街道と産業が交わる場所。美しい愛知の「町並み」BEST5

愛知の街並み

これまで4回にわたって愛知の豊かな自然景観を紹介してきました。しかしながら一方で、都会に見所が豊富な点も、愛知の特色だったりします。そこで今回取り上げてみたいのが、美しい愛知の「町並み」です。

愛知は東海道や飯田街道など、いくつもの街道の結節点であり、同時に窯業や繊維業など様々な産業が栄えた地域でもありました。そのため地理的には近くとも、その町によって景観がガラリと変わり、今でもその歴史を紐解くことができます。

今回は、私お気に入りの町並みを、ちょっとマニアックに選定!ふとした時に、ぜひ足を運んでみて下さい。

目次

第5位 : 名駅から江戸にタイムスリップ!?名古屋城下「四間道」

四間道

まず紹介したいのは、名古屋の中心部に位置する「四間道(しけんみち)」。江戸時代初め、名古屋城の築城と清州越(清州→名古屋の都市移転)に伴って築かれた商人町です。

元禄13年(1700年)の大火の後、防災目的と旧大船町商人の商業活動のため、道路幅を四間(約7m)に広げたことで、現在の名前で親しまれるようになりました。

四間道

名古屋駅から徒歩30分以内という立地ながら、江戸時代へタイムスリップしたかのような風情ある町並みは健在!また現在は、土蔵を改装した料亭やレストラン軒を連ね、名古屋グルメの穴場としても話題です。

ぜひランチやディナーを予約しておき、その前後の時間でふらっと散策を楽しんでみてください。きっと非日常でちょっと贅沢な休日を過ごせるはず!

四間道の町並み

第4位 : 愛知の生きた産業史。巨大な焼き物の町「常滑」

常滑

数々の伝統産業が根付いている愛知で最も有名なのは、"焼き物"ではないでしょうか?良質な土が多く採れ、街道の結節点となる立地を生かして、愛知から全国に多くの焼き物が流通しました。

中でも一番有名なのが、知多半島の「常滑(とこなめ)」でしょう。平安時代の陶器生産に始まり、中世には窯跡が1,000基を超えるほど、窯業が隆盛しました。世界遺産に登録されている、奥州平泉で大量に使われていたことも判明しています。

常滑

そんな常滑、今でも「やきもの散歩道」という通りが整備され、町の至る所に窯業の軌跡を垣間見ることができます。道に敷かれ、壁や塀に散りばめられた陶器。今も残る登り窯や、巨大な見守り猫・とこにゃんなど。

ふと昭和の時代に戻ったような、ノスタルジックな景観も魅力です。ぜひゆったりと時間を取って歩いてみて下さいね。

常滑 やきものの散歩道

関連記事:焼き物

第3位 : 歴史と自然が寄り添う。奥三河の中継地「足助」

足助

岐阜県や長野県と県境をなす奥三河エリアにも、魅力的な歴史景観が点在しています。中でも豊田市の山間部「足助」は、尾張・三河から信州へとつながる伊那街道(中馬街道)の中継地点であり、海と山の物資で賑わいました。

各地の海から運ばれた塩を混ぜて作る「足助塩」という名産品が象徴的です。この塩を合わせる仕事、いわゆる足助直しを仕事とする商家が栄えました。

足助

そんな足助ですが、それぞれ家庭が生業を持ち、町として自給自足をしてきたことも特徴です。その歴史をよく分かるのが「三州足助屋敷」。風光明媚な香嵐渓の一角に位置し、傘や鍛冶、染め物など様々な日用品を作ってきた職人の技術や伝統を学ぶことができます。

夏は緑に心躍り、秋は一面紅葉に彩られるこの場所。周囲の自然景観にもきっと心奪われるはず!

足助の町並み

第2位 : 東海道五十三次にも登場。絞り染めの町「有松」

有松

江戸と京都を結ぶ旧東海道、その池鯉鮒宿(ちりゅうのしゅく)と鳴海宿の間にあるのが「有松」の町並み。元々、人気のない荒地で治安が悪く、街道の通行に支障をきたすことから、尾張藩が移住者を公募して、町を開いた歴史があります。

農業に不向きな土地のため、移住者は生業に悩みましたが、そのうちの一人・竹田庄九郎が「有松絞り」を考案・販売したところ大ヒット!藩の保護も受け、尾張の名産品としての地位を確立しました。

有松

そんな伝統産業は、江戸時代の町並み景観とともに、今に至るまで連綿として受け継がれています。各町家に掲げられている"有松絞の暖簾"も、それを象徴していますね。中でもオススメなのは「カフェ庄九郎」。

そう!あの竹田さんのお宅です。有松絞発祥となった商家の一角を活用し、古民家カフェを営業しています。江戸時代の趣に浸りながら、ホッと一息美味しいご飯をいただける穴場スポットです。

有松の町並み

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第1位 : 古き良きレトロな趣。知多木綿の町「岡田」

岡田

愛知の町並みの中で、最もおすすめしたいのが、知多半島の付け根に位置する「岡田」。江戸時代に隆盛を迎えた"知多木綿"の産地であり、昭和初期には日本の三大織物生産地の一つにも選ばれています。

一方で、手生産から竹内虎王(岡田在住)の動力織機、豊田佐吉の自動織機へ、綿織物業の技術革新を生む土台となった歴史もあります。豊田自動織機は、現在のトヨタ自動車の前身。まさに工業王国・愛知の発展のスタート地点と言えるかもしれません。

岡田

太平洋戦争後は織物生産がアジア諸国へ移ってしまうものの、地元の人の手で、町並み景観は大切に守られています。また美味しいグルメもいくつか存在し、「おかき屋 辰心 岡田本店」で提供されている"岡田カツ丼"はカツ丼に目玉焼きダブルを載せた、昔ながらに愛される一杯。

派手さはないですがホッと一息、どこか懐かしい情緒に触れながら、半日ほどゆっくり過ごせる「岡田」。ぜひ一押しの町並みです。

岡田の町並み

  • 住所:愛知県知多市岡田
  • アクセス:名古屋から車で40分、名鉄常滑線「朝倉駅」からバス(岡田線)に乗りバス停・岡田で下車
  • URL:https://www.aichi-now.jp/spots/detail/2710/

古き良き愛知の昔を訪ね歩く。町並みを巡る魅力

ありまつ

いかがでしたでしょうか?今回は歴史という観点から、愛知の美しい町並み景観を取り上げてみました。どれもバックグラウンドも違えば、町並みの景観も少しずつ異なります。きっと愛知の町の多様な魅力を感じて頂けたのではないでしょうか?

現在、そうした町並みでは、今を生きる人たちの手で「盛り上げよう!」という試みが活性化しています。古民家カフェを開いたり、ビール醸造所を開いたり、ゲストハウスにするなど。どんどん新たな活動がはじまっているので、ますます見逃せなくなりそうですね!

次回は奥三河×穴場絶景でお送りします。

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土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。

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