ついに再開!世界遺産マチュピチュ遺跡【ペルー】

マチュピチュ遺跡

2020年11月1日、世界遺産マチュピチュ遺跡が世界に向け再びその門戸を開きました。防疫に配慮した取り組みが認められ、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)による新型コロナウイルス感染症国際防疫プロトコル(Safety Travels)の適用を受けたマチュピチュ遺跡。1日の夜には盛大なセレモニーが開催され、ペルー通商観光省や文化省、環境省の大臣を始めとするお歴々が見守る中、インカ時代の衣装に身を包んだ地元アーティストたちが大地の女神パチャママに祈りをささげるなど、数々の催しが行われました。

目次

入場料無料という太っ腹なプロモーションも

まずはじめに、マチュピチュ遺跡観光再開までの道のりを簡単に振り返ってみましょう。ペルーは3月16日にロックダウン、食料品の調達など必要最低限の移動を除く国民の憲法上の権利が停止されました。当然ながら観光セクターも完全に停止し、マチュピチュ遺跡は2010年に続き(※)史上2度目の閉鎖を余儀なくされたのです。※クスコ地域を襲った豪雨で鉄道が不通となり、2か月間閉鎖されました。

とはいえ、すべての経済活動をコロナ終息まで中断することはできません。ペルーは5月から段階的に経済活動を再始動、7月にはマチュピチュ遺跡の観光再開が予告されていました。しかし、その後の新規感染者数や死者数の増加を受け、数回の延期を経てやっと実現したのが11月1日というわけです。

マチュピチュ遺跡 市街地入口
<マチュピチュ遺跡の「市街地入り口」にある正門の裏側。門の上や左手には、扉の開閉にあたりリャマの皮で作られたロープを通したと考えられる穴が開いた丸い石やくぼみがあります>

マチュピチュ遺跡 太陽の神殿
<遺跡の上部から眺めた「太陽の神殿」。石で造ったとは思えない、壁の柔らかな曲線が印象的>

観光客誘致に弾みをつけるべく、クスコ地方文化局は遺跡入場料年内無料という太っ腹なキャンペーンを打ち出しました。ペルー人の若年層を始め、国内に残っていた外国人旅行者たちがその恩恵を享受しています。コロナ以前は1日あたり2,500人以上、ピーク時には5,000人にも達していたというマチュピチュ遺跡の入場者数、2020年12月6日現在は上限1,116人とされています。今後は国内の感染状況などを考慮しつつ、訪問者を増やしていくそうです。

マチュピチュ遺跡 コンドルの神殿
<「コンドルの神殿」。巨石の自然な形を活かし、その間を埋めるように小さく加工した石が組み上げられています>

鉄道とバス利用時の注意点

クスコからマチュピチュ遺跡までの移動方法は以前と変わりませんが、鉄道の利用にはこれまでになかった新しいルールが設けられています。

ペルーレイル
<鮮やかな青と黄色のラインが目印のペルーレイル>

ペルーレイル社の場合、2021年1月2日から4月30日までの運行ルートはオリャンタイタンボ⇔マチュピチュ間のみ。クスコからオリャンタイタンボまでは、ペルーレイルが提供する鉄道+バスがセットになったチケットを購入するか、個人で移動手段を手配することになります。個人の場合はタクシーのほか、クスコ市内のCalle Pavitos(パビートス通り)からオリャンタイタンボ行きのミニバンが出ています。

ペルーレイル 車内
<外国人観光客に人気のビスタドームの車内>

駅構内や列車内ではマスクとフェースガードの併用が義務付けられているほか、乗車の際には検温も行われます。また乗車前24時間以内の体調を申告する「宣誓書」の提出が必須です。宣誓書の用紙はペルーレイルの公式ウェブサイトからダウンロードできるので、事前に準備しておきましょう。

ペルーレイル 車内アトラクション
<スタッフによる車内アトラクション>

車内では飲み物(ノンアルコール)と軽食のサービスがありますが、"おやつ"程度のもの。食べ物や飲み物の車内持ち込みや消費は禁止されているので、お腹が空きそうな人は駅到着前に食事を済ませておいたほうがいいでしょう。同乗者との会話は控えめに、くしゃみをするときは手のひらではなく前腕を使って口を抑えるように。どれも感染をさけるために必要な処置なので、従ってくださいね。

マチュピチュ村から遺跡までは、コンセトゥール社がシャトルバスを運行しています(外国人は往復24ドル)。チケットは村のオフィスか公式ウェブサイトから購入、こちらも乗車の際にはマスクとフェースガードの併用が義務付けられています。

バス停の行列
<コロナ以前は夜明け前から大勢の旅行者がバス停に並びましたが、現在はガラガラだとか......>

社会的距離を保ちつつ、ゆっくり観光

マチュピチュ遺跡への入場は、社会的距離を維持しながら一人ずつゆっくりと。まず手首の検温を受け、アルコールで両手を消毒してもらってから係員にチケットとパスポートを提示します。遺跡を見たい心がはやると思いますが、ここは安全第一でいきましょう。

遺跡の入口
<コロナ以前の遺跡入り口の様子。こんな押し合いへし合いの風景も今となっては懐かしいですね>

リャマと観光客
<マチュピチュ名物、リャマの後ろを追う観光客たち>

遺跡 メンテナンス
<コロナ禍で閉鎖されていた間も、遺跡のメンテナンスは定期的に行われていたそう>

国家の至宝にしてペルー観光業界の象徴でもあるマチュピチュの再開は、観光関連セクターにとって非常に画期的な出来事。一日も早く日本からのフライトが復活し、多くの方にこの素晴らしい遺跡を楽しんでいただきたいと思います。

Santuario histórico de Machu Picchu/マチュピチュ自然保護区

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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