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<青森>寒立馬と白亜の灯台が映える下北半島「尻屋崎」
日本に「最果て」と言われる地はいくつかありますが、今回紹介する所はかなり最果て感を感じる場所だと思います。
そこは青森県の下北半島の突端。本州最果ての地『尻屋崎』を紹介します。
目次
尻屋崎は本州最果ての地
尻屋崎は青森県下北半島の北東端に位置し、岬の北は津軽海峡、東は太平洋という境にあり、潮の流れが速く海上交通の難所ともいわれた場所です。下北半島国定公園に指定されており、常に海からの強い風が吹いている場所でもあるので、付近の地形には背の高い樹木も少ないという特徴もあります。
岬への道は二ヶ所ありますが、ゲートが設置されていて夜間は入れないようになっています。国定公園に指定されているゲート内のエリア一帯には寒立馬(かんだちめ)という馬が放牧されており、観光の目玉にもなっています。
歴史のある灯台
岬の先端には120年以上の歴史がある尻屋崎灯台が現役で稼働しており、煉瓦造りの白い灯台に設置された巨大なレンズは国内最大級の光度(53万カンデラ)を誇り、航海する船の道標となっています。
広がる青い空と海!そして緑の大地に白亜の灯台と馬が映える姿は、写真や絵に収めておきたい風景です。
北の地に生きる寒立馬
尻屋崎の名物でもある寒立馬。日本に古くからいる馬の血を引いており、北海道の道産子にも似たずんぐりとした体に雪の中でも歩きまわる太い脚は、農耕馬の特色を色濃く残しているともいえます。
先祖は在来種・南部馬の血を受け継いでおり、南部馬とは江戸時代に下北一帯を支配下に収めていた南部藩でも重用されていた農耕馬です。雪深く、寒さも厳しい環境で生き抜いてきた寒立馬の特徴は、寒さに強く、粗食にも耐え、持久力もあるので、人々に非常に重用されてきました。
やがて時代が移り変わり近代化が進むと、農耕馬としての役割が終わり、人々から必要とされなくなってくると次第に数が減っていき、一時は僅か9頭という絶滅寸前までになってしまいました。
その後、有志の保護活動のおかげで寒立馬は保護され、現在ではおよそ20数頭ほどに回復。そして2020年には、尻屋崎寒立馬300周年記念を迎えます。
名前の由来は?
昔は「野放し馬」と呼ばれていたそうです。他にも、「四季置付(しきおきづけ)=周年放牧のこと」と呼ばれていたことも文献に残っています。
今の寒立馬と呼ばれるようになったのは昭和45年あたりからで、「寒立(かんだち)」とはカモシカが厳寒の中、動かずに何日もたたずむ姿で、この馬も同様になることから、寒立馬と呼ばれるようになったそうです。
寒立馬は公園内を自由に動いているので子連れの馬を見かけたりもしますし、観光客の車やバイク、自転車に興味深々で近寄ってきたりします。寒立馬は人には慣れていますが、馬の習性として後ろから近寄ると蹴られる恐れがありますので、接するときは馬の視界内から騒がずに接するようにしましょう。
冬はゲート内には入れませんが、道路沿いの放牧地の雪原に白い息を吐きながら佇む姿は、この地に生きる馬の力強さを感じさせます。
あと公園内散策の際は馬糞に気を付けましょう。『油断していると踏みます』。
まとめ
青森県天然記念物にも指定された寒立馬が生きる最果ての岬「尻屋崎」ここで空の広さや海の向こうの北の大地を望みながら、いつもとは違う広々とした時間を満喫するのもいかがでしょうか?
ツーリングにも最適な場所としておすすめできます!!
アクセス
- 下北半島でも尻屋崎方面は電車が通ってないので車やバイクが便利です ※近隣にはキャンプ場もないので要注意。敷地内一帯は犬や猫などのペットを放すことは厳禁になっていますので注意してください。
- むつ市~尻屋崎 距離30km、バスで約60分、車で約30分
- 開場時間:4月1日~30日 8:00~15:45、5月1日~11月30日 7:00~16:45
- 問合せ:東通村役場 0175-27-2111/公式サイト:http://www.vill.higashidoori.lg.jp/
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鈴木勝彦
- 猫と歴史好きのフリーカメラマン。自転車で日本を旅した後、18年勤めた広告制作会社を辞めて海外を旅する。歴史・文化・祭事など探求していきます。