実践!私のマイクロツーリズム〜自然豊かな奥越エリア「越前大野・勝山」を冒険する!〜

越前大野 勝山

「近場を旅行しよう!」と思った時、高速道路を使えば、遠かった場所でも案外すぐ行けるということに気づくのではないでしょうか。

愛知県在住の私の場合、ちょうどその気づきを得たのが、福井県奥越エリア(越前大野・勝山)でした。東海北陸自動車道で2時間弱、そこから国道158号を1時間ほど走ると、辿り着くことができます。当初、どんな場所か全くイメージのなかった越前大野・勝山ですが、訪れるたびに新たな発見で溢れ、かなりの頻度でリピートしています。一言で言えば、町の中心と、その周囲の山々まで全てが冒険フィールドです。

人口密度も少なく、3密回避の旅先としておすすめ!今回はそんな奥越エリアの魅力をご紹介します。

目次

レトロな「大野の町並み」を歩く

越前大野

北越の小京都と呼ばれる「越前大野」は、戦国時代から400年以上も続く城下町。雲海で有名な「越前大野城」を中心に、碁盤の目状に町の景観が残っています。

そんな越前大野では、ふと歩くだけで歴史の情緒に浸ることができますよ。例えば、寺院が城壁の代わりを担ったと伝わる「寺町通り」は、町の原風景となっています。寺院だけで構成される通りは、なかなか珍しいのではないでしょうか。

寺町通り

また、毎年春分の日から大晦日まで朝7時〜11時ごろ、地元の農家やお店の方々が、農産物などを路上にところせましと並べた「七間朝市」も、越前大野を象徴する風景です。

お買い物を楽しむのはもちろんのこと、福井弁丸出しの屈託ないおばあちゃんとの会話も楽しみの一つ。今もこうしたローカルな伝統が根付き、引き継がれています。

越前大野

なお越前大野の町並みは、本当に色々な表情があります。周囲の山並みを背景にしたり、湧き水スポットが設けられていたり、何気ないレトロな建物があるなど。

道中様々な発見があるので、何気なく歩くだけで楽しいものです。

大野の町並み(七間の朝市)

「白山平泉寺」で苔の神秘に出会う

白山平泉寺

日本三大霊山である、加賀の名峰「白山」ですが、この奥越エリアも重要な登山拠点になっています。市ノ瀬ビジターセンターを起点とする登山道、いわゆる越前禅定道です。

勝山にある「白山平泉寺」は、その越前禅定道を歩き、白山信仰の開祖となった泰澄によって開かれました。中世には北陸で大きな勢力を有し、数十の堂や社、数千にも及ぶ坊院が立ち並んでいたと伝わっています。

白山平泉寺

そんな「白山平泉寺」の特徴は、その神秘的な佇まい。例えば、境内にある「御手洗(みたらい)の池」。かつて泰澄が白山登拝の途中、この場所に立ち寄った時に、白山の神が現れた場所であり、平泉寺の名前と発祥となった場所です。

緑鏡のごとき池へ光が差し込むと、なんとも言えない心洗われる趣があります。

白山平泉寺

一方で、平泉白山寺の代名詞となっているのが、拝殿の付近に広がる苔庭です。特に夏にかけて、苔の色がいっそう濃く、しなやかになり、幻想的な絨毯に癒されます。

朽ちた木や、随所に出ている芽も、悠久の自然を感じさせてくれますよ。

白山平泉寺

錦絵のごとく彩る「刈込池」ハイキング

刈込池

前述した白山を中心に、両白山地と呼ばれる山々に囲われている奥越エリア。市街地エリアの外に、飽くなきアウトドアフィールドが根付いています。

その中でも特に、心を奪われたのが、両白山地・三ノ峰に抱かれるように佇む「刈込池(かりこみいけ)」。県道173号・上小池勝原線を道の終点まで進み、そこから徒歩40分ほどで訪れることのできる、まさに秘境の池です。

刈込池

紅葉最盛期である10月下旬〜11月上旬に足を運べば、そこは鮮やかなブナ林が彩る、錦絵の世界。水面に映り込む三ノ峰の山容も雄大です。

両白山地に抱かれるように、標高1,075mの場所にあるロケーションだからこそ生み出された絶景と言えるでしょう。

刈込池

刈込池には駐車場から一周ハイキングコースが整備されていますが、池の周りの紅葉も見事!太陽が昇ると同時に、キラキラと照らし出されて、まるで宝石のごとく輝きます。

また青空とのコントラストも格別なので、頭上を眺めてみるのも風情があります。まるで絵画の世界を歩いているような感覚に浸れるはず!

刈込池

  1. 冬季規制:11月末~5月中旬
  2. 毎年10月下旬~11月上旬の土・日・祝日は駐車場、道路等が車で非常に混雑する恐れがあります
  3. 上小池駐車場にはトイレあり
  4. 動きやすい服装を心がけて、水分・食料を持参してください

アオバトの聖地!秘湯「鳩ヶ湯温泉」に浸る

鳩ヶ湯温泉

先ほど紹介した「刈込池」に向かう途中、県道173号・上小池勝原線に現れるのが「鳩ヶ湯温泉」です。両白山地の山々に囲まれて、一軒ポツンと佇むロケーションは、まさに秘湯。

辺りは野生動物の宝庫で、しばしば熊も現れるのだとか!施設の建物近くの木にも、熊の爪痕が見られて驚きです!

鳩ヶ湯温泉

そんな鳩ヶ湯の温泉は、大人4名ほどが入れる、とてもこぢんまりとした浴槽。源泉は冷たいため、汲み上げたものを温めて供給しています。飾り気のない、なかなか渋い温泉です。泉質は炭酸水素塩泉で、無色透明のサラサラとしたお湯が特徴。塩分がとても高く、10分ほど浸かっているだけで身体がよく温まります。

鳩ヶ湯温泉

そんな鳩ヶ湯の名称の由来ですが、実はこの塩分たっぷりの泉質にあります。なんと、源泉が湧き出ているポイントには、水浴びにくるたくさんのアオバトが!日本全国見渡しても、アオバトがこれほど多く生息している場所は他になく、この温泉の名称となっているのです。なおアオバトを撮影するなら、300mm以上の望遠レンズをおすすめします。

鳩ヶ湯温泉

  • 住所:福井県大野市上打波6-2
  • 営業時間:平日11時~17時、土・日・祝日10時~17時
  • 定休日:無休 ※12月上旬~4月中旬までは冬季休業
  • アクセス:大野市街から車で約30分
  • URL:https://www.hatogayu.jp/

美しい白銀の稜線「荒島岳」へ雪山登山

荒島岳

最後に紹介したいのは、大野富士の愛称で親しまれている「荒島岳」。一般的にはそれほどメジャーな山ではないのですが、日本百名山にも選ばれている、知る人ぞ知る名山です。

年間を通じておすすめできる山ですが、中でも一番お気に入りなのが冬の時期。360度眺望が開けた山頂からは、白山の雄大な山並みを望む、白銀のパノラマが待っています。

荒島岳

また急激に冷えた日の翌日に見られる、冬山の風物詩・霧氷の美しさも格別!特に、登山道の中盤であるシャクナゲ平〜もちが壁の間には、まるで桜のように咲き誇ります。

青く澄んだ空と、霧氷の対比は息を呑む美しさ。雪山だけに気は抜けませんが、思わずうっとりと眺めてしまいます。この辺りから雪山登山の標準装備であるアイゼンは必須です。

荒島岳

そしてクライマックスには、冬の荒島岳が人気となっている核心部へ。ひたすらパノラマの開けた稜線歩きが待っています。

まるで天上へと登っていくような臨場感、眼下に吸い込まれるような大野平野、遠く両白山地の純白の山並み。全てが綺麗で、ひたすらに冒険心を掻き立てられる世界が広がります。

荒島岳

  1. アイゼン・防水ウェア・手袋は必須装備です。また冬山の稜線は風が一段と寒いため、防寒着には余裕を持っておくと良いでしょう
  2. スニーカーでは冬山は登れません。防水性能をもったトレッキングシューズを持参しましょう
  3. 12月中旬以降、急激に冷えた翌日に登山を行うと樹氷が見れる確率が上がります
  4. 雪の降雪直後は難易度が上がるためおすすめしません

近場で味わえる冒険旅行へ

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いかがでしたでしょうか。今回は、愛知県から案外近い「奥越エリア」を紹介してきました。マイクロツーリズムという旅の楽しみ方が浸透し、より近場に注目するようになりましたが、その一方でギリギリ日帰りできるかな?というエリアへ目を向けるのも面白いもの。

季節を変えながら、何度も足を運びたい魅力が、この奥越エリアには根付いています。町から自然、全てが冒険フィールドなので、好奇心の赴くまま、ぜひ足を運んでみて下さい!

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土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。

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