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アマルフィはここから始まった!アマルフィ海岸で一番古い町「スカ―ラ」
イタリア南部にある「スカ―ラ」という村をご存じでしょうか? この村は音楽祭で知られる町ラヴェッロの隣にあるのですが、その存在はあまり知られておらず、初めて名前を聞いたという方もいるのでは。
実はこの小さな村、アマルフィ海岸で一番最初に誕生したという歴史ある村なのです。景勝地として知られるアマルフィ海岸に連なる村だけに、スカーラでは美しい教会建築と海と空の絶景を楽しむことができ、村人たちの穏やかな生活を体感できます。なぜ、アマルフィを訪ねる際にスカーラにも立ち寄るべきか、その魅力を一つずつご紹介しましょう。
※編集部註:観光情報、スポット情報については2020年11月時点で確認できた内容を記載しています。最新情報については、必ず外務省ホームページ・観光に関する各種情報サイトを合わせてご確認ください。
目次
1. アマルフィ海岸沿いの町スカ―ラってどんなところ?
<村へと続く道路に建てられた、スカーラの地図。撮影:La luce del Sad>
アマルフィ海岸の町や村と言えば、アマルフィやラヴェッロ、ポジターノに多くの観光客が集中しますが、ちょうどアマルフィが位置するエリアの上に、「スカ―ラ(Scala)」がひっそりと存在しています。
スカ―ラは、アマルフィからバスに揺られること約30分、海抜約450メートルの山の頂上に位置しています。ラヴェッロからは徒歩で30分という近場であるため、一緒に観光しやすいアクセスと言えるでしょう(※)。 スカーラからの景色は高台からの眺めとなり、近隣にあるラヴェッロなどの町や周辺の山、海を見渡す雄大な景色を眺められるのが大きな魅力です。
※ライター註:バスでの移動は、アマルフィもしくはラヴェッロからシータ社(SITA)のバスが運行しています。
▼参考:SITA公式サイト(外部サイトへ遷移します)
2. アマルフィ海岸に誕生したスカーラの歴史
<撮影:La luce del Sad>
スカ―ラの起源は正確には分かっていないものの、四世紀頃にはローマ人の家系が移り住み、スカ―ラの村が形成されていったと言われています。一説には、コンスタンティノープル(現在のトルコ・イスタンブールに位置していた都市)へつながる道を作るために、この集落があったそうです。
また、その後にスカ―ラから谷を降りた人々が、後のアマルフィやアトラーニを作ったのだとか。このことから、スカーラはアマルフィ海岸における最初の居住地であったとされています。なお、スカーラは6つの集落に分かれており、それぞれで典型的な中世の構造が残されているのが特徴。この集落は後述するサン・ロレンツィオ教会の周りを囲むように、南北軸にわたって細長い形で存在しています。
【スカーラの集落リスト】
- Santa Caterina
- San Pietro
- Campidoglio
- Scala Centro
- Minuta
- Pontone
スカーラの人口は約1,500人と非常に少ないのですが、村の面積は約13平方キロメートルに及び、アマルフィ海岸にある町の中で最大規模です。
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3. スカ―ラの見どころを紹介!
スカーラは人口がとても少ない村ではあるものの、そこから見える景色は雄大そのもの。現代のアマルフィ海岸は旅行者に人気のエリアで賑やかですが、それらの町ができる前から存在しているスカーラは、南イタリアの歴史をそこはかとなく感じさせてくれるような趣があります。
3_1. スカーラの見どころ:ラヴェッロを一望
<撮影:La luce del Sad>
これまで紹介した通り、スカ―ラはラヴェッロの向かいに面した丘の上に位置していることから、ラヴェッロの町を対岸に望むことができます。海と空、そしてラヴェッロの古い町並みが美しいコントラストは、海岸沿いの町とはまた異なる景色。 石造りの古い村、静かな空間、のどかな時間......観光地のアマルフィ海岸と思えない、ゆるやかな時の流れを感じることができるでしょう。
3_2. スカーラの見どころ:サン・ロレンツィオ教会
<撮影:La luce del Sad>
サン・ロレンツィオ教会(Cattedrale di S. Lorenzo)は、その歴史を11世紀にまでさかのぼる、村の中心にそびえ立つ大きな古い教会。約1,000年前から、スカ―ラの中心の広場で村を見守ってきました。
こじんまりとした広場に比べ存在感のある大きな教会と鐘楼は、スカ―ラという村において重要な役割を持つ建物だったことを物語っています。そのシンプルな外観とはうって変わり、内部は陶器や宗教画などによる美しい装飾が満載。モザイクで彩られた説教台や聖人の像などが残されており、独特の美しさを感じられます。
<撮影:La luce del Sad>
外観は茶色のファサードであるのに対して、内部は白で統一されています。これは「ビアンコ・ロココ(白いロココ様式、イタリア語:Bianco Rococo')」と呼ばれ、ロココ様式の中でも特にエレガントな様式の一つとされています。また、教会内はビアンコ・ロココに限らず、ロマネスクからゴシック様式に至るまで、時代ごとのさまざまな建築様式が混在しているのも魅力の一つ。
<撮影:La luce del Sad>
マヨルカ焼きで装飾された、床のデザインや天井画も見逃せません。天使や花々で彩られた陶器のデザインは、教会の聖人であるサン・ロレンツィオの結婚のシンボルとされています。
<撮影:La luce del Sad>
教会の一番奥に置かれているのは、聖人の遺物などが保管された祭壇です。ブルーと金で装飾された祭壇は、さまざまな装飾が並ぶ中でも、一際目をひきます。これはルネッサンス様式で作られており、アマルフィ海岸には珍しいもの。中には多くの聖人像が飾られています。
<撮影:La luce del Sad>
3_3. スカーラの見どころ:アマルフィ海岸での生活風景
<撮影:La luce del Sad>
観光客の多くはアマルフィやラヴェッロが近くにあるため、スカ―ラに立ち寄ることはまれ。そのためスカーラは観光地化されておらず、アマルフィ海岸の日常的な営みが色濃く残る村です。
小さな村は徒歩でぶらりと散歩するのにちょうど良く、歩いていると村の人達の素朴な生活を伺うことができます。車やバイクも少なく町の騒音も届かないので、まるで時間が止まったように穏やかで静かな時間の流れを感じられることでしょう。
<撮影:La luce del Sad>
アマルフィ海岸の始まりとなった、美しく小さな村スカ―ラ。アマルフィやラヴェッロを訪れる際は、ぜひこちらにも足を延ばしてみてはいかがでしょうか? 観光地としてのアマルフィ海岸とは全く違う、もう一つの側面を見ることができますよ。
・スカーラ公式観光サイト:http://www.discoverscala.com/it/home-it.html
・Googleマップ:
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La luce del Sud
- 人々の生活スタイルや風景に魅せられ、イタリアへ。現在は南イタリア・アマルフィ海岸にある小さな町に住んでいます。個人旅行のアテンド・各種視察のコーディネートや通訳をしています。