【京のパワースポット】自然パワーみなぎる琵琶湖疎水周辺をお散歩

琵琶湖疎水

日本の地図を開くと、大きな湖『琵琶湖』が真ん中に見えます。その琵琶湖から水を引き、古都である京都まで続く『琵琶湖疎水』は明治に完成しました。東京遷都に伴い、人口が減った京都を活性化するための事業の一つです。

1891年から1948年まで琵琶湖疎水を舟で行き来し活躍していたインクラインは、桜の名所になりました。

今回は、琵琶湖疎水沿いにある観光名所の魅力と、自然が生み出すパワーをぜひ紹介したく思います。

目次

琵琶湖疏水と桜

琵琶湖疏水 桜

琵琶湖疏水とは、人口運河のことを言います。

構成は、

  • 第1疏水:大津市観音寺から京都市伏見区堀詰町までの全長約20km
  • 第2疏水:全線トンネルで第1疏水の北側を並行する全長約7.4km
  • 疏水分線:京都市左京区の蹴上付近から分岐し北白川に至る全長約3.3km

第3代の京都府知事であった北垣国道が若い田邉朔郎らとともに1890年に開削。水力発電や水車動力を活用することで産業が発展し、日本初の市営電車を開業しました。

琵琶湖疏水沿いには、たくさんの桜が植わっており、野鳥や自然が織りなす四季折々の景色の中で散策が楽しめます。

2018年春からは観光舟が再スタートし、疏水の中を十石舟で巡ることができますが、なかなか予約が取れないのが現状です。特に4月の桜の季節は、暖かい陽気に誘われ、鶯の声や鷺の舞が楽しめるので、地元京都人だけでなく多くの観光客が訪れます。

桜の季節が過ぎると新芽が青々と迎えてくれ、夏は水辺で涼しくすごせます。秋には、紅葉や竹林による風情が楽しめ、冬にはマラソンや自転車でスポーツを楽しむ人たちが集う、1年を通して自然が織りなす憩いの場となっています。

毘沙門堂門跡と山科聖天(双林院)

毘沙門

天台宗京都五門跡の一つ、毘沙門堂門跡は、703年に文武天皇の勅願で僧行基により護法山出雲寺として創建。天台宗の僧で徳川家康の側近であった天海によって復興され、1665年より現在の地に至ると言われています。

毘沙門

回遊式庭園「晩翠園」や円山応挙による鯉の絵が変化すると言われる板戸の衝立、どの角度から見ても鑑賞者が中心になるという逆遠近法の手法を用いた襖絵、伝教大師のご自作の御本尊ー毘沙門像なども有名ですが、秋の紅葉や春の桜はテレビなどで取り上げられ多くの人で賑わいます。

毘沙門

特に、境内の枝垂れ桜は春の訪れを知らせてくれるとニュースや朝のワイドショーなどで取り上げられることが多々ありました。

また、高台弁財天では『宇賀神弁才天さま』が荘厳あらたかに祀られています。

 毘沙門・弁財天

毘沙門堂の北にある山科聖天さん(双林院)では、秘仏の大聖歓喜天(聖天さん)約100体が祀られており、霊験あらたかと評判です。

山科聖天

聖天さんとは、十一面観音と商売の神様であるガネーシャ神(ヒンドゥー教の神)の化身の姿をしており、頭が象、首から下は人間。その二体が向かい合って抱擁されている陰陽和合の「男女合体神」だと言われています。シンボルである大根と巾着は夫婦和合、縁結び、子孫繁栄、財福を表しています。

山科聖天

不動堂には、比叡山より勧請された不動明王(五大明王)、右に准胝観世音像、左に宇賀神弁財天などが鎮座されており、不動の滝では禊体験もできます。阿弥陀堂では、お盆になると西明寺(滋賀県)より勧請された阿弥陀如来が公開されます。

聖天さんを通り過ぎ、この山を川沿いに登っていくと、大文字山へ続く山道が出てきます。私にとってこの辺りは、幼少期にBBQやハイキングなどをよく楽しんだ思い出の場所です。

また、彫刻家の方が彫刻を並べられている場所もあり、人気のない山間にいきなり数体の人影(人型の彫刻)が出てくるので、ドキっとします。

素敵な隠れ家的場所なので、お時間があるようでしたら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

毘沙門堂門跡

  • 住所:京都府京都市山科区安朱稲荷山町18
  • 電話番号:075-581-0328
  • アクセス:JR・地下鉄山科駅から徒歩で15分
  • 公開:8:30~17:00(最終受付16:30)※冬季は8:30~16:30(最終受付16:00)
  • 毘沙門堂門跡HP

山科聖天-双林院

  • 住所:京都府京都市山科区安朱稲荷山町18-1
  • アクセス:JR・地下鉄「山科」駅下車 北へ徒歩約15分
  • 拝観:無休
  • 山科聖天-双林院HP

蹴上インクラインと義経地蔵

蹴上(けあげ)インクラインとは、全長582mの世界最長の「傾斜鉄道跡」を言います。

インクライン

琵琶湖からの水を引くだけでなく、物流運搬の手段としても利用されていた琵琶湖疏水は、蹴上のあたりでは高低差が約36mもあり、急斜面のため船を運航するのが困難になります。そこで、水路とは別にゆるやかな傾斜地を地面に作り、荷を積んだ船を台車に乗せて運ぶシステムを作ったのがインクラインです。

この辺りは約90本のソメイザクラが有名で、桜シーズンになると全国から写真撮影に来る人たちで賑わいます。

「蹴上」という地域名の由来となったのでは?と言われているエピソードがあります。

平安時代、平家打倒を目指す義経は「鞍馬寺」から下山し、奥州に向けて出発。途中、日向大神宮へ立ち寄った際に、日ノ岡峠で平家武者である関原与一重治(せきはらよいちしげはる)とその従者9人とすれ違いました。そのとき、重治一行の馬が跳ね上げた泥水が義経の直垂(ひたたれ)を汚しました。義経は激怒し、従者9人を切り、重治の耳と鼻を削ぎます。自分の軽率な行動を悔いた義経は、9体の石仏を作って彼らを弔いますが、うち6体は消失。残った3体のうち1体が「義経大日如来」として、現在「蹴上」の地(インクラインの始まり)に祀られています。

地蔵

>>過去記事参照:京のパワースポット!京・山科にある古い神社〜日向大神宮&岩屋神社〜

南禅寺&アーティスト

南禅寺

日本の禅寺の中で、最高位であると言われる「南禅寺」は臨済宗南禅寺派の大本山です。

南禅寺

江戸初期に造られた枯山水庭園「方丈庭園」は必見。また、歌舞伎「金門五山桐」では、大泥棒の石川五右衛門が、南禅寺の三門上から言った名セリフ「絶景かな、絶景かな」というほどの、美しい京都市内を一望できます。

琵琶湖疏水が敷地内に流れ、レンガ造りのアーチ型水路閣は、サスペンスドラマの撮影でも頻繁に使われる場所として、多くの人が訪れ写真撮影しています。一時は、着物姿の国内外の人が朝から夕方までごった返していました。

1890年に建てられた水路閣の正式名称は「南禅寺水路閣(全長93.2m、高さ14m)」。

水路閣

水路閣脇が綺麗に整備され、今では蹴上インクラインまで歩いていけます。蹴上の地下鉄駅を降りてから、南禅寺の参道に入るまでに、琵琶湖疏水記念館や蹴上発電所、またツツジが綺麗で有名な蹴上浄水場などもあり、近辺には名勝・無鄰菴や京都市動物園、平安神宮やロームシアター(旧京都会館)などがあります。

この地域は岡崎と呼ばれ、明治時代より京都の発展を支えてきた面影が今でも残されています。

数々の国内外のアーティストやミュージシャンが京都を訪問した際、よくこちらにお連れします。特に、ローマの水路閣を思い出す煉瓦造りの「南禅寺水路閣」は人気があります。

先日も、大切な友であり尊敬する『SOIL&"PIMP"SESSIONS』のピアニストである丈青くんと、お母様でジャズシンガーの佐藤いよりさん、そして凛として上品なおばあちゃまを、京都でのクリスマスライブイベントを終えたあとにお連れしたことは大変感慨深いです。(この直後に紅白出場!)

友人と

彼らの素晴らしい演奏を聞いた人たちが、京都の歴史的建造物に宿る自然の力漲るパワーを音から感じられたなら、なお嬉しいなぁと思います。

>>>SOIL & "PIMP" SESSIONS | Official Web Site

南禅寺

  • 住所:京都市左京区南禅寺福地町86
  • 電話番号:075-771-0365
  • アクセス:市バス「南禅寺・永観堂道」
  • 拝観料:境内無料、三門500円、方丈庭園500円
  • 南禅寺HP

琵琶湖疏水記念館

  • 住所:京都府京都市左京区南禅寺草川町17
  • 電話番号:075-752-2530
  • アクセス:市バス「岡崎法勝寺町」下車、市バス(京都岡崎ループ)「南禅寺・疏水記念館・動物園東門前」下車、地下鉄東西線「蹴上」駅下車
  • 琵琶湖疏水記念館HP

無鄰菴

南禅寺界隈別荘群にある名勝・無鄰菴(むりんあん)は、1896年に造営された明治・大正時代の政治家である山縣有朋の別荘に、七代目小川治兵衛が作庭した近代日本庭園の傑作と言われています

無鄰菴

伊藤博文や山縣有朋が、日露開戦前の外交方針について話し合った「無鄰菴会議」が行われた場所としても知られています。

無鄰菴

無鄰菴の日本庭園は、サイフォンの原理を使って滝口まで持ち上げる治水方法を取り入れて、琵琶湖疏水を水を庭園に使用し、躍動的で自然主義を大切にしています。

東山を借景に、50種以上の苔、30本のもみの木、滝や飛び石、そして紅葉の木などがあり、自然とマッチした斬新でありながらも人を魅了してやまない日本庭園を通年見ることができ、お茶や日本文化のイベントなどが時折行われています。

無鄰菴

無鄰菴

私もお手伝いで無鄰菴にいることがあります。ぜひ足を運んでみてください。

無鄰菴

  • 住所:京都市左京区南禅寺草川町31番地
  • 電話番号:075-771-3909
  • 拝観時間:4月~9月 9時~18時、10月~3月 9時~17時(要予約)
  • 入場料:600円
  • アクセス:蹴上駅から徒歩約7分
  • 無鄰菴HP

まとめ

琵琶湖疏水

近代の京都の文化や産業の発展を支えてきた「琵琶湖疏水」。

滋賀の人は、京都の人のいけずに対抗して、「琵琶湖の水を止めたるぞ!」と言います。しかし、琵琶湖疏水は実際は京都の管轄らしく、滋賀の人が勝手に止めることはできないということをテレビで言っていました...。京都人にとって、鴨川の水も大切ですが、琵琶湖疏水のお水なしには生活できないと言われています。

琵琶湖疏水を流れる水のように、京の歴史や時の流れを感じてみてはいかがでしょう。

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RICA NAKAJIMA

京都生まれ&育ち。世界各地をバックパッカー周遊しながらロンドンに6年、ニューヨークに10年以上滞在。日本のコアな伝統文化や神社仏閣、世界の文化芸術、史実関連を中心に新聞・雑誌などで執筆。また経験に基づく“陰謀説”系の電子書籍出版もあり。ジャーナリストのほか、写真映像家、YouTuber、NY州不動産ブローカー、音楽プロデューサー&イベンター、ヒーラー、日本庭園師などマルチに活躍中。

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