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【ギリシャ】ドデカニサ諸島のシミ島はローカルグルメ天国だった!

パンデミックの大打撃からの回復に、早い時期から力を入れてきたギリシャ。今年の観光シーズンは以前とほぼ変わらない感じで、世界中から多くの旅行者が訪れています。
私たちも例年通りシミ島のサマーハウスで短いバカンスを楽しんできましたが、やっぱり島はいいですね!毎回同じ場所へ行っていても、新しいお店がオープンしていたりの変化に気付いたり、逆に変わらないものの魅力を再発見したりで飽きません。
目次
シミ島の魅力
アテネから遠いシミ島は、行く人を選ぶ島かもしれません。フェリーだとひと晩かかるし、もっとスピーディーに行くにしても、ロドス島やコス島まで飛行機に乗り、そこからフェリーに乗り換える必要があります。でも、島へ到着する時に目の前に広がる景色は、ハッとするほど美しく、多くの人を魅了するでしょう。
ギリシャで最も美しい島のひとつと讃えられながらも素朴さが残っているのは、いまいちアクセスがよくないおかげかもしれません。人気の島は確かに感動的に美しい町並みや景色が楽しめるのだけど、音楽をガンガンかけたバーやクラブで羽目を外して騒いでいる迷惑な観光客がいたり、物価が高い(ぼったくり価格も横行していて、毎年ニュースになるほど)というネガティブな部分も。シミ島などあまり有名でない島はハイシーズンでもうるさくないし、飲食店やホテルの価格設定はリーズナブルです。
豊富なローカルグルメ
日本ではどこへ行ってもご当地グルメが楽しめますが、ギリシャの人は商売っ気があまりないのか、せっかく地元の名物などがあっても観光に活用していなくてもったいないな~と感じます。これは、欧米からの観光客の多くが食に冒険的でなかった(?)というのも理由なようですが。グルメブームや伝統食品ブームのおかげでそれも変わってきているのがよい傾向です。
シミ島は小さな島ながら、意外とローカルグルメが充実しています。
名物の筆頭によく挙げられるのはシミシュリンプと呼ばれる小エビで、殻ごと揚げ焼きにされたものにレモンを絞って食べるシンプルなおいしさ。
貝を海水に漬けて保存したスピニアロ(材料により名前が違う場合も。写真はフスカというホヤの仲間でフスコアロ)という伝統食品も、珍味好きにはたまりません。
島に自生するハーブや野草を食べて育った山羊や羊の料理もおすすめでです。日本では山羊肉というと臭い・癖が強いというイメージがあるようですが、ギリシャの山羊肉はあまり癖がなくてびっくりするはず。
ちょっと珍しいものでは、シクラメンの葉で米を包んで似た料理があります。ギリシャでよく食べられるドルマデス(ぶどうの葉の米詰め)の地方バリエーションで、シミ島や近隣のいくつかの島でしか見かけないもの。レストランではかなり遭遇率が低いのですが、シミ島では港町のバス停横のパンデリスというレストランで、ぶどうの葉のドルマデスとミックス盛りで出していました。
お土産にもおすすめの地元産食品
上で挙げた以外にも、名物がいっぱいのシミ島。伝統レシピで作られるビスケットやクッキー類はベーカリーで売られていて、日持ちもするのでお土産にぜひ。
島で採れる薫り高い蜂蜜、手作りジャム(イチジクがおすすめ!)も、とてもおいしいです。
比較的新しい名物では、シミ島シーソルトが筆者お気に入りです。太陽の力を利用して作られる天日塩は、ミネラルもうまみもたっぷり。
新しくオープンしたお店
今年は数日の滞在で、残念ながら行きそびれたお店も多いのですが、新規オープンの伝統食品のお店とモダンギリシャレストランはしっかりチェックしてきました。
アクーミ(AKOUMI)
イァロス(港町)にこの春オープンした伝統菓子や伝統食品のお店。店名の「アクーミ」は、シミ島の伝統的な揚げ菓子から(複数形でアクーミアと呼ばれることが多い)。アクーミアはギリシャ全土でよく食べられるルクマデスというイーストドーナッツのシミ島版で、お祝いの時などに欠かせないお菓子。粥状に溶けるまで炊いた米を小麦粉とあわせて生地にするのが特徴です。
アクーミアのほか、クルラキァ(輪っか型のビスケット)、ザハレーニャ(粉砂糖をまぶしたクッキー。ここのはローズウォーターが香っておいしいです)などの焼き菓子、シミ島の伝統的なチーズパイなど、朝食やおやつにぴったり。
瓶詰めのジャムや飲み物もいろいろ。カネラーダというシナモン風味のシロップは、水またはお湯で割って飲むほか、カクテルやお菓子作りに。いろんな種類のリキュールや、シミ島のローカルワインもありました。
目の付けどころがいいなと思ったのは、この店がサボテンの実推しなところ。島のあちこちに生えているウチワサボテンが実をいっぱいつけているのを目にしますが、あまり食べられずそのままなのがもったいないなと常々思っていたのです。
サボテンの実のピューレで作ったミソコフティと呼ばれるプディングは、シミ島の伝統的なお菓子。パノルミティスベーカリーで売っているものの方が食べやすいですが、こちらの方が伝統の味かも?
他にはサボテンの実を使ったジャム、リキュール、ルクミ(ゆべしのようなグニュッとしたお菓子。これは美味しかったです!)、イポヴリヒオ(フォンダンのようなお菓子で、スプーンですくったのをコップの水に浸けて供されることから潜水艦と呼ばれる)なども。食べやすく切った生のサボテンの実も売っていました。
甘いもの以外では、おばあちゃんの伝統レシピのトラハナ(パスタの一種で、スープにして食べたりする)、シミ島のローカルチーズの瓶詰めなどもありますので、もし行かれる方はぜひチェックしてみてください。
買ってきたアクーミとシミ島風チーズパイ(トゥルテス)で朝ごはんにしました。
カリ・ストラータ(KALI STRATA RESTAURANT)
店名の「カリ・ストラータ」とは、港周辺のイァロスと呼ばれる町とホリオ(村)をつなぐ石段の通りのこと。カリ・ストラータをほぼ上りきったところにこのお店はあります。
看板のイラストが魚をモチーフにしたデザインで可愛い。メニューはシーフードが主ですが、肉や野菜、チーズの料理もあるのでシーフードを食べない人も楽しめます。
昼ごはんを遅めに食べてしまったので、ワインと一緒に軽くつまめる料理をいくつか頼んでみました。
うちはみんなチーズ好きなので、チーズの料理を2種類。こちらはキュッキュッとした食感が楽しいキプロスのハルミチーズのグリル。
ダコスは、粗挽きの大麦パンで作られたラスクのサラダ仕立て。元はクレタ島の料理なのですが、全国でポピュラーな一品です。
家族はシーフードを食べないのですが、私はせっかくなのでムール貝のワイン蒸しをチョイス。ギリシャのムール貝は身が小ぶりなことが多い気がするのですが、とてもおいしいです。
食後にサービスで出されたデザートはココナッツ入りのセモリナケーキでした。シロップを染み込ませてあるので甘いですが、これぐらいのサイズだと程よいですね。
おわりに
日本からの旅行者はあまり行く機会のない島だと思いますが、ロドス島へ行かれる方はぜひシミ島まで足をのばして、できれば何日か滞在してみてください。
今回はグルメに焦点をあててご紹介しましたが、豊かな自然も楽しめる島なのできっとリフレッシュできるはずです。
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アナグノストゥ直子
- アテネ在住。主婦業の傍ら、ライター、リサーチャー、コーディネーターとしても活動する。ブログ「ギリシャのごはん」にてギリシャ料理レシピやおいしい話題を発信中。