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実践!私のマイクロツーリズム〜美しい花園とアルプスの絶景山岳地帯・南信州〜
私の故郷である愛知県・奥三河エリア。"工業の県"という典型的な愛知のイメージから程遠く、ひたすらに美しい自然や、日本の原風景が根付いています。そんな奥三河の密かな特徴とは、岐阜・長野・静岡という三県の県境になっていること。
そのため少し足を延ばせば、中央アルプスや南アルプスといった、日本屈指の山岳地帯へ日帰り旅行が可能です。中でも、長野の南側「南信州」は、花や渓谷など、豊かな山が育む絶景の宝庫!
そこで今回は、そんな南信のポテンシャルの高さを物語る5つのスポットをご紹介していきましょう。アクセスは容易ではないものの、どれも感動必至な名所ばかり。
目次
- 【伊那】ピンクが包む、天下第一「高遠城址公園」の桜
- 【阿智】日本一の花桃の里「月川温泉」で迎える、鮮やかな春
- 【遠山郷】"日本のチロル"から南アルプス大展望の「しらびそ高原」へ
- 【木曽】中山道の宿場町・妻籠と馬籠をセットで楽しむ
- 【木曽】圧倒的な透明度「阿寺渓谷」ブルーを眺める
- ポテンシャルを秘めた、圧倒的な絶景が根付く南信
【伊那】ピンクが包む、天下第一「高遠城址公園」の桜
天下第一の桜という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、南信州・伊那に位置する「高遠城址公園」の桜の風景を謳った言葉です。
城跡の随所に植わる1,500本以上のコヒガンザクラが満開を迎える4月上旬〜中旬には、妖艶なピンクに包まれます。白いソメイヨシノとはまた違った趣で、曇りがちな日でも、よく写真映えするのが印象的です。
もちろん高遠城址公園の中から鑑賞する桜も素晴らしいのですが、密かにおすすめしたいのが、そのすぐ南西、五郎山の山中にある「白山観音」。公園から徒歩30分ほどでアクセスすることができます。
この「白山観音」の魅力は、まるで海のようなコヒガンザクラを眺められること。展望が高遠城址公園方向に開け、ピンクに埋め尽くされる光景は圧巻です。
また他に高遠城址公園の桜鑑賞の見どころとしては、南アルプスと桜のコラボレーション!伊那谷からは、仙丈ヶ岳(標高3,033m)など日本屈指の標高を誇る山が一望できます。
まだまだ閉ざされている山の世界。少し残る肌寒さとともに、冬から春への季節変化を感じられる点がポイントです。
高遠城址公園
- 住所:長野県伊那市高遠町東高遠
- 電話番号:0265-94-2556
- 営業時間:08:00〜17:00
- 料金:大人(高校生以上)500円、小人(小・中学生)200円
- 見頃:3月末から4月上旬
- URL:https://takato-inacity.jp/2021/
【阿智】日本一の花桃の里「月川温泉郷」で迎える、鮮やかな春
季節はGW前後、南信州の中心・飯田周辺でも、色鮮やかな風景に出会えます。場所は、スキー場・ヘブンスそのはらに隣接する「月川温泉郷」。園原ICから車で約10分の場所です。
見られるのは、恵那山山麓を埋め尽くすように咲き誇る、紅白の花桃。実は100年ほど前、この地に持ち込まれた3本の花桃が、人々の努力により、今では5,000本以上に増え、"日本一の桃源郷"とまで称される場所になりました。
季節は春も終わりかけで、夏へと近づいていく頃。山麓へ芽吹く新緑と、花桃のコントラストが印象的です。華やかであり、爽やか。
市街地に比べて春が来るのが遅い中央アルプスの最南部・恵那山周辺だからこそ、春と夏が共存する、つかの間の絶景を見せてくれます。
そんな月川温泉郷の中でも、一押しの場所が、県道477号線・富士見台公園線の途中にある展望ポイント。道の先に思いっきり景色が開け、阿智川に沿って、ピンクと白の花桃が続いていきます。
穏やかな春の陽気も感じられる風景。色々と慌ただしい時勢ですが、この月川温泉郷は例年と変わることなく落ち着いており、心からリフレッシュすることができました。
日本一の花桃の里「月川温泉郷」
- 住所:長野県下伊那郡阿智村智里
- 電話番号:0265-43-3001
- 見頃:4月下旬から5月上旬
- アクセス:園原ICから車で約10分
- URL:http://hirugamionsen.jp/activity/hanamomo
【遠山郷】"日本のチロル"から南アルプス大展望の「しらびそ高原」へ
信州の三大秘境の一つ「遠山郷」も、南信州・飯田市に位置しています。中でも代表的な景観が、日本の里百選にも選ばれている「下栗の里」です。
標高800mから1,100mの高地、最大斜度38度の急斜面にへばりつくような集落景観は"日本のチロル"と呼ばれ、異国情緒漂う絶景として親しまれています。実際訪れてみると、よくこんな場所に集落を築き上げたものだと、感心してしまうはず!
下栗の里(日本のチロル)
- 住所:長野県飯田市上村下栗
- アクセス:佐久間川合ICから車で約1時間50分、高原ロッジ下栗に車を止めて、展望スポットまで徒歩20分
- URL:https://tohyamago.com/osusume/shimoguri/
そんな下栗の里は、南信州のツーリングの聖地・しらびそ高原への入り口でもあります。道の名称は「南アルプスエコーライン」。日本百名山の一つ・聖岳など、南アルプスの雄大な山並みを眺めながら、パノラマロードが続いていきます。
ちなみに私は自転車で訪れたことがありますが、これが本当にハード!傾斜もキツいどころか、約15kmと距離も長く、アップダウンも小刻みに現れるため、心が折れかけました。
しかし、しらびそ高原(標高1,900m)まで至れば、息を呑むようなパノラマが展開!谷から急峻に立ち上がる南アルプスの山塊は、ひたすらにダイナミックで格好良く、しびれてしまいます。
季節はGWでしたが、前日雪が降ったとのことで、山頂部はしっかりと冠雪していました。ひたすらに自然が深く、簡単にはアクセスできない隔絶された場所だからこそ、訪れた時の達成感と感動はひとしおです。
しらびそ高原
- 住所:長野県飯田市上村
- 電話番号:050-3583-2302(しらびそ高原 天の川)
- アクセス:下栗の里から車で約1時間
- URL:https://tohyamago.com/osusume/sirabiso/
【木曽】中山道の宿場町・妻籠と馬籠をセットで楽しむ
南信州について紹介する上で、もう一つ欠かせないのが「木曽」。御嶽山(標高3,067m)を筆頭に、豊かな山麓が形成され、信州塩尻へ至る街道も発達し、自然と歴史が融和しているのが特徴です。
そんな木曽で、イチオシなのが妻籠宿(つまごじゅく)と馬籠宿(まごめじゅく)。正確には、馬籠宿は市町村合併により今は中津川市なのですが、セットで語られることが多いです。
両方の宿場町が、馬籠峠を境界として10kmほど離れています。当時の中山道の繁栄ぶり、そしてこの区間が中山道の中でも難所であった歴史を物語っていますね。
特徴として長野側の妻籠宿は、平面的な街道の様相。お店も点在していますが、古い町並みの原風景が残されており、まるで江戸時代にタイムスリップしたような情緒があります。
妻籠宿
- 住所:長野県木曽郡南木曽町吾妻2159-2
- 電話番号:0264-57-3123
- 営業時間:08:00~17:00
- アクセス:中津川ICから車で約35分
- URL:http://www.tumago.jp/
一方で、岐阜側の馬籠宿は、高低差のある石畳の風景が特徴。上りは空へ向かっていくような臨場感、そして下りは、恵那山を眺める雄大なパノラマが味わえます。
こちらは観光地としてお店が充実しているという印象。カフェや蕎麦屋さんなどが軒を連ねているので、休憩に立ち寄ってみてください。静かに自然と歴史情緒に浸れるのが、妻籠宿・馬籠宿の魅力です。
馬籠宿
- 住所:岐阜県中津川市馬籠4282
- 電話番号:0573-69-2336
- アクセス:中津川ICから車で約20分
- URL:https://kiso-magome.com/
【木曽】圧倒的な透明度「阿寺渓谷」ブルーを眺める
最後に紹介したいのは、木曽の絶景として密かに知られる「阿寺渓谷」。具体的には、大桑村野尻の"あでら橋"を渡った先にある、全長15kmの阿寺川上流を指します。
一見、何ということはない一般的な渓谷なのですが、ポイントは「阿寺ブルー」と呼ばれる、深く美しい清流の色。心洗われるような、見事なエメラルド色を映しています。
そんな「阿寺渓谷」には、いつくか見所がありますが、中でもイチオシなのが「狸ヶ淵・狐ヶ淵(たぬきがぶち・きつねがぶち)」。駐車場から少し離れており、散策のお客さんは少ないものの、阿寺ブルーの絶景を存分に満喫できます。
また淵の上部には、モミジが覆いかぶさり、夏には緑、秋には紅葉とのコラボレーションも!淵の中で、水辺まで降りられるのも密かなポイントです。
一方で、私が心を奪われたのは、一年のうちで最も木々の生命力が感じられる、新緑の渓谷。陽光を浴び、黄緑から緑へとグラデーション伴いながら、キラキラと輝く姿は本当に美しいです。
水辺だけでなく山手も眺めながら、たっぷりと自然のマイナスイオンに浸ってみてください。
阿寺渓谷
- 住所:長野県木曽郡大桑村野尻
- 電話番号:070-4228-0881
- アクセス:中津川ICから車で約1時間30分
- URL:http://www.vill.ookuwa.nagano.jp/kankou/picture/picture_atera.html
ポテンシャルを秘めた、圧倒的な絶景が根付く南信州
長野県といえば、白馬や松本、安曇野がまず思い浮かび、南信州は、どうしてもマイナーなイメージがありました。しかし、この時勢の中で、近場へ注目する姿勢を養うことができ、南信州がとてもポテンシャルの高い地域だと、再発見できたことは有意義だったと思います。特に、息を呑むような絶景を数多く発見できました。
いつ完全に旅を楽しめるようになるかは分かりませんが、こんな時勢だからこそ、近場の魅力を模索してみてはいかがでしょうか?
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土庄雄平
- 1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。