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京都で1日お遍路!?御室八十八ヶ所霊場をめぐろう
京都は数多くの寺社仏閣を有する観光都市。そんな京都で四国八十八ヶ所霊場巡りができることをご存じでしょうか?しかも、1日で八十八ヶ所全てを全て巡れるというお手軽さも兼ね備えているというから驚きです。
なかなか忙しくて四国を巡る時間が取れないという方にうってつけの、京都でできる四国八十八ヶ所霊場巡りをご紹介しましょう。
目次
- 京都の世界文化遺産のひとつ、御室仁和寺
- 御室仁和寺に四国八十八ヶ所霊場がある!?
- いざ行かん、御室八十八ヶ所霊場巡り
- 変化に富んだ成就山を楽しもう
- 絶景あり、難所あり?ゴールを目指せ
- そして結願へ!八十八ヶ所完走だ
京都の世界文化遺産のひとつ、御室仁和寺
御室仁和寺といえば、ユネスコ世界文化遺産でもある京都でも人気の観光スポット。その創建は888年という歴史を誇り、古典文学である兼好法師作の「徒然草」では「仁和寺にある法師」の話が国語の教科書にも掲載されているので広く知られている寺院であるといえます。
寺の名前にもなっている御室とは、天皇が出家した後に住んだ住まいのこと。平安時代の宇多天皇が出家し、仁和寺に住まわれたことから御室御所と呼ばれるようになったのが始まりとされています。それ以降明治時代に至るまで代々の皇族が住職を務める門跡寺院として皇室とゆかりの深い格式の高い寺院として知られています。
ちなみに仁和寺周辺は御室という地名になっていて、京都に本社がある大手電機機器メーカー「オムロン」はこの辺りが創業の地であることから御室の地名にゆかりのある社名となっているのです。
御室仁和寺に四国八十八ヶ所霊場がある!?
仁和寺の見どころは数多くありますが、代表的なのは「御殿」と呼ばれる本坊。宇多天皇の御所があった場所にあり、素晴らしい庭や京都御所と見間違う程の格式ある建物を楽しめます。
また、春には遅咲きで有名な御室桜が咲くことでも有名です。御室桜は目線の高さで花を楽しめる、低木の桜で独特の景観に多くの観光客が訪れるのです。
そんな御室仁和寺の背後にある成就山にはもうひとつの見どころがあるのです。それこそが、御室八十八ヶ所霊場です。ここにある約3kmに及ぶ山道には四国八十八ヶ所霊場の写しであるお堂(札所)が点在しています。なぜこんなところに四国八十八ヶ所霊場があるのか?それは江戸時代にまで遡ります。
まだ当時は四国への参拝が困難だったため、文政10年、仁和寺29世門跡済仁法親王の命で四国八十八ヶ所霊場のお砂を持ち帰り、成就山に埋め、その上にお堂を建てたのです。これが御室八十八ヶ所霊場の始まりです。
四国八十八ヶ所霊場巡りは阿波・土佐・伊予・讃岐の各国をめぐり全行程が1,450kmともなり、徒歩であれば約50日はかかるとされています。しかしここ御室八十八ヶ所であれば、約2時間ほどで全てをまわることができ、1日で四国八十八霊場と同じご利益が得られるということで、古来から現代まで伝わっているのです。
まさにミニチュア版の四国八十八ヶ所霊場ともいうべき御室八十八ヶ所霊場。しかし各々のお堂にはちゃんと本尊と弘法大使像も置かれていて、本格的な霊場巡りとして臨めるようになっています。
ちなみにここは有料の拝観エリアではないため、通年でいつでも誰でも入ることができます。ちょうどいい運動になりそうなアップダウンもあるため、地元民の恰好のハイキングコースとしても人気があります。
いざ行かん、御室八十八ヶ所霊場巡り
御室八十八ヶ所霊場巡りの出発点は通常の御室仁和寺の拝観エリアとは異なり、いったん西門から境内を出て住宅街を歩いた先に一番札所があります。ここが御室八十八ヶ所霊場のスタート地点です。
スタート地点には一番札所の霊山寺のお堂があります。お堂の傍らには「阿波の国 発心の道場」の石碑もあります。一番から二十三番までは阿波の国、現在の徳島県の霊場ということですね。
一番札所でお参りを済ませ、いよいよ本格的に御室八十八ヶ所霊場巡りのスタートです。・・・と思ったらすでに次の二番札所、極楽寺のお堂が見えていました。
そうなのです、2時間ほどで八十八ヶ所をめぐるわけですから、札所と札所の間は驚くほど距離が短いのです。中には視界の中に札所が3か所も見えるような所もあるほどで、どんなに距離がある札所も数分歩けば見えてくるのです。
しばらくは上り道となりますが、次々と見えてくる札所に退屈することもなく歩いていくことができるでしょう。十番札所を過ぎるあたりからは斜度も上がってきますので気合を入れて歩いていきましょう。
こちらは八番札所の熊谷寺ですが、屋根にはブルーシートが張られています。近年京都では台風や豪雨災害が相次いだのですが、ここ御室八十八ヶ所霊場もまたしかり。倒木や参道の崩落だけでなく、お堂の破損が相次いでいるのです。仮復旧状態で凌いでいる箇所も多いので、十分注意しつつ参拝しましょう。
変化に富んだ成就山を楽しもう
阿波の国(発心の道場)は一番札所・霊山寺→二番札所・極楽寺→三番札所・金泉寺→四番札所・大日寺→五番札所・地蔵寺→六番札所・安楽寺→七番札所・十楽寺→八番札所・熊谷寺→九番札所・法輪寺→十番札所・切幡寺→十一番札所・藤井寺→十二番札所・焼山寺→十三番札所・大日寺→十四番札所・常楽寺→十五番札所・国分寺→十六番札所・観音寺→十七番札所・井戸寺→十八番札所・思山寺→十九番札所・立江寺→二十番札所・鶴林寺→二十一番札所・太龍寺→二十二番札所・平等寺→二十三番札所・薬王寺と続きます。
なお二十三番札所・薬王寺のお堂まで来ると、視界が開けていて京都市内を眺めることができるスポットがあり、小休止にはピッタリです。
この辺りからはアップダウンを繰り返し、本格的に山っぽくなっていきます。そしてこの先からは土佐の国(修行の道場)へと入っていきます。
土佐の国のお堂もいくつかは損傷している部分がありますので注意が必要です。風通しの良さそうな尾根筋にあたるこの辺りのお堂は台風による影響を受けたようです。
ちなみに三十一番札所・竹林寺は屋根がパリッとしています。ここのお堂も台風で屋根が吹っ飛んでいたのですが修復されて綺麗になったようです。
三十三番札所・雪蹊寺の脇にある空海像も台風で倒されてしまっていたのですが、こちらも修復が終わっていました。
三十六番札所・青龍寺はなぜか他のお堂と少し構えが違います。急に参道に門が出てきたり、敷地もおおきめ。石垣なども組まれていて、ちょっと豪華な仕様です。
三十七番札所・岩本寺のお堂には花天井が描かれています。どれも同じように見えるお堂にもそれぞれ個性があるのでじっくりと見てみましょう。
波乱の続いた土佐の国(修行の道場)は二十四番札所・最御崎寺→二十五番札所・津照寺→二十六番札所・金剛頂寺→二十七番札所・神峯寺→二十八番札所・大日寺→二十九番札所・国分寺→三十番札所・安楽寺→三十一番札所・竹林寺→三十二番札所・禅師峰寺→三十三番札所・雪蹊寺→三十四番札所・種間寺→三十五番札所・清滝寺→三十六番札所・青龍寺→三十七番札所・岩本寺→三十八番札所・金剛福寺→三十九番札所・延光寺と並んでいます。
絶景あり、難所あり?ゴールを目指せ
四十番札所・観自在寺からは伊予の国・菩提の道場へと入っていきます。
四十一番札所・龍光寺はコンパクトで六角形のお堂が目につきます。六角のお堂はここだけです。
四十三番札所・明石寺の屋根は抜け落ちてしまっていました。修復の必要なお堂は多数存在していますね。参拝にも気を付けましょう。
そして四十八番札所・西林寺の辺りが成就山の山頂付近となります。標高236mとはいえ、京都市内を一望できるので晴れた日には絶景が楽しめます。ここからはまだアップダウンはあるものの、基本的には下りが多いルートとなります。
そしてこのコース上で一番の絶景ポイントともいえるのが五十番札所から五十一番札所の間にある眺望が開けた場所。辿り着けば、ここだなというのがすぐにわかるほどの絶景ポイントです。京都市内の大パノラマを楽しみつつ、息を整えて次へ向かいましょう。
さてこのあたりから終盤まで、ルートがややトリッキーになってきます。順路標識をよく見てルートを間違わないように進んでいきましょう。
特に初見で間違いやすいのは五十三番札所・円明寺です。ここにきて、普通の道が順路だったのが、急に岩登りのタスクが待っています。そしてその後の順路も岩とお堂の間を抜けるというルートを辿ります。
土佐の国の札所ほどではありませんが、この伊予の国の札所にも老朽化からか、倒壊を防ぐための補強がされているお堂がいくつかあります。このあたりは一気につづら折れの道で標高が下がっていきます。
六十四番札所・前神寺まで来た頃にはすっかり平坦な場所になっていて、目の前には大きな池が見えるはずです。
そして一旦池を背にして、六十五番札所・三角寺へと向かいましょう。人家に併設されたようなお堂が三角寺の札所です。周辺には少し荒れていますが、滝などもあってかつてはもう少し賑わいを見せていたのかもしれませんね。
ここまでが伊予の国(菩提の道場)で、四十一番札所・龍光寺→四十二番札所・仏木寺→四十三番札所・明石寺→四十四番札所・大宝寺→四十五番札所・岩屋寺→四十六番札所・浄瑠璃寺→四十七番札所・八坂寺→四十八番札所・西林寺→四十九番札所・浄土寺→五十番札所・繁多寺→五十一番札所・石手寺→五十二番札所・太山寺→五十三番札所・円明寺→五十四番札所・延命寺→五十五番札所・南光坊→五十六番札所・泰山寺→五十七番札所・栄福寺→五十八番札所・仙遊寺→五十九番札所・国分寺→六十番札所・横峰寺→六十一番札所・香園寺→六十二番札所・宝寿寺→六十三番札所・吉祥寺→六十四番札所・前神寺→六十五番札所・三角寺と連なっています。
そして結願へ!八十八ヶ所完走だ
そして六十六番札所・雲辺寺からは最終の讃岐の国・涅槃の道場へと入っていきます。このあたりの順路はかなりあちこちに飛びますので順路案内を見落とさないように注意してください。また、今自分が何番の札所を目指しているのかもしっかり把握しておきましょう。
本当に順路の把握がしづらいので焦らず、順路標識の指す方向へと歩いていきましょう。
六十八番札所・神恵院は池の上にお堂が建てられた唯一の札所になっています。
ここまでいくつか破損していたお堂もあったのですが、ついに崩壊しまっているお堂も・・・。こちらは七十一番札所・弥谷寺で、早期の修復が待たれますね。
最終盤は道もなだらかになり、山も抜けて明るさが増していきます。終わりが近付いているのを感じられるようになるでしょう。
讃岐の国(涅槃の道場)は六十六番札所・雲辺寺→六十七番札所・大興寺→六十八番札所・神恵院→六十九番札所・観音寺→七十番札所・本山寺→七十一番札所・弥谷寺→七十二番札所・曼荼羅寺→七十三番札所・出釈迦寺→七十四番札所・甲山寺→七十五番札所・善通寺→七十六番札所・金倉寺→七十七番札所・道隆寺→七十八番札所・郷照寺→七十九番札所・高照寺→八十番札所・国分寺→八十一番札所・白峯寺→八十二番札所・根番寺→八十三番札所・一宮寺→八十四番札所・屋島寺→八十五番札所・八栗寺→八十六番札所・志度寺→八十七番札所・聖観音と連なっています。
そして最終八十八番札所・大窪寺まで辿り着くと、普通のお寺の境内のような雰囲気が漂っています。広大な敷地はここまでの疲れを癒すのにもピッタリ。ゆっくりと足を休めましょう。そして忘れないように最後の結願所で、しっかりとお願いをかなえてもらうように祈りましょう。
この御室八十八ヶ所霊所巡りは、いつでも自由にお参りすることができますが、月に1回「成就山 八十八ヶ所ウォーク」というスタンプラリーイベントも行われています。スタンプ帳、保険料込み大人500円で参加ができるこのイベントは多くの参加者が集まる人気イベントでもあります。このスタンプ帳をたくさん集めると記念品がもらえるのだとか。
そしてこの御室八十八ヶ所霊場巡りは、令和9年になんと開山200年を迎えます。イベントの参加費は荒れた参道やお堂の修復等に当てられるので、チャリティーイベントの側面もあるのでぜひ参加してみてください。特に予約は不要なので気軽に参加できるのもいいですね。なお開催日時等は御室仁和寺の公式サイトをご確認ください。
御室仁和寺
- 住所:京都府京都市右京区御室大内33
- アクセス:京都駅から市バスで約40分、京福電鉄「御室仁和寺」駅から徒歩3分
- 公式サイト:御室仁和寺
※記載の情報は2023年4月現在のものです。最新情報は公式サイトをご覧ください。
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- 最北端、最南端などの端っこスポットや、日本一〇〇なスポットなど、どちらかというとニッチな観光スポットやB級スポットが好きです。