茶を心ゆくまで味わえるスポットも人気。日常から離れ、癒しのひとときを過ごすことができます。

茶畑の周辺には、お茶を使ったジェラートやソフトクリーム、かき氷など、お茶スイーツを楽しめるお店も多いので、家族連れや女子旅にもぴったりです。

茶畑の絶景が楽しめる

斜面に美しい曲線を描きながら鮮やかな緑に輝く茶畑は、人と自然が生み出した芸術のような風景。観光地として人気の茶畑から知る人ぞ知る穴場的な茶畑まで、写真を撮りに行きたくなる絶景の茶畑もいっぱいあります。中でも、茶葉が濃い緑に煌めく春から夏は、美しい風景を楽しめる絶好の季節です。

ただし、茶畑は私有地なので、無断で立ち入ることのないように。農家の方にご迷惑をおかけすることのないよう、マナーを守って風景を楽しみましょう。

お茶摘み体験ができる

瑞々しい緑の中で、自らの手でお茶の新芽を摘むのも、茶畑ならではの楽しみのひとつ。先端の芽とその下の葉2枚の「一芯二葉」を折って摘むのがポイントで、茶葉の優しい香りに幸せな気持ちになれるはず。女性なら、茶摘み娘の衣装をレンタルして、可愛らしい写真を撮るのもいいでしょう。

お茶摘み体験のシーズンは、一番茶の4月~5月に始まり、二番茶、三番茶、そして四番茶と、秋にかけて続きます。摘んだ茶葉を持ち帰って飲むお茶は、まさに最高の1杯です。

3. 茶葉の種類について知っておこう

茶畑へ行くなら、茶葉の種類について知っておくと、さらに楽しさもアップします。どんなお茶も、元は同じ茶葉から作られますが、栽培方法や発酵度合いによって、まったく違うお茶が生まれるのです。そこで、どんな要素でそれぞれのお茶が生まれるのかを紹介します。

栽培方法の違い(玉露、煎茶など)

日本のお茶は、茶葉を摘んだ後、まず蒸気で蒸し、そのうえで揉み、さらに乾燥させることで出来上がります。日本で生産量が最も多く、私たちも日常的に飲んでいる「煎茶(せんちゃ)」は、新芽が出てから摘み取りまでたっぷりと日光を浴びさせて育てるのが特徴。カテキンが豊富で、程よい渋みと爽やかな香りのお茶が生まれます。

一方、高級茶として知られる「玉露(ぎょくろ)」は、新芽が伸び始めた頃、茶葉に覆いをかけることで、日光を遮って育てるのが特徴。テアニンが豊富になり、渋みが少なく、深いコクや旨みを楽しめるお茶になるのです。

発酵度合いの違い(緑茶、紅茶など)

茶葉には酸化酵素が含まれ、摘み取った時点から発酵が始まります。この働きを完全に利用するのが完全発酵茶である「紅茶」、途中で発酵を止めるのが半発酵茶である「烏龍茶」、発酵させないのが不発酵茶である「緑茶」です。そのため、紅茶や烏龍茶は発酵によって褐色に変化するのに対し、発酵させない緑茶には茶葉の緑がそのまま生きているのです。

日本で生産されているお茶は、ほとんどが緑茶。煎茶や玉露はもちろん、硬くなった茶葉から作る「番茶」、石臼などで粉末にした「抹茶」など、多彩な緑茶が親しまれています。

4. 茶畑が素敵なスポット

日本各地に茶畑はたくさんありますが、旅行で訪れるのにぴったりな茶畑はどこなのでしょうか。そこで、プライベートのティーテラスで過ごせる茶畑から、マチュピチュを彷彿とさせる絶景の茶畑、ドライブで立ち寄りたい爽快な茶畑まで、素敵な茶畑を7つ厳選して紹介します。

黄金の茶の間(静岡県)

黄金の茶の間
<出典:写真AC

日本一のお茶どころ・静岡県にあるのが、茶畑の真ん中に設置されたテラスを貸し切って、絶景を眺めながらお茶を楽しめる「茶の間」。県内に6ヶ所ありますが、なかでも静岡市の山間にある「黄金の茶の間」は、世界でここにしかない黄金色の茶畑が広がるテラスです。ハイキングをすること30分、辿り着いたテラスから一望する黄金色に輝く茶畑は、まるで天国のような幻想的な世界。

テラスで絶景を前に味わえるお茶「黄金(こがね)みどり」は、渋みの中に甘みがある味わい深さが魅力。併設の古民家のハンモックで過ごしたり、足湯に浸かりながらのんびりしたり、プライベートな癒しの時間を過ごすのにぴったりの茶畑です。

大淵笹場(静岡県)

大淵笹場
<出典:写真AC

段々に連なる緑の茶畑と、その向こうにそびえる美しい富士山......。日本の原風景とも言えるそんな絶景が広がるのが、静岡県富士市の茶畑「大淵笹場(おおぶちささば)」です。住宅や電柱などの人工物が一切入らない撮影ポイントとして、写真愛好家にも人気のスポット。古くからお茶の栽培が盛んな地域で、葛飾北斎の時代からほぼ変わらない風景が、今も大切に保全されています。

2022年には、伊藤園「お~いお茶」のCMのロケ地になったことでも話題に。毎年5月に「お茶まつり」が開催され、富士山をバックにした茶畑で、茶摘みをする茶娘モデルの撮影会が行われるなど、多くの観光客を集めるイベントとなっています。

  • 住所:静岡県富士市大淵1445
  • 公式サイト:大淵笹場

牧之原台地の茶畑(静岡県)

牧之原台地の茶畑
<出典:写真AC

日本を代表するお茶の産地が静岡県なら、その静岡県を代表するお茶の産地こそ、大井川の西岸に広がる「牧之原台地」です。牧之原市を中心に、島田市、菊川市にまたがって広がり、台地をうねるように続く一面の茶畑はまさに圧巻の風景。明治時代に開拓された牧之原台地は、一般的な煎茶よりも蒸す時間を長くした「深蒸し茶」発祥の地としても知られています。

ぜひ立ち寄りたいのは、広大な茶畑の中にある「グリンピア牧之原」。無料で製茶工場の見学ができるほか、シーズンにはお茶摘み体験もでき、茶娘衣装をレンタルして写真撮影も楽しめます。日本一濃いことで有名な抹茶ジェラートを味わうことも忘れずに。

天空の茶畑(岐阜県)

天空の茶畑
<出典:写真AC

岐阜県西部、のどかな山間の揖斐川町(いびがわちょう)には、「岐阜のマチュピチュ」と称される、絶景の茶畑があります。標高約300m、上ヶ流(かみがれ)地区の山の斜面に広がる、その名も「天空の茶畑」です。遊歩道を歩いた先のビューポイントから眺める風景が、南米ペルーの空中都市・マチュピチュを彷彿とさせることから、SNSでたちまち話題となりました。

山の中腹から山頂にかけて広がる茶畑は、まさに天空に浮かんでいるかのよう。また、麓にあるカフェでは、この地で作られたお茶を味わうこともできます。昔から親しまれてきた希少な「古来茶」は、土壌のミネラル分をたっぷり含み、独特な香りと味わいが評判です。

石寺の茶畑(京都府)

石寺の茶畑
<出典:写真AC

京都府南部に位置する和束町(わづかちょう)は、「茶源郷」とも呼ばれる京都一のお茶の産地。この地を象徴する茶畑が、京都府の景観資産第1号に登録された「石寺(いしてら)の茶畑」です。山の急斜面に、空まで続くかのように広がる緑の茶畑は、日本遺産にも認定された価値ある風景。近くのカフェでは、茶畑をのんびり眺めながら抹茶スイーツを味わえます。

春には桜並木と茶畑のコントラストも美しく、四季折々の風景を楽しめます。和束町には、パッチワークのような畝が美しい「白栖(しらす)・撰原(えりはら)の茶畑」などもあるので、ハイキングを楽しみながら茶畑めぐりをするのもいいでしょう。

  • 住所:京都府相楽郡(そうらくぐん)和束町石寺丸塚82
  • 関連サイト:石寺の茶畑

八女中央大茶園(福岡県)

八女中央大茶園
<出典:写真AC

福岡県を代表するブランド茶・八女茶(やめちゃ)は、南部の八女市が一大生産地。なかでも、一面の丘陵地に広がる「八女中央大茶園」は、東京ドーム15個分を誇る広大な茶畑です。1969年~1973年にかけて、県営パイロット事業として開発されたことから、「パイロット大茶園」の愛称でも親しまれています。頂上の展望所へ上れば、見渡す限り360度の茶畑を一望でき、晴れた日には有明海や島原半島まで望みます。

九州自動車道の八女インターチェンジからも近いので、ドライブで立ち寄るのにもぴったり。展望所のカフェスペースでは、輝くような緑の茶畑を前に、コクと甘みのある味わい深い八女茶を楽しめます。


日本の各地に広がる茶畑は、今日まで受け継がれてきた原風景であり、未来へと繋いでいくべき大切な風景。次の旅先選びに迷ったら、ぜひ茶畑へ行ってみてください。美しい緑の茶畑を眺めながら、1杯の美味しいお茶を味わえば、心と身体に自然と元気が湧いてくるはず。そして日常に帰ったとき、当たり前に飲んでいたはずのお茶に、不思議と愛おしさを感じられるようになっているはずです。

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手塚 大貴

沢木耕太郎氏の『深夜特急』がきっかけで、アジアやヨーロッパ、南米など世界各地をひとり旅。オリンピックやサッカーワールドカップなど、スポーツ観戦の旅も好き。実は世界遺産検定マイスター。旅エッセイやコラムも得意としています。

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