日本一周の経験者に「答えづらそうなこと」を聞いてみた ~かかったお金や都道府県の順位まで~

日本一周の太田さん

面積378,000 キロメートルの島国、日本。冬は一面の銀世界となる北海道から、南国リゾートとも言われる沖縄まで47の都道府県がありますが、その全てを訪れたことのある人は、そう多くはないでしょう。今回は、47都道府県を一度の旅ですべて巡る「日本一周」を大学生時代に2回経験したことがある太田貴也さんに、当時の話を聞きました。

太田さんは、「いつか海外に行くようなことがあれば、その時に自分の国のことを話せないなんて嫌だったので、海外に出る前に日本のことを知っておきたかった」という理由で日本一周を始めたとのこと。

せっかくの機会なので、思い切って日本一周に関する「答えづらそうなこと」まで色々聞いてみたのですが、その結果は......。

目次

<1. 覚悟はどのくらい必要? 日本一周にかかる時間とお金>

<2. 日本一周に「出会い」はつきもの? >

<3. 日本一周中は、他の日本一周している人によく出会う>

<4. 沖縄が1位で北海道が2位? 日本一周経験者による都道府県ランキング>

<5. 日本二周目は、よりディープな場所に挑戦>

<6. 自分の住んでいる国への理解が深まるのが、日本一周の魅力>

1. 覚悟はどのくらい必要? 日本一周にかかる時間とお金

― 日本一周というと日数がかなりかかってしまい、覚悟が必要そうに思います。日本一周をする代わりに何か犠牲にしたようなものはありましたか?

太田さん「一周目は、大学の単位を早めにたくさんとっていたおかげで自由に動ける期間があり、あまり犠牲にしたようなものはなかったです。

二周目は、もっと旅がしたい!と思って大学を2年間休学したときに実行しました。そのときに船旅で世界一周もしています。その2年間の休学の決断というのは、自分にとって犠牲だと言えるかもしれませんね。大学の同期が卒業、就職していく中、遅れをとるなと。復学したとき、2年下の学生と一緒に授業を受けないといけないという抵抗感もありました。ただ、後悔はしていません」

― 大学生だとお金も自由に使いづらかったと思いますけど、日本一周にはいくらくらいかかりましたか?

太田さん「一周目が30万円ほど、二周目が10万円ほどでした。一周目は約3ヶ月、二周目は約1ヶ月の旅だったので、日数の関係上、費用も大きく変わりました。日本一周をするまで地元の北海道を出たことさえなく、金額の予想は難しかったのですけど、思ったよりはかからなかった印象があります。アルバイトである程度貯めていたので、何とかなりました」

― 日本一周というと、ヒッチハイクや自転車、そして野宿というイメージを持たれることも多そうです。実際どうされていましたか?

太田さん「日本一周で野宿する方は確かに多いんですけど、僕は野宿しない派です。単純に野宿が好きではないのと、一泊1,000円程度で使えるネットカフェが全国どこにでもあって、そんなに困らなかったというのがありますね。

ヒッチハイクはしていました。乗せてくれた人が家に泊めてくれることも5、6回あります。でもヒッチハイクは全行程の半分くらいで、あとは歩きに電車にバスにと、色々な手段を使っています」

初めてヒッチハイクした場所
<太田さんが人生で初めてのヒッチハイクに挑戦した場所(青森県弘前市)>

― 日本一周中、実はこんな贅沢ならしていた、といったことはないですか?

太田さん「うーん、ないですね。強いて言えば、ビジネスホテルに2、3回泊まったのは贅沢だったかもしれません。完全に個室、プライベートな空間になるのでリラックスできるんですよね」

初めて個室に泊まった際のビジネスホテル
<初めて個室に泊まった際のビジネスホテル>

― 一人旅だと、プライベートも何もという気がしなくもないのですが。

太田さん「思っていたより、一人でない時間が多いんです。ヒッチハイクもしていますし、旅をしているとよく話しかけられます。それはそれで大変うれしいことではあるんですけど。人と話すのに疲れるということもあります。知らない人の家に泊めてもらうのも気を遣いますしね」

2. 日本一周に「出会い」はつきもの?

― 日本一周の途中で、例えばどんな人との出会いがありましたか?

太田さん「日本一周で出会って、今でもつながっている方がいます。宮城県の石巻を回っていたときに、大阪に住んでいるというおばちゃんと出会って。そのとき僕は東北からどんどん下に下がっていくところだったので、「大阪に行ったら連絡します」と一旦別れたんです。そして大阪で再会し、ご飯に連れて行ってもらったりしました。

次に会うのは日本二周目のときです。その方が出身地の徳島に帰っていたときに、ちょうど僕も徳島にいて。その方のお母さんにも挨拶しました。当時僕が住んでいた北海道にきてくれたこともありましたね。そして今は僕もおばちゃんと同じ大阪に住んでいるので、たまに会う本当の親戚のおばちゃんみたいな存在になっています。

お世話になった大阪のおばちゃん
<お世話になった大阪のおばちゃんとの2ショット>

福井で出会ったおじさんは、中華料理屋でご飯をおごってくれた上に、日本酒の大きな瓶を買ってきてくれました。僕の分のお会計だけを済ませ、名前を聞く間もなく去って行って「カッコいいな」と。しばらくは、もらった日本酒を持って旅して、途中で会った旅人と一緒に飲んでいました」

福井でご馳走してもらった食事
<福井でご馳走してもらった食事>

― 恋につながるような出会いは?

太田さん「それは全くなかったです。ただ、日本一周ではなく、その後の世界一周のときに出会った女性とは結婚して、今一緒に暮らしています」

3. 日本一周中は、他の日本一周している人によく出会う

― 日本一周中、他の旅人と交流することはありましたか?

太田さん「日本一周中の方には何人も会いました。自転車で一周している人、バイクで一周している人、北海道から青森にわたるときに出会って、しばらく一緒に旅して、後日また栃木らへんで再会したりとかもありましたね」

― 日本一周している人が、そんなにたくさんいるのですね。

太田さん「僕の場合は、日本一周中と書いたホワイトボードを持ち歩いていたので、同じような旅をする人にも話しかけられやすいというのもありました」

日本一周中のボード
<日本一周中に持ち歩いていたホワイトボード>

― 逆に、嫌な出会いがあったりもしないですか?

太田さん「嫌な出会いとはちょっと違いますけど、最終的に宗教関連やマルチ商法関連の勧誘をされて困った、ということは何回かあります。断ったときに残念そうな顔もされてしまうので。少し哀しい思い出ではありますね。」

4. 沖縄が1位で北海道が2位? 日本一周経験者による都道府県ランキング

― あくまで個人的にで結構ですが、日本一周した上で特に魅力的だった都道府県を教えてください。

太田さん「1位はダントツで沖縄ですね。もともと北海道で育ったので、かなり環境が違うのが面白かったです。沖縄料理が大好きになり、その後沖縄料理屋に就職もしています。八重山諸島の、波照間島とか西表島とか小浜島とか、島によって全く個性が違っていて、島ごとの個性を楽しむっていうのも好きですね。来年には沖縄へ移住しようかなと思っているほどです。

沖縄 小浜島
<沖縄・小浜島>

あとは出身地にはなりますが、北海道もやっぱり好きです。

その後に岡山、神奈川が同じくらい好きですね。神奈川が好きな理由は、横浜とか湘南とか横須賀とか小田原とか、雰囲気の違う町が県の中で混在していて面白いから。岡山は、倉敷の町の雰囲気がすごく好きだから。「町の雰囲気ランキング」だと1位です」

倉敷駅前のからくり時計
<倉敷駅前のからくり時計>

― 答えづらいかもしれませんが、最下位はありますか?

太田さん「少なくとも当時はですが、京都です。着いた途端に熱を出して寝込んでしまって。あまりいいスタートでなかったのと、定番どころの観光地をいくつか回ったんですけど、ザ・観光地みたいな感じがし過ぎて、僕にはあまりピンときませんでいた。

今は大阪に住んでいて京都にも行くことが増え、普通に好きになってはきたんですけど」

5. 日本二周目は、よりディープな場所に挑戦

― 日本一周の二回目は、よりディープな場所に行くようにしたそうですね。

太田さん「はい。一周目は、どちらかというと主要都市ばかりを巡る形でした。二周目は他のところ、もっとディープなところにも行こうと。

例えば名古屋だと五色園という、日本で唯一という宗教公園に行きました。宗教関連の銅像が色々あるんですが、行ったときは僕一人くらいしか公園にいませんでした。岐阜県にある養老天命反転地も面白かったですね」

養老天命反転地
<養老天命反転地>

― 今後、日本三周目はありそうですか。

太田さん「もう、タフな旅への興味はなくなってきています。今はフリーランスで、パソコンとインターネット環境があればどこでも行ける状況にはなったので、日本一周みたいな旅というよりは、一週間から二週間ごとに、どこかに住みながら移動していくみたいな生活もいいかなと思っています」

― 太田さんは世界一周もされたそうですけど、日本一周と世界一周を比べたら、どんなところが違いますか。

太田さん「日本一周だと言葉が通じますし、良くも悪くも想定外のことがあまりない。トラブルもそんなにないので、旅の難易度としては低いのが日本一周ですね。治安もいいので、そんなに不安なこともないですし。一方で海外だと、違う国に行くと、把握しないといけない情報って違ってくるので。言語も通貨も違いますし、入国方法とか宿の予約とか移動方法とかも、国から国に移動するときに、全部調べないといけないので、その点が、ちょっと難しいっていうのはあります。一方で、感動のレベルでいうと、海外の方が大変な分大きいかなと思っています」

オーストラリアのウルル(エアーズロック)
<世界一周中に訪れたオーストラリアのウルル(エアーズロック)>

6. 自分の住んでいる国への理解が深まるのが、日本一周の魅力

― お話を聞いていると、時間さえとれれば誰でも日本一周できそうだなと思えてきました。日本一周は、広くみんなにおすすめできますか?

太田さん「間違いなくおすすめではあります。日本に住んでいるのに、日本のことをあまり知らない、自分の住んでいる都道府県くらいしか知らない人もけっこう多いと思います。自分の国のことなのに、他の地域のニュースだと他人事に感じることもあるでしょう。

でも日本一周をすれば色んな地域に行くので、完全な他人事ではなく感じられるようになります。行ったことがあるかないかでは、感じ方に違いが出てくるんですよね。

旅をする中で、日本の歴史に触れることもできます。僕は二周目の大きな目的として、広島と長崎で行われる平和式典に参加するというのがありました。そして沖縄では、ひめゆりの塔や平和祈念公園で戦争の話も学びました。そうやって日本のことに少しでも理解が深まると、これから日本はどうなっていくのかっていうところにも興味が強くなってきます」

長崎の平和記念式典
<平和記念式典>

― 太田さんは大学生のときに実行されましたが、日本一周をするタイミングとしてのおすすめはありますか。

太田さん「経験は早い内にした方が、そのあとの、自分の考え方・経験にもつながっていくのでいいと思うんですけど、あくまで自分が行きたいかどうかが重要なので、自分が行きたいときに行くのが一番いいと思います」

インタビューにあたって、「申し訳ないですけど答えづらそうなことも聞きますね」と前置きしておいたのですが「いいですよ」と、特に気にする様子もなかった太田さん。

話を聞いてみると、日本一周にあたって大学をずる休みしたでもなく、お金を無駄遣いしたでもなく、野宿をして怒られたといったこともなく、過酷な目に遭ったわけでもなく、思ったよりもスマートに日本一周を楽しまれていたことがわかりました。出会った人への感謝の気持ち、行った場所への愛着が強く、何より旅が好きという気持ちが伝わってきました。

みなさんも、日本一周いかがですか?

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