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【五島市】福江島にはなぜ移住者が増え続けているのか?離島のならではの魅力とは?
長崎港から西へ約100km、東シナ海に面し、大小152もの島々からなる五島列島。
日本中の多くの市町村が過疎に悩む中、五島列島の福江島は、2019年~2020年の2年間、島を離れる人数よりも島に転入する人数の方が多かったという、全国でも珍しい島です。
福江島の魅力はどこにあるのか、実際に訪れ、歩いてみて、わかったような気がします。この記事ではそのエッセンスをお伝えしたいと思います。
五島に旅したい人、ワーケーションなどの短期滞在、移住してみたい人のヒントになれば嬉しいです。ショート動画もふんだんに盛り込みましたので、雰囲気がよくお分かりになると思います。
※今回は五島列島の中で、下五島と言われる五島市(福江島、奈留島、久賀島等)を訪れました。この記事では福江島を中心にお話しします。
目次
- 福江島の魅力をひとことで言うと
- 福江島とはどんなところ?
- 福江島の自然の美しさ・観光スポット
- 福江島のおすすめグルメ
- 福江島のおすすめお土産
- 世界文化遺産 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(久賀島の集落、奈留島の江上集落)
- 福江島まとめ
福江島の魅力をひとことで言うと
「福江島の"一番の魅力"ってなに?」と訊かれたら、私はたくさんある魅力の中から「海」と答えたい。
ここが日本とは思えないほど美しい青い海。まるでニューカレドニアやタヒチなど南太平洋の島々のようです。遠浅の白砂に透きとおったエメラルドグリーンが映え、沖に向かうにつれて蒼く濃くグラデーションしていく風景には、思わずうっとりしてしまいます。
「この風景を見られただけでも福江島に来た甲斐があった。。。」
そんな脱日常を存分に感じられることでしょう。
うむ~ 写真や動画では自分の目で見た青の鮮やかさの10分の1も表せていないのがもどかしい。。。
ぜひご自身の目で確かめてください。きっと驚きますよ。
そして福江島に来たら、海岸線の道路を走ってみてください。できれば原付バイクやアシスト付き自転車がおすすめです。
思わず止まってカメラを向けたくなる、そんな風景が次々と目の前に現れてきます。
例えばこんな、映画のワンシーンのような光景が現れてくるのです。
福江島とはどんなところ?
五島列島は、大小合わせ152の島から成りますが、江戸時代には主要5島(福江島、奈留島、若松島、中通島、宇久島)を指して五島と呼んでいたようです。
五島列島は大きく下五島エリア、上五島エリアに別れます。下五島は行政区分上、五島市。五島市は奈留島以南の島々で、一番大きい福江島が経済、観光の中心です。
福江島は、人口33,008人(2021年12月)、面積は326.4キロ平方メートル。滋賀県の琵琶湖がほぼすっぽり入る広さです。主産業は漁業、農業、観光業。
福江島の観光地
鬼岳、大瀬埼灯台、福江城跡、武家屋敷通り、高浜海水浴場などです。
福江城は日本で一番最後に出来た城。三方を海に囲まれた珍しいお城だったようです。現在は門と石垣が残るのみで本丸跡は長崎県立五島高校になっています。これも珍しいですね。高校に通う時、登城する気持ちになるのでしょうか。。。笑
武家屋敷通りは往時の面影が残る風情ある通りで、下級、中級武士が住んでいた地域です。
気候
海洋性気候で冬は温暖、夏は比較的涼しく過ごしやすいのが特徴です。
福江島へのアクセス(本土から)
船か飛行機です。長崎、福岡からアプローチすることができます。長崎港からはフェリーで約3時間10分(直行)、ジェットフォイル(高速船)なら1時間25分(直行)で到着。飛行機なら長崎空港から約30分、福岡空港から約40分で到着します。
<長崎本土と福江島を結ぶ高速船ジェットフォイル ぺがさす>
さすが、ジェットフォイル。海の上をトビウオのように進んでいきます。
<福江港ターミナル>
港のターミナル内には、お土産を買えるお店が豊富にあります。
福江島の自然の美しさ・観光スポット
海、海岸線
福江島には「~浦」という地名が多くあります。それだけ入り江が多く、絵画のような美しい景観を創りだしています。海岸沿いの道路をドライブすると福江島の美しい海を存分に堪能することができるでしょう。
このように雄々しい海岸線があちこちで見られます。特に島の南部(富江)、西部(玉ノ浦)の海岸線は美しくおすすめです。また島の北東部、堂崎天主堂がある奥浦地区の入り江の風景も風情があります。
バイクで走っていると思わず海に見とれてしまうので、要注意です。
高浜海水浴場
日本一美しいと言われることもある白い砂浜。日本の渚100選、快水浴場100選にも選ばれています。ここはまさにリゾートアイランドを強く感じる場所です。人工物がほとんどないので、手つかずの自然を楽しめます。遠浅で海の色がエメラルドグリーンからコバルトブルーにグラデーションしていきます。誰もが憧れる、理想の海がここにはあります。この世のものとは思えない、自然が創り出した芸術です。
<高台から見下ろした高浜海水浴場。右奥には頓泊海水浴場が並んで見えます>
コロナ禍の影響からか、私が訪れた8月初旬でも混雑していませんでした。ほぼ貸し切り状態で海を満喫できます。
鬼岳(おにだけ / おんだけ)
福江島のシンボル、鬼岳。
鬼岳は、いかつい名前とは裏腹に芝生に包まれたなだらかな山で、福江島民の憩いの場でもあります。島の南東部にあり標高315メートル。火口を1周ぐるっと歩くこともできます(約1時間半)。私が訪れた時、ちょうど結婚式の写真を撮っているカップルがいました。まるで童話の世界にいるよう。子供たちも大喜びでしょう。
鬼岳は一面芝生なので、思わず寝っ転がりたくなります。
鬼岳展望台からは福江の中心地を見渡せます。動画でこの世界をどうぞお楽しみください~。
火口を周っているとこんな風景も現れます。
非日常感満載で、まるで楽園にいるようです。
また鬼岳の麓にある「鬼岳四季の里」の五島うどんは、個人的にイチオシの美味しさです。
大瀬埼灯台
島の最西端にある灯台で、1879年(明治12年)に建造されました。「日本の灯台50選」「日本の夕陽100選」にも選ばれています。九州本土で最も遅い時間に沈む夕陽を見ることができる場所です。
駐車場から灯台まで徒歩20分(片道)で行くこともできます。アップダウン(往路が下り、復路が登り)があり、汗だくになりますが、時間が許せばぜひ下りてみてください。灯台と海岸線が迫ってきてその迫力に圧倒されます。
遊歩道を下ってきて大瀬埼灯台が近くに見えてきました。もうひと息です。
灯台を背にして映した動画がこちら。この海岸線の雄大さをご覧ください。
城岳(しろたけ)展望所
私は初めての土地を訪れる時は必ず、高台から町が見渡せる展望台を探します。福江島にもいくつかの展望台がありますが、中でもおすすめなのが島の北部、岐宿(きしく)にある城岳展望所です。ここからの眺めが、それはそれは素晴らしいのです。パッチワークのような田畑、海、対岸の久賀島、奈留島まで見渡すことができます。多島美が織りなす美しい風景を楽しめます。
こちらも動画でお楽しみください。
福江島のおすすめグルメ
旅の楽しみとして「食」は外せません。地元ならではの新鮮な食べ物をいただく、それが何よりの旅の楽しみです。もちろん五島・福江島の「食」も特筆ものです。
新鮮な魚介類
対馬海流が流れる豊かな漁場で、1年中美味しい魚が穫れるのは、五島ならではの魅力でしょう。
私が訪れた8月初旬はイサキ、ハガツオ、ヒラマサなどが旬の時期で、テーブルに並びました。見てください、このツヤ。
<小料理 五松屋の刺身3点盛り 1,500円>
お刺身がコリコリしこしこの新鮮さです。刺身にエッジが効いています。素材の良さが他の土地とは全然違いました。
<五松屋のきびなご刺身 650円>
九州といえば、きびなごですね。福江では「きびな」と呼ばれていました。
<寿し善の上ちらし寿司 1,300円>
どうですか、お刺身の量が多すぎませんか(笑)。
福江島で食事する時の注意点
予約が必須です。特に夕食は必ず事前に予約を入れることをおすすめします。
福江島にはご夫婦やご家族だけで経営されている小さなお店が多いです。席のキャパシティや、材料の仕入れの関係もあって、当日に突然行っても入店できないことも多いです。ゆっくりたっぷり福江島の食事を楽しみたいなら、必ず予約してから行ってください。
五島うどん
日本三大うどんのひとつとも言われている五島うどん(その他は、香川県の讃岐うどんと秋田県の稲庭うどん)。五島うどんは、なんと遣唐使の時代に中国から伝わったという歴史あるうどんです(諸説あり)。
五島うどんは手延べの乾麺で、細めの丸いうどんです。麺に椿油を練りこんであり、食感はツルツルしこしこ、コシもしっかりあり、伸びにくいのが特徴です。
五島うどんの代表的な食べ方は「地獄炊き」です。いわゆる釜揚げうどんにして、あご(トビウオ)の出汁や生卵に絡めて食べます。
<おっどん亭の地獄炊き>
生卵に醤油や出汁をちょろっと入れて、熱々のうどんをすき焼きみたいに絡めてじゅるじゅるっと食べる。シンプルで極上の味です。
地元の人はよく肉うどんを食べる、と聞いたので食べてみました。するとこれがとっても美味しい。あっさりしたあご出汁に、やや甘めの牛肉が交じり合い、あっさりした五島うどんにコクが加わって、上品かつ深い味がします。
<鬼岳四季の里の肉うどん>
今回は3日間滞在の間に6杯もの五島うどんを食べました(笑)。お魚もたくさん食べました。そのすべてを下記の記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。
>>『【五島市】福江島で "新鮮な魚" と "五島うどん" を食べつくす!』はこちら(9月4日公開)
福江島のおすすめお土産
「福江島ではどんなお土産が買えるの?」と思ったあなた、はい、たくさん買ってきました。全部ご紹介しましょう。福江島には素朴で素材の味を活かした優しい食べ物が多いですよ。
かんころ餅
かんころ餅とは、さつま芋を茹でて干し、もち米と合わせたお菓子。一見ういろうにも似ていますが、さつまいもの味がしっかりして甘さも上品でしつこくありません。トースターで軽く炙って食べると美味しいですよ。
かんころ餅は、炙ると表面はさくっと香ばしく、中はしっとりしていて、このバランスが絶妙です。甘味は控えめ。
治安孝行(ちゃんここ)
水飴で練った餅で粒あんを包み、きなこをまぶしたお菓子。中はこうなっていて柔らかくほどよい甘さです。
治安孝行(ちやんここ)という名前の由来は、島に伝わる念仏踊りの名称から来ているそうです。
八匹雷(はっちかんかん)
福江島を代表する餅菓子。災いから身を守る「はっちかんかんだご(だんご)3つ」というおまじないがその名の由来だそうです。
餅にきなこがまぶしてあり串に刺されています。こちらも甘すぎず、ふわっと柔らかい食感で上品な味です。ひとつひとつがとても丁寧に包装されていて、おもてなしの気持ちが伝わってきます。
五島三菜
渋い!!!大根と人参を冬の季節風で乾燥し、ひじきと合わせたものです。味噌汁に入れたり、煮物に使ったりして食べます。栄養満点、体にとっても良さそうです。
五島うどん
これは定番みやげですね。乾麺なので賞味期限も長くお土産にぴったりです。あご出汁も粉末や濃縮液で売っているので併せてどうぞ。あご出汁と五島うどんのコンビは、なくてはならないおしどり夫婦です。
世界文化遺産 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(久賀島の集落、奈留島の江上集落)
2018年「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」がユネスコに登録されました。五島市では、久賀島の集落と奈留島の江上集落が登録されています。
キリスト教禁教により、宣教師不在の中、約230年もの間、信仰を続けた潜伏キリシタンの伝統の証となる構成資産として認められました。
>>「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の詳細はこちらから
福江島からそれぞれの島に船で向かうことができますが、各島に着いた後の交通手段は多くありません(タクシー等)ので、私は観光協会主催のツアーに参加して巡りました。結果的にそうしてよかったと思います。ガイドさんから歴史、背景、詳しい説明も聴けるのでおすすめです。
ガイドさんから説明を聴くのと聴かないのでは、理解度・臨場感がぜんぜん違います。
<江上天主堂(奈留島)>
教会建築の名工 鉄川与助により、大正6年に建設された天主堂。湿気の多い地であったため、高床式で造られています。20年に一度色を塗り替えられていますが、建物は当時のままです。
<旧五輪教会(久賀島)>
久賀島で初めて建てられた初代浜脇教会堂は、建て替えのため取り壊される予定でしたが、島東岸の五輪地区から求められ、移築されて旧五輪教会堂となりました。
<旧五輪教会堂内部から見える風景>
現在コロナ禍のため、多くの教会の内部を見学することはできませんが、旧五輪教会は見ることができました。動画でご覧ください。
教会は観光地ではありません。信者の方々の生活の一部です。訪れる時にはマナーを守って静かに見学しましょう。
福江島まとめ
いかがでしたか? 五島列島・福江島の魅力は伝わりましたでしょうか。
福江島の魅力は、ざっくり言って次の3つになると思います。
- 海
- 食
- 離島独特の時の流れ
福江港ターミナルには、西九州新幹線長崎県広報大使の長濱ねるさんが五島市を紹介する看板が立っていました。
福江島は、湾に囲まれた小さな漁村、山あいに佇む農村など、古き良き日本の素朴でのんびりした原風景を残し、懐かしさを感じる島です。だから居るだけで、とても心が落ちつくのだと思います。
福江島には昨年初めてコンビニのローソンができたそうで、その時は島民が行列をなして唐揚げが飛ぶように売れたそうです(笑)
福江島に移住した人が口を揃えて仰っていたのは、収入は下がるけれど幸福度は高いということです。移住定着率が他より高いことが生活に満足されている証だと思います。
福江島は「心豊かな生活を送れる」島に違いありません。
五島市役所内には移住相談窓口があるそうです。
もちろん、住むとなればバラ色の生活ばかりではないでしょう。離島ならではの不便さもあることでしょう。天候により交通が一時的に遮断されることもあります。
しかし、福江島は優しく温かい心で、都会のスピードに疲れた人たちの羽根を休めてくれる場所だと思います。
まずは旅人として、この島にぜひ訪れてみてください。人生観が変わるかもしれませんよ。
日本にはまだまだ手つかずの美しい場所がありますね。・・・今のうちに・・・
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。