日本三名泉(有馬、草津、下呂)の場所・アクセスや特徴の徹底ガイド

日本三名泉の場所・アクセスや各温泉の特徴の徹底ガイド

世界有数の温泉大国である日本には、「日本三名泉」と呼ばれる名湯があるのをご存じでしょうか。日本三名泉は古くから霊湯として多くの人に利用されてきた温泉ですが、決して歴史が古いからという理由だけで選ばれているわけではありません。実際にその泉質や温泉街の雰囲気を知れば、日本三名泉と呼ばれ続ける理由を実感できることでしょう。この記事では、そんな日本三名泉それぞれについて詳しく解説していきます。

目次

<1. 日本三名泉とは>

<2. 日本三名泉「有馬温泉(兵庫)」について>

<3. 日本三名泉「草津温泉(群馬)」について>

<4. 日本三名泉「下呂温泉(岐阜)」について>

1. 日本三名泉とは

日本三名泉は、兵庫県の有馬温泉、群馬県の草津温泉、そして岐阜県の下呂温泉です。数ある日本の温泉の中でこれらが「三名泉」と呼ばれるようになった由来は、室町時代に京都五山相国寺の詩僧であった万里集九が詩文集「梅花無尽蔵」の中で、この3つの温泉について「最たる霊湯」と記載したことに遡ります。

さらに江戸時代には、著名な儒学者の林羅山も自らの詩文にこれらの温泉の名前を「天下の三名泉」と記述したことで、日本三名泉が広く認知されるようになったといわれています。

【日本三名泉それぞれの場所はこちら】

日本三名泉の場所

2. 日本三名泉「有馬温泉(兵庫)」について

有馬温泉
<出典元:写真AC

兵庫県の有馬温泉は、江戸時代の温泉番付では「西の大関(当時は大関が最高位)」と呼ばれていたほどの泉質の良さで知られます。また、日本書紀にも記載されているほど長い歴史のある温泉地です。六甲山の山中にありながら、アクセスが整備されているので、神戸からならば30分程度で着いてしまう利便性の良さも魅力。手軽に秘境気分に浸れる温泉として、年間を通して多くの観光客が訪れます。

有馬温泉について詳しくは「日本三名湯の温泉の1つ「有馬温泉」で癒しいっぱい、お腹いっぱいの旅をしよう!!」の記事もご覧ください。

有馬温泉の場所とアクセス方法

神戸市の北側には、幕のように広がる六甲山がそびえたっていますが、有馬温泉はその六甲山を超えた山の中腹あたりに位置しています。周囲を山に囲まれた三角形の地形が特徴の温泉街です。山の中とはいえ、電車、バス、自家用車、いずれのルートも整備されており、神戸からはアクセスしやすいロケーションにあります。東京方面からは、神戸を経由するのが行きやすい方法です。

電車

神戸電鉄「有馬温泉駅」が最寄りで、大阪駅からだと約1時間程度です。東京駅(または品川駅)からだと、新幹線利用で新神戸駅下車。北神急行電鉄に乗り換え、「谷上駅」を経由、神戸電鉄「有馬温泉駅」下車。乗り換え含め、東京方面からの所要時間は3時間30分程度。

また、新神戸駅から直通バス有馬エクスプレス号(所要45分)の利用も便利です。

バス

姫路、三宮、大阪、京都など各駅から有馬温泉行きのバスも出ています。

東京方面からの高速バスに有馬温泉直通はないため、東京(または新宿など)から神戸三宮行きのバスに乗り、三宮で有馬温泉行きのバスに乗り換えが必要です。東京方面からの所要時間は8時間30分程度。

世界屈指の療養泉、有馬温泉の泉質とは?

有馬温泉 泉源
<出典元:写真AC

有馬温泉は、環境省が療養泉として指定する9つの成分のうち7つ(単純性温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、放射能泉)もの成分が含まれています。1つの温泉地で、これほど多くの成分を含む温泉が出る例は世界的にも珍しく、他に類のない有馬温泉最大の特徴です。

有馬温泉の温泉街の雰囲気

有馬温泉は、飛鳥時代から天皇陛下が行幸され、戦国時代には豊臣秀吉が戦いの疲れを癒し、さらに近代以降は特に上流階級の憩いの場として愛されてきました。

現在の温泉街は、昔ながらの風情を残しながらも、レトロで可愛いお店がたくさん立ち並び、食べ歩きや散策を楽しむことができます。また、外湯めぐりも充実しています。神戸から30分とは思えない豊かな自然とレトロなムードに包まれた別世界に浸ることができるのが、有馬温泉の大きな魅力です。

有馬温泉の周辺観光スポット

有馬温泉の周辺には、ぜひ立ち寄りたい楽しいスポットがたくさんあります。

金の湯

有馬温泉に来たら、まず立ち寄りたいのは、有馬温泉駅から徒歩約5分の公衆浴場「金の湯」。有馬温泉の元湯である、赤茶色の金泉(含鉄ナトリウム塩化物強塩高温泉)を体験しましょう。「あつ湯」と「ぬる湯」がありますので、お好みで選べるのも嬉しいところ。冷え性、腰痛、筋・関節痛、末梢血行障害などの改善に効果が期待できます。

銀の湯

もうひとつ外せない公衆浴場が「銀の湯」。こちらは「金の湯」とは全く異なる、炭酸泉とラジウム泉が混合したお湯で無色透明です。肌がつるつるになるという泉質は、特に女性から人気です。同じ温泉地でこれほど違うお湯に浸かれるという、有馬温泉の奥の深さにきっと驚かれることでしょう。

湯本坂

湯本坂
<出典元:写真AC

お湯に浸かったら、メインストリートである「湯本坂」を歩いてみましょう。昔ながらの家屋が立ち並ぶ商店街では、神戸牛を使ったコロッケや、おせんべい、ソフトクリームなど、つまみ食いしたくなるグルメが勢ぞろいです。

太閤橋・ねね橋

有馬温泉の歴史を感じられるのは、有馬の地をこよなく愛した豊富秀吉にちなんで命名された「太閤橋」。有馬川にかかるこの橋の欄干には、豊臣家の家紋などが描かれており、温泉街のシンボル的スポットとなっています。また、豪快な太閤橋とは対照的なのが、秀吉の妻であるねねにちなんだ「ねね橋」。こちらもやはり有馬川にかかる橋ですが、赤くて可愛らしい欄干が印象的です。別宅を持つほど有馬温泉を愛した太閤夫妻に想いをはせて、訪ねてみてください。

ゆけむり広場

ゆけむり広場
<出典元:写真AC

写真撮影スポットとして人気があるのが、温泉街近くの「ゆけむり広場」です。湯けむりに見立てて作られた滝は、内側に入ることもできます。きらきらと流れる水のカーテンのような滝をバックに、素敵な1枚を撮ってくださいね。

鼓ヶ滝公園

六甲山に抱かれた有馬温泉は、自然が豊かな場所でもあります。特に、「有馬六景」の1つでもある「鼓ヶ滝公園」は必見です。公園内には約8mもの落差がある滝が流れており、みずみずしい空気にあふれています。春は桜、夏は蛍、秋には紅葉と、季節ごとに異なる有馬の自然を堪能できるでしょう。

瑞宝寺

紅葉の時期なら、有馬温泉から徒歩15分の瑞宝寺がおすすめです。兵庫県でも有数の紅葉の名所で、秀吉も愛したことで知られています。

西日本屈指の名湯、有馬温泉。最高クラスの泉質と、歴史ある風情を楽しみにぜひ訪ねてみてください。

3. 日本三名泉「草津温泉(群馬)」について

草津温泉
<出典元:写真AC

江戸時代の温泉番付、西の大関が有馬温泉ならば、東の大関がこの草津温泉です。群馬県の北西部、活火山である白根山の東側に位置する草津温泉は、全てが自然に湧出している「自噴泉」です。古くから湯治場として人気があり、「草津の湯は、恋の病以外は何でも効く」といわれたほどの高い薬効で知られています。

草津温泉は標高1,100~1,200mの高地にあるため、夏は涼しく、冬は寒さが厳しいため、温かい温泉に入るのには、絶好のロケーションだといえるでしょう。

草津温泉の場所とアクセス方法

草津温泉は群馬県北西部で、かつ長野県寄りに位置する高地にあり、近くに主要な駅や自動車のICなどがありません。最寄り駅である「長野原草津口駅」からも路線バスを利用することになりますので、直行バスなども検討しながら、便利な交通手段を選ぶと良いでしょう。

電車

上野駅からJR特急草津に乗り、「長野原草津口駅」下車。JRバス関東草津温泉行きに乗り換えて、草津温泉バスターミナルで下車。上野駅からの所要時間は約3時間。

東京駅から北陸新幹線で「軽井沢駅」下車。草津交通または西武観光バスに乗り換えて、草津温泉バスターミナルで下車。東京駅からの所要時間は3時間弱。

バス

新宿駅・渋谷駅・二子玉川駅などから、草津温泉バスターミナルまでの高速バスがあります。所要時間は、3時間30分~5時間程度。

釘をも溶かす! 強力な酸性が特徴の草津温泉

湯畑1
<出典元:写真AC

草津温泉の泉質は酸性。その酸性の強度は、五寸釘を入れておくと10日あまりで溶けてなくなってしまうほど強いそう。ところによっては硫黄泉も噴出しています。草津温泉のお湯は、しばらく浸かっていると肌がピリっと感じるかもしれません。これも強い酸性の効果で、皮膚の表面が刺激されることによる現象だといわれています。また草津では、湯めぐり(温泉のはしご)をすることは体に刺激が強すぎるため、すすめられていません。

草津温泉の効能は、神経痛、筋肉痛、関節痛をはじめ、消化器病、冷え性、疲労回復、切り傷、火傷、慢性婦人病、糖尿病、高血圧などの改善に効果が期待できます。

草津温泉のこだわりは「源泉主義」。温度調整のために加水をする温泉地もありますが、草津では一切加水をせず、贅沢な「かけ流し」を行っています。このようなことができるのも、日本で最大の自然湧出量を誇り、1日にドラム缶約23万本分もの温泉が湧く草津ならではといえるでしょう。

草津温泉の温泉街の雰囲気

草津温泉の温泉街で、そのシンボル的な役割を担うのが「湯畑」です。豪快に流れる温泉をたたえる湯畑が温泉街のほぼ中央にあり、この周辺を散策するだけで「温泉街にきている」という気分を大いに盛り上げてくれるでしょう。

昭和レトロな雰囲気に整備された湯畑の周辺は、楽しい散策路です。メインストリートである「西の河原通り」には、温泉饅頭、おせんべい、各種スイーツ、その他話題の飲食店や土産物店などが多く、食べ歩きやお土産探しをするのに最適です。温泉宿の浴衣姿で気軽に歩くこともできます。昔ながらの温泉街らしい情緒に癒されることでしょう。

草津温泉の周辺観光スポット

草津温泉の観光は、まずは最大の源泉でもある「湯畑」からスタートしましょう。

湯畑

湯畑2
<出典元:写真AC

湯畑では木樋に温泉を通すことで、お湯を適温に冷ましながら、湯の花を採取しています。毎分4000lものお湯が流れるさまは、まさに温泉天国! 夜はライトアップされて、また違う雰囲気が楽しめますので、夜の散策もおすすめ。

熱の湯

草津温泉 湯もみ
<出典元:写真AC

湯畑近くの「熱の湯」では、草津名物の「湯もみショー」を見てみましょう。草津節に合わせて、長い板を使って高温の湯をかき混ぜて、温度を下げる湯もみは、土日祝ならば見るだけではなく体験することもできます。

西の河原露天風呂

西の河原露天風呂
<出典元:写真AC

湯畑から徒歩12分の「西の河原露天風呂」にあるのは、なんと男女合わせて約500平方メートルの広大な露天風呂。開放感抜群なことはいうまでもありません。周辺の自然と一体化しながら浸かる大きな露天風呂は、一生の思い出になることでしょう。

草津熱帯園

ちょっと気分を変えて草津を観光するなら、草津熱帯園はいかがでしょうか。温泉熱を利用した園内は、いつ来ても常夏です。熱帯、亜熱帯に生息する植物や動物が展示されており、カピパラや猿、ワニなども間近で見ることができます。

草津光泉寺

湯畑からもすぐの草津光泉寺は、日本三大薬師のひとつ。ここは、「遅咲き祈願」が有名なところ。これまでの人生で、あまり花を咲かせられなかった! あるいは、これからもう一花咲かせたい! と願っている人は、ぜひぜひお参りして願いを叶えて頂きましょう。

質量ともに、日本一の規模を誇る草津温泉。ぜひ1度は訪ねてみたいですね。

4. 日本三名泉「下呂温泉(岐阜)」について

下呂温泉
<出典元:写真AC

平安時代から、1000年以上もの歴史を持つ下呂温泉。薬師如来の化身である白鷺が舞い降りて、源泉の場所を教えてくれたという幻想的な伝説が伝わる、情緒あふれる温泉です。その特徴は、何といっても「まるで美容液のお風呂に入っているみたい!」といわれるほどのトロトロの泉質。「美人の湯」の名にこれほどふさわしい温泉もそう多くはありません。

また、歴史ある温泉街は「レトロ可愛い」と評判で、世代を問わず様々な楽しみ方ができることが人気の秘密です。

下呂温泉について詳しくは「【岐阜】美肌の湯・日本三名泉の下呂温泉で女子旅しました」の記事もご覧ください。

下呂温泉の場所とアクセス方法

下呂温泉は、岐阜県の中部、やや長野県寄りの山間部に位置しています。周囲は飛騨の山並みに囲まれ、間を通る飛騨川に沿うように温泉街が広がります。

東京方面から下呂温泉に直行できる公共交通手段はありませんので、名古屋や岐阜県の高山まで行き、乗り換えます。特に名古屋からは、電車やバスなどの本数が多く、便利です。

電車

JR高山本線「下呂駅」が最寄りです。東京駅からは、新幹線(のぞみまたはひかり)で「名古屋駅」下車、高山本線(ワイドビューひだ)に乗り換え、「下呂駅」で下車。乗り換え含め、東京からは3時間半程度です。

バス

名古屋駅から、下呂温泉旅館協同組合加盟旅館に宿泊する方が利用できる直行バス(南飛騨観光バス)があります。高山駅からは、徒歩5分の高山濃飛バスセンターより、路線バスを利用。東京駅または新宿駅から名古屋か高山までは直通バスも利用できます。東京から名古屋経由で下呂温泉までのバスの所要時間は、9時間(乗車時間)程度。

その滑らかさはピカイチ! ずっと入っていたい美人の湯

下呂温泉2
<出典元:写真AC

下呂温泉の泉質は、アルカリ性の単純温泉。アルカリ性の温泉は肌の角質を落とす効果が期待でき、「トロトロ、ぬるぬる」した感触があります。美人の湯」といわれる温泉はこのような泉質が多く、下呂温泉も代表的な美人の湯の1つといえるでしょう。

また、単純温泉は刺激が少ないとされており、心ゆくまで温泉に浸かっていられるのが嬉しいポイントです。

下呂温泉の温泉街の雰囲気

飛騨の山々と、飛騨川に囲まれた自然豊かな下呂温泉の温泉街は、どこか懐かしい風情にあふれています。また河川敷にも噴泉池があり、見ているだけでも開放感バツグン。

下呂ではあちらこちらに趣向の凝らされた、無料の足湯や手湯がありますので、散歩ついでに気軽に立ち寄りましょう。また、日帰りの湯めぐりができる宿も多くあります。湯めぐり手形(1,300円)を購入すれば、加盟する旅館の温泉をどこでも3か所入ることができます。宿泊先以外の温泉をいくつもハシゴできるのも、身体に優しい下呂温泉ならでは。

下呂といえば飛騨牛で有名ですが、実はトマトの産地でもあります。温泉街ではこうした地元食材を使ったグルメの食べ歩きもできるほか、温泉まんじゅうや温泉で蒸したプリンなど、温泉にちなんだスイーツも豊富です。特に、温泉卵とソフトクリームが合体した温玉ソフトはちょっとびっくり、ぜひ試してみたい下呂のユニークな名物です。

下呂の温泉街は、1000年の歴史を感じるレトロな風情がたっぷり。コンパクトにまとまっているので、のんびり歩いてみましょう。

下呂温泉の周辺観光スポット

下呂温泉の周辺には、昔ながらの日本の里山の風景が堪能できるスポットが点在しています。

下呂温泉合掌村

下呂温泉合掌村
<出典元:写真AC

下呂温泉から路線バスでアクセスできる「下呂温泉合掌村」。主に白川郷などから移築された合掌造りの古民家が集められ、昔の集落が再現されています。特に国指定重要文化財の「旧大戸家住宅」は必見! 合掌造りとしては日本最大級で保存状態もよく、昔の大家族の暮らしぶりがよくわかります。

この合掌村の入口付近では、3月~12月頃まで「いでゆ朝市」が毎日開催されています。特産品の野菜やお酒、ジュースなどの加工品や雑貨が並び、地元ならではのお土産を探すのにうってつけです。

中山七里・巌立峡

巌立峡
巌立峡<出典元:写真AC

さらに、少し足を延ばすと、飛騨の山と川によって造り上げられる渓谷美をあちこちで堪能することができます。

「中山七里」は、飛騨川に沿って続く峡谷で、険しい山々と奇岩で形成された雄々しい風景は思わず目を見張ります。また、「巌立峡(がんだてきょう)」は、今から数万年前の噴火によってできた巨大な岸壁で、県指定の天然記念物。自然の作り出す力に圧倒されることでしょう。こうした峡谷は、新緑や紅葉など、四季折々の風景の変化が楽しめる場所です。

1泊か2泊できるのであれば、近隣の飛騨高山や郡上八幡などにも足を延ばすことができますので、ぜひゆったりと時間をとって過ごしてみたいものですね。

日本の宝とも言える日本三名泉。国内の温泉好きはもとより、海外からの観光客も注目されており、その人気はもはやグローバルです。まだ行ったことのない日本三名泉があったら、この記事を参考にぜひ一度行ってみてくださいね。

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