日本の美しい渓谷10選! 見どころやおすすめの季節も解説

渓谷

山と急流が多い日本には、数多くの渓谷があります。どの渓谷も、長い歴史の中で自然が創り上げた美しい景観を誇りますが、今回はその中から、人気の10スポットをピックアップしました。リフレッシュしたいとき、自然に触れたいとき、ぜひ足を運んでみてください。

目次

<1. 清津峡(新潟県)>

<2. 黒部峡谷(富山県)>

<3. 昇仙峡(山梨県)>

<4. 寸又峡(静岡県)>

<5. 大杉谷渓谷(三重県)>

<6. 保津峡(京都府)>

<7. 長門峡(山口県)>

<8. 寒霞渓(香川県)>

<9. 菊池渓谷(熊本県)>

<10. 高千穂峡(宮崎県)>

1. 清津峡(きよつきょう)(新潟県)

清津峡
<出典元:写真AC

新潟県十日町市に位置する清津峡は日本三大峡谷のひとつとして知られ、1941年に国の名勝・天然記念物として、1949年には上信越高原国立公園に指定されています。

清津峡の絶景・見どころ

清津峡の第一の見どころは、エメラルドグリーンの水をたたえた清津川と、その両脇にそそり立つ巨大な岸壁です。岸壁の形状は「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる珍しいもの。岩肌と、ダイナミックな水の流れ、色彩のコントラストには言葉では言い表せないほどの美しさがあり、見る人を魅了しつくします。

もうひとつ、何があっても見ておきたいのが、清津峡渓谷トンネルです。全長750mのトンネルは、2018年に開催された「大地の芸術祭」でアート作品として生まれ変わりました。その坑内にはいくつもの見どころがあるのですが、いちばん奥にあるパノラマステーションは必見。床面に張られた水が周囲の景色を鏡のように映し出し、幻想的な光景が広がります。まさしく、渓谷でしか見ることのできない光景で、写真スポットとしても人気です。

清津峡の観光におすすめの季節

雪解け水で水量が増す清津川に新緑が映える春、トンネル内をひんやりとした風が抜けていく夏、色づく木々が美しい秋、積もる雪が景色をモノトーンに変える冬と、四季折々の表情を見せてくれる清津峡渓谷。

おすすめしたいのは、やはり紅葉が見られる秋です。赤、黄、緑の葉が織りなすグラデーションが、ゴツゴツとした岩肌と水を美しく彩ります。混雑を避けたいなら、雪国ならではの景色が堪能できる冬もおすすめです。

2. 黒部峡谷(富山県)

黒部渓谷
<出典元:写真AC

富山県黒部市に位置する黒部峡谷は、日本三大渓谷のひとつであり、「富山県を旅するなら、はずせない」とも言われている名勝です。「日本の秘境100選」にも名を連ねています。

黒部峡谷の絶景・見どころ

黒部峡谷の魅力は、なんといっても雄大な自然。かつては人が立ち入れないほどの秘境だった当時の姿が、そのままに残されている場所です。日本一の深さを誇る黒部川をはさんだV字形の谷、その谷がもたらす急峻な峡谷美、夏でもとけることのない万年雪、周囲の緑を映し出す川の色...これらすべて、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車が体感させてくれます。

中でも押さえておきたいのは、トロッコ電車の終点となる欅平(けやきだいら)駅で見られる奥鐘橋(おくがねばし)。黒部峡谷一の絶景スポットといわれるほどの景色が待ち受けています。橋のすぐ近くにある「人喰い岩」は、岩が大きく口を開けたかのような迫力、黒部峡谷を代表する景勝地「猿飛峡(さるとびきょう)」は、特別名勝および特別天然記念物にも指定されている貴重なスポットです。2023年5月現在、通行止めにより猿飛峡展望台に立ち入ることはできませんが、猿飛峡が一部見える箇所までは通行可能です。

黒部峡谷の観光におすすめの季節

春の新緑、夏の万年雪、秋の紅葉、冬に降り積もる新雪と、四季を通じてさまざまな表情を見せてくれる黒部峡谷ですが、訪れる時期を決めるポイントとなるのが、黒部峡谷鉄道の運行期間です。積雪量にもよりますが、12月から4月は運休となります。

そのことをふまえると、万年雪が見られる夏、鮮やかな紅葉が迎えてくれる秋がおすすめです。

3. 昇仙峡(しょうせんきょう)(山梨県)

昇仙峡
<出典元:写真AC

昇仙峡は、山梨県甲府市に位置する渓谷です。全国観光地百選「渓谷の部」で第1位に選ばれているほか、平成百景では第2位、2020年には日本遺産にも指定されています。

昇仙峡の絶景・見どころ

遊歩道が整備された昇仙峡。体力や目的に合わせてコースを選択することができ、歩きながら日本一に選ばれた渓谷美に触れることができます。中でも、絶対に訪れておきたいスポットは、ふたつ。

ひとつは、天に向けて花崗岩(かこうがん)がそびえ立つ「覚円峰(かくえんぽう)」です。名称は、かつて覚円という僧侶が、その頂上で修行したことに由来するとのこと。直立で約180mという高さを、視界をさえぎられることなく見上げる光景は、まさに日本一の称号にふさわしいといえます。

もうひとつは、昇仙峡のシンボルともいわれている「仙娥滝(せんがたき)」。覚円峰のふもと、昇仙峡のいちばん奥に位置しています。落差30mを、水煙を上げながら流れ落ちる滝の姿は、迫力満点。周辺は滝を落ちる水がもたらす清浄な空気に包まれています。

昇仙峡の観光におすすめの季節

新緑やつつじがまばゆい春、水が心地好い夏、紅葉に彩られる秋、雪化粧する冬と、季節ごとに姿を変える昇仙峡。整備された遊歩道のおかげで、季節を問わずに訪れることができますが、歩いて回るなら、気候がよくつつじが楽しめる春、もしくは、色づいた葉をめでることのできる秋がおすすめです。

4. 寸又峡(すまたきょう)(静岡県)

寸又峡
<出典元:写真AC

静岡県榛原郡(はいばらぐん)川根本町にある寸又峡は、地理的には南アルプスへの入り口と位置づけられています。静岡県でも指折りの自然が残る場所として、「21世紀に残したい日本の自然100選」にも名を連ねる景勝地です。

寸又峡の絶景・見どころ

寸又峡温泉から整備されているハイキングコースで目指したいのが「夢の吊り橋」です。道を行くと、まず目を奪われるのが、眼下に広がる湖。寸又川と大間川が合流する水を大間ダムでせき止めてできたダム湖で、水の色が深い青色であることが特徴です。これは、自然の物理現象と、水をせき止めた作用によるもので、寸又峡でしか見ることのできない色といわれています。

コースをさらに下っていくと、湖面近くにかかる夢の吊り橋に到着です。全長約90mで、一度に渡れる人数は10人まで。混雑するシーズンには順番待ちをしなければなりませんし、揺れに恐さを感じることもあるのですが、橋上から見る景色にはそれをはるかに上回る感動があります。橋の真ん中で恋のお願いをすると叶うという言い伝えもステキです。コース途中の「飛龍橋」や「尾崎坂展望台」も、絶景ポイントとして多くの人が立ち寄っています。

寸又峡の観光におすすめの季節

春はヤマザクラやミヤマツツジなどの花々、夏は涼やかな風とさわやかな空気、秋は寸又峡の代名詞ともいわれる紅葉、冬はこの季節にしか見られない青い光景が一面に広がります。

少々混雑しますが、やはりおすすめは秋。夢の吊り橋を独占しつつ幻想的な写真が撮りたいときには、人の少ない冬もおすすめです。ただ、深い谷間に位置しているため日照時間が短いので、その点はご注意を。

5. 大杉谷渓谷(おおすぎだにけいこく)(三重県)

大杉谷渓谷
<出典元:写真AC

三重県多気郡に位置する大杉谷は、清津峡、黒部峡谷と並ぶ日本三大峡谷として知られています。豊かな水資源、手つかずの原生林とともに、秘境と呼ぶにふさわしい光景を見られる場所です。

大杉谷渓谷の絶景・見どころ

7つの滝と11の吊り橋が待ち受ける大杉谷。見どころ満載で登山道も整備されていますが、どちらかというと登山慣れした人向けの渓谷です。日帰りで楽しむなら、登山口から「千尋滝(せんぴろたき)」を過ぎて大杉谷の魅力をぎゅっと凝縮した「シシ渕(ぶち)」へ出るコースがおすすめ。途中で、いくつかの吊り橋を渡ることもできます。

千尋滝は、7つある滝の中で、いちばん落差がある滝。天空から流れ落ちているようにも見え、「天空の滝」との別名があります。その先にあるのが、秘境中の秘境ともいわれる、シシ渕。両脇にそびえ立つ岩肌、足元を潤す澄み切った水、その向こうに雄姿を見せる滝は、自然の芸術そのもの。背後にも木々が迫り、まるごと自然が包みこみ、癒してくれます。

大杉谷渓谷の観光におすすめの季節

大杉谷渓谷の開山時期は、4月中旬から11月中旬まで。4月から5月にかけては新緑やシャクナゲを楽しむことができます。梅雨と夏を過ぎ、10月に入ると紅葉のシーズンということで、おすすめは開山後の春と、閉山前の秋。ぜひ、しっかりとした登山装備で出かけてください。

6. 保津峡(ほづきょう)(京都府)

保津峡
<出典元:写真AC

京都の秘境ともいわれる保津峡は、京都市嵐山の観光名所として知られる渡月橋(とげつきょう)と、亀岡市の保津大橋付近を結ぶ約16kmの景勝地。桂川上流の保津川沿いに位置しています。

保津峡の絶景・見どころ

保津峡の見どころは、激しく曲がりくねった保津川が、長い時間をかけて河岸を侵食して生み出した絶壁です。深い切り込みのある典型的なV字型を形成しています。

京都府立保津峡自然公園としてハイキングコースも整備されていますが、峡谷美を堪能するなら、小舟に乗っての保津川下りが一押しです。江戸時代に物資運送のために開かれた水路で、その歴史は400年! 激流の中、点在する奇岩や怪石を縫うように小舟を操る船頭さんの動きからも目が離せません。

平行してトロッコ電車が走っているので、往復で組み合わせれば、水上と地上から、保津峡の景観を楽しむことができます。同じ景色を違う角度から見られることも、保津峡ならではの魅力です。

保津峡の観光におすすめの季節

山桜が咲き誇る春、鮮やかな山ツツジが目にまぶしい初夏、保津川下りの水しぶきが心地好い夏、紅葉に彩られる秋、雪景色が楽しめる冬と、いつ訪れても魅力満載の保津峡ですが、ちょっとレアな体験をしたいなら、冬をおすすめします。理由は、川下り用の小舟が、お座敷暖房船使用になるから。冬景色の風情も、なかなかオツです。

7. 長門峡(ちょうもんきょう)(山口県)

長門峡
<出典元:写真AC

長門峡は、山口県萩市から山口市を流れる阿武川(あぶがわ)沿い、約12kmに及ぶ渓谷です。さかのぼること1923年に国の名勝として指定されました。

長門峡の絶景・見どころ

奇岩、滝、深淵が織りなす渓谷美は、まるで日本画の世界。道の駅・長門峡から竜宮淵まで、川沿いに約5.1kmの遊歩道が整備されています。

千瀑洞口(せんばくどうこう)、舟入(ふないり)、獺淵(かわうそぶち)、佳景淵(かけいぶち)、紅葉橋(もみじばし)など、みどころスポットには名称がついていますが、道筋のすべてが絶景ポイントといってもいいくらい。水の流れる音、野鳥の鳴き声、風が渡る音、植物のにおいなど、五感を総動員して自然を感じられることが醍醐味です。

途中には休憩スポットの茶屋があることも嬉しいポイント。不定休となっていますが、営業していたらぜひ立ち寄ってみてください。新鮮なアユ料理をはじめとした食事をいただきながらの渓谷美は格別です。

長門峡の観光におすすめの季節

サクラ、フジ、コブシなどの花が咲き乱れる春、緑がまぶしく光る夏、紅葉で燃えるような赤に染まる秋、雪化粧をした渓谷美に触れられる冬、どの季節も、訪れたいところですが、特におすすめしたいのは秋。1年でもっとも美しい景色が見られるということで、多くの観光客が足を運びます。

8. 寒霞渓(かんかけい)(香川県)

寒霞渓
<出典元:写真AC

寒霞渓は、香川県小豆島(しょうどしま)にある景勝地で、瀬戸内海国立公園の中心をなしています。「三大渓谷美」のひとつとして知られ、自然環境が創造した太古の昔からの自然が残された場所です。

寒霞渓の絶景・見どころ

見どころは、1000万年以上も昔の火山活動によって生じた岩石が、長年にわたる風化、侵食、地殻変動により生み出された多種多様な奇岩やそそり立つ岸壁。寒霞渓では、これらをルートに組み込んだ登山道が整備されています。

表神懸12景では「烏帽子岩(えぼしいわ)」「女蘿壁(じょらへき)」など12か所の見どころを、裏神懸8景には「螺貝岩(ほらがいいわ)」、パワースポットともいわれる「松茸岩(まつたけいわ)」など、8か所の見どころを案内の看板がわかりやすく示してくれているという有難さ。ロープウェイも通っているので、行きは歩き、帰りはロープウェイという方法もおすすめ。上空からの景色も迫力満点です。

寒霞渓の観光におすすめの季節

新芽の緑がきれいな春、その緑が深みを増す夏、木々の葉が色づく秋、雪でおおわれる冬と、四季それぞれの表情を持つ寒霞渓ですが、登山道を歩くことを考えると、体への負担が少ない春か秋をおすすめします。

9. 菊池渓谷(熊本県)

菊池渓谷
<出典元:写真AC

熊本県菊池市に位置し、阿蘇くじゅう国立公園の一角をなす菊池渓谷。うっそうとした森林と清らかで冷たい水が人々を魅了します。

菊池渓谷の絶景・見どころ

菊池渓谷の見どころは、なんといっても滝です。「日本の滝百選」にも選定されている四十三万滝(よんじゅうさんまんたき)の水流は、迫力満点。そのほか、30分~1時間ほどで歩ける遊歩道沿いには、「掛け幕の滝」「黎明の滝(れいめいのたき)」など、いくつもの滝が個性的な姿を見せてくれます。

周囲を樹木に囲まれているため、木々の間から差し込む光と水や岩とのコラボレーションも見事。太陽の動きに合わせて刻々と色合いを変えていく様子は、まさに自然が創造する一瞬の芸術です。記念写真を撮ることに専念するもよし、澄んだ空気に身をゆだねるもよし、年齢を問わずに楽しめるので、ファミリーでのお出かけにもぜひ。

菊池渓谷の観光におすすめの季節

春は芽吹く新緑、夏は平均水温13度という水の流れ、秋は渓谷を彩る紅葉、冬は全山に霧氷の花が咲くと、どの季節に訪れても豊かな自然を感じさせてくれる菊池渓谷ですが、おすすめしたいのは夏か冬です。暑さを忘れる夏のひんやりとした空気と水に触れたら、帰りたくなくなるかもしれません。冬の霧氷は、写真愛好家に大人気です。

10. 高千穂峡(宮崎県)

高千穂峡
<出典元:写真AC

宮崎県西臼杵郡(にしうすきぐん)に位置する高千穂峡は、国の名勝・天然記念物に指定された渓谷美と、「日本の滝百選」に名を連ねる滝が待ち受ける絶景スポット。宮崎県を代表する観光地でもあります。

高千穂峡の絶景・見どころ

阿蘇山の火山活動が創り上げた高千穂峡でぜひとも見ておきたいのは、柱状節理の断崖による渓谷美と、神秘的な「真名井の滝(まないのたき)」です。

真名井の滝は、落差はそれほど大きくありませんが、目を見張るのは水が流れ落ちる川の色合い。深みのある青は、息をのむほどの美しさです。整備された遊歩道から見ることもできますし、貸しボートで近づくこともできるので、可能であれば2パターンの表情を楽しみたいところ。遊歩道沿いでは、「仙人の屏風岩」と名づけられた岸壁、巨石「鬼八(きはち)の力石」を見ることもできます。

また、高千穂峡の近くには神話にまつわる神社も。高千穂峡から歩いて20分程度の高千穂神社もそのひとつなので、時間があったら参拝してパワーをいただきましょう。

高千穂峡の観光におすすめの季節

萌える新緑がきれいな春、渓谷ならではの風が涼やかな夏、木々が赤く燃える秋、枯れた風情が味わい深い冬と、四季の変化に富む高千穂峡。訪れるなら、真名井の滝を中心にライトアップされ、幻想的な光景に触れられる夏をおすすめします。光と水のコラボレーションは、言葉にはできない感動を味わわせてくれるはず。

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