日本三景(松島、天橋立、宮島)の場所・アクセスや見どころの徹底ガイド

日本三景

「日本三景」とは、松島、天橋立、宮島の3つの景勝地のこと。その由来は江戸時代に全国を行脚(あんぎゃ)した儒学者・林春斎(はやししゅんさい)が「日本国事跡考」(1643年)においてこれらを「卓越した3つの景観」として紹介したことに由来します。何世紀も前から「日本を代表する絶景の地」として有名だったわけですが、今でも日本三景は有数の観光スポットとして人気があります。

今回はその日本三景(松島、天橋立、宮島)について、それぞれの魅力や見どころを詳しく解説します。

【日本三景それぞれの場所はこちら】

日本三景の場所

目次

<1. 日本三景「松島」(宮城県)について>

<2. 日本三景「天橋立」(京都府)について>

<3. 日本三景「宮島(厳島)」(広島県)について>

1. 日本三景「松島」(宮城県)について

松島
<出典元:写真AC

日本三景のひとつに数えられる「松島」は、宮城県の松島湾内外に浮かぶ260余りの島々の総称。「仁王島」「双子島」「かえる島」など、それぞれの島にユニークな名前がついています。

古くから月の名所(月が美しく見える場所)としても知られていて、伊達政宗や俳人の松尾芭蕉、天才物理学者のアインシュタインなど、国内外の歴史上の人物も松島を訪れたそうです。

高台から松島の景色を一望したり、遊覧船に乗って大小の島々をゆっくりと眺めたり...見る場所によって表情を変える松島の自然美は、昔も今も旅人の心をとらえて離しません。

松島の場所とアクセス方法

松島は宮城県沿岸の中部に位置し、東南方向は松島湾(太平洋)に面しています。

公共交通機関で松島を訪れる場合、拠点となるのが仙台駅。最もポピュラーな行き方は、仙台から電車で松島を目指すルートで、JR仙台駅から松島海岸駅まで仙石線で所要約40分。

電車と船を併用する方法もあり、JR仙台駅から仙石線に乗り本塩釜駅で下車。そこから徒歩10分ほどのところにある「マリンゲート塩釜」から遊覧船で松島海岸を目指すこともできます。仙台・松島間を往復する場合、行きと帰りでルートを変えてみるとより楽しめるかもしれません。

松島のスポット1:松島の島めぐり

日本三景のひとつ松島の景観を楽しむには、まずは遊覧船がおすすめ。松島は松島湾に浮かぶ260以上の島々の総称なので、大小の島々を間近で見るのには遊覧船がぴったりなのです。松島を代表する「鐘島(かねじま)」や「仁王島」、縄文時代の遺跡が見つかった「舟入島」などをめぐる50分間の仁王丸コースに加え、小人数グループ向けの小型船の貸切コースもあります。

松島海岸駅から徒歩5分ほどのところある松島島巡り観光船の乗り場から、島めぐりスタート。陸地からは決して見れない、松島の美景を堪能しましょう。

松島のスポット2:松島 四大観

松島の四大観(しだいかん)は、松島湾に浮かぶ島々を一望できる絶好のビュースポット。

「四大観」は4つのビュースポットの総称で、大高森(おおたかもり)、富山(とみやま)、多聞山(たもんざん)、扇谷(おうぎだに)の4つからなり、それぞれの景色の特徴を表す「壮観」「麗観」「偉観」「幽観」の名称がついています。

四大観はいずれも山頂または山頂付近にあり、松島の観光の中心から離れているため、やや穴場的なスポット。四大観のなかで唯一360度のパノラマを楽しめるのが、「壮観」の冠がついた大高森。標高約106mの山頂にあり、軽いハイキングの後、一気に視界が開けてからの眺望は感動的。なかでも夕暮れ時は、空と海が朱色に染まり映画のワンシーンのようです。

松島のスポット3:瑞巌寺(ずいがんじ)と五大堂(ごだいどう)

松島海岸駅から徒歩10分のところにある瑞巌寺は、臨済宗妙心寺派の禅宗寺院。828年に慈覚大師によって開かれた天台宗延福寺を前身とする奥州随一の禅寺で、伊達政宗の菩提寺でもあります。

現在の建物は伊達政宗が5年を費やして1609年に完成させたもので、桃山美術の粋を集めた貴重な建物であることから、本堂や御成玄関などは国宝にも指定されています。

松島の遊覧船乗り場の近くの小島に建つ五大堂は、瑞巌寺の境外仏堂。見事な彫刻と朱色の橋とのコラボレーションの美しさから、松島のシンボル的存在としても親しまれています。現在のお堂は、1604年に伊達政宗によって造営されたもの。東北地方に現存する最古の桃山建築で、国の重要文化財にも指定されています。

「五大堂」の名は、慈覚大師が瑞巌寺の前身にあたる天台宗延福寺を創建した際、五大明王像を安置したことに由来。慈覚大師の手彫りといわれる五大明王像は、33年に一度開帳されます。

松島のスポット4:「松島離宮」

松島離宮は、2020年に松島海岸駅前にオープンした複合観光施設です。

無料エリアと有料エリアにわかれており、無料エリアには、松島名物のカキをはじめとする魚貝類や松島牛タンなどを好きなだけ焼いて食べられるグリルレストラン「浜焼きグリル離宮」や、牡蠣をふんだんに使った大きなせんべいを販売する「かきせんべぃ天海 松島離宮」、お刺身食べ放題が魅力の「松島おさしみ水族館」、松島や東北のお菓子や雑貨を販売するショップ、カフェなど、グルメ・ショッピングスポットが集まっています。

有料エリアには、松島湾を表現した「離宮庭園」、松島湾の誕生秘話や最古の魚竜類「ウタツサウルス」の原寸大模型を展示する「宮城県松島離宮博物館」、離宮庭園や松島湾を一望できる「天空の屋上展望台」などがあります。離宮庭園は年間を通して夜間ライトアップが行われており、夜の庭園風景はなんとも幻想的。

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2. 日本三景「天橋立」(京都府)について

天橋立
<出典元:写真AC

天橋立(あまのはしだて)は、京都府北部、日本海の宮津湾にある景勝地。幅約20~170m、全長約3.6kmの砂州を5000本もの松が覆っている土地で、高台から見ると天に架かる橋のようにも、龍のようにも見える不思議な姿をしています。

日本海を流れる海流が運んできた砂と、内海に流れ出る野田川の土砂が長い時間をかけて堆積し、自然に松が茂って現在のような姿となりました。まさに自然の神秘!

神話では、その昔、「国産み」の神であるイザナミノミコトとイザナギノミコトが天への上り下りに使っていた浮き橋が、イザナギノミコトが居眠りをしている間に倒れて天橋立となったと伝えられています。

「京都」というと京都市内の寺社仏閣が注目されがちですが、天橋立がある「海の京都」を訪れれば、新しい京都の魅力が発見できるでしょう。

天橋立の場所とアクセス方法

天橋立があるのは、京都府北部宮津市の宮津湾(日本海)。最寄り駅は京都丹後鉄道の天橋立駅です。

電車で行く場合、特急「はしだて号」を利用すれば、JR京都駅から乗り換えなしで天橋立駅まで行くことができ、所要2時間強。在来線の場合、福知山駅でJR線から京都丹後鉄道への乗り換えが必要となり、所要時間は3時間強です。

JR京都駅から天橋立駅までは直通の高速バスも運行しており、所要時間は2時間程度。京都駅から公共交通機関を利用するなら、特急列車か高速バスを利用するのが良いでしょう。

高速バスは全席指定席のため、事前の予約をお忘れなく。

天橋立のスポット1:天橋立ビューランド

天橋立ビューランドは、文珠山(もんじゅやま)山上にある遊園地兼展望所。遊園地としては小規模でのんびりとした雰囲気が漂っていますが、ここから眺める天橋立は格別。

天橋立を南側から正面に望む天橋立ビューランドからの眺めは、天橋立が天に舞う龍のように見えることから、「飛龍観(ひりゅうかん)」と称えられています。この景色を見れば、この景観が自然にできたことに改めて驚くはず。

天橋立のスポット2:傘松公園

天橋立ビューランドと並ぶビュースポットが、成相山(なりあいさん)中腹にある傘松公園。天橋立を北側から一望できるスポットで、天橋立が天に昇る龍のように見えることから、ここからの眺望は「昇龍観(しょうりゅうかん)」と称されています。

傘松公園内の展望台「スカイデッキ」は、手すりや一部の床がガラス張りになっていて、とても開放的。日本三景のひとつである天橋立を眼下に、空中散歩気分が味わえます。

傘松公園は、天橋立の代名詞ともいえる「股のぞき」発祥の地としても有名。展望台では、天橋立に背を向けて立ち、自分の股のあいだから天橋立を見る「股のぞき」にチャレンジしてみてくださいね。

園内には、丹後の土産物を揃えたショップや展望レストランがある「AmaTerrace(アマテラス)」、願いをこめて鳴らすと願いが叶うといわれる「願いの鐘」などもあり、さまざまな過ごし方が可能。時間に余裕があれば、さらに山をのぼったところにある、身代わり観音で有名な西国巡礼第28番札所「成相寺(なりあいじ)」も訪れてみてください。

天橋立のスポット3:廻旋橋

天橋立と文殊堂のある陸地をつないでいるのが、廻旋橋(かいせんきょう)。読んで字のごとく旋回する橋で、船が通るたびに90度旋回するという全国的にも珍しい橋です。

全長約36mで可動部分は約27m。1923年に手動の廻旋橋ができ、1960年から現在のような電動式になりました。多いときはなんと一日に50回も旋回するそう。天橋立を訪れたら、一度は廻旋橋が旋回する様子を見てみたいものです。

天橋立のライトアップ

天橋立では期間限定のライトアップイベントも行われます。天橋立の砂浜がライトアップされたり、花火が打ち上げられたり、クルーズを楽しめたりの一大イベント。夜を中心としたプログラムになっていて、日中とは違う幻想的な天橋立に出会えるチャンスです。

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3. 日本三景「宮島(厳島)」(広島県)について

宮島(厳島)
<出典元:写真AC

宮島は、広島県廿日(はつかいち)市の瀬戸内海に浮かぶ小さな島。古来より信仰の島として崇められており、宮島を象徴する嚴島(いつくしま)神社は世界遺産にも登録されています。

正式名称は「厳島」ですが、島内に嚴島神社があることから、「宮がある島」ということで「宮島」の通称で呼ばれるようになりました。

紅葉に新緑にと、四季折々の自然美と瀬戸内海とのコラボレーションが美しい宮島は、嚴島神社のほかにも、パワースポットとして知られる弥山(みせん)や豊国神社(千畳閣)、水族館、参道の名物グルメなど、楽しみ方はいろいろ。嚴島神社周辺だけでなく島全体をのんびり歩いて、自然と信仰のエネルギーをチャージしては。

「神の使い」とされる、かわいらしい鹿たちとの出会いも楽しみのひとつです。

宮島の場所とアクセス方法

宮島は、広島市の西側にある広島県廿日市に属する瀬戸内海の島。日本三景のひとつながら、広島市内から気軽にアクセスでき、広島からの日帰り観光スポットとしても高い人気を集めています。

広島市内から宮島へのアクセスは、JR広島駅から山陽本線で宮島口駅まで行く方法と、路面電車の広電広島駅から広電宮島口駅まで行く方法があります。JRの場合は所要約25分、路面電車の場合は約60分です。

いずれの場合も宮島口駅でフェリーに乗り換える必要があり、宮島口から宮島までの所要時間は10分程度。広島市内から1時間前後で到着できるアクセスの良さが魅力です。

宮島のスポット1:嚴島神社と大鳥居

聖なる島・宮島の象徴が、海上に鎮座する嚴島神社。とりわけ海に立つ高さ約16mの大鳥居は、「クールジャパン」を象徴する風景として、世界的にも有名です。

青い海と朱色の社殿のコントラストが印象的な嚴島神社ですが、なぜ海の上に建てられることになったのか、気になりませんか?

嚴島神社が創建されたのは、西暦593年。島全体が「神の島」として崇められていたため、陸地に建てるのは畏れ多いと海上に社殿が建てられることになりました。現在のような大規模な寝殿造りの社殿になったのは1168 年のことで、嚴島神社を厚く信仰した平清盛によって社殿の造営や改修などが行われたのです。

宮島のスポット2:宮島ロープウェーと弥山

宮島の最高峰にして、弘法大師も修行の場とするなど、古くから信仰を集めてきたパワースポットが弥山。

嚴島神社とともに世界遺産にも登録されており、手つかずのまま弥山原生林は国の天然記念物にも指定されています。散策にぴったりのハイキングコースがあり、山頂からは瀬戸内海の絶景も堪能できますよ。

弥山山頂へは宮島ロープウェーを利用するとアクセスが楽。宮島ロープウェーは循環式と交走式を乗り継ぐ全国的にも珍しいスタイルで、弥山原生林が眼下に広がる車内からの眺望も見逃せません。

ロープウェーの獅子岩駅から標高535mの弥山山頂までは徒歩30分ほど。所狭しと奇岩が並ぶ山頂からは、360度の瀬戸内海のパノラマが広がっています。巨岩のアーチ「くぐり岩」や1200年ものあいだ火を絶やさない「霊火堂」などにも立ち寄りながら、ゆっくりと時間をかけて歩きましょう。

宮島のスポット3:大聖院

1200年もの歴史をもつ大聖院は、弘法大師が開いたと伝えられる宮島最古の寺院。平家一門や豊臣秀吉、伊藤博文といった歴史上の人物に加え、皇族の方々やダライ・ラマも足を運んでいます。

1回回すごとにお経を1回唱えるのと同じ功徳が得られるというマニ車や、500体の石像が並ぶ五百羅漢、暗闇の中を手探りで進む戒壇めぐり、ここを参拝すると四国八十八ケ所をめぐるお遍路参りをしたのと同じくらいのご利益が得られるという「遍照窟(へんじょうくつ)」など、見どころは盛りだくさん。

ご本尊の波切不動明王(なみきりふどうみょうおう)は、豊臣秀吉が朝鮮出兵時に軍船に安置していたもの。このようなエピソードからも大聖院の由緒がうかがえますね。

宮島のスポット4:etto

「etto(エット)」は、2020年にオープンした、宮島口のフェリーターミナル直結の商業施設。「ニッポンの粋」をテーマとしたショップとレストランが集合しており、お土産に広島や瀬戸内の名産品を購入できるショップや、ローカルグルメやスイーツがいただける飲食店などが並びます。

レモンづくしのメニューが楽しい「島ごころSETODA」や、もみじ饅頭で知られる「やまだ屋」、宮島生まれの自家焙煎珈琲店「伊都岐珈琲」など、小規模ながらも魅力的なラインナップに目移りしてしまいそう。

面白いことに、日本三景には、海と島が織り成す美景が自慢という共通点があります。日本三景はまさに、海に囲まれ豊かな自然に恵まれた日本ならではの景勝地といえるでしょう。

時を超えてなお旅人を魅了し続ける日本三景。まだ行ったことのない日本三景があったら、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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