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チリ~アルゼンチンの国境越え
島国日本にいてはできない「国境越え」。車やバスにのって、国境を超えることは何度体験しても、興奮します。今回は、チリからアルゼンチンへ行く国境越えルートを紹介したいと思います。
目次
国境ルート
世界で三番目の長さを誇るチリーアルゼンチンの国境は5,308km。北から南まで大小合わせると20か所以上の国境事務所があります。そのほとんどはアンデス山脈沿いにあるので、国境道路は未舗装のところや、馬や歩いてしかいけないところもあります。一方、チリとアルゼンチンを結ぶバスが通っている国境もいくつかあり、旅行者でも気軽に国境越えをすることができます。
一番本数が多い国境を結ぶバスは、チリの首都サンティアゴから、アルゼンチンのワインの産地として有名なメンドーサに抜けるルート。
バス会社もいくつかあり、朝出発する便と夜行便があります。値段は日本円で7,000円くらい。景色を見るなら、おすすめは朝便。バスは、南米大陸で一番高いアコンカグア山の近くを通って進みます。なお、寒い季節(5月末から9月末)は山間地の雪による欠便もあるので注意が必要です。
チリの南部とアルゼンチン南部を結ぶ国境ルートでバスが通っていて観光客にお勧めなのは、チリ側のプコンからアルゼンチン側のサンマルティン・デ・ロスアンデスに行くルート。
と、チリ側のオソルノからアルゼンチン側のサンカルロス・デ・バリロチェに行くルート。
どちらも、湖や山の風景がとてもきれいで、窓側に座るのがおすすめの国境ルートです。一番大きいバス会社のリンクを貼っておきます。
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ちなみにチリのバスは、日本のバスより大きくて快適です。どの国境も6時間から8時間の長旅なので、飲料と食べ物をバスに持ち込むのがおすすめです。バスにトイレは付いていますが、トイレットペーパーがない可能性があるのでそれもお忘れなく。
さて今回は、年末年始に、バスではなく自家用車でチリ側のオソルノからアルゼンチン側のサンカルロス・デ・バリロチェまで行った国境越えの様子をお伝えします。
国境につながるチリの国道215号線を進むと、田舎ののんびりした景色が広がります。天気が良ければ、チリ富士と言われるオソルノ山や、先が見事にとんがった山が見えます。
その後国境を目指して左に、プジェウエ湖の眺めが広がり、
どんどん坂道を登っていくとチリ側の国境に到着します。
チリ側の国境審査
チリを出国するには、特に注意点はありません。
バスの場合、運転手さんの指示に従って、乗客は全員バスの外に出て、国境検査を受けて終わりです。
でも、問題は、チリに入国する際のチェックです。チリでは自国の農作物を守るために、種や、生の野菜・果物・はちみつ・チーズや生の肉類を持って入国することができない決まりになっています。国境でSAG(農業省)のフォーマットに記入をして(最近デジタル化が進んでいます)、
食べ物や木製・革製のお土産などを持っている場合は、それを見せて、持ち込んでも問題がないかをチェックしてもらう必要があります。
バスや車に積んである荷物はすべて出され、犬がにおいをかぎながら係官にチェックされ、問題がある場合はそばにあるごみ箱に捨てられてしまうので、食べ残していた果物などは、チリに入国する前に食べておく必要があります。
国境審査が終わって、アルゼンチンに向かってさらに山道を20分くらい進みます。このあたりは2011年に起きた近くの火山の噴火で灰が積もり、場所によっては立ち枯れをしている木々があり、印象的な風景を見ることができます。
峠を登りきると、こんな景色。
国境の標識によると南緯40度標高1,321m。夏の間は自転車で国境を超えるチャリダーたちも多く見かけます。ここからはゆるやかな下り坂。ひたすら10分くらい下っていくと、アルゼンチン側の国境があります。
アルゼンチンの国境審査
アルゼンチンの入国検査は、チリ側と違って特に厳しくないように見受けられますが、いつもなぜか時間がかかります。
今回は滞在先・滞在期間・メールアドレスを聞かれたくらいでしたが、ずいぶん待ちました。今回は、荷物検査は何もありませんでしたが、念入りにあるときもあります。
アルゼンチンに入国の際に注意が必要なのは、販売物品を持っていないかです。アルゼンチンは自国の工業製品などを守るために、外国から商品を持ち込むと多額の税金を取られることがあります。デジタル物品など、パッケージに入っている真新しいものを持っていると、旅行者でも販売用だと誤解されることがあるので、注意が必要です。
無事にアルゼンチン入国を果たすと、目的地のサンカルロス・デ・バリロチェまで、絶景が続きます。
きれいな木々と真っ青な湖・尖ったかっこいい峰々の風景を楽しみながら、
1時間半ほどの快適なドライブで、北部パタゴニアの有名観光地、サンカルロス・デ・バリロチェに到着です。
この街は南米のスイスと呼ばれ、夏は山と湖の絶景、アウトドアスポーツ全般、冬はスキーが楽しめ特にブラジルから観光客が大勢来るそうです。
チリとアルゼンチンの違い
チリからアルゼンチンに行くたびに、お隣でも国境を越えればこうも違うのか、と驚くことがあります。
一つは話し方。チリもアルゼンチンも公用語はスペイン語ですが、アルゼンチンの人は歌うように話すのですぐわかります。またよく使う「私」という単語のYo。チリでは「ジョ」と発音しますが、アルゼンチンでは「ショ」、「君」という単語はチリでは「tu」ですが、アルゼンチンでは「vos」なので、仮に歌うような話し方でなくてもすぐにわかります。
人々の習慣の違いとして真っ先に思いつくのは、アルゼンチンではマテ茶を多飲すること。国境事務所のそれぞれの係員のテーブルの上にはマテのコップが置いてあり、マテを飲みながら仕事をしていることがうかがわれます。チリでは机の上にお茶を飲むためのカップが置いてあることはあまりありません。そして、チリ人は一概に言えば、真面目で勤勉ですが、アルゼンチンでは人々はリラックスしていておしゃべりも多い印象。(そのせいか国境審査も時間がかかります。)
国境のインフラは、チリの方が整っています。道路やデジタル化はチリの方が整備されており、自家用車で通過する人用のチェックの紙もカラー印刷でチリの方が立派です。
<アルゼンチン側:白黒>
<チリ側:オールカラー>
面白さ・異文化さでいえば、アルゼンチンに一票。驚くべきはインフレです。
参考記事:年間インフレ率100%を超える?!ハイパーインフレのアルゼンチンから
この記事にもありましたが、アルゼンチンに行くたびに驚くのがインフレの度合い。まったく同じ品物が、20倍の値段で売られているとか、日本では全く考えられないようなことが起こっている国なので、人々のメンタルも日本人とかなり違い、大らかで強い感じがします。
アルゼンチン人の友達たちを観察していると一般的に話すことや集まることが大好きで、工夫や発明が好きという感じがします。広い国土と資源を持つアルゼンチンに比べると、チリは長いけど狭く、村社会的。人々はやや繊細で日本人に似ていると思うこともよくあります。
せっかく南米大陸の南の方まで足をのばすなら、ぜひチリとアルゼンチン両方体験してみてください。
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。