歴史と温泉で旅三昧!山口市内と湯田温泉のスポット・魅力を徹底解説します

白狐の湯

山口県の県庁所在地の山口市は、平成の大合併などで現在こそ瀬戸内海に面していますが、市役所や県庁など町の中心は今でも内陸の盆地の中にあります。ここかつては西の京と呼ばれ、中世の大内氏や近世の毛利氏ゆかりのものが多く、歴史的な見どころが豊富な場所。

さらに山口市の中心と隣接するように豊富な湯量が湧き出るのが湯田温泉。傷ついた白狐が夜な夜な湯に浸かって傷を癒したという伝承を持つ温泉は、現在巨大な温泉旅館が立ち並ぶ一大観光地です。今回はこの両方に行ってきて、そのおすすめを紹介します。

目次

山口・湯田温泉へのアクセス

新幹線

山口湯田温泉へのアクセスで公共交通を使う場合1番便利なのは新幹線です。新山口駅で下車後、山口線に乗り換えます。6駅で湯田温泉駅、7駅で山口駅に到着。新山口駅からの所要時間は20分ほどです。

また新山口駅からバスで湯田温泉にも行けますし、防府駅から防長線のJRバスを利用する方法もあります。

防府駅

飛行機の場合は山口宇部空港から空港連絡バスで新山口に向かう、あるいは徒歩7分のところにある草江駅から宇部線の電車を利用する方法があります。このほか空港から乗り合いタクシーを使えば、料金は若干高いですが直接湯田温泉まで行けます。

車の場合は山口IC、または湯田温泉スマートICが便利でしょう。

山口・湯田温泉の交通

湯田温泉駅

山口市内中心部や湯田温泉の交通はバスが便利。湯田温泉の温泉街と県庁前とはほぼ一本の道でつながっておりバスの便数も多いです。県庁前バス停までくれば、瑠璃光寺やザビエル聖堂などの見どころスポットまで徒歩で移動できる距離にあります。

山口

なお、鉄道は1駅ですが、本数が決して多くなく、山口駅と湯田温泉駅の双方とも町の中心部や温泉街から少し離れているのであまりおすすめできません。

また湯田温泉と山口市の中心部はそれほど離れていないので、タクシーを使うとより効率よく回れます。

山口・湯田温泉の魅力1:香山公園の瑠璃光寺

瑠璃光寺

山口市内で必ず行っておきたいところが瑠璃光寺(るりこうじ)です。香山公園(こうざんこうえん)の中にあり、中世の中国地方を支配していた守護大名大内氏が全盛期に花開いたとされる大内文化を今に伝える寺院。今回、この中でぜひ行きたいところがありました。それは国宝に指定されている五重塔です。

五重塔は大内文化の最高傑作と言われる至高の建物。室町時代1442年ごろに建てられており、奈良の法隆寺、京都の醍醐寺と並び日本三名塔のひとつに数えられています。塔の高さ 31.2m で屋根は檜皮葺。また二層にのみ回縁(まわりえん)と呼ばれるものがついているのが大きな特徴です。

瑠璃光寺

五重塔を見た後に本堂側にも行ってみました。そこには山口市指定文化財の鐘楼、江戸時代まで吉敷郡(よしきぐん)仁保にあったころに造立された石殿があります。また屋根付きの回廊で回れるようになっていました。さらに隣接した所に鎮座する金昆羅神社、仏足石、有料の資料館など見どころは豊富です。

香山墓所

瑠璃光寺から少し離れたところに、香山墓所があります。ここは毛利藩主とその家族の墓所。萩市にある寺院の墓所とともに、萩藩主毛利家墓所という名の国の史跡に指定されています。

毛利家は本来日本海側の萩に城がありましたが、幕末には山口に藩庁を構えたので、幕末以降はこの場所に墓が建てられました。幕末の藩主、13代毛利敬親(もうり たかちか)夫妻、14代元徳(もとのり)夫妻、15代元昭(もとあきら)夫妻の墓があります。

さらにこの墓の石段の前にはうぐいす張りの石畳と呼ばれるところがあります。正面の石段に向かって手を叩いたり、強く足踏みしたりすると音が反響してうぐいすの鳴き声に聞こえるとか。これを実際に足踏みして見ましたが、確かに周囲に響きました。

枕流亭

香山公園には幕末ゆかりの建物も移築されています。枕流亭(ちんりゅうてい)は、元々山口にある安部家の離れでしたが、幕末には坂本龍馬の奔走により、薩長同盟の話し合いが建物内で行われました。

西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文といった明治維新後にも活躍したメンバーが集結して薩長同盟締結につながったとか。現在は内部公開しており、2階まで上がりました。

その隣にある露山堂(ろざんどう)は、山口に藩庁を移した毛利敬親が藩庁の近くに設けた茶室です。敬親が身分に関係なく茶事ということで、倒幕について密議を凝らした場所、幕末から維新にかけて長州藩の方向性が決まった2つの建物は必見です。

>>瑠璃光寺について詳細はこちら

山口・湯田温泉の魅力2:山口サビエル聖堂と亀山公園

山口サビエル記念聖堂

山口には大内、毛利の大名家、幕末の志士のほかにも、国際的な香りが漂うスポットがあります。山口サビエル記念聖堂もそのひとつ。戦国末期にフランシスコ・ザビエルがキリスト教の宣教のために来日。山口に立ち寄り布教活動を行いました。

それが1552年のできごとという記録から、400年後の1952(昭和27)年に教会が建てられました。当時はザビエルの生家ザビエル城を模して作られた聖堂でしたが、1991(平成3)年の失火で全焼。その後、イエズス会の資金援助や全国の募金により1998(平成10)年に、新しいデザインの教会堂が再建されています。

山口サビエル記念聖堂

山口サビエル記念聖堂の1階にはキリスト教展示室となっています。(料金:一般 200円/小学生 100円)ここには明治元年に来日し、布教活動をおこないながらキリシタンの史跡の調査研究で成果を上げたヴィリオン神父のデスマスクや山口県に残るキリシタン遺跡の分布、隠れキリシタンにまつわるものなど、貴重な資料が並んでいます。

山口サビエル記念聖堂

2階は聖堂です。観光客はガラス越しに聖堂の中を見ることができるようになっており、そこから見えるステンドグラスが非常に美しいので、長時間見とれてしまいました。また定期的にパイプオルガンの演奏会も開催とか。そのほか教会建物の外には、アジアに平和を送る大聖年の鐘、井戸端で説教をするザビエル像などがあります。

亀山公園

山口サビエル記念聖堂は亀山公園の中腹にあります。せっかくなのでそのまま遊歩道を亀山公園山頂広場まで歩いてみました。ここは旧山口市内を一望できる場所。広場中央には、馬に乗った勇ましい毛利敬親像があります。

山口サビエル記念聖堂

  • 住所:山口県山口市亀山町4−1
  • TEL:083-920-1549
  • 開館時間:10:00~16:00
  • 拝観料:大人200円/小学生100円
  • HP:山口サビエル記念聖堂

山口・湯田温泉の魅力3:山口藩庁門と旧県会議事堂

山口藩庁門

長州藩は日本海側の萩城が藩主の拠点でしたが、幕末の藩主毛利敬親は、1863(文久3)年に江戸幕府に無断で山口に藩庁「山口政事堂」を作ってから申請書を幕府に提出。萩藩から山口藩にかわりました。山口政事堂のところは現在も県庁がある場所。藩の時代の名残として山口藩庁門が現存します。

山口県庁舎

現在の山口県庁舎は藩庁門の北側に1984(昭和59)年に竣工したもの。それまでの旧県庁舎は山口県政資料館という歴史博物館として公開されています。

この建物は1916(大正5)年に完成した建物です。西洋建築と和様式が融合した大正建築物として国の重要文化財に指定されました。内部は博物館として、主に山口県政に関する資料を展示しています。隣にある旧県会議事堂とともにその外観が大変美しく素晴らしいです。

旧県会議事堂

旧県会議事堂は県庁舎と同時に完成しています。正面棟1階に議員控室、公衆控室、新聞記者席が用意され、2階には議長・副議長室、知事室、参事会場があります。また議場は1階南側中央壇上に議長席と演壇があり、左右に説明員席。その前方に扇形に議員席、2階には新聞記者席衆傍聴席のギャラリーがあります。

>>旧山口藩庁門について詳細はこちら

山口・湯田温泉の魅力4:中原中也記念館

中原中也記念館

中原中也記念館は、湯田温泉にある博物館で、山口市湯田温泉出身の詩人・中原中也に関するミュージアム。1994(平成6)年に完成しました。ここは中也の生家で中原医院があった場所です。

中原中也記念館

施設の1階は、 常設展示室として中也に関する記念室となっており、中也の生涯についての解説をはじめ、遺品や遺稿、映像などが展示されています。また2階は企画展示室ということで2,3か月のスパンで様々な企画ものを展示。また2階にはビデオ放映、CD試聴、資料検索室などがあります。

中原中也記念館

施設の建物に入るまでには、中也が残した詩のうち、代表的なものをパネル展示しています。中也のことを詳しく知らない人でもここで彼の作品に触れることで、彼の人となりがわかるようになっています。入る前と資料を見た後の2回見比べましたが、心に残るものが違うような気がしました。

中原中也記念館

  • 住所:山口県山口市湯田温泉1-11-21
  • TEL:083-932-6430
  • 開館時間:5~10月 9:00~18:00(最終入館17:30)、11~4月 9:00~17:00(最終入館 16:30)
  • 休館日:月曜日(祝祭日の場合は翌日)/毎月最終火曜日/年末年始(12月29日~1月3日)
  • 入館料:一般330円/大学・専門学生220円
  • HP:中原中也記念館

山口・湯田温泉の魅力5:温泉舎

温泉舎

湯田温泉には巨大旅館が立ち並び各地に足湯、日帰り施設があります。しかし、もっとも温泉らしさを感じられるのが温泉舎(ゆのや)。7.9mの櫓(やぐら)が目印です。

温泉舎

櫓の手前には湯の川という名前で、足湯が楽しめるようになっています。そのまま櫓の奥まで進むと源泉が湧き出ているところが。ガラス越しですが、覗き穴から中を見ると地下500mから約62℃の源泉が湧き出ています。豊富な湯量が途切れることなく、激しく迫力ある様子が見られました。

温泉舎

温泉舎では、手洗い場があり、直接源泉に触れることができます。ただし源泉温度が62度あるので、火傷には注意しましょう。また飲泉も可能。さらに夜になると櫓がライトアップされます。

山口・湯田温泉のグルメ:瓦そば

長州屋

山口のご当地グルメは瓦そば、下関が発祥の麺料理は、アツアツに焼きあがった瓦の上に茶そばを乗せて食べます。これは西南戦争で、薩摩郡の兵士が野戦の合間に瓦を焼いて食べたことをヒントに考案されたとか。

実際に注文すると、鉄板と違い立体的な瓦からは直接触れなくても熱が伝わり、そのうえで音がして焼きあがっている「そば」のインパクトは想像以上に大きいです。

瓦そば

湯田温泉の温泉街にある長州屋湯田店 では、この瓦そば(1,480円)が味わえます。瓦そばの他にも長門から挽きたての長州どりを直送。それをここで焼き、焼鳥として食べられます。また山口美食コレクションでグランプリを獲得した百姓庵の塩唐揚げ(600円)も侮れません。

長州屋湯田店

  • 住所:山口県山口市湯田温泉4-1-7
  • TEL:083-902-3939
  • 営業時間:11:00~23:00(日曜日は22時まで)
  • 定休日:12月31日、1月1日
  • HP:長州屋 湯田店

山口・湯田温泉のおすすめ旅館:山水園

山水園

山口市内を観光するなら最低でも1泊はしたいところ。湯田温泉に宿泊するのが定番ですが、そのなかでも温泉街から少し離れたところにある、名勝・山水園がお勧めです。ここは少し高級な旅館で、旅館の建物が国登録の有形文化財。大正期に建てられた別荘で、昭和11年に増築しました。レトロな建物は入った瞬間から時空を超えた別世界です。

翠山の湯

敷地内に3本の源泉井戸を持つ山水園、加熱加水が一切ない源泉かけ流しの天然温泉が湧いています。泉質はアルカリ性単純硫黄泉。温泉に入ると硫黄の個性的なにおいがうっすら感じられます。また宿泊客は隣にある立ち寄り湯「翠山の湯」に無料で利用可能。内湯では味わえないような大浴場や露天風呂が堪能できます。

大内御膳

山水園の夕食には様々なものがありますが、イチオシは大内御膳です。これは中世の守護・戦国大名の大内氏が、足利将軍家にもてなしのために用意した料理のレシピを再現したもの。まだ醤油も無かった時代だったため、塩、酢、味噌だけで味付けされた素材重視の料理の数々は、別注した日本酒との相性もばっちりです。

山水園の庭

山水園でリッチな1泊を楽しんだ後、最後に庭園を見学しましょう。山水園の庭は名勝地として国の登録記念物。池泉庭園、露地、枯山水の三種類の庭園で構成されており、それぞれ違った楽しみが味わえます。

名勝・山水園

  • 住所:山口県山口市緑町4−60
  • TEL:083-922-0560
  • HP:山水園

歴史のある山口と湯量豊富な湯田温泉はセットで回りましょう

ポスト

山口は歴史のある県庁所在地、見どころは比較的近くに固まっており、効率よく回れば1日でも楽しめます。

市中心部と隣接する湯田温泉には、せっかくの機会なので泊まっておきたいところ。豊富な湯量の良質な温泉で旅の疲れを癒し、一休みすれば、翌日また違った気持ちで山口の観光が楽しめるでしょう。ぜひ、山口市内と湯田温泉をセットで回ってみてください。

関連記事

山口」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『山口』旅行はこちら

※外部サイトに遷移します

Related postこの記事に関連する記事

【山口】錦帯橋と岩国城 驚異の木造5連アーチ橋をあらゆる角度から楽しもう!

Ranking山口記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

この記事に関連するタグ

プロフィール画像

万代正平

旅行が好きな旅人。日本国内は、北海道の網走、道東周辺から沖縄の八重山諸島・与那国島まで47都道府県すべて行ったことがあります。2020年2月までは毎年東南アジアに渡航しており、東南アジア10か国すべて訪問しました。海外では他にヨーロッパ(英国、ベルギー、アイルランド)アメリカ、中国、香港、マカオ、台湾、韓国への渡航経験があります。2020年春以降は、主に国内の旅行を中心に活動しています。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!